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300 勉強漬けの日々

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 あー、野営実習楽しかったな。

 あの後、ベースキャンプでもう1泊だったので、みんなで魚を調理して食べた。

 美味しかったし、楽しかった。


「無欲の勝利だな!」とトーマに言われたんだけど、エドワードが笑った。


「ネモの場合、食欲の勝利だろ?!」


 むー、確かにおいしかったからだけど、みんなにご馳走したくて頑張ったんだよ。

 その気持ちのおかげで、知らないうちに魔法も跳ね返せてたのかもしれないし。

 何とでも言えばいいさ。


 私が言い返さないのでエドワードが気味悪そうな表情をした。

 サーシャが苦笑いする。

「エドワード、ネモに突っかからない」

「つっ、突っかかってるわけじゃなく、思ったことを言っただけだ」


 生徒側が勝利したので、5年生の野営実習は全員加点がもらえるということになった。

 最初に捕まっちゃっても、その後はベースキャンプで野営をしているわけだから単位がもらえないということはないんだけど。


 野営実習の後はもう勉強の毎日だった。


 私とセレナは標準的な授業と教職系の授業を選択した。

 私はそれに聖魔法クラスもある感じ。


 エドワードとティエルノは文官試験を目指す授業選択していた(全体的により難しい内容の授業が集められていて、一番難しい内容のコースになると思う)し、外交官としての知識を得たいと考えているウォロもほぼ同じだった。

 外国についての授業が文官より少し多いかなというくらい。

 トーマもウォロと同じ外交官コースを選択している。

 外交官にはならないが、商会の仕事に必要な知識だからということだ。

 確かに、外国のことは良く知っておかないとだよね。


 オードリーは標準的な授業に文学と芸術の専門的な授業を選択していた。

 ライトは魔法や魔道具については専門的な授業を選んで選択しているし、ダリルは剣術や魔法対戦の実習を多めに取り、騎士団を目指すことに決めたそう。

 サーシャは標準的な授業に専門的な歴史学を選択していた。

 エドワードも歴史学を選択しているからそこが一緒だね。

 ミカは医学校への進学を希望し、標準的な授業と指定された理系の科目選択をしていた。


 みんなで同じ授業に出るということが少なくなり……。

 私もウォロと同じ授業は聖魔法クラスと魔法と剣術くらいかな。


 忙しい合間を縫って、ラボで薬作りや魔石に浄化魔法を込めたり、アルテイシアやメラニー、それに新1年生の聖魔法使いサーフに薬作りを教えて、病院へ行ったり。

 病院に行く時はミカが一緒に来てくれた。


 ノアはすっかり魔法学校の猫として有名になり、魔法学校のマスコットキャラクターみたいな感じだ。

 学校内を歩いていれば、声を掛けられ、かわいがられて……。

 いいのか……。聖獣だよね?!

 そんな女の子達にデレデレして、お腹見せてゴロニャンしてて……。


 あっという間に剣術大会。

 ウォロとエドワードとティエルノとダリルが5年生代表で出場した。

 直前に練習を増やして、何とかぎりぎりだったけど優勝できた。

 有終の美が飾れて良かったね。


 ネイサン、すごく強くなってた。

 ライアンも去年とは違う。

 本人はそれを言うと嫌がるけど……。

 ま、剣術大会のエキシビションの試合で、キレて魔法をぶちかましたなんて、黒歴史よね。

 仲間と一緒に強くなるということがわかってくれたみたいで、うれしい。


 あっという間にテスト期間。

 5年生はみんな同じテストというわけじゃないので、順位は出なくなるが、選択している授業の難しさや優の数で先生方が評価しての全体順位が出る。


 それに、テストも今までの物と違い、課題やテーマが提示されそれについて小論文を書くみたいな内容の形式が増えた。

 試験の代わりにレポート提出という科目もある。


 さすがに連続で書き続けるのは手や肩が疲れる。頭も目もね。


 終業式を迎え、けっこう優を取れていてほっと安心した。

 特にミカは推薦が絡んでくるから、オール優をばっちり決めていた。

 うんうん、すごい!


 そんな感じだから、夏休みもそりゃ……勉強よね。


 エドワードが離宮でまた勉強合宿と誘ってくれたけど、トーマとミカは寮に残り基本は学校で勉強して、時々離宮に顔を出すと言う。

 確かに図書館もあるし、先生もいるからすぐに聞きに行けるしね。

 

 私はラボもあるし、ウォロも学校での勉強もいいなって言ってたんだけど、1寮のみんなは離宮に行くことにしたので、ふたりだけで寮には残れない。

 ノアはエドワードが離宮に連れてって預かってくれるというのでお願いした。

 私とウォロはミーアの方も気になるので2日間だけミーアに戻り、帰ったら離宮の勉強合宿に参加することにした。


 ウォロの転移魔法でミーアに到着し、さっそく警護局の様子を見に行く。


 浄化の治療魔道具は正規品が申請すれば無料で手に入ることが浸透してきて、粗悪な模造品やいわゆる正規品の横流しで高価な闇商品は売れなくなることで流通がなくなってきているとのこと。


 あの大きな建物の魔道具協会にも行って偵察したけど、治療の魔道具の偽物などはほとんどなかった。


 ハキームとまた会って話をした。

 聞いていたらハキームのお父さんは警護局と提携しているぐらい腕がいい魔道具職人なんだって。

 自分も警護局で修業したい……と言うハキームにウォロが話しかけた。


「じゃあ、これから警護局に一緒に行くか?」

 ハキームは迷ったが、頷き、店を閉めると私達と一緒に警護局に向かった。


 警護局で初めてハキームはウォロ=第3皇子と気がついたみたい。

「え?

 ウォロがモーリオン皇子なの?」

「……気がついていなかったのか?

 モーリオン以外にウォロって名前も聞いたことあると思ってたけど」

 確かに皇宮内で親しい間柄だったり、皇帝直属の部署の人からはモーリオン皇子じゃなくてウォロの名前の方で呼ばれることもあったよね。


 ハキームはウォロの紹介と父がすでに働いていることも考慮され、週に1回警護局で魔道具作りの修行を正式にさせてもらえることになった。


 ハキームがとても喜んでお礼を言う。


「あ、こちらこそ、ありがとう」

 なぜかウォロはそう返事をしてハキームが不思議そうな顔をしていた。


 空になった魔石への浄化魔法の入れ込みはカノンも頑張ってくれていたので、私とウォロも手伝って、一気に余裕ある数まで補充することができた。

 これでまたしばらくは大丈夫そう。


 その日の夜、ふたりきりになった時、私はウォロにハキームに言った言葉の真意を問うてみた。


「……うん、自分はあまり積極的に人と関わる方じゃなくて……。

 なんていうか、こうしたらいいんじゃないかと思っても言わなかったり……。

 今回は、自然と、なんでか、言葉が出て行動してた。

 それで感謝されたから、良かったな、うれしいなって。

 お礼を言われて、ありがとう、と思って」

「良かったね」

「うん、ネモの影響かな?」

「え?」

「……ネモは、こうした方がいいと思うとすぐに声かけたり動いたりしちゃうだろ?」

「あ、まあ、それで失敗しちゃうこともありますが……」

「でも、自分のことを思ってそうしてくれてるんだというのはちゃんと伝わってるじゃん。

 ネモが後悔しないようにと言うのはこういうことなのかなって、思った」

「シシシシ………」

「何、その笑い?」

「なんか改まって褒められると照れる」

「……褒めてるわけじゃないよ」

「えっ、そうなの?!」


「あちこち気にし過ぎるし、人と仲良くなり過ぎ……。

 でも、そういうネモも好きだよ」

「それは……ありがとう」

 私が照れてニヤッと笑って下を向くと、そのまま抱きしめられて、座っていたベッドの上にふたりで倒れこむ。


「ウォロはさあ……。

 頭の中でどんなこと考えてるの?」

「……何?」

「その、ウォロは……、私にしたいことできてる?」

「何? 急に?」

「うーん、私にしたいけど、言い出せないとかできないとかで頭の中で考えていることがあるのかなって……。

 別にないならいいけど……」

「……したいことあるけど。

 してもいいの?」

「……何?

 痛いこととか苦しいことは無理だけどね?!」


 ウォロが笑って私の手を取った。

「前にダーゼンにここ口づけされてたよな」

 あ、新年のお祝いの時か。


「うん、ウォロもいたよね」


 ウォロがダーゼンと同じように口づけてから「本当は……」と呟いてから、はむっと私の手を口に含んだ。


 ほんのり温かい不思議な感じ。

 私の様子を見ながら、舌を動かし舐めるようにしてから離した。

「嫌じゃない?」

「……ちゃんと洗ってからの方がいいんじゃない?」

「洗ってからなら、いいの?」

 うれしそうな顔をする。


 うん?

 今までは唇だけ押し当てるみたいに身体にも軽くキスされることがあったけど……。

 本当ははむはむしたかったのか?


 動物みたいな……。

 あ、人間も動物か。


「うん、痛くなきゃいいけど……」

「ネモはないの?

 そういうの?」

「うん……。

 ウォロとのことを思い出すことはあるけど、それ以上のことはわかんない……」

 私が恥ずかしそうに言うと、ウォロがすごくうれしそうな顔をしてから、優しく抱きしめてくれた。

「大切にする……」

「うん、大切にして下さい……」




   ◇ ◇ ◇




 ミーアから帰ると学校に一度戻り、ミカとトーマと勉強してからその日の夜、一緒に離宮に向かった。

 私達が戻ったから、お泊り会しようって話になったんだ。


 エリザベスとアルテイシアも来るそうで、その日は大きな客間を女子が使うことになった。

 サーシャ、セレナ、オードリー、私、エリザベス、アルテイシアで一晩中おしゃべりするんだってさ。

 女子会ってやつね!


 となるとエドワード達も対抗してきたのか、男子会ってのをやると。

 野営ごっこをするそう。

 そっちも楽しそうだな。

 勉強ばかりだから、外で身体を動かすのもいい気分転換になりそう。


 ま、今回は女子会ってことで。


 ノアは野営の方がおいしい物にありつけそうと思ったみたいでそっちに行った。

 本当においしい物を嗅ぎ分けるというか予想するというか、すごいな。

 王城で用意した食材にライトが調理したら、本当に美味しそう……。

読んで下さりありがとうございます。

さっそくの評価、ありがとうございます!

楽しんで頂けているんだ! とうれしくなりました。

このまま最後まで頑張りたいと思います!

これからもどうぞよろしくお願いします。

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