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29 王都教会の庭で

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

転生物です。ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 噂は1年生の間には信じられていないのが救いだった。

 いつもの私の制服姿や剣の授業で男子に混じって平然としているまったく貴族令嬢らしからぬ姿。

 それに、ウォロといつも一緒にいることを1年生のみんなが見ていたから。


 1寮の仲もいいし、他の学年の目を気にしなければ、全然普通に過ごせた。


 ミーア帝国からの2年生の留学生達、5年生のマリア、3年生のハミルなどの他の学年の知り合いも増えてきているし、少しずつ自分らしく行けばいいと思う。

 

 放課後の聖魔法の授業で、カトレア先生にウォロの闇魔法で眠り込んでしまった時のことを詳しく聞かれた。

 4年男子達はウォロがかなり強めにかけていたため、薬を飲ませても目覚めず、急遽カトレア先生が光魔法で中和させやっと起こしたとのことだった。

 

 そしてウォロはギーマ先生に作成した魔道具の使い勝手を聞かれていた。


 この右手の指輪だよね。

 あの後もずっとつけている。

 ギーマ先生から実験中ということで装着許可をもらっているそうだ。

 ウォロもお揃いの指輪をしていることに花祭りの日に気が付いたけど、このGPS? 機能はどんななのかウォロは教えてくれない。

 私が知っていると実験にならないと言う。


 ウォロとギーマ先生の話にマリアが加わって、新しい魔道具制作の話が始まったみたい。


 カトレア先生が私に言った。

「あなたは光魔法の方が上手に使えそうね。

 何かチャレンジしてみたい魔法はある?」

「自分の身を守るのに……、今回のような時に周囲の物を壊せない、周りに人がいて普通魔法で攻撃できない……、そんな時に身を守れる魔法があれば知りたいです」

「なるほどね。光魔法での攻撃かぁ。

 相手の動きを止める、で良ければ、フラッシュと呼ばれる方法が使えるかも」

「フラッシュ?」

 カメラのばしゅっ! って光?

「一時的に強い光を浴びせて、影を止めるの。

 すると身体も一定時間動きの制約を受けるわ」

 影を止める? かげぬい?


「でも、強い光を出したら周りの人もびっくりしませんか?」

 自分も眩しそう。

「まあ、一緒に止まっちゃうかもね。

 でも、頭の中に直接送り込むことができたら?」

「ああ、対象者にだけ影が強く見える光をイメージさせるということですね?」

「そう! 最初は光を出してやってみて、それができるようになったら光魔法の思念化をしてみたら」

「思念化って魔道具作る時の? 

 頭に直接送り込んでも大丈夫なものなんですか?」

「攻撃としてはありよね! 面白そうな研究になりそうね!」

 ……うーん、自主練はしてみるけど。

 人相手に練習もできないし、いざとなっても使うのは躊躇しそうだな。


 電撃とか10万ボルトとかは出せないのか?

 頭にピカチュウが浮かんだ。


 そういえばこの世界、電気ないや。代わりに光の魔道具とかガス灯が照明器具的に使われてるし……。でも、冬に静電気感じたことがある。なくはないのか?

 光魔法でイメージしてみようかな……。もしかしたら使えるかも!


 5月の1回目の自炊は花祭りのため2週目にずれて、メニューはスープパスタっぽいのだった。

 ベーコン入り野菜スープを作りその中でパスタっぽい乾麵を茹でてと、鍋ひとつで作るメニュー。


 うーん、これじゃパンを添えても夕食には物足りないのでは?

 私は食堂からパンの追加と牛乳と卵と蜂蜜をもらってきて、追加でフレンチトーストを作ることにした。

 こちらでは何と言うんだろう?

 卵と牛乳と砂糖少々を混ぜ合わせ、パンをスライスして浸して冷蔵庫に入れた。

 パスタ茹でてる時、使ってないフライパンで焼けばいいや。


 甘さ控えめのフレンチトーストは好評だった。

 蜂蜜をかけるとケーキみたい! とオードリーとセレナも喜んでくれた。

 

 オーサム先生がまた様子を見に来て、味見して行った。


「ネモは家で家事をしていたのか?」

 帰り際にそう聞かれた。

「母の考えで5歳ぐらいから自分の身の回りのことはしていくようにと教えられていました。

 母が8歳の時に亡くなってからも、辺境伯爵領の執事やメイドが同じように指導してくれましたから。

 たぶん、貴族令嬢の中では家事できる方だと思います」

 うん、大学生の時、ひとり暮らしもしていたしね。

 フレンチトースト一時期めっちゃはまって、すごく作ってたよ。

 蜂蜜とメイプルシロップと両方楽しんでたよ。


「そうか、苦労したんだな……」

 家事については苦労ってもんでもなく……。

 ま、特に訂正しなくってもいいか!


 休みの日、1寮のみんなで王都に買い物に行こうと言われたが、私達はシーラを連れてミクラとジュンの家に行くつもりだったので、一緒の馬車に乗せてもらい途中で降ろしてもらうことにした


 みんなが出かける時はエドワードとティエルノの従者だけが付き添って、セレナのメイドとライトの従者は学校で待機しているそうだ。

 いつも、ふたりの従者は御者台に乗っているそう。


 今回は人数が多かったのでティエルノの家と王家が馬車を出してくれたんだけど、王家の馬車初めて乗ったよ!!

 エドワードとウォロと私とセレナが乗ったんだけど、いや、さすが王家の馬車だね。

 座席が高級な布張りでふかふかだよ。しかも車高が高い!

 私が珍しがってキョロキョロしているとエドワードに「気に入ったのならいつでも乗せてやる」と言われた。


 ミクラとジュンの家の前に降ろしてもらい、夕方、迎えに来ると言われた。


 そこから急いでクッキーを焼き(今回はジュンがクッキー種をある程度作ってくれていた)、冷ましている間にサンドイッチを作り、軽く昼食を食べてから、ミーア帝国が手配してくれた馬車で王都教会の孤児院に向かった。

 ダナンより規模が大きく、幼児部と児童部に分かれていた。

 院長は優しそうな年配のシスターだった。事前に連絡をしてあったこともあり、喜んで迎えてくれた。

 クッキーとサンドイッチを分け、それぞれに差し入れして、今日は幼児部の方のお手伝いをすることにした。

 

 はー、みんなかわいい~!!

 ウォロとミクラは身体を動かす遊びを、私とオードリーは絵本を読んであげたり話をしたり。

 ジュンとシーラはクッキーやサンドイッチを食べたい子にお茶を入れて、お皿に食べたいものを取ってあげたりとしていた。


 幼児部の一番大きな5歳の女の子ふたりが教会の庭を案内してくれると言って、シスターに許可をもらって散歩に行った。ウォロも一緒に付いてきた。

 私がふたりと手を繋いで歩き、後ろからウォロがゆっくり歩いてくる。


 庭園のベンチの所までくると女の子のひとりが肩から掛けた大きめのカバンから絵本を取り出した。

「あの、これ読んで欲しいの。

 あそこだと小さい子がいっぱいでそばで絵本を見られないから」

「いいよ。読もう!」

 私が座るとひとりがすかさず膝に乗って来て(さすがに5歳はけっこー重いけど、まあ大丈夫)、絵本を出した子が泣きそうな顔になる。

「ウォロも座って抱っこして! お兄ちゃんに抱っこしてもらうでもいいかな?」

 いいと頷いてくれたので、ウォロに隣に座ってもらいその子を抱っこしてもらう。

 

 4人で頭を寄せ合って私が絵本を読みだすと、ウォロの膝の上の女の子が身を乗り出してきて私の腕につかまってきた。

 かわいいな。この子にとっていい思い出になりますように。


 絵本を読み終わるとふたりは満足げな顔で「「ありがとう!」」と言ってくれた。

 幼児部では一番お姉ちゃんだから、我慢していることもあるんだろう。


「ウォロ? ネモ?」とセレナの声がして振りむく。

 庭園に1寮のみんながいてびっくりする。


「……びっくりした~!」

「それはこっちのセリフだよ!」

 ライトが驚いて私達4人を見ている。

「……隠し子?」

 ティエルノが言って、エドワードに頭を叩かれた。


「大丈夫、私達の友達だよ」

 私とセレナは女の子達と手を繋いで歩き、ウォロ達は後からついてきた。

 ウォロが説明してくれてるみたい。


 オードリーも突然現れた1寮のみんなにびっくりしてた。

「庭園でばったり出会っちゃって!」

「違うよ、ネモ。

 庭園を歩いていたら、ネモの声がするってエドワード様が言い出して……、見つけたんだよ」

 セレナの表情が微笑んでいるけれど、なにかちょっと無理しているような感じがした。

 一瞬、何と返事をしていいか戸惑っていたらオードリーが言ってくれた。

「ネモの声、大きいもんね! 

 絵本読む時、あなた女優ですか? って思うぐらいうまいから!」

「そうね! とても上手だった!」

 セレナも元気にオードリーに返事をしている。

 あ、私の気にしすぎ?

 

 シスターがエドワードに挨拶されて、とってもびっくりしてあわてていた。

 今回は友人を見かけてたまたま寄っただけだが、次回はぜひ一緒に来たいと話している。

 次回は? 

 一緒に?


 帰りはそのまま孤児院から直接学校へ帰ることになり、そこでミクラとジュンに今日のお礼とさよならを伝えた。


「ほら、ネモ」とエドワードが手を差し出してくるが、来るとき王家の馬車に乗ったから、今度はティエルノの家の馬車にも乗ってみたいな……。

「せっかくだからティエルノの家の馬車にも乗ってみたい……、かな」

「じゃあ、私、王家の馬車に乗ってみたい!」

 オードリー、ありがとう! 

 あなたの存在が今日は私の救いです!!


 エドワード、セレナ、オードリー、ライトが王家の馬車に乗ることになった。


 ティエルノが「王家の馬車の方が乗り心地いいのに……」とぶつぶつ言っている。

「乗り心地だけで選ぶわけじゃないでしょ?」

 私がそう言うと、はっとして「そうだな」と言った。


「うん、私がティエルノの家の馬車に乗りたかったんだもの。もっと喜んでよ!」

「それはうれしいんだけど……。

 エドワードがさ、落ち込んでそう」

「なんで?」

「……気が付いてないの?」

「あ、エドワードはよくわからないけど、セレナはちょっと元気がない?と感じる時があった。

 何かあった?」

 ティエルノが黙ってしまった。

 私は戸惑ってウォロを見た。

 ウォロも黙っている。

 

 なんだよ? いったい?

読んでいただきありがとうございます。

学校に入学して最初の大きなイベントが終わり、次の話が始まりました!

学校の外の話と次の行事に向けての話が進んで行きます。

どうぞよろしくお願いします!

ブックマークありがとうございます!

うれしいです! 頑張ります!

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