55 魔法対戦学年予選
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけるとうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
11月になり、一気に学内の話題が魔法対戦大会のことになった。
剣術大会の魔法版かと思っていたけれど、個人戦なのだそう。
聖魔法は使える人が少ないので使用禁止。
4属性の魔法だけで戦うことになる。
あれ、そういえばウォロの古代魔法はどうなるんだろう?
ライトも教わっててできるようになってきてるのに。
いや、でもさ。例えば私とウォロが力いっぱいやったら、私死ぬんじゃない?
他の人もみんな死んじゃうよ!
心配していたら、ダメージ量を計測しながら実際には魔法の効果から保護するような学校専用の魔道具があるんだそう。
なら、それ普通にいつも身に付けてれば魔法が効きにくくなるんじゃないか? と思ったけれど、お互いに身につけないと力が発動しないらしい。
本当に試合用の魔道具なんだな。
実技の授業の中で対戦して予選を行って、学年4位まで決め、全学年代表20名の大会となる。
古代魔法はと聞いたら、聖魔法と同じく、今回は使用禁止となった。
成績で言えば1寮がほぼ上位になるんだけど、対戦だと属性相性もあるから、作戦とか防御と攻撃の組み立てとか……運とか、重要になる。
授業を全寮合同にして(いつもは1・2寮、3・4寮と別れている)、全員でくじを引いて組み合わせを決めた。
1寮のみんなは運よく他の寮との対戦になり、1回戦は勝ちあがった。
2回戦は15人でまたくじ引き。
私はティエルノと当たってしまった。オードリーは不戦勝枠を引いてラッキー!
ティエルノは火と土。私は水と風。
防御しながら戦ってダメージ量をできるだけ少なくするか……。
お互い手の内をけっこう知っているので、やりにくいって言うのもあるけど、2回戦を勝ち上がればほぼ1寮のみんなと戦うことになるだろうし、そんなこと言っていられない。
試合開始!
私はアイスファイアの防御壁を展開させた。
火魔法の攻撃はこれである程度防げる。
ティエルノは私が火魔法を警戒してることは読めていたので、土魔法の壁でアイスファイアを挟まれた。
そして火魔法を打ち込まれる。
水魔法で壁を作り出し防御した。
次にそのまま水の壁を移動させ土壁にぶつける。
土壁に水が浸み込んでいくところで、氷の弾丸を土の壁に打ち込むとそこから壁の中の水分が凍っていき、土壁が中から崩壊する。
その合間に火炎放射のような火のビーム攻撃(ティエルノの得意技)を受けるが壁に挟まれていたアイスファイアを展開するのに間に合い、何とか相殺できた。
こちらから攻撃が全くできていない!
風を巻き上げ、ぼろぼろになった土壁の欠片を打ち込んだ。
即席ストーンバレットだ。私の風魔法は威力が強いのでこのようにあるものを使った攻撃ができる。
土の攻撃を受けるとは予想してなかったようで、防御ができずティエルノ被弾。
火炎放射をまた打ってきたが風魔法で何とか方向を逸らせることができた。
そのまま捻じ曲げてティエルノの方へ!!
しかし曲げきれず、横になって爆散した。
むー、やっぱり火魔法の威力強いな。さすがティエルノ。
火には水が有利なので水魔法で、たくさんの粒を作り空中に漂わせた。
これで防御と攻撃が一度にできる!!
半分を打ち込み、半分は防御に使う。
土壁のバリアを張ったティエルノ。
これは予想していた。風魔法で防御に使っていた水の粒を壁の上へ打ち上げて落としていく。
土壁だとこちらの動きも見えにくくなるので奇襲が効くと思ったんだよね。
ティエルノが被弾したことが確認できた。
でも決定打にはならない。
このままでは時間切れの優勢勝ちか?
土壁の向こうから大きな火球が飛んできた。
最後の賭けで壁の向こうから打ってきたんだ!!
風では防御しきれない。アイスファイアの防御壁をあわてて展開。
それでも止めきれないものがあり、それは同じぐらいの大きさの水球をぶつけた。
蒸気が立ち込める。
試合終了の笛が鳴った。
私は防御に成功しほぼノーダメージでなんとか優勢勝ち!
それにしてもティエルノの火魔法の威力、すごかったな。
試合用の魔道具を外して戻るとティエルノが「おめでとう」と握手してくれた。
「ティエルノの炎の攻撃すごかったよ。防戦しつつ、何とか軽い攻撃は当てられたけど。
いつひっくり返されるかひやひやした」
正直な気持ちを伝えた。
「そーだろ! 貴重な練習台になったんだから、このまま勝ち上がれよ!」
「うん、ありがとう!」
2回戦を勝ち上がったのは私、ウォロ、エドワード、セレナ、ライト、不戦勝オードリー。
2寮のサーシャ。3寮のミリアン。合計8人。
次の3回戦に勝てば学年代表だ。
ウォロとは当たりませんように……。
再度くじ引き……。
私の対戦相手は……オードリーだった。
なんか今日、くじ運いいのか、悪いのか……。
オードリーはがっかりしている。
オードリーは火と風なので、私とは相性がかなり不利。
ウォロはサーシャと、エドワードはミリアンに当たった。
ということはセレナとライトが対戦ということ。
エドワードとミリアンは同じ火と風の属性だったので、魔力の多さと技の精度対決みたいになり、エドワードの勝ち。
ウォロは火と土、サーシャは水と土なので、サーシャの方が相性的には有利。なので少してこずっていたけれど(古代魔法使えないしね)、最後に相手の水魔法を全部蒸発させてしまうくらいの巨大火球な火魔法を決めて勝った。
いや、あの火球大きすぎだって。サーシャ泣いちゃってた……。
セレナは火と水。ライトは私と同じ水と風。相性的にはライトの方が有利かな?
セレナは火と水の魔法を組み合わせて蒸気の熱で攻撃という新しい魔法を見せてくれた。
すごい!!
でも、ライトのアイスファイアや氷魔法(ライトは水魔法の上位である氷魔法が得意)で防がれ、風魔法の攻撃を受けてしまった。
ライトの勝ち!
最後のオードリーと私の試合。
申し訳ないけれど、水魔法の防御壁を完璧に展開して、火魔法の攻撃を防ぎきり、風魔法の威力で逃げ切ったという試合になり、何とか私が勝ち上がった。
1年の代表はエドワード、ライト、ウォロ、私の4人。
対戦面白かったけれど、かなり相性や技の組み合わせが重要だな。
本大会までにいろいろ技のバリエーションを工夫しとかないと!
11月は全学年が大会に参加なので、申し訳ないけれど、ボランティアはお休みにした。
本大会が終ったらミクラとジュンの家に行きがてらまた1寮だけで孤児院に行ってみようかと話をしている。
全学年の代表が揃い発表になった。食堂に貼りだされている。
知っている人は……。
4年はアンドレアスとランスがいる。
5年はマリアがいた。
2年にミーア帝国からの留学生のマイネと聖魔法で一緒のレイモンドがいた。
こっからくじ引きだもんなー。
同学年とだけは当たりたくない!
名前を見て考えていたら肩を叩かれた。
「よっ! 1年は全員1寮か。すげえな」
4年のランスだった。アポロとアンドレアスも後ろにいる。
「アイスファイアの防御壁、使いやすいです!
教えてもらって本当に良かった!」
私は夏休みの時のアドバイスのお礼を言った。
「あ、教えない方が良かったかなぁ……。なんてな。お互い当たっても正々堂々やり合おうぜ!」
ランスがウインクしながら言ってきた。
「ウォロはどうしてる? ネモのこと大切にしてるか?」とアポロが言った。
そういえば……。
「ウォロ、夏休みの時、私とのことでどんなこと言ったんですか?
その、エドワードからもウォロは私を大切にしてないみたいなこと言われて。
何言ったんだ? と思ってるんですけど?」
3人は顔を見合わせてちょっと困った顔をした。
「いや、今までのデートはほぼ遺跡とかねえだろ?」とランス。
「出かける時は馬にふたり乗りなんだってな。それは女の子としてどうなの?」とアポロ。
「プレゼントしてくれる物が居場所がわかる魔道具とか……、嫌じゃないのか? ネモ?」とアンドレアス。
あー、そういうことか! なんかもっとすごいこと言ってんのかと思ったよ。
でも、かなり詳しくいろいろ話したんだな!
「人それぞれですから! 私はそれほど嫌じゃないですよ!」
私は笑って答えた。
「それほど?」
ランスが聞き返してきた。
「……それより、ウォロはけっこう素直なので、変なこと教えないで下さいよ!」
「変な事?」
「……あの次の日、今までしたことないのに、顎に手を掛けて持ち上げたりしてきたんで……」
「あ、すぐ実践したのか?!」
アポロが面白そうに言った。
「やっぱり!! そういうこと教えないで下さいよ!!」
その時、ちょっと視線を感じて振り返った。
4年かな? 私より年上の女子3人がいてこちらを見ながら何かひそひそ話していた。
あ、この3人といると目立つか!
陛下の新聞作戦の効果か、私の最近の噂は下火になっているが、噂で名前の挙がっていた違う学年のアンドレアスと親しく談笑していたら何かしら思われることあるか……。
ランスとアポロも何気に人気あるみたいだし。
とりあえず離れよう!
「じゃあ、また!」と言って歩き出して、女子3人組のそばを通りかかった時、その中のひとりが「あっ!」と言いながら手に持っていたカップをこちらにぶちまけてきた。
全く予想してなかったので、驚いて持っていた教科書を守ろうと背を向けた。
あ、あれ?
液体がかかる気配がしない?
「キャー! なにこれ! なんなの?!」「いやー!」「なんで?!」
女子3人の悲鳴が聞こえて恐る恐る振り返る。
「ネモ?!」
ランス達もそばに来てくれ、私と一緒に目の前の光景を見て唖然としている。
女子3人組がお茶をかぶってうずくまり、近くに転がったカップからさらにお茶が噴き出るように3人に降りかかり続けていた。
「なに?!」
『おー、うまく発動したな!』
マッちゃんの言葉に驚く。
発動? 魔道具?
私ははっとして制服の上からネックレスの辺りを抑えた。
お茶の噴き出しが止まった。女子3人が立ち上がろうとして滑って転ぶ。
アポロとランスが怪訝な顔で助けに入り、立ち上がらせた。
「なにしたのよ! この!」
そのうちのひとりが私に詰め寄ろうとして、ランスに気が付いて顔を赤らめた。
ランスのファンか!
女子3人はあわてて立ち去った。
アンドレアスとランスが転がったカップを拾って、首を捻っている。
「量が絶対的におかしいよな?」
「ああ、これは……。ネモ、何か心当たりは?」
ああ、ありすぎです……。
その時、ウォロが食堂に現れた。
「うまく発動したって! ネモ、大丈夫だった?」
床に飛散した大量のお茶と私が濡れたりしてないか確認して頷く。
「よし!」
何がよしなんじゃ?
「……ウォロ、これは、魔道具の……」
「発動? 魔道具? なんの?」
ランスが口を挟んでくる。
「ネモに悪意を持って攻撃すると攻撃をはね返してさらに10倍返しになる魔道具」
ウォロがしれっと怖いことを言った。
「10倍? 確かに、量的には10倍ぐらいか?!」
アンドレアスが気が付いたように言った。
『ほんとにうまく発動したのー。見事じゃな!』
マッちゃんのうれしそうな声が聞こえた。
「……ウォロ、私、今までこんな恐ろしいもの身につけて過ごしてたの?!」
「ん? 守ってくれるんだから恐ろしくはないだろ?」
「いや、10倍返しは怖いだろ……」
ランスが言ってくれた。
読んで下さりありがとうございます。
やっと新しい魔道具の事、書けました。
カップから噴き出るお茶(容積的に200mlなのに2L出続ける)、そしてそれで床が滑って立てないとかやりたかったので書いてて楽しかったです。
今日の午後投稿はお休みします。
これからもよろしくお願いします。




