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43 王城へ

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

夏休み後半戦に入りました。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 10日間、ウォロとふたりだけで一緒に旅をしたのは本当にとても楽しかった。

 名前を名乗らなくてはいけない場面では、ウォロがミーア帝国伯爵家のダイゴ・ミルスマリア、私がウォロ・ミルスマリアということにした。

 ダナンに来てた時のダイゴとウォロが使っていた名前をそのまま利用させてもらったのだ。

 私は髪型をミーア帝国の長髪の男子がしているように後ろでゆるくひとつ結びにしてさらに帽子を被った。


 ズールに見つからないようにするという目的はあったが、身分も変えているし、ウォルフライト王国内をかなり移動してたので、見つからない自信はあった。

 だから、結局ウォロの好きな遺跡を巡る旅をしていた、という訳。


 朝は剣の稽古もしたし、夜はウォロに勉強を教えてもらったり本を読んだりした。

 規則正しく生活することをふたりで心掛けた。

 それでものんびりした時間が流れるのが不思議で心地よかった。


 日中はウォロと遺跡を見ながら話したり、古代魔法について話をしたりしていたが、マッちゃんが何だか話に入りたそうにしている気配を感じて……。

 最初は私が間に入ってやり取りしていたが、だんだん面倒になり、私の声帯を使うこともやってみたが(カトレア先生に返事した時みたいに)私の咽喉がおかしくなりそうだし、そうすると私が話せない。


 ウォロと話したいがためにマッちゃんはすごいことをした。


 魔道具である耳の輪っかをふたつに分けたのだ。

 どうやったん?


 金銀の細工物だったのだけれど、私の方が金だけになってて、ウォロの左耳たぶに銀の輪っかが移動した?!


 封印されてた古代魔法の魔道具だよな? いいのか、ふたつに分けちゃって?


 これでふたり揃っていないと転送魔法の魔道具として使えないわけだけど、お前達はずっと一緒にいるから大丈夫と言われた。


 そんな適当でいいのか?


 マッちゃんが話す言葉がふたり同時に聞こえるということは……。

 ちょっと離れている時にウォロのことを相談したりができないということ、だな。

 私の言葉や思ったことは伝わらないけれど、マッちゃんの言葉だけは聞こえるわけで……。

 気を付けよう。


 でも、ということは、離れてる時はマッちゃんに伝言頼めば連絡取り合えるのか?


『また……、古代の大魔法使いを伝言に使おうなんて考えるのはネモくらいのものだな!』とマッちゃんに言われ、「何考えたの?」とウォロに聞かれてしまった。


 マッちゃんの声がふたりに聞こえるなら、離れている時に伝えたいことがある時は、マッちゃんに伝えといてと頼めばいいか! と思ったことを話した。


 笑われたけど「いい考え!」と言ってくれた。

 マッちゃんも了承してくれたので、もし必要な時が来たらお願いするとした。


 遺跡巡りではウォロがマッちゃんと話すのに口に出して話してくれたので、私にもとてもよくわかり、古代魔法についてわかったこともある。


 現代の魔法(4属性の魔法)はイメージ優先。

 古代の魔法は型や詠唱(呪文? 言葉?)が決まっていて、イメージよりもいわゆる言葉の方が強いこと。

 ウォロも授業で古代魔法をアレンジして使った時、ぶつぶつ言葉を唱えていたもんな。


 10日目。明日は王都に戻らないといけない。

 ウォロと決めたことがある。

 また長期の休みがあったらふたりだけでのんびり過ごすために、この旅の間の身分のことは誰にも内緒にしようと。

 旅券を用意してくれたダイゴだけは知っているんだけどね。


 次の日、王都のミーア帝国大使館へ行くと、ダイゴとオードリーが待ち構えていた。

 待ち構えていたなんて言ったら、失礼だった。心配してくれていたんだから。


 オードリーにいろいろ質問されたけれど、答えないように気を付けた。

 これから1寮のみんなにも会ったら質問されるかもだけど言わないようにしなくちゃ。


 オードリーが私の左耳たぶの輪の変化に気が付いた。

 ウォロの左耳を見て驚いている。

「もしかして、分けた……とか?」


 さすがに見てわかってしまうか。

 サンマチネス様がウォロと古代魔法について話したいとなって、魔道具をふたつに分けて持つことになったと話した。

「サンマチネス様はふたりの守護霊ってこと? そんなことできるの? 

 まあ、ウォロとネモのふたりなら、できそうだね」とオードリーは呆れていたけれど。


 お父様とハロルド、ジョシュア兄様も大使館に来てくれた。

 兄様とハロルドとダイゴは明日の朝、ダナンに帰るため出発するという。


 オードリーを見たら寂しそうだったが、王都のあちこちをデートできたし、たくさん話すことができたから楽しかったと教えてくれた。


 お父様に明後日、王城に行くことを伝えられた。

 預けていた荷物も持って来てくれたので、しばらくはこの大使館でお世話になることにして、オードリーとお父様に王城に着ていく服について相談した。

 王妃様のお茶の招待だから、カジュアルなのでもいいのか?

 手持ちをオードリーに見てもらうと、これではだめだという。

 確かに夏のワンピースやスカートは持っているが、ドレスなんて持ってないよ。

 王城に行くなんて全く考えてなかったし。


 結局、帰国前に話をしたいというダイゴとウォロと兄様とハロルドを残して、私達はドレスを買いに行くことになった。

 お父様が連れて行ってくれ、夏のドレスをオードリーに見立ててもらって2着。

 夏用の靴も買ってもらった。(靴はオードリーも一緒に買ってもらいお揃いにした!)

 

 ドレスは少し直さないといけなかったので、明日の夕方までに大使館に届けてもらうことにした。

 たぶん、このドレスでも王城では普段着くらいなんだろうな。

 正式な昼食会や夜会とかに招待されたら、準備が大変面倒だな。


 私が男の子の服装のままだったので、お父様が今着る用のワンピースまで買ってくれた。

 これは既製品でサイズが大丈夫だったのでこのまま着ていくことになり、髪をお店の人がかわいく結ってくれた。

 店に来た時とは別人になったな……。


 大使館に戻り、みんなでお別れ会を兼ねて夕食を食べた。

 明日の朝、出立ということでダイゴももうホテルに移動してしまうという。


 ウォロと旅した時に見つけた珍しい石をお礼に贈った。

 黄緑色の半透明の結晶の中に銀線が入っている六角柱型の石だ。

 石の感じだと聖石だと思う。半透明の色付きは珍しい。

 見つけた時、ダイゴとオードリーのイメージの石だ!! と思って大切に持ち帰ってきたのだ。


「どこの石?!」とダイゴは大興奮していた。やっぱり石好きは健在だった。

 ウォロと一緒に南の方の街に行った時に河原で見つけたことを話したら「今度そこに連れていけ!」と言われた。

 本当に石好きだな!


 みんなを見送り、3人で残ると急に寂しくなった。

 オードリーがちょっと涙ぐみながら言った。

「ネモとウォロがちゃんと帰ってきてくれて本当に良かった。

 私ひとりでみんなを見送ったら寂しくて大泣きしちゃうところだった」

「泣いてるじゃん」とウォロ。

「だから、これは大泣きじゃないでしょが!」

 オードリーが言い返してる。


 王城に行く日になった。

 お茶会は午後なのでのんびりと思ったら、オードリーに朝から風呂に連れて行かれた。

 シーラも張り切っていて「旅の間にちゃんとお手入れしていませんでしたね!」と言われてクリーム塗られてマッサージされたり、そんなんで午前中は過ぎてしまった。


 昨日届いたドレスのうち、淡い青色の方が今日の天気には合っているとオードリーに言われ(どんな理由なの? 私にはよくわからない)、それを着てシーラが髪を結ってくれた。

 ドレスに似た淡い青色のリボンも結んでくれて、首筋にひらひらするのがちょっとくすぐったかったけれど、鏡を見たらとってもかわいかった。

「ありがとう、シーラ! この髪型とってもかわいい!!」

 お礼を言うとシーラがうれしそうに微笑んで頷いてくれた。

 オードリーは淡い緑色のドレスに同色のリボンを私とは違って頭の上の方でふんわり結んでいた。それもかわいい!!


 お揃いの白い靴を履いて仕度はできた。

 あれ、王城に行くの面倒だと思っていたけれど、オードリーとおしゃれするのは楽しいな。


 ウォロは白い夏用の服を着て胸のポケットに淡い青のチーフを入れていた。

 私に合わせてくれたんだな。


 簡単に昼食をつまんでから、お父様が迎えに来てくれ、馬車に乗り込む。


 王妃様とアンドレアス第1王子とアリスと対面か……。気は重いけれど、それが終れば1寮のみんなにも会えると思ってお土産も持ってきたし、エドワードの本も返そうと持ってきた。

 ちゃんと読んだぞ! 感想を聞かれたら言ってやろうと内容も考えてある!(試験みたいだと用意していて思った)


 王城の大きな門は馬車のまま入り、外庭の中をそのまま進む。

 城の入り口に馬車が到着し、馬車を降りる。

 私が荷物を持って降りようとするとウォロが持ってくれた。


 お父様がオードリーをエスコートして先を歩き、私とウォロが後ろに続いた。

 本当なら、私がお父様と並んで歩くのだろうけど、ここはウォロと婚約していることを強調するためにわざとこうやって歩くことにしたのだ。


 王妃様のお部屋に伺うと聞いていたのに違う通路に案内されたようで、お父様が戸惑っている。

 オードリーに何か言い、オードリーが驚いてこちらに振り返った。

 なんだ?


 大きな部屋の大きなドア。近くにいた文官らしい人がウォロの持っていた荷物を預かってくれた。

 え? 大広間じゃない、ここ?

 ということは王様もいるのか? 略式だけど謁見ということ?


 私はウォロにつかまっている手につい力が入ってしまった。

「大丈夫だよ」

 ウォロが囁いて私の手に右手を重ねてくれた。

「そうだね、いっぺんに済んじゃうと思えばいいか!」

 私も囁いてニコッと笑った。

 

読んで下さりありがとうございます。

ブックマークや評価をつけて下さって、ありがとうございます!

これからも頑張ります!

今日は午後の投稿する予定です。

どうぞよろしくお願いします。

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