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296 結果の続き

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 結局、ウォロはその場では成績を教えてくれなかった。

 なんだ、もしや、負けたのか?

 エドワードに?


 でも、それは今までにも、まあ筆記は負けたりもあったもんな。

 そんなに気にしなくていいのに……。


 こういうことを聞けるのは……、ライトだ!


 私はウォロとトーマが話し始めた時にライトとセレナの所に行き声を掛けた。


「ライト!

 試験の結果教えて?

 私、何位だった?」


 ライトとセレナが顔を見合わせる。


「ネモ、今回は残念だったね。

 ネモは6位だったかな?」

 ライトがセレナに確認するように目をやる。

 セレナが頷いた。

「ええ、今回はエドワードとウォロがふたり1位で。

 3位がライトとミカ。

 5位が私……。

 6位がネモとティエルノとサーシャ。

 9位がオードリーとトーマ……だったはず」

 ライトも頷く。

 そっか、6位か。

 ちょっと下がっちゃったな。


 トーマが9位ってすごくない?!

「トーマ、急浮上だね?!」

 私が言うとライトが苦笑いする。

「……あんまり本気出してなかったみたいだね、今まで」


 あ、目立たないようにしてたのかも?!


 エドワードとウォロ、また一緒だったんだ。

 待てよ?

 ウォロ魔法対戦、優勝してるよな。

 あ、でも、あれはノーカウントか?!

 転移魔法陣の発表とかもあったしね……。

 まあ、仕方ないよ。うん、もう触れないでおこう。

 

 王城の方の新年のパーティーが一段落したようで、ダーゼンとレイモンドとアルテイシアとお父様と兄様もこちらに来てくれた。

 マイベルとミーアの大使も王城の方に来ていて、レイモンド達と合流できたみたい。


 クレールとアイリーンとセリーナを、マリアが兄様に紹介している。

 

 お父様はダーゼンと楽しそうに話をしていた。

 私は駆け寄ってお父様の腕に抱きついた。

「エミリア!

 今回もなかなかの暴れっぷりだったようだね」

「暴れっぷりって何?

 ダーゼン、何を話したのかな?」

 そうだよ、ユーリにもウォロが嫉妬深いとか言ってたようだし。


 ダーゼンが笑った。


「お父様、クレールとアイリーンとセリーナのこと、よろしく頼みます。

 セリーナは3歳で母親のアイリーンと引き離されて……。

 なんだか、私に似ている気がして……」

「わかったよ。

 心に留めておこう」

「今回のことで、なんだかお母様のことを思い出すことが何回かありました。

 小さい頃から、お母様だったらどうするかって考えることがあったけれど……。

 今回は、私がしてること、考えてること、言ってることが、お母様っぽいと気がついて思うことがあって……。

 すごく、お母様を身近に感じた……。

 それがとてもうれしかったの……」


 お父様は優しく微笑んで私の頭を撫でてくれた。

「そうだな、エレオノーラに本当によく似てきたよ。

 私とエレオノーラの自慢の娘だ……」


 ウォロがやって来た。

「お父さん、ダーゼン、新年おめでとうございます」


「おめでとう、ウォロ。

 転移の魔法陣、大成功らしいな」

 お父様がウォロに話しかけた。

「ええ、魔法陣の箱とも相性がいいし、物流の方で組み合わせて使われ始めるようです。

 転移の方は、そのうち交通手段としても使われるかもしれません」


 お父様とウォロが話し始めたので、私は自然とダーゼンと話し始める。


「そういえば、公爵の頭の中の映像は消してくれたの?」

「ああ、消したよ」

 映像は消しても、公爵の記憶までは消せないからな……。


「まあ、こんなことがもう起きないようにと願うしかないね」

「ネモ、前にも言ったが……」

 私はダーゼンの口に手を当てて発言を遮った。


「大丈夫、わかってる。

 自分の頭の中でそういうことを考えたりしてしまう男の人の方が普通なんだよね。

 公爵もダーゼンの作った映像より、もっとひどいことを考えていたかもね。

 だから、もう気にしない」

 ダーゼンが口元の私の手を握ると微笑んだ。


「ネモにとって私は、どういう男なんだ?」

 どういうって……。


「うーん、ウォロ……と、お父様の中間みたいな?」

「……そうか、やはりウォロには勝てないか……」


 握った手に口づけされて、私は思わず真っ赤になった。

 

 ウォロがその様子に気がついて、慌てたように私とダーゼンを引き離した。

「何やってんだよ!

 ネモに触るな!」

「ウォロ、ごめん。

 私が先にダーゼンの顔に触って……」


 ウォロが怒った表情で私を見た。

「ネモは本当に油断しすぎ!!」

 



   ◇ ◇ ◇ 




 エドワードとサーシャの婚約が正式に発表され、とてもおめでたいムードの中4年生最後の3学期が始まった。

 

 エドワード達、生徒会のみんなは次の生徒会長にネイサンを選んだ。

 うん、エリザベスかネイサンだろうなとは思ってた。

 女性が会長だっていいのにね。

 エリザベスとアルテイシアが副会長をふたりでやるそう。


 1月後半になると5年生の雰囲気がかなりピリピリしてきた。

 そりゃそうだ、進路が決まるんだから。

 私達の来年の姿だと思うと、今までのようにただ頑張れ~という感じでは見られなかった。


 2月1日は魔法学校の入学テストの日。

 生徒は休みになるので、私はウォロとふたりで久しぶりにジュンとミクラとエレインを訪ねた。

 エレインはおしゃべりが上手な小さな女の子になっていた。


「ネーモ!」と伸ばして呼んでくるのがとってもかわいい。

 もう抱き締めて頬をすりすりしてもきゅもきゅしちゃう!!


 私はジュンから出産の時のことを聞いた。

「出産の順序とか、感じることとか、人それぞれですからねぇ……」

 そう言いながらも、背中と腰をさすってもらったのが癒されたことと飲み物をいつでもすぐに飲めるようにしてもらえたらうれしいかもと教えてくれた。


「私、陣痛の合間に食べておけば良かったなーってすごく思いました。

 また、すぐに痛くなるならと考えてしまって、食べられなかったんですよね。

 出産後、すごく空腹を感じて……。

 気がついたら2食ぐらい抜いてた状態だったわけで……。

 なにかすぐにつまめる、1口で食べられるようにした好きな物とかあるといいかもしれません……」


 へー、そうなんだ!

 お腹空いてたら、余計に疲れちゃうよね。

 私の時は、食いしん坊だから、食べたり飲んだりできるようにしてもらおう。



 休みの日は王城に行き、臨月を迎えたアリスのそばにいて、平日もいつでも駆け付けられうように準備だけはしていた。


 なんだか落ち着かない……。


 2月中旬の金曜日の夜、様子を聞きに王城にこっそり転移したエドワードが慌てて戻ってきた。


「ネモ、来てくれってさ」

 

 私は慌ててしまった。

「オードリー!

 ウォロのこと頼むね!」

 

 オードリーが変な顔をする。

「うん? ウォロ?」


「あ、間違えた、ノアだ!

 で、あれ、ノアは……、じゃない。

 ウォロは?」

「落ち着きなよ、ネモ!!」


 オードリーに背中をばんっと叩かれた。


「痛い……」

 でも落ち着いた。


「ありがと、オードリー。

 ノアのこと頼むね!」


 私は外出できる服に着替えてコートを着ると同じく準備をしたウォロと、事務棟に向かい、オーサム先生に王城へ行くことを伝えて外出届を書いた。

 それからカトレア先生とギーマ先生の部屋を訪ね、そこから転移させてもらうことにする。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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