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35 学年対抗剣術大会

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

今回は転生物です。

ゆっくり書き進めているのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 学年対抗剣術大会の日になった。

 ここは魔法学校なので、剣術と思うかもしれないけれど、剣ができるようになれば魔法とも組み合わせられるようになる。

 でも、この大会は純粋に剣術のみの大会。魔法は禁止。

 木剣を使うから体格と力がかなり重要になる。

 だから、結局、剣の授業を取るのは男子がほとんどになるんだよね。

 最初から魔法と組み合わせられれば、もっと女子もできると思うんだけどな。

 先生にそう聞いたら、魔法を最初からOKにするとやはり魔法に頼ってしまい、剣術の方がおろそかになってどちらも中途半端になるという。


 私も選手ということになったので、装備を付けて選抜選手と一緒に行動する。

 場所はいつもの剣術の授業をする野外の実習試合場。

 みんなの試合が近くで観れて得したかも!

 

  第1試合、1年 対 2年

 こちらはエドワード、ダリル、ティエルノが出場。

 エドワードは男子としてはそこまで大きくないけれど、やはり幼少期から剣術を嗜んできている(しかも先生は超一流だろうしね)ので、基本がしっかりしている。

 学校でいろいろなくせのある学友と試合したり(私も含めて)、従者達とも練習するようになって実戦ということを意識するようになったみたい。

 けっこうどんなタイプとも卒なく戦える。


 ダリルはエドワードよりちょっと背が高くちょっと体格がいいという感じ。

 力で押していくタイプ。

 重心の取り方がいいのだけれど、スピードに難ありかな。

 だから、勝てる時は危なげなく勝つし、負ける時は見事に負ける。

 戦うタイプに寄って、かなり戦績に差が出る。


 ティエルノは背も体格もふたりより大きく、でもその割に動きも早い。

 たぶん、この3人の中では一番強いと思う。


 学年選抜だと、どうしても長剣を使っている子が体格&体力があるので、1,2年は全員長剣の試合となった。


 エドワードは時間いっぱい使って、優勢勝ち。

 ダリルの相手は聖魔法で一緒のレイモンドだった。

 レイモンドも力で押すタイプだったので、ふたりとも時間いっぱい使って消耗戦という感じだったが引き分け判定。

 1年にしては頑張ったよね!

 最後のティエルノは危なげなく、途中で相手の戦意を喪失させ降参させた。文句なしの勝ち。


 なんと2年生を撃破して勝ち上がった!

 

  第2試合、4年 対 5年

 知ってるのはアンドレアス第1王子ぐらいなので、普通の試合として楽しめた。

 4年と5年だとほとんど体格差もなく、見ていた感じだと4年の方が熱心な感じだった。うん、体育会系というのかな。

 第1王子の学年という誇りみたいなのもあるのかもしれない。

 1番目の人がけっこう強くて相手を降参させての勝ち。

 2番目の人も強い方だと思うけれど、5年生の相手が珍しい片刃の剣を使っていて、動きに対応できなかったみたい。時間いっぱいまで粘っていたけれど相手が優勢勝ちとなった。

 最後のアンドレアス王子はエドワードの成長した姿というか、うん、隙もないし、卒なくまとめてくるよねという感じで優勢勝ちとなった。


  第3試合、1年 対 3年


 エドワードが1番目に出たけど、相手がすごく大きい人で……。

 かなり頑張ったと思う。

 どうなるかと思ったけど引き分けとなって、次に繋げることができた。

 2番目はティエルノ。

 ダリルは前の2年との試合で足に痛みが出たということで補欠に回ったのだ。

 体格は同じくらいか。

 そうなるとティエルノの方が有利だと思う。うん優勢勝ち!

 最後はウォロだけど、勝てるはずだよね!

 あはは、相手が降参した!


 すごーい! 1年生が次は決勝だよ!!

 みんなで喜んでいたら先生に呼ばれた。


 あ、第4試合が私なんだった!

「「ネモ、頑張れよ!」」とティエルノとエドワードが声をかけてくれた。

「相手は4年だろ! 負けても全然大丈夫だぞ!」

 ダリル、それは応援してくれてるのか微妙な声かけだぞ?!

「楽しんで来い!」

 ウォロが笑って送り出してくれた。


  第4試合、1年ネモ 対 4年エイダ


 頑張ります!!

 エイダは長い黒髪を一本の三つ編みにして垂らしているかわいい感じの子だった。

 確かに私よりちょっと背が高いかな?

 そして私より体格が良いというか、ちょうどいい感じだ。

 私はちょっと細すぎるから、羨ましい。


 細い長剣の木剣を構えると、なんだかとても美しいぞ!

 エドワードとウォロに相手してもらって長剣との戦い方は経験を積んだので、それをぶつけてみるしかない。

 相手にしたら両手剣、しかも手甲足甲の攻撃もある相手と戦うのは初めてだろうし。

 お互い距離を取ってお互いを見合う。

  

 なかなかお互いに動けない。やばいな。

 その時4年の選手の方から「エイダ、1年なんてやっちまえ!」と声がかかった。

 それ、応援としてはどうなの?

 しかし、エイダがその声に反応して動き出した。

「はーっ!」と声を上げてこちらに走って来て剣を突き出す。

 私は剣を避けて、エイダの隣に並ぶように身体を寄せ左の逆手の剣を振りぬいて逃げる。

 エイダはあわてて身体をかわした。

 惜しい、避けられた! さすが!

 そのまま木剣を振り上げて追ってくるので、振り下ろすのを誘って足甲で剣を横から蹴って、ひるんでる隙に右手の剣を突き出す。避けられる。続けて左と思わせて左から右への横ふりを誘って左に出てもう一度右手を突き出す。

 エイダの防具を擦ることができた。

 エイダの表情に焦りが浮かぶ。

 

 距離を取って、わざとタタンと足踏みして見せる。

 

 エイダが変わった剣の構えをした。上段の逆さ構えみたいな。

 手首を返して上から気持ち右から左に振り下ろすかな?

 いや、たぶんもっと左右に振り幅が取れそう。

 右に入れば大きく右に。

 左に入れば左手一本で大きく左に切りつけてきそう。

  

 ではどうするか?

 左だな。

 左手一本持ちを狙うしかない。

 私は左にフェイントをかけた。

 エイダが溜めも何もなく左手だけで左側へ切り開いてくる。

 すごい距離まで刃先が届いている。

 私は中央正面に飛び込み、右足の足甲で、さらに左側へ剣を蹴り飛ばす。

 左手一本で剣を持っていたのでバランスを崩すエイダ。

 でも剣は手放さない。さすが。


 思わずニッと笑ってしまう。

 エイダの表情に恐怖が浮かんだ。

 確かに今、エイダの頭ががら空き。

 剣術にこだわらなければ、ここで蹴るのが確実だけど。

 エイダが右手で頭をかばおうとする。

 ほぼ戦意喪失だね。 


 私は右側をすり抜け、後ろに回り込むと右手の剣で頭を軽くポンとした。

 エイダが膝をついたので、後ろに飛び退いて距離を取る。


 降参でもどっちでもいいけど。

 様子を見ていると、木剣を左手から離した。

 降参でいいのかな?

 先生の声がかかるまでは気を抜かないぞ。

 先生がエイダに降参を確認し、「1年ネモの勝ち」と宣言した。


 木剣を左に重ねて持ち、エイダに近寄り「ありがとうございました」と右手を差し出す。

 ビクッとするエイダ。

 いや、私、そんなに怖くないよ。ニコッと笑う。


「強いね」

 エイダが手を握り返しながら言ってくれた。

「両手剣と戦うのは初めてだろうからエイダさんも戸惑ったでしょう。

 回数を重ねれば、私が負ける時も出てくると思います」

「試合の時と別人だね。

 さっきまでの無表情な顔、こちらを観察してるような目……。

 冷静な目をしてるのに笑われた時、本当に蹴られると思った……」

「あー、さすがに試合だから。

 本当の戦いならあの時、蹴るのが正解だと思ったけど」

「こわっ! 

 でも、楽しかった。

 また試合してくれる?」

「はい、また試合しましょう!」


 1年の選手の所に戻るとみんな大喜びで迎えてくれた。


「すげーよ、ネモ!」とティエルノは私の右手を握ってぶんぶん振って来る。

「ちょっとティエルノ、手痛い」

 いや、喜んでくれるのはうれしいけど、いきなりがばっと右の方から抱きつかれたからウォロかと思ったらエドワードだったのでびっくりした。

「練習役、嫌だったけど引き受けて良かったー」

「そんなに嫌だったのかい。

 でもおかげで勝てました、ありがとう!」

 ティエルノもエドワードももう離せや。 


 ウォロは左手にまとめていた持っていた木剣と頭部の防具を受け取ってくれ、控えの場所に置きに行ってくれていた。

 ほら、ウォロが戻ってくる前に離せ!!

 空いた左手をダリルに握られて「勝利、おめでとう!」と言われる。

「うん、ありがとう。

 そのみんな、まだ決勝戦もあるし、落ち着こうか! ……で、離してよ!

 ほら、ウォロが戻って来る!」


 3人が離してくれてほっとする。

 ウォロも落ち着いて……なわけないか。

 結局がばっと抱きしめられた。

 だから次、決勝戦だよね!!

「ウォロも頑張ってね!」

 そう言って背中に回した手でトントンする。


 最後の試合(決勝戦)1年 対 4年


 1年がここまで勝ち上がるのは珍しいので、全体的に1年生を応援してくれてる人が多いかな。

 まあ、こういう時はチャレンジャーな方が気が楽だったりするよね


 1番目はいつも通りエドワード。

 さっき5年の片刃の人に負けてしまった人が出てきた。

 たぶん長剣同士ならかなり強いはず。

 エドワードもかなり頑張って粘っている。

 何とか引き分けに持ち込めれば!!

 相手が焦って強く振り下ろしたため少しよろけた。

「エドワード行け!」

 思わず叫んでしまった。

 私自身が戦いに集中し出すと周りの応援の声があまり聞こえなくなるタイプなので(ちょっと自分でも戦闘狂っぽい危ないタイプだと思う)、敢えて試合中はあまり声かけしない。

 エドワードと目が合う。

 ごめん! 試合中は気を逸らさないで!

 心配したけど、そこからエドワードの猛攻が始まった。

 時間いっぱいまで攻めて、引き分けに持ち込んだ!

「やった! エドワード! よく頑張った!!」

 私はふらふらになりながら戻ってきたエドワードを迎えて座らせると、水の入ったコップを渡そうとした。

 握力が限界だったのだろう、剣もなかなか離せなかったし、コップもうまく持てない。

 手を添えて持つのを手伝った。

 ぐいぐい飲んで「ふー、きつかったー!!」と叫んでいる。

 汗がすごいや。

 私はタオルを頭にばさっとかけてごしごし拭いてやった。

「お疲れ様!」

 

 ティエルノの試合が始まった。

 ティエルノの相手はさっきの5年との試合で1番手だった強いと思った人だった。

 喰らいついて行くがやはり相手の方が強い。

 時間ギリギリまで粘ったが相手の優勢勝ちになってしまった。


 最後のウォロとアンドレアス第1王子との戦いで優勢勝ちなら、もう1戦やることになる。

 もし降参させて勝ちなら、優勝が決まる。

 

「優勝したいよね?」

 ウォロが聞いてきた。

「もちろん、ここまで来たら優勝したいでしょ! みんな頑張ってるし」

「わかった」

 

 ティエルノが戻って来て、悔し泣きをしている。

「時間いっぱいまでがんばってすごかったよ!」

 そう言ってタオルを頭からふんわりタオルをかけてあげた。

 コップもそっと渡してあげる。


 エドワードが「俺の時とずいぶん違うんじゃないか?!」と言った。

 いや、今のティエルノには優しくしてあげたいでしょう!!

 

 ウォロの試合が始まった。

 アンドレアス王子、ウォロより少し背が低いんだな。

 体格的にはほぼ互角ってとこかな。

 アンドレアス王子の剣術は隙が無さそうなので、冷静に切り結んでチャンスを狙うしかないかな。

 ウォロが不思議な構えをした。

 左手に剣を持って右側に構える左腕の前ががら空きに見えるけど、これは誘っているのかな?

 アンドレアス王子が少し戸惑った顔をしているが誘いに乗ることにしたよう。

 左の手首辺りを狙って打ち込んできた。

 ウォロは刀を左に傾けてはじいてしまった。

 すごい、手の力はウォロの方が強い。

 ウォロが剣をコンパクトに振る度、凄い風圧の音が聞こえる。

 大振りじゃないのにこんな音するの?!

 

 アンドレアス王子も必死にウォロの攻撃をしのいでいる。

 このペースなら優勢勝ちは取れそう。

 まだ気は抜けないけれど……。

 頑張れ!

  

 ウォロの相手の追い詰め方怖いな。無表情じゃん。

「ネモと同じだな」とティエルノが言ったのでびっくりする。

「えっ、私もあんな感じ?」

「うん、無表情で相手のことじっと見てる。あんな感じ」

 ひー、それは怖い、かもね……。

 でも、ニコニコしながら戦ってるのも、それはそれで怖いよね?


 アンドレアス王子をけっこう追い詰めてるけど、決定打がない感じ。

 向こうにしてみればこのまま引き分けか、優勢勝ちを取られて負けても、まだ本当の負けじゃないもんね。


 そろそろ時間か?

「ウォロ、決めてー!」

 両手を握り締めたまま、思わず叫んじゃった。

 ウォロに勝って欲しい! それしか頭になかった。


 ウォロの剣がアンドレアスの剣を強くはじいた。

 アンドレアスの剣が下に落ち、ウォロがその剣を拾わせまいとして前に出た。


 アンドレアスが後ろに下がり、ラインを越えてしまった。

「勝ちじゃね?!」

 ダリルが叫んだ!


 先生がそれを確認して「1年ウォロの勝ち!」と宣言した。

 会場中がどわーっと沸いた。

 

 ウォロとアンドレアス王子が礼をしたところへ、エドワードとティエルノとダリルがなだれ込んだ。

「よくやった!!」「やった! やった!」「すげー、ウォロ!!」

 3人に抱きつかれて、ちょっとびっくり顔のウォロ。

「いや、負ける気はしなかったけど……。

 ネモが決めろって言うから」

 あはは、ちゃんと聞こえてたんだね。


 私が試合場のラインの外から4人がわちゃわちゃして喜んでいるのを眺めていた。

 いやー、良かったね!

 本当に良かったよ。


 ウォロがしびれを切らして3人を押しのけ「ネモ!」と呼んだ。

 3人がちょっと横にどいてくれてる。


 私は走って行ってウォロに飛びついた。

読んで下さりありがとうございます。

今回はかなり長めの話になってしまったので、午後の投稿お休みします。

剣や体を使った戦いは動きを想像しながら、こう動けるか?と少し身体を動かして確認しつつ書くのがとっても楽しかったです!


これからもよろしくお願いします。

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