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48 野営の練習(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

今回は転生物です。

ゆっくり書き進めていますので、お付き合いいただけるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

「じゃあ、順番こっちで決めるぞ」

 ティエルノが言ってエドワードと相談を始めた。ウォロにも声をかけている。


 最初か最後の方がたくさん寝られるか?

 でもふたりずつだと2回ぐらい回ってきちゃうかな?


 最初がティエルノと私。次がエドワードとセレナ。ウォロとオードリー。ライトとティエルノ。私とエドワード。セレナとウォロ。オードリーとライト。


 うん、なぜウォロとペアにならないんだ?

 まあ、2回ずつ、ずれて行ってるわけで、わかりやすいか。


「1時間交代にしよう。時計と名前書いたメモ置いておくから次の人を起こして交代してくれ」

 ティエルノが焚火そばのテーブルに時計とメモを置いた。


 ティエルノと私は毛布を手にして焚火のそばに座り、他のみんなは思い思いに少し離れた所で毛布を広げたりくるまったりいろいろ試行錯誤してどうやったら快適に寝られるか工夫していた。

 見てると面白い。

 マントみたいに身体に巻き付けて木に寄りかかって座るみたいにしているのはエドワード。

 オードリーとセレナは隣同士で寝ることにしたようで寝転がってみて「落ち着かない!」と言って起きて、エドワードを見て木に寄りかかる方法を試したりしている。

 ウォロは毛布にくるまってそのまま普通にまっすぐ寝ている……。

 ライトは毛布にくるまっているんだけど縮こまったような体勢に落ち着いた様子。


「見てると面白いな」

 ティエルノが小さな声で言った。

「うん、人それぞれだね」


 しばらくしてみんな寝たかな? と静かになった時、ティエルノが小さな声で話しかけてきた。

「ネモはさ、あまり国とかそういうことにこだわってないの?」

「……うん、そうだね。気にしてないかな。

 もともと子どもの時から辺境伯爵家から早く出たいと思っていたし」

「それはウォルフライト王国の貴族をやめるってこと?」

「うん、自分にできそうな仕事について家を出る。つまり平民になるとも言えるか。

 でも仕事につくなら魔法学校に行った方がいいだろうと思ったからね」

「ウォロは心配して一緒に魔法学校に来たって言ってたな」

「うん」

「本当にウォロの行動原理ってネモなんだな。皇子なのに変な奴だな」

「まあ第3皇子だし、気は楽だよね。マイペースだから皇帝からも好きなことしてるの認められてたようだし」

「そうか、エドワードとはだいぶ違うんだな」

「んー、でもふたりを見ていると似てるなと思うこともあるけど」

「あー、わかるような気がする。なんかふたりとも王子っぽさみたいなところがあるよな」

「うん、なんとなく仕草とか反応が似てるなと感じる時あるね。

 王子っぽさか、うん、そんな感じ!」


 ティエルノが薪を1本足して火の様子を見てから時計を確かめに行く。

「そろそろだ、セレナ起こしてきて」


 私はセレナを起こして焚火のそばに連れてきた。

 引継ぎをして、さてどうやって寝たものかとウォロとオードリーを見た。

 ティエルノにぼそっと「風紀を乱すようなことはするなよ」と言われた。

 それはウォロから離れてろということですね?!

 私はオードリーの隣に毛布にくるまって座ると、うとうとし始めた。


 ライトに起こされる。

「ネモ、当番だよ!」

 私は頭を振ってから、大きく伸びをした。

「ありがとライト」

 起き上がろうとするがまだぼーっとする。


 毛布から這い出ると肌寒さを感じて目が覚めた。

「うん、起きた」

 私は毛布をくるくるまとめて持つと焚火のそばに行く。

 エドワードがお茶を飲んでいて、ティエルノが私にもカップを渡してくれた。

「ネモ、大丈夫か?」

「うん、大丈夫! 起きた!」

 お茶を飲んだら頭がすっきりした。


 エドワードが「ネモ、眠かったら寝ててもいいぞ!」と言うので、反射的に「何をおっしゃるうさぎさん」と言ってあくびをした。


「うさぎさん?」とエドワードが戸惑っている。

「あ、いや、知ってるセリフというかフレーズというか……」

 前世で時々突っ込みのように使っていた言葉が出てきてしまった。

「何の話のセリフ?」

「えーと、うさぎと亀が競争してて……」

「ネモ?」「大丈夫か?」

 ティエルノとライトが心配そうに見ている。

「大丈夫! ちゃんと起きてるから!!」

 私は座ったまま、手を伸ばしたり曲げたりして動けるところを見せる。

 エドワードが声を殺して笑った。

「本当にネモは面白いよな。一緒にいて飽きないよ」


 ティエルノとライトが寝に行った。

「さっきのうさぎと亀の話って夢の話?」

 エドワードが聞いてくる。

 夢ってわけじゃないんだけど……。

「夢か、昔聞いた話かわかんないんだけど。うさぎと亀が競争するんだよ」

「うさぎの方が勝つだろ?」

「いや、亀が勝つ」

「なんで?!」

 そんな面白そうな顔されても……。

 やっぱり陛下に似ているよな。

 結局、うさぎと亀の話をさせられた。


 セレナを起こしに行って、交代する。ウォロも起きてきた。

 ふたりにお茶を入れてあげた。


 もう少し寝よう。

 またオードリーの隣に行きうとうとし出した。

 頭の中でうさぎと亀が走っている。

 亀、けっこう早いな。私はくすっと笑った。


 夜、何度か起きたからか、早朝に目が覚めるとお腹がめちゃくちゃ空いていた。

 最後の火の番だったライトがそのまま朝食を作り始めてて、パンにチーズを載せたり、果物を切ったりしてくれてた。

 私も顔と手を洗いに行ってから、手伝う。


 ティエルノとエドワードが起きてきて「やっぱり火の番ひとりにして回した方がみんな休めそうだな」と話していた。そりゃそうだよ!

 

 みんなで眠そうな顔をしている。

 朝食を食べてから、女子3人はセレナの部屋に引き上げることにした。

 少し昼寝しないと、だな。


 シャワーを浴びて部屋着に着替えた。

 まだ少し眠たくてゴロゴロしながらオードリーとセレナの話を聞いていたら、私はいつの間にか眠ってしまっていたよう。

 

 オードリーに「昼だよ!!」と起こされた。

 昼食を3人でのんびり食べてから「着替えて様子を見に行ってみよう」とオードリーに言われて、持ってきた夏のドレスに着替えた。

 シーラがセレナのメイドに髪の結い方を、私の髪を使って教えていた。

 鏡を見たらリボンを編みこんだ凝った髪型だった。シーラって器用なのね。


「今日の髪型もかわいいね。シーラ、ありがとう!」とお礼を伝える。


 セレナもオードリーもいつもとは違う感じに髪を結ってもらっていた。ふたりともかわいい。

 おしゃれしてるの見るの楽しい。


 3人で男子の様子を見に行くと剣や魔法の練習をしていた。

 そうだよ、私も剣の練習しないと!! と思ったけれど、今日は無理だ。今日はあきらめよう。

 そこにアンドレアス王子とアポロともうひとり来た。もうひとり、名前なんだろう?

「私達も一緒に練習していいかな?」

 アンドレアスがエドワードに言った。


「いいか?」とエドワードが男子に確認するとみんな頷いたので「じゃあ、一緒にどうぞ」とエドワードが返事した。


 あれ、アリスは?

 3人の中で一番近くに来たアポロに走り寄り、捕まえて聞いた。

「アリスは? 一緒じゃないの?」

「えっ? ……誰かと思ったら、エミリア?!」

 アポロに驚かれた。

 あっ、こんな格好で話すのは初めてか。いつもはズボンの制服でポニーテールだし、昨日も男の子みたいな格好してた。


「エミリアっていうか、ネモだよ。アリスはいないの?」

「……アリスは今日は辺境伯爵家に帰ったよ」

「そうなんだ」

 何かあったのかな?

「昨日は悪役令嬢なんて言って悪かったな」

「いや、そっちからすれば、私は悪役なんだろうし、別にいいよ」

「別にいいって……。本当に変わってるな、お前」

「お前ではない。ネモだ。アポロ、あのもうひとりの名前は?」

「あいつはランス。紹介してやろうか?」

 アポロがランスに向かって手を振るとランスが走ってきた。

 名前知るだけでよかったのに……。

「こいつがランス」

「ネモです。よろしくランス」

「えっ、誰と話してるのかと思ったけど、ネモってアリスの妹の?!

 あれ、見違えたんだけど!」

 やっぱり驚かれてる。

 ランスがニヤリと笑って「俺の好みなんだけど」と言った。

 好み? ドレスが?


 オードリーがあわてて私とランスの間に入ると叫んだ。

「ちょっと!! ネモには婚約者がいるんですからね! 変なこと言わないで! ネモも怒りなさいよ!」

「……ドレスを褒めてくれたんじゃないの?」


 アポロとランスが大笑いした。

 ウォロとエドワードが驚いて駆け寄ってくる。

「どうした?」 

 エドワードの声かけに笑いながらアポロが答えた。

「いや……、かわいいなネモって」


 ウォロが私を自分の後ろに隠そうとする。

「そっちの方がネモのことを好みだって……」とオードリーが言うとエドワードがランスを睨んだ。

「いや、それくらい言ってもいいだろ」とランス。


 私はあわててウォロとエドワードに言った。

「私がアポロにアリスがいないから聞いたの。

 別に絡まれたりした訳じゃなく、ランスも紹介してもらっただけだから」

「その通り。声かけられてびっくりしたよ。昨日会った時とは別人のように違うから。

 アリスから聞いていた話とは全然違うな……、いや1年男子を侍らせてるってのは本当か?!」

「その侍らせてるっていう言葉、やめてくれない! そんなんじゃないから」

 私はうんざりしたように言った。

「ああ、ごめん。アリスの言葉だとそう言っていたから」


 そうか、花祭りの時もアリスにそう言われたんだよね。

 だから、アリシア夫人の話す言葉を聞いた時にアリスからの話だろうなとは思っていたけど、やっぱりそうだったか……。


「今日は剣の稽古はしないのか? 残念」

 アポロがウォロの後ろを覗き込むようにして言ってくる。

「今日は女の子だけで楽しもうって決めてて……」

「ネモ、答えなくていいよ」

 エドワードが言って「ほら、向こうへ!」とアポロとランスを連れて行ってくれた。


「ネモ、油断しすぎ」

 ウォロから久しぶりの『油断しすぎ』を頂いてしまった。

「ごめん、アリスがいないの気になって」

「練習を見るなら、こっち、自分達の近くにいなよ。

 オードリー、ネモのそばにいてくれてありがとう」

「どういたしまして。ネモ、本当に油断しすぎ!」

 オードリーにまで言われた。

 そういや、セレナは?

 

 セレナは少し離れた場所でライトと話していた。

 良かった。怖がっていなかった。

 セレナと合流して椅子に座って、見学していたが、ランスとライトに話しかけられた。


 ランスは剣より魔法というタイプでライトと似ているタイプらしい。しかも属性も同じ。ということは私とも同じ。

読んで下さりありがとうございます。

「なにをおっしゃるうさぎさん」(なんとおっしゃるうさぎさん)は私と息子の反論する時の口癖です。

変な親子ですみません!

また、仕事先で亀を飼っていたことがあり、亀って思ってるより移動速度早いなあと思った記憶があります。

今日は出かける用事があり、午後投稿お休みします。

ゆっくりと話が進んで行ってますが、これからもよろしくお願いします。

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