表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/384

48 野営の練習(前)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めてますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。


 ティエルノから天気もしばらく良さそうなので、明日、野営をしようと連絡があった。

 2日目、女子はセレナの部屋に泊る。男子はもう1泊野営してみてもいいかもぐらいの計画だそうだ。


 野営だからと動きやすい格好で王城に行くことにする。もちろん私は男の子みたいな服装。

 オードリーもズボンにしてた。でも、なんかかわいらしい。ちゃんと女の子に見える。

 2日目は女子会だからみんなでおしゃれをしてみようということで着替えのドレスなどはちゃんと用意した。


 王城についてからすぐにエドワード達が今生活している離宮の方に通され、ちょっと安心した。

 いや、なんか陛下に呼ばれたらいやだなと思っていたから。


 厨房で昼食のサンドイッチと野営の食材の準備をした。

 メニューはライトにおまかせしてたので、そこでシチューだとわかった。

 チーズを加えてみたいそう。それはおいしそう!


 火を焚いたりしていい場所に行き、大きめの石を集めて焚火の上に鍋がかけられるようにした。

 色々調べたけど、丸太を組むとか、焚火の横に棒を立てて鍋をぶら下げるとか難しそうだったので。

 しかも今回はシチューだから鍋も大きいし。


 王城の庭にそんなに枝は落ちてないので(管理されてるからね)、薪を厨房から分けてもらった。

 火魔法使えると着火が便利だ。私とライト以外は火魔法持ちなので、この先の野営は誰と組んでも大丈夫そうだ。


 お湯を沸かしてお茶を入れ、昼食のサンドイッチを食べる。

 なかなか楽しい!


 食べ終えたら夕食作りまで時間もあるので、ウォロとオードリーと離宮の庭を散歩することにした。

 エドワードとティエルノが一緒に来て、セレナとライトは火の番をしながら読書しているという。


 いろいろな庭園や意向を凝らした庭もあり、面白かった。

 大きな池があり睡蓮が咲いていた。とてもきれい!


 池の周りを歩いていたら、アンドレアスとアリスと男子ふたりのグループとばったり出会ってしまった。


 4-1寮も王城で一緒に過ごしているのかな?


「噂の悪役令嬢エミリアだ!」と男子のひとりが言った。

 この人、剣術大会でエドワードと引き分けた人だ。

「アポロ、その噂ってなんだ?」

 アンドレアスが怪訝な顔で訊ねている。

 王子はあまり世間の噂をご存じないのかも?!

 

 アポロはもうひとりの男子と顔を見合わせて苦笑いをし答えない。


 エドワードがそれを見て言った。

「アリスの母親が言いまくっているエミリアの……、ネモの悪口だよ。

 俺も先日、会った時に直接言われた。1寮のみんなも聞いてる。

 アリスなら知っているんじゃない?」

 

 アンドレアスがアリスを見るが「知らないわ!」とアリスはそっぽを向いた。


「4-1は4人だけ? 今年は王城に全員集まっていないのですか?」

 ティエルノが唐突に聞いた。

 アンドレアスが困った顔をし、アポロがそれを見てあわてて言った。

「後の3人は家の都合でね」

「そうですか……。それならいいのですが。学友から距離を置かれているわけではないのですね!」

 ティエルノ、けっこう斬りこんでるけど、大丈夫か?


 アポロが動揺し「もう行こう! 失礼」と言い出して、歩き出した。

 もうひとりの男子とアリスが続く。

 アンドレアスだけ困った顔をしてこちらを見ていたが、みんなの後を追って歩き出した。


 見送ってからティエルノが言った。

「4-1、大変らしいよ。他の3人、親から言われてることもあるみたいだけど、アンドレアス王子と……、というかアリスから距離を取り始めてるそうだ。

 実際、アンドレアス王子にアリスのことを注意した人もいるそうだよ」


 歩きながら私がすっかり黙ってしまったのでウォロが心配して声をかけてきた。

「どうした?」

「アリスのこと考えてた。一度、真剣に話をした方がいいのかな?」

「なんて?」

「私に構わないでって」

「今までそう言っても構ってくるのはあっちだろ?!」

「でも、私に構おうとするから、おかしくなるんだよね。

 今までの1~3年生の間はそこまで問題なくちゃんとやってたみたいだし。

 ま、自分が得するように動いていたことはあったみたいだけど……。そこまでひどいことをしてたみたいじゃなかったようだし。

 私が入学してからだよね。なんか変になってるの。

 絡んで困らそうとして裏目に出るっていうか……」

 私の言葉を聞いていたオードリーが激しい口調で言った。

「違うよ! 困らそうなんてレベルのことじゃない!

 ネモだってわかるでしょう。花祭りの時アリスがしたこと。

 セレナも怖い思いをしたし、もう少しウォロとエドワードが追いかけるのが遅くなってたら、ネモだって、本当に危なかったんだよ!」


「そうか、セレナのこともあった。でも……」

「でもじゃなく、アリスのことは考えるな」

 ウォロに言われる。


 ウォロの前世のデルフィニウムにとって、アリスの前世のユーチャリスは妹だけど、それはもういいのかな?

 まあ、妹が前世の私にしたことと、転生してからの今生の私にしたことと両方怒ってくれてるわけで……。でもアリスの方はそういうこと全然知らないわけだし……。


『ほう、ウォロとアリスは前世では兄妹だったのだな?

 そしてネモの前世とも関りがあったと……』

 マッちゃんの声が響いてきて私はドキッとした。

 ウォロも少し驚いた顔で私を見た。

「そんなこと考えてたの? 妹だとかそんなのいいから」

 ウォロの言葉にオードリーも言った。

「アリスの妹だから我慢しなくちゃいけないってことはないよ、ネモ」

 オードリーの言葉は意味としては、ずれてたけど、心にすとんと入ってきた。


 そうか、兄妹だから、姉妹だからって我慢したり譲ったりしなくてもいいのか……。


「そうだね。うん、考えるのはやめる。ありがとう、ウォロ、オードリー」


 エドワードとティエルノにも私達の話は聞こえてたと思うけれど何も言わずにいてくれた。


 焚火の所に戻るとみんなでシチュー作りをした。

 ライトがチーズを入れてかき混ぜる。


 寮で作った時より濃厚な味になり、焚火で少し焼いたパンとの相性もばっちり。

 贅沢な野営飯になり、みんなにも好評だった。

 本当の実習の時はこうはいかないと思うけどね。


 鍋や食器を片付けて、お茶を飲みながらみんなで焚火の周りに集まった。


 ティエルノが「なんかこーいう雰囲気だとちょっと恥ずかしいことでもみんなで語り合えそうだよな!」と言った。

 恥ずかしいことって何? 黒歴史とか?


「前からみんなに聞いてみたかったんだけど、将来ってどう考えてる?」


 あ、黒歴史じゃなく、将来のこと、未来のことね!


「俺は公爵家を継いで、国のために働いているであろうエドワードを支えたいと思っている」

 エドワードはその言葉を聞いて「ありがとう」と微笑んだ。

「俺は兄を支えて、王弟として国のためにできることをしたいと思っている。

 そのためには知識も力ももっと身につけないと……。このメンバーの1寮ならそれが叶うと思っている。みんな、ありがとう」

 エドワードの言葉を受けてセレナが話し出す。

「いえ、私こそエドワード様にいつも助けられていて……。

 私もこの国の貴族として何かお役に立てればと思っています。

 自分では何もできないと思っていたけれど、寮のみんなと過ごしたこの半年でずいぶん強くなった気がします」

 みんなよく考えてるな。うんうん。


「じゃあ、次は僕ね!」とライトが手を挙げた。

「早く言わないとみんなにいいこと言われちゃいそうだから」

 みんなで笑った。

「あのね、学校に入るまでは大魔法使いになるのが夢だったんだ。だから苦手な剣の授業も取らず、魔法だけやるつもりでさ。でも、学校に来てみたら僕より魔法ができる人がたくさんいてさ……。

 そんな時にみんながいてくれて本当に良かったよ。

 くさらずに一緒に成長することができたから。

 そして、ネモ。ザーレでのことは本当にごめん。

 大魔法使いになれる夢が叶えられるかもと思って、ネモを結局騙した。

 ズールに騙されていること、心のどこかではわかっていた気もする……。

 でも、やってみたいという気持ちもあって……。本当にごめん。

 今はまだ魔法に関わる仕事につけたらなぐらいしか考えられないんだけど、やっぱり魔法が好きだから、それを頑張りたいと思っている」

「うん、魔法一緒に頑張ろうね!

 私達同じ属性だし、私もライトと魔法の話したり練習したりするの大好きだよ!」

「ありがとう、ネモ」

 ライトが微笑んだ。

「で、ネモは?」とティエルノが言った。


「私……、私はまずウォロとずっと一緒にいること。

 ミーア帝国でもどこでも子どもや弱い立場の人を守ったり、助けになれることができたらと思う」

「ネモらしいな」とエドワードが言って「オードリーは?」と続けて声をかけた。


 ウォロが大トリか?!


「私も婚約者であるダイゴ様とずっと一緒にいて支えたい。

 ネモと一緒に子ども達のための活動ができたら素敵ね!

 あ、将来、私、ネモのお義姉さんよ! ウォロにとってもね! それも楽しみ!!」

 オードリーと私でフフフと笑い合ってしまった。

 みんながウォロを見る。


「えっと、将来なんてあまり考えてないけど……。

 ネモとずっと一緒にいること。ネモを守ること……かな。

 それぐらいしか今は思いつかない」

「ミーア帝国のことももう少し考えてよ!」

 オードリーが笑いながら言った。


「そういえばウォルフライト王国って早くから婚約するのって珍しいの?  

 アリスとアンドレアス王子が12歳で婚約したから、それぐらいが普通なのかと思っていたけど、学校に来てみたら、あんまり婚約してるとかの話聞かないから」

 私の質問にセレナが答えてくれた。

「そうね。16歳ぐらいでお互いの気持ちとか家のこととか考えて決まる人が多いと思う。

 昔よりは生まれつきの家同士の約束とかも少なくなってきているんじゃないかな?

 子どもの時に婚約者候補というかそういうことは言われたり意識したりすることはあると思うけど。

 オードリー、ミーア帝国はどうなの?」

「そうね。ミーア帝国は16歳で結婚できるからか、ここよりは早く婚約や結婚することが多いけど、同じ感じかな?」

「じゃあ、アリスのケースは本当に珍しいんだね」

 私が唸るとエドワードが言った。

「兄様は特に気にしてなかったけどね。まあ、国のためということもあるから……。

 婚約してからお互いを知っていけばということもあり得るんじゃない?」

 そうか、アンドレアスはアリスにちゃんと向き合ってくれてたんだな。

 アリスはどうなんだろう?

 将来王になる王子としてではなく、アンドレアス自身とちゃんと向き合ったのだろうか?

 うーん、もう考えるのやめようとしてたのに!

 また悪い癖だ。


「夜の火の番どうする?」

 ウォロが言った。


「ここは危なくないから、消して寝ても大丈夫だけど、それじゃあ練習にならないよな……。

 とりあえず今日はふたりずつくらいで番をする?」

 ティエルノがみんなに聞いてくれる。

「え、でもさ、ひとりずつにすれば長い時間寝られんじゃない?」

 私が言うとオードリーが「えー、ひとりは嫌だなあ」と反応した。

 そうなの? そういうものなの?

読んで下さりありがとうございます。

夏休みっぽいことしてますね。

楽しそうです。

これからもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ