298 最後の野営実習!!(前)
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
さあ、5年の野営実習だ!
今年のルールが発表された。
先生5人が追いかけて来て、捕まったらそこで終了。
生徒側は先生の魔法に反応する魔道具兼時計を身に付けていて、それに先生の魔法が一定量反応すれば捕まったと判断される。
生徒は30名だからね。
3日間、ひとりでも逃げ切れば生徒の勝ち、だそう。
あと、ずっと追われているのは食事すら取れなくなるということで、夜の10時から朝の5時までは追われない時間となった。
でも微妙だなあ。まだ明るくなる前だよね。
暗い中で火の始末をして身を隠さないといけないわけだ。
2日目の夜10時までは個人戦だけど、3日目は生徒同士で協力してもいいとなった。
つまり2日目の夜まで逃げ切れば、そこからは他の生徒と合流してOK!
生き残ってないと楽しめないな、これは……。
先生5名体制って、そこまで人数が多かった年は今までになかったみたいで……。
カトレア先生に聞いたんだけど、今年は生徒同士で逃げたり戦ったりとなると普通に成績上位者が最後まで残りそうだし、寮対抗も同じくエドワードとウォロとライトを有する1寮がかなりというか絶対有利だし……となり、個人戦となったそう。
今回は先生方も作戦を練ってきているそうで……。
絶対、最初に1寮の生徒が狙われる気がする。
私だったら、そうするもん。
もちろん、探索魔法、転移魔法は使用禁止。
私はまた指輪やネックレスを外しての参加となる。
先生の方にはギーマ先生とカトレア先生もいて……。
カトレア先生がこういうのに出てくるのはとても珍しいらしい。
それだけ、学校側というか先生達の本気が伝わってくる。
先生達が本気なら、こちらも入念に作戦を立てねばなるまい。
でも、3日目にならないと共同戦線が張れないわけで、そこまでなんとしても逃げ切らなくてはならない。
逃げきれたら、解禁の時間に集まる場所を学年でこっそり2カ所決めた。
まあ、先生方もその直前の時間のパトロールは重点的にするだろうけどね。
「ネモは2カ所のうち、どこに行く?」
ウォロに聞かれたけど……。
「逃げてるからどこが近くなるか、見当がつかないけど……。
わかりやすいのは湖かな。
あそこなら森の中だし、隠れやすいかな?」
そんな話をしていたら、エドワードに言われた。
「集合場所のこと、寮以外では話すなよ。
それはそうと、ノアはどうするんだ?」
はっ!
そうだよ、カトレア先生も実習だ?!
私はあわてて、マイベルとメラニー、エリザベスとアルテイシアにラボの方でご飯とトイレの掃除をしてあげて欲しいと頼みに行った。
とうとう実習の日の朝。
4年の時と同じく、早めに出発した。
朝食と昼食の2食分のお弁当が渡され、他にも日持ちのする堅パンや果物が支給された。
お弁当は今日中に食べないと悪くなっちゃうし、うーん、これで3日間ですか?!
かなりきついよな……。
森の中で何か食べられそうな物あったっけ?
野草くらいかな……。
山のベースキャンプに到着。
私は朝食を少し残していた。
昼に残り食べて、昼食の弁当を夜に回そうと思って。
生徒が出発して2時間後に先生方が追跡を開始する。
「湖、だな」
ウォロが私の耳元で呟いた。
私は頷く。
今回は剣などの武器の携帯はなし。各自小さなナイフの携帯だけ許された。
みんな同時にスタート。
私は4年の時と同じ方向に進む。
少しでも土地の状態や地形を知っている方が有利だと思ったから。
1時間ほどで湖に着けた。
うーん、この先どうしよう。
とりあえず2日間は隠れてやり過ごすのが一番良さそうな気がする。
私は湖の中に島があるのを見て考えた。
あそこ良いんじゃない?
私は大きめの水球を作り、中に風を送り込んで中に空間を確保し入り込むと湖に入っていった。
ホウエンで逃げた時に使った技だけど、じっとしているだけじゃなく水球の回りにもうひとつ大きめの水球を覆うように作り、回転させてみた。
おお、これなら中の水球は回転しないで、水中移動もできるのだ。
20分ほどで島に到着した。
うん、小さいけれど林もあって、午後10時になったら上陸して焚火とかできそう。
とりあえず、焚き木を集めて低木の茂みの下に隠しておく。
先生が追いかけてくる15分前に、また水球を作り、湖の中に隠れた。
うーん、このまま10時間はきついけど……。
とりあえず、昼食食べよ。
水球の中にいると音も聞こえないし……、光を飛ばせればみんなの様子が見られるのにな……。
そんなことを考えながら、ちまちま昼食を食べてたけど、すぐに食べ終わった。
あー、暇だ!
ふと、転生の間のことを思い出した。
あそこでも何もすることがなくて、泣いて、寝ちゃったんだよな。
そうだ、寝ちゃおう!
私は風魔法で空気を少し入れ替えた。
少しずつやらないと泡がぶくぶくしてバレそうだし……。
よし、おやすみなさい。
目を閉じて、寝ようとしたけどそんな都合よくは寝られない。
私はウォロのことを考えた。
抱きしめてくれているのを想像してみる。
幸せな気持ちになる。
うん、早く無事に会えるようにしっかり休んでおかなくちゃ。
いつの間にか寝ていた。
目を覚ますと、かなり薄暗い。
夕方かな?
時計を見ると午後5時になるところだった。
あと5時間か。
でも、真っ暗な所で光や火を使うとばれちゃうし。
私は急いで夕食に残しておいた、昼の弁当を食べた。
さらに暗くなり、時計が午後7時過ぎたところで移動開始。
島の方にそろそろと寄ると水面ぎりぎりまで浮上して様子を窺う。
うん、島に灯りがある気配はない。
念のため、そのまま待機する。
水面ぎりぎりなので空気の入れ替えはやりやすかった。
うん、気配も動きもない。
大丈夫そうだ。
チカチカッと、湖の岸の方で火魔法の閃光が見えた。
わ、誰か逃げ回ってるのか?
誰だろう?
また炎が見えた。
わかんないな。
追っかけてる先生が風魔法使ってるのかな?
炎を使っている先生もいて3人の姿が確認できた。
魔法の感じからすると、ギーマ先生やカトレア先生じゃないみたい。
ユリウス先生とかかな?
そっか、先生達はチームで動いて生徒達をどんどん捕まえているんだろう。
こわーっ。
捕まってしまったみたいで、静かになる。
私はそっと島に上陸すると、茂みの影でじっと気配を窺った。
うん、大丈夫そう……、だけど焚火をするのは午後10時まで待った方が良さそう。
息を潜めて、待つ。
もういいかな?
木の陰でさらに手で隠しながら光魔法を使って時計を確認すると10時過ぎてた!!
光魔法で灯りを確保。
昼間隠しておいた焚き木を探し出して、ちょっと開けている場所で魔道具の……。
あ、私、火を起こせるんだった。
せっかくだやってみよう。
光を枝に押しつけて高速回転!!
火がついた。
すぐに組んでいた焚き木の下に差し入れた。
「おー!!」
自分でパチパチと拍手する。
小さめの水球を焚火に近づけ、カバンからカップを取りだし、水球をカップの中に入れた。
お湯を飲んで、ほっとする。
今のうちにこれから先のことを考える。
朝、4時前にここを撤収。
今、ここで焚火をしているからたぶん、チェックされてるだろう。
読んで下さりありがとうございます。
最後の野営実習です!
逃走中?
そういや息子の小学校の全校集会で『逃走中』をしたそうです。
いつもジャージな男の先生方がサングラスかけて追いかけて来たそうです。
「俺は逃げ切ったぜ!」と自慢していました。
楽しそうでいいね!
次は学校かくれんぼか?
これからもどうぞよろしくお願いします。




