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298 最後の野営実習!!(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 焚火の所までくると、ふたりにも焼き魚を食べてもらう。

 

 ティエルノもウォロも森の中に隠れていたそう。

 話していたら、けっこう近くに隠れていたことがわかって驚いていた。


「ウォロは山頂の方だよね?」

 私が聞くと頷いて「でも、山頂まで行くと隠れるところがないから、途中の大きめな森で隠れるところを探して、倒木が重なっているところがあって、その下に穴掘って潜り込んで……」


 こちらも忍者?!

 しかも倒木って、なんか虫がいっぱいいそう……。


 ふと南西の方を見ると、灯りがふたつこちらに向かって来る。

「エドワードかな?」

 ティエルノに声を掛け見てもらう。

「わかんないけど、南の方角だから……」

 じっと目を凝らすティエルノ。


 ウォロが「エドワードと……セレナかな?」と言った。


「セレナ?」

 私は立ち上がると走り出す。

「危ないぞ、ネモ?」

 ウォロが慌てたように言って、追いかけてくる。

 

 後ろから捕まえられて、抱きしめられる。

「光らせるから大丈夫……」

 ウォロの顔を見ながら言いかけて、急に昨夜、ウォロに抱かれた時のことを思い出して恥ずかしくなっていたことを、思い出して、真っ赤になり、顔を背けた。


「ネモ?」

「……ごめん。

 なんでもなくて……。見ないで」


 そう言ったら、ぎゅっと胸に頭を抱きしめられた。

「これで見えないから」

 私は頷いたけど、たぶん、耳とか真っ赤になってるんだろうな……。


「どうしたの?」

「あ……、その……」

「……なにか、恥ずかしいことでも考えた?」

「!! なんで?!」

 私は思わずウォロを見上げた。

「……自分も時間ばっかりあるから、ネモのこと、そう特にネモを抱きたいなってことばっかり考えてたし。

 ネモもそうだったら、うれしい……けど。

 その顔……、本当にそうだったの?」

 私はどうしようもなくなって、頷いた。


「ふふっ、それはうれしい」

 ウォロがまたぎゅっと抱きしめてくる。


「おい、人の進行方向でいちゃつくんじゃねえ」


「いちゃついてるわけじゃ……」

 エドワードに言い返しかけて、気がつく。


 この状況ではいちゃついてる以外のなにものでもない。


「ごめん……」

 私が急に謝ったので、エドワードが気味の悪そうな顔をする。

「なんだ?

 ウォロの方が何かしてたんじゃないのか?」


「……というかネモの方が……」

 ウォロが言い始めたので、私は慌ててウォロの口を手で塞いだ。


「それがいちゃついてるって言うんだよ」

 エドワードがため息をついた。

「俺達はずっと歩いて疲れているんだよ」


 私はウォロから離れると、セレナの荷物を持ってあげた。


 焚火でみんなと合流し、焼き魚を勧めた。


 セレナは魚に齧りつくのを躊躇している。

 私はセレナを誘って、少し離れた所に行った。

「ここなら私しかいないから、気にせずどうぞ」


 ゆっくりセレナが食べている間、焚き木を少し拾った。

 

 ちょうど7匹で良かった。

 後から来る人がまだいたら、もうないけど……。


 エドワードは南へ下り、大きな木の上にいたそう。

 

 近くに他の生徒もいたそうで、そちらは見つかってしまったそう。


「お互いそんなにそばにいるの気がついてなかったんだ。

 彼が見つかったことで、この辺りにはもういないと判断されたんだろうな……」


 セレナは小さな洞窟を見つけて、そこに隠れていたそう。

 つまり、隠れていて、さらに運が良かった者が生き残っているということか……。


「この7人だけなのかしら?」

 セレナの言葉にエドワードが首を捻る。

「いや、もうひとつの集合場所、ベースキャンプの向こう側、北の方だけど……。

 ん? なんでウォロ、こっちに来てんだよ。

 お前、北の方に行っただろ?!」

「ネモが来るのはこっちだろうから、こっちに来たんだよ」

「なんだよ、それ。

 みんな必死にやってんのに、暢気のんきに待ち合わせだと?!」

「まあまあ」

 ティエルノがエドワードを止める。

「それより、これからのことだろ?

 まず、ミカの洞窟って近いのか?

 そこにセレナを隠そう」

「近いよ。

 ふたりくらい隠れられる広さがあるけど……」

「いや、最後までひとりでも隠れて逃げ切れば勝ちなんだから……、ひとりずつ散らばったほうがいいだろ。

 ネモは水球で水の中、な」

「うん、わかった」

 私は頷いた。


「後……、ネモ、湖の島にいたって言ってたよな」

「うん」

「あそこにも誰か隠れよう」

 ウォロが手を挙げた。

「なら、自分が行く。

 ネモ、水球に入れて連れてってくれ」


「水球の中で変なことするなよ!」とエドワード。

「しません!!」

 私は憮然として言った。

 

 トーマがそんな私達を面白そうに見ながら言った。

「俺もいた所に戻る。

 穴掘って隠れてるだけだけど、ここから近いから」


 エドワードがトーマを見て頷く。

「ティエルノとミカと俺は先生達をここから引き離す。

 引っかき回して追いかけさせよう。

 明日の夕方4時まで逃げ切ればこっちの勝ちなんだから……。

 今は12時か……。

 明日に備えて少し寝よう」


 トーマが「俺、隠れてる時に寝られるから、逃げ回る3人が寝ろよ」と言った。


「私も大丈夫だよ」

 トーマに話しかけると「ネモとウォロは場所が遠いから早めに移動するだろ」と返された。


「……そうか、5時前には島について隠れてないといけないか。

 早めに動くよ。

 でもまだいるから大丈夫。

 ミカとティエルノとエドワード、それにセレナもたくさん歩いてきたんでしょ?

 少し寝た方がいいよ」

「うん、ありがとう」

 セレナが毛布を出して横になった。


 トーマが火の番をしながら小さい声で私に言った。

「ユーリがネモに会いたがっていたよ」

「ユーリ、元気?」

 私も小さい声で聞いた。


「ああ、元気。

 家でさ、メイとマイの世話をして、護身術とか教えてる」

「へー」

「メイとマイもさ、ネモに会いたがってたよ。

 今度うちに来てよ」

「そうだね!

 ウォロ、行ってもいいよね!」

「あー、まあ……」

「ウォロも一緒に招待するからさ」

「当たり前だ! 

 ネモひとりでやれるか?! 

 前にネモを攫った奴らもいるんだろ?」

「あ……、まあね。

 そうそう、ウィリアムから手紙が来たよ。

 ホウエンって面白いところらしいな」


 都合が悪くなると話を変えるの、トーマ上手いな。


 3時半ごろ、私とウォロは湖に向かって出発することにした。

「エドワード達によろしく!」

「気をつけてな」

「トーマもね!」


 ウォロが炎を出して行く先を照らしてくれた。

「光を使うと、ネモが移動しているとばれるからさ」

「あ、そうか……。なるほどね」


 私は湖の岸までくると、大きめの水球を作り中に風を吹き込ませて空洞にするとウォロの手を掴んだ。

 ウォロが炎を止める。


「はい、入るよ」

「わ、変な感じだな……。

 常に風魔法をかけてるのか?!」

「あ、うん。

 下に向けて風を発動させてて……。

 空気を回して下に押しつけて、それによって水と反発し合って底になるように押さえてるっていうか」

「なるほど……」


 湖の中に入り、深く潜らせる。

「ここまで深くすれば微かな光ぐらいなら大丈夫と思うけど……」

 うっすらそれぞれの姿が確認できるくらい光らせる。


 水球の外側にもうひとつ水球を作り、それを転がして湖の底を進んで島に向かう。


「ネモと本当にふたりきりなんて久しぶりだ……」

 後ろから抱きしめられてすりすりされる。


「実習中です。

 それに急いでるから……」


 何とか4時には島に着いた。


「どこら辺に隠れる?」

「うーん、この低木の茂みの下らへんかな?」


 土魔法で低木の茂みの下を掘る。

 根っこの下が上手く掘れて、ゆったりと寝そべるくらいの横穴が作れた。


「入る前に何か食べとく?」

 私がそう言うとカバンから果物を取り出して齧り始めたので、私も自分のカバンから同じ果物を出して齧った。


「はい、種ちょうだい。

 別の場所に一緒に捨てておく」


 ウォロが毛布を敷きこむように使って横穴に入り込んだ。

「水は飲めそう?」

「うん、大丈夫。

 毛布被るから土かけてくれ」

 ウォロがうつ伏せになり毛布を被った。


 私は土をかけて毛布を隠し、葉っぱや枝を散らばらせておく。

 うん、いい感じにできた。


「じゃあ、行くね!」


 もう4時半!

 私は水球を作り、また湖の中へ。


 セレナもトーマもうまく隠れられた頃だろうか?


 5時になった。

 夕方4時までだから、11時間後だ!

読んで下さりありがとうございます。

さあ、先生方も本気出してきます!

これからもどうぞよろしくお願いします。

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