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37 試験の結果と夏休み

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

やっと夏休みに入りました!

ゆっくり書き進めているのであきれずにお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 夏休み前の試験の結果が出た。

 私は総合だと4位。

 総合1位はなんとウォロとエドワードが同率1位だった。

 そして総合3位はセレナだ。

 1寮のみんなは上位を占めていてすごい。

 私も実技のおかげで何とか総合4位だったけれど、筆記もっと頑張らなくては……。


 終業式が終り寮のリビングで成績表をウォロとオードリーにだけ見せていた。


「オードリー、夏休みはウォロに勉強教わろうね……」

 ウォロの結果を見せてもらって驚愕した私はオードリーに話しかけた。

 エドワードがウォロが見ている私の結果を覗いて言った。(覗くな! それに覗かせるな!)

「筆記1位の俺が教えてやろうか?」

 なんですか! どうせ私は7位ですよ!

 ウォロから成績を奪い返しながら答える。

「旅行に行くし、そこでウォロに教えてもらう!」

「ザーレに行くんだっけ?」

 ライトが言った。


「うん、父の知り合いの別荘を借りられるとかで、ウォロとオードリーとうちのお父様と兄様、ウォロの兄さんのダイゴも来るよ。

 ね、オードリー楽しみだね!」

「ふふふ、もうネモったら!」

 バシッと肩を叩かれた。

 痛いよ。


「どれくらいの予定で?」

 エドワードに聞かれる。

「今日の終業式の後、このまま寮に泊まって、明日の朝一で出発予定。

 2週間ぐらいかな?

 その後は王都周辺を観光したり、早めに学校に戻ってくるかもしれないし」

「辺境伯爵家には帰らないの?」

「ないない、絶対あの屋敷には行かない。

 そういやアリスはどうするんだろう?」

「兄様と約束はしているみたいだけど、俺も詳しくは知らない」

「そうなんだ。みんなも一緒に過ごすんでしょ?」

「ああ、今年はライトも誘って4人で過ごす予定」

「楽しそうだね!」

「そう? ネモ達も休み後半、王城に来る?」

 王城か……。

「ウォロとオードリーとダイゴを招待してあげて欲しいな。

 ミーア帝国との親交も深まると思うし。

 私は遠慮します……」

「なんで?

 俺と会いたくないとか?」

「違う、違う。

 その、第1王子のことだよ。

 ずっと話がしたいと言われてるの断ってるし……。

 それなのに王城を私が訪問してたら変だろ!」


 オードリーが助け舟を出してくれる。

「剣術大会後、出会う度にお誘いがあって断るの大変だったんですよ! 

 最近は気配を察知して隠れるのもうまくなりましたよね。

 だからか隠れられない終業式後に直撃されたけど……」

「うん、夏休み中に王城を訪ねてこいと言われて『父と相談します!』って逃げ切ったんだから。

 だから、王城に行くのはちょっとまずいって」

「知らなかった。兄がすまない」

「いやエドワードが謝ることではないよ。

 一度話せばいいのかもしれないけど、なんか入学テストや入学式後に声かけられたときのイヤーな感じが忘れられなくてね。気が進まないんだ」

 

 その時、ウォロが時計を見て「ほら食堂行くぞ!」と言った。

「「食堂?」」

 ティエルノとエドワード両方に聞かれる。


「マリアと待ち合わせしてるんだ。

 ザーレで会う約束してるし、その打ち合わせ!

 そうか、マリアに勉強見てもらってもいいかも!

 みんなはもう寮を出るんだよね?

 私達に連絡したいことがあったら、お父様宛に連絡してね!

 辺境伯爵家の私宛に出しても届かないと思うから!

 では良い夏休みを!!」


 食堂に3人で行きマリアと合流してランチを食べながらザーレの日程を細かく決めた。


 マリアはこの後、家に帰り、そのままザーレの公爵家の別荘に向かうという。

 明日、私達が到着したら合流することになった。

 マリアも遺跡を何度か尋ねたことあるが、ウォロが詳しいので説明すると言うと楽しみにしてるよう。

「そうそう、ネモ、1寮で筆記がビリなので勉強見てやって下さい」

 ウォロがばらした……!

「あら、じゃあ毎日勉強しよう!」

「ひー!!」

 私がテーブルに突っ伏す。


「アンドレアスは夏休み王城で過ごすんですって。

 アリスも一緒のようよ」

 マリアの声が後頭部に降ってきた。

 そうなんだ。それは良かった。仲良いことで。

 私が頭を上げるとマリアがさらに続けた。

「ネモに頼まれてた件だけど……」

 何かあったっけ?

 私のきょとん顔にマリアが笑い出す。

「ほら、学校長のエドワードだけ残した時の」

「ああ! あれ、私まだ聞けてません……」

「王家にネモのことを進言するという話だったんですって。

 アリスはもちろんだけど、エドワードも反対してくれたみたいよ」

「そうなの?」

「それもあってアンドレアスは一度あなたと話したいみたい。

 一度話してみれば?」

「でも、そうするとアリスも一緒ですよね……。

 正直、関わりたくないです……」


 寮に戻ると、もう4人はいなかった。

 次に会うのは1か月後か!

 でも、孤児院に行く時は連絡してもいいかもしれない。


 次の日の朝、旅行の仕度を終えて、寮の戸締りをしてオーサム先生に鍵を返し挨拶した。

 お父様が用意してくれた馬車にシーラを連れて乗り込むと、ダイゴとジョシュア兄様がいた。

「久しぶり! ダイゴ! 兄様!」

 兄様はあまり変わらない。

 ダイゴは前より背が高くなってるし、髪も長くして結んでいる。ダナンでの時のウォロに感じが似ている。

「ダイゴ、ウォロに似てきたね」

「久しぶりに会うなり、ネモ、なんだよ!

 兄が弟に似てきてるってどういうこと?!」

「いやー、思ったこと正直に言っちゃった。髪型かな?」

「長髪のダイゴ様も素敵です!」

 オードリーがうれしそうにダイゴを見つめている。

「オードリー、会いたかったよ!」

 いいね。ふたりとてもうれしそう。


「ジョシュア兄様も元気そうでなによりです!」

 あれ? お父様とハロルドがいない?

 ちょっと戸惑った感じの私の様子を見て兄様が言った。

「父様か?

 王城から呼び出しがあって。明日、ザーレに来るよ」

 王城から呼び出し?

 私絡みではありませんように……。

 

 ミクラとジュンはこの夏、ミーア帝国に帰省することになっている。

 うふふ、帰ってきたら話を聞くのが楽しみ。

 マイベルとカノンにはお土産と手紙を渡してもらおうと託した。


 馬車が進んで、ホテルの前に止まる。

 ハロルドが馬を用意して待っていた。

「どうする? ウォロかネモも馬に乗るかと用意してあるけど?」

「「乗りたい」」

 ふたりで返事をしてしまう。ちゃんとズボンで来たぞ!

「またふたり乗りか!」と兄様が笑った。


 ハロルドと兄様、私とウォロの3頭の馬と馬車でザーレを目指す。

 だんだん景色が農村風景になり、牧場になりと緑なんだけど少しずつ変わっていく。

 

 ザーレの街は思ったより大きくて、街の広場や通りも大きい。

 店もたくさんあって賑わっている。


 マリアが指定したレストランに向かうと、店の前のテラス席にマリアがいて、馬で駆けつけた私達にびっくりしていた。


「マリア、こちら義兄のジョシュアです。

 兄様、私達が大変お世話になってる5年生のマリアです」

 マリアに兄様を紹介する。

「マリア・ウォーターライトです。どうぞよろしく。

 ネモとよく似ているのね!」

「親戚ではあるけどね。とてもいい兄様だよ」

 ダイゴのことはウォロが紹介してた。


 レストランに入り、一緒に食事をしてから、一度私達が泊る別荘に荷物を置きに行くことに。

 こっちの馬車にマリアも乗ってもらった。


 レストランを出ようとしたところで「ネモ!」と声をかけられる。

 うん? この声は?

 ウォロが馬を振り向かせると……。

 やっぱりエドワード達がいた。

「何で?」

「みんなで話し合ってザーレに行ってみようってなったんだよ」

 だから、なんで? みんな、ザーレに来たいとか意見合ったのかよ。

「アリステラ家の親戚の別荘だろ泊るの?」

「そうなの?」

 私は兄様に聞いた。

「ああそうだが、君達は?」

「あ、兄様、同じ寮のエドワード第2王子、公爵令息のティエルノ、伯爵令嬢のセレナ、子爵令息のライトだよ。

 みんなで旅行だったんじゃないの?」

「だからザーレに旅行だよ」とティエルノ。

「そんなこと全然言ってなかったじゃないか!

 まあ、みんなに会えたのはうれしいけど……」

「隣の別荘に泊ってるから! 後で訪ねるよ!」とライト。

「隣?」

「うちの別荘なの」とセレナ。


「だったら何で教えてくれなかったんだよ~!!」


 結局、別荘について落ち着いたと思ったらエドワード達が訪ねてきて、そのままお茶になってしまい、遺跡は明日みんなで行くことになった。


 ウォロが遺跡を楽しみにしていたのに、すまんね。

「ウォロ、出かけないなら馬で周辺回ってみる?」

 私が誘うとウォロも頷いた。

「ハロルドも行く?」

 話しているとエドワードとティエルノが一緒に行きたいという。

 伯爵家の馬を借りてくるというので、一緒に伯爵家の別荘に向かった。

 

 なんだかなー。

「ウォロ、どういうことなんだろうね?」

「うーん、まあ様子見よう。

 ネモのお父さんの方も気になるし……」


 ふたりの馬とエドワードの従者の馬も用意できて、周辺を馬で散策する。

 ピクニックに良さそうな場所とかランチが食べられる牧場とか見つけた。

 

「ネモはひとりで馬に乗らないのか?」

 エドワードが近くに来て言った。

「ひとりでも乗れるけど、ここ2、3年はウォロと乗ってばかりだね。

 ウォロがふたり乗りが好きなんだってさ」

「ネモとのふたり乗り限定」

「……そういうことらしい。

 エドワードもセレナを乗せてあげたら?」

「そうだな、考えてみる」

 考えてみる?

 まずはセレナを誘うんでないか?

 エドワードの思考は王子補正かかってんのか?

 まずはエドワードの方を……。

 

「ネモ、また考えすぎ」

 ウォロに言われてはっとする。

 そうだ、夏休みは自分に関係ないことはあまり考えないで過ごそうと決めたばかりだった。


 ウォロに指摘されて気が付いたが、私は無意識に周囲の人のことを考え、その人のために頑張ってしまう癖のようなものがあるらしい。

 それが今、特にセレナとエドワードに向いているらしい。

 確かにこのふたりはとても気になるし、見ていて何とかしたいと思ってしまう……。


 それからマリアとジョシュア兄様が一瞬お似合いと思ったけれど、こちらは何もしないで見守ろうと決めた。マリアから理想を聞いたばかりだし、それなのにお勧め! とか言うのも変な気がするし。


「何考えてる?」

「……考えるのはやめようと考えてる」

「……うん。やめときな。

 それからエドワードに誘われても馬のふたり乗りはするなよ」

 はい、でも絶対とは言い切れないよね。

 移動の時って何があるかわかんないから。

 

読んで頂き、ありがとうございます。

夏休みなのに…。

いつもの寮のメンバー勢揃いです。

予想できましたよね。きっと。


これからもよろしくお願いします!



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