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5 ミーア帝国の男の子

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

今回は転生物に挑戦しています。

ゆっくりと書き進めているので、お付き合いいただけたらうれしいです。

ブックマークしてくださって、どうもありがとうございます!


どうぞよろしくお願いします。



 あれからしばらく経って、私は4月の11歳の誕生日を迎えた。

 お父様とは男の子の格好をして街の郊外で会うのがすっかり定番になってしまった。


 その日はお父様がダナンの街で有名なレストランの個室を借りてくれ、お祝いしてくれた。

 本当は家で祝えたら良かったのだけれど……。

 一応、私は父から距離を置かれていることになってるからね。


 その時、魔法学校についての話をされた。

 

 生まれて1か月で名前を登録した時に簡単な潜在魔力検査を受けているんだそう。

 そして、12歳の2月に、その検査を元に魔力が高い子ども達に魔法学校から入学テストの招待状が来るのだという。


 なるほど、アリスの入学テストってそういうことだったんだ。


 入学テストで詳しく魔法の属性などを調べ、認められると4月に魔法学校に入学でき、高度な魔法の勉強ができる。特に聖魔法についてはこの学校でしか学べないのだそう。


 ん? 

 ということは、私にも12歳になれば入学テストの連絡が来るのでは?


 学校は5年制。

 2年間はアリスと在学が被ることになる。


 辞退もできなくはないが、高度な魔法について学べるのは魅力的。

 ハロルドに教えてもらって、私の持っている属性の水と風の基本的な魔法は使えるようになっている。

 しかし、聖魔法は本を読んでもよくわからず、扱いが難しく独学が困難。

 使える人も少ないので家庭教師もほとんど見つからないのだ。


「もし入学テストの招待状が来たら、受けるかい?」

「はい、魔法の勉強ができるなら行ってみたいです」

「わかった。受ける方向で用意しておこう」




   ◇ ◇ ◇




 父からお祝いしてもらった次の日、ダイゴからの手紙が届いた。

 弟を連れてダナンに来る予定。

 明後日の午後、あの川原で待ち合わせしようと。


 待ち合わせ当日。

 昼食を済ませた私は男の子の格好をして、馬に乗りハロルドと川原に向かった。

 乗馬の腕もかなり上達した。

 馬車よりこっちの方が楽しいし。


 川原に着くと、もうダイゴが石拾いしているのが見えた。

 本当に石が好きなんだな。


 そばにミクラと黒髪の男の子も一緒にやっているのが見えた。

 あれがダイゴの弟かな?

 近づいていくとこちらに気が付いた。


「ネモ!!」とダイゴが手を振ってくれた。

「お久しぶりです!」と返事をして、馬から降りるとそばに行く。


「ウォロだ。

 話していた僕の弟。

 君と同じ10歳だ」

 ウォロと紹介された男の子は、こちらをじっと見ている。

 瞳の色が銀色だった。きれいな瞳だな。


「ネモです。どうぞよろしく。私、先日11歳になりました」

「じゃあ、ネモの方がお兄さんだな!」

 ダイゴが笑って言うと、ウォロがちょっとくやしそうな顔をして言った。

「自分も明後日に11歳になります!」

「じゃあ、ほとんど一緒だね!」

 私はニコニコしながらそう返事をした。


「ネモは馬に乗れるのか?」

 ウォロが馬を見て、続けて言った。

「自分は遺跡を見たいんだ。

 連れて行ってくれないか?」

「いいよ。馬で行く?」

「ぜひ乗ってみたい」


 ダイゴはまだ石拾いをしていたいというので、ミクラは残ることになった。

 私とウォロ、ハロルドの3人で、馬に乗り、遺跡観光に行くことにした。

 

 ウォロはひとりでも馬に乗れるということだが、最初は私の馬に一緒に乗ってみることにした。

 しかし、ウォロの方が私より身長が高く体格もいいので、結局、ウォロが手綱を持ち、その前に乗せてもらうような形になる。


 ん? これなら、無理にふたりで乗らなくても?

「私、ハロルドの方に乗せてもらうから、ウォロひとりで乗る?」と提案するが「これでいい」と言われる。

「じゃあ、ハロルド! 

 先を走って! 

 後からついていくから!」

 

 馬が走り出す。

 わ、手綱を持ってないとちょっと怖いな。

 鞍の取っ手に不安げに掴まっているとウォロに言われる。

「もっとこっちに寄りかかれ。その方が安定する」

「ありがとう」

 寄りかかろうと少し後ろに体勢をずらすが「もっと寄りかかっていい」と言われ、もたもたしていたら、右腕で腹のあたりを抱き締められてぎゅっと身体を寄せられた。


「……細い」

 ぼそっと言われて、恥ずかしくなる。


 遺跡前に着くとウォロがひらりと身軽に降り、私に手を貸してくれる。

 なんかウォロ、すごいな。同い年の男の子って、みんなこんな感じなのか? 

 ウォロが特別なのか?

 

 馬を預けてから、遺跡の説明をしながら歩いて回る。

 ここの遺跡は古代の神殿跡で、ウォルフライト王国では珍しいものだと言うと、ウォロがミーア帝国ではこのような神殿がまだ完全な形で残っていて、今でも信仰の対象になっていると教えてくれる。


「へー、この神殿の完全な形かぁ。

 いつか見てみたいな……」

 白い柱がちゃんと立ってて、並んでいるところを想像する。


「きれいなんだろうなあ……」

 私がうっとりしながら言うと、ウォロが笑った。


 ちょっと子どもっぽかったかな。


「ミーア帝国に来たら案内してやる」

「楽しみにしてる!」


 大人になったら、他の国に行くこともできるかな。

 考えたら楽しくなってくる。

 そのためにも学校に行ってちゃんと勉強するのは大切だな、うん。


 遺跡をじっくり巡って、使われている石の素材までじっくり見ている。

 兄弟で本当に石好きなんだね。

 私はくすっと笑った。


 ウォロが満足したようで「兄の所に戻りますか?」とハロルドに聞いてくる。


「川原に戻ってみましょう」

 ハロルドの言葉に遺跡前で馬を返してもらい、乗る時にちょっと考えた。

 今度はハロルドに乗せてもらおうかな。


 ハロルドの馬の方へ行こうとすると、ウォロに腕をつかまれる。

「先に乗れ」

「ひとりの方が乗りやすいでしょ?」

「……一緒に乗りたい」

 一緒に乗りたいんだ!  

 それならいいか。

 私が馬に乗ると、その後ろにウォロが軽やかに乗り込んでくる。


 うーん、ひとりで乗った方が楽しんじゃない? と考えていたら、走り出す前にまた右腕でぎゅっと抱きしめられて身体の位置を調整される。

「やっぱり、細い……」

 またぼそっと言われる。


「細い細い言うなよ」

 思わず言い返してしまう。

「ごめん」

「いや、痩せてるとよく言われるから本当だけどさ……」


 馬を走らせ川原に戻ると、ダイゴがまだ石拾いをしている。

 馬から降りて、ダイゴの方へ歩いて行くとこちらに気が付いて声を掛けられた。


「ウォロ、遺跡はどうだった?」

「うん、じっくり見れて楽しかった。馬に乗れたのも楽しかった」

「良かったな。

 ネモ、ウォロに付き合ってくれてありがとう」


 まだ石拾い続けるのか?

 本当に石好きだな。

 川の方に近づいて川面を見ていると、ウォロがやって来た。


 私は話しかけた。

「ミーア帝国にも学校ってあるの?」

「学校はある。兄は行っている。

 13歳から3年間だ。ウォルフライト王国では?」

「私が知っている学校は姉が行っている魔法学校だけど、12歳になって2月になると入学テストがあるらしい。

 5年間かな」

「ネモも行くのか?」

「たぶん……。魔力量によって入学テストの連絡が来なかったら入学できないけど」

「今、11歳だよな。再来年?」

「うん、そうなると思う」

「もし、連絡がなかったらミーア帝国の学校に来なよ」

「行けるのかな?」

「留学生はいるから可能なんじゃないか?」

「ふむ、父に聞いてみる」

「ネモのお父さんって?」

 う、やばい、どう説明する?

「えっと……」


「話せない?」

「ごめん、その……。

 貴族なんだけど、私はその、正妻の子どもじゃなくて……。  

 はっきりと言えなくて、ごめん」

「わかった。

 兄が聞いている連絡先はあの執事の名前だったな。

 手紙書いていいか?」

「うん、大丈夫」


 その時、やっとダイゴが石拾いをやめて街に戻る気になったようで「そろそろ帰るぞ!」と呼ばれた。


 ダイゴが遺跡を案内してくれたお礼に、私達に食事をご馳走してくれると言う。

 一緒に街まで行くことにしたが、ダイゴ達は馬車でここまで来ていたので、街で待ち合わせをしようとすると、ウォロがまた馬に乗りたがった。


「お前、そんなに馬に乗るの好きだったっけ?」とダイゴに言われて、ウォロが赤くなる。


「まあ、友達ができてうれしいんだな。

 うん、わかった。

 泊っている宿はアリステラホテルだ。そこで待ち合わせしよう」

 お父様が援助しているホテルだ。


 ハロルドが「食事もそこですか?」と質問した。


「どこかお勧めのレストランがあったら教えて欲しい」

 ダイゴに質問で返された。

「それなら……」といくつか美味しいと思うレストランを挙げるハロルド。

「では、そのお勧めレストランに連れて行ってくれ!」

 ダイゴにお願いされ、ハロルドが街の中心部から少し離れているが、ここからだと近いレストランの名前を馬車の御者に伝えると知っているそうで、直接レストランに向かうことになった。


 私とウォロはまた馬にふたり乗りだ。


「馬のふたり乗りが気に入ったのか?」

 ハロルドの馬を追いかけながら走っている時に聞いてみた。

「ネモと乗るのは楽しい」と言われたので「それは良かった」と返事した。

読んで下さり、ありがとうございます。

次も頑張ります!

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