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305 最後の魔法対戦(中)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

あと少しですが、お付き合い頂けたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 昼食休憩があり、ダリルとトーマが食堂に走り予約していた昼食をテイクアウトして来てくれた。

「「ありがとう」」

 私とオードリーは受け取り、セレナも手伝ってくれ、みんなに手渡していく。

 

 ダーゼンと父様とレイモンドに手渡すと、父様に言われた。

「いきなり最初の試合が事実上の決勝戦になりそうだな」

 私は頷いたけれど考えながら答えた。

「ライトも強いよ。

 エドワードとウォロの戦いが熾烈なほど、ライトには有利かもしれない」

「運も重要なんだな」

「うん」

 オードリーが「それ、ダジャレ?」と言ってきて笑った。

 

 私が心配してピリピリしているのを感じて和まそうとしてくれたんだろう。

「ダジャレじゃないよ~!!」

 私も笑ってオードリーに返事した。


 カノンはマイベルとメラニーと並んで食べているし、ダンテはレイモンドと楽しそうに話している。

 ダリルとトーマが心配そうなサーシャを励まし、セレナが私を待っている。

 オードリーはダイゴの隣に座り、食堂のメニューをうれしそうに説明している。

 

 ティエルノはエリザベスがスタッフをしているので、そちらに行くと様子を見に行った。


 私はセレナの隣にすとんと腰を下ろし、大きく息をついた。

「ウォロのこと、心配?」

「うーん、心配はしていない。

 ただ、どっちが勝ってもおかしくないから、ドキドキしてる。

 エドワードの方が魔法練習の時間が取れてたことも知っているし……」

「そうだね……。

 ウォロは勉強の方が本当に忙しそうだったしね」

「うん……。

 話、聞いてくれてありがとね。

 ちょっと落ち着いた。

 温かいうちに食べよ!」


 食べ終わり、空になった容器を片付けていると、決勝が始まった。


 ウォロとエドワードが試合場に出てくる。

 楽しんで欲しいけど、最後だと思うと勝たせてあげたいというかなんというかいろいろな感情がぐるぐるする。


 エリザベスが少し緊張した様子で決勝戦のルールを説明。

 ウォロとエドワードの名前を呼んだ。


 ギーマ先生とユリアン先生がふたりが身につけた魔道具の確認をする。

 

 試合が始まった。

 ウォロはこれまでの試合、魔法陣をたくさん展開してなかったんだけど、これは正念場だと覚悟したみたいで、去年の決勝と同じように蜂の巣のような大量の魔法陣を背後に展開させた。

 土の防御壁も同時展開している。


 エドワードも上下2段階魔法陣と左右に大きな魔法陣を展開。

 左右の魔法陣には風を圧縮したエドワード得意の風魔法が飛び出し、防御壁と攻撃を兼ねた強い武器となる。

 2段の魔法陣からは竜巻が飛び出し、重なり合って大きなものが完成。

 

 ウォロの魔法陣から放たれた炎を巻き取り、炎竜巻になる。

 あ、どうして!

 エドワードがそれできるの知ってるのに!!


 ウォロが古代魔法を使い、大量の水を降らせる。


 あ、このためか!

 敢えて炎を含ませ水で相殺しやすいように……!!


 ウォロが炎で弓を作り始めた。

 それを見てエドワードも同じものを展開。


 向かい合ったふたりが同じ攻撃魔法を作り出そうとする様は、何かの儀式のように神々しく見えた。


 エドワードは上下2段の魔法陣から。

 ウォロはハチの巣のようなたくさんの魔法陣から打ち出す。

 ウォロの方が有利だけど、エドワードには堅い風の防御壁がある。

  

 ウォロの防御壁には火の矢が刺さり、爆発している。


 ウォロが攻撃は最大の防御と言わんばかりに大量の魔法陣から火の矢を打ち出し続ける。

 それと同時に古代魔法で地下の泥を吹き上げさせた。

 うまい!

 土と水を組み合わせた攻撃がこれならできる。


 泥がエドワードの風魔法に絡んでいく。

 エドワードが顔をしかめた。


 泥が火魔法によって乾燥して風魔法の動きが鈍くなる。


 エドワードがはっとして、一度風魔法を解除した。

 そして新たに入れ直す。

 

「エドワード、すげえ。

 展開のスピードが去年と段違いだ」

 トーマが呟いた。


 すごく努力したんだろう。


 エドワードが2段の魔法陣を使い、竜巻をたくさん作りだして防御に使いながらも、その合間に火の矢を打ち込んでいる。


 ウォロが火の矢で傷ついた土の防御壁に泥を被せ、補強と火の矢を相殺していく。


 お互い一歩も引かない攻撃合戦!!


 試合時間が迫り、エドワードが防御に使っていた堅い風魔法を攻撃にも使い始めた。

 ウォロはそれを待っていたみたい……。

 

 古代魔法の流星群がエドワードに降り注ぎ、防御壁を攻撃に転じたばかりだったため、戻すのが遅れた。


 エドワードにダメージが入る。

 エドワードはウォロを睨みつけ、風魔法と竜巻と火の矢とすべて同時にぶつけてきた。


 ウォロが自分の前に流星群を降らせ、向かって来る攻撃を相殺する。


 防御に流星群を使うなんて発想がすごい?!


 試合終了になり、エドワードが仰向けに倒れこんでゼーゼー息をしている。


 ウォロも、かなり体力と魔力を消耗した様子。

 膝に手をついて低い姿勢で肩で息をしている。


 ウォロの勝利!

 だけど、この歓声はウォロだけじゃなく、エドワードにも向けられている。

 エドワードの名前とウォロの名前と両方がコールされて拍手を贈られている……。


「ネモ、泣いてるの?!」

 セレナにびっくりされる。

「うん、うん、だって、最初、学校に来た時、ミーアからの留学生ってだけで……。

 それが、こんなにみんなから受け入れてもらって!!

 ウォロすごいよね。

 エドワードもすごかったけど、ウォロも本当にすごい!!」


 セレナが私の背中をさすってくれた。

「うん、うん。

 ホント、すごいよみんな。

 私もこの学年で、一緒に過ごすことができて、本当に良かったよ」

 セレナのやさしい声に頷く。


 次の試合が始まる。

 私は涙を拭いて笑顔になる。


「次はライトだね!

 しっかり観ないと!!」


 ライトとキョウが試合場に出てきて、同じく先生達からの魔道具確認を受けている。


 ライトにしてみればキョウはウォロと同じ属性。

 腕試しっていうところだろう。


 キョウが魔法陣を展開しようとしている間に、属性魔法のアイスバレットと竜巻を打ちこんで、ダメージを奪った。

 

 キョウの動きを読んで先制攻撃でダメージを入れたんだな。

 キョウが魔法陣をやめて防御壁に切り替えた。

 その隙を見逃さず、今度は流星群で真上から攻撃。

 キョウが苦し紛れにファイアボールを打ち出してきたが、アイスファイアを展開して相殺しつつ、アイスバレットをさらに打ち込んだ。


 自分は防御壁を展開せず、怒涛の攻撃でキョウを破ってしまった……。

 ライトもすごい……!!

 

 セレナを見ると、ライトをじっと見つめている。

 その表情は微笑んでいた。

「ライト楽しいのね」

 私はライトを見るが厳しい表情をしている。


「あれ、楽しいの?」


 セレナは頷いた。

「夢にまで見た決勝よ。

 ネイサンがまだいるけど、ライトはウォロに勝ちたくて頑張ってたから。

 それがもうすぐ叶うんだもの。

 楽しいに決まってる」


 おお、ライト、勝つ気満々なんですね。

 確かに、ライト、戦略的に相手の攻撃を読むの上手かったかな?

 ウォロもちょいちょいエドワードの攻撃読んだり、誘導したりはしてたけど……。


「ウォロも負けないよ」

 私はにこっと笑って言った。


 ネイサンとウォロが出て来た。

 あ、ライト、もしかしてウォロから休む時間を奪うために試合を短時間で終わらせたの?!

 

 うわ、すごいな。

 そこまで計算してたら……。


 ネイサンとウォロの試合。

 同じ属性同士なので、パワーのあるウォロが押し勝ったけれど。

 ネイサンもウォロもかなり疲れたと思う……。



 ネイサンは続けてライトと……。

 さすがにネイサンが休憩時間延長を申請した。


 えっ、本当に、かなりライトに有利じゃない?!


 ライトはキョウと同じような感じでネイサンも時間内で仕留めてしまった。


 ウォロ、休憩時間延長申請しなよ!

 心の中で思うが、わかっていた。

 

 ウォロは申請しない。

  

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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