291 解けていく謎
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
リーリエ様もこのままでは、アリシア夫人のように心を病んでしまうのでは……。
「セリーナのことなんてっ!
なんで、みんなセリーナのことを……。
あの子が金髪だから?
私が金髪の子どもを産むことができないから?!
でも、私はあの人の妻で……、ああ!!」
早口でぶつぶつ呟くと、気持ちが落ち着いたようで、またいつもの微笑みを取り戻したが、私には以前のようにほんわかしているとはもう思えなかった。
「……わかったわ。
急に言われても困るわよね。
お義父様を通して、再度お願いすることにします。
今日はもういいわ、下がりなさい」
私は礼をして退室する。
クレール様ではなく、サボイ公爵を通すか……。
面倒なことになりそうだな……。
今日は風呂に入れる日なんだから、早く部屋に戻らなくちゃ!
風呂に入る時もメガネをしていたら、一緒に連れて行ってくれたユーリに変な顔をされた。
「すっごい目が悪くて、メガネ本当に手放せないの……」
「そうなんだ! 大変だね!」と納得はしてくれたけど……。
風呂から出て部屋着に着替えたけれど……。
この格好で屋敷の中を歩いていいのだろうか?
ユーリに聞いてみるとメイド長に呼ばれているなら、夜だし部屋着で大丈夫と言われる。
私はメイド長の部屋に招き入れられ、お茶を勧められた。
申し訳ないけれど、浄化魔法で確認する。
何も変化なし、大丈夫。
「リーリエ様にポーリン様付きになるように言われて断ったんですって?」
「はい……。
私は愛人の子だったんです。
正妻と姉には……、当時はかなりやられました。
だから、セリーナ様の気持ちがわかるというか、お守りしたくて………」
「そんな理由もあったのね……」
ドアがノックされた。私は一瞬びくっとした。
「大丈夫よ。私の味方だから」
入って来たのはビルさんだった。
クレール様かビルさんか、と思っていたので、そこまで驚かずに済んだ。
ビルさんもテーブルの席に着き、一緒にお茶を頂く。
「誰かに聞かれたら、メイド長を交えてセリーナ様の生活や勉強について相談したりしていたと言ったらいいよ」
「そうですね。
ありがとうございます」
「で……、君は国の依頼でアイリーン、ミネルヴァ、フィオナを探すのを手伝ってくれるんだって?」
「はい……。
私は養女になっている5人のいる場所を確認して保護することを頼まれています」
「……命じられてじゃないんだね?」
「はい、頼まれました。
私がまだ学生で、半分、他の国の民だからだと思いますが」
「半分?」
「はい、私、ミーア帝国の男性と結婚してますので」
「16歳で?!」
メイド長がびっくりしたように言った。
「はい、ミーアは16歳から結婚できるので」
「待てよ…。
16歳で魔法学校4年。
ミーアで結婚?!
もしかして、君、辺境伯爵令嬢のネモフィラか?!」
今度は私がびっくりした。
「何で私のこと?」
「弟の手紙で! 友達になったって」
「弟……?
結婚してから……」
ビルさんの笑顔と似ている笑顔……。
「あ? トーマ?!」
「そう、トーマは私の本当の弟だよ」
「えっ、じゃあ、ビルさんは闇社会の?!」
「……あ、今はまだ国とは連絡してないよな」
「はい、まだ繋げてないです。
それにトーマのことは陛下にも内緒にしてて、私の夫しか知りません。
それ以外の人に、私から言うつもりはありません」
「それにしても見事な変装だね」
「変装?」
またメイド長が驚く。
「トーマからの手紙には金髪で濃い青い瞳をしていると……」
「魔道具で変装してます」
「わかった。
本当に国王陛下に頼まれてきたんだな」
「もう王城と繋いでいいでしょうか?」
メイド長とビルさんが頷いた。
ふたりの手を握り、ノアにつけている光を通して呼びかけ、繋ぐ。
「ネモです。メイド長とビルさんと一緒です」
「ネモ! 良かった!」
「ウォロ! お疲れ様!
ミーアやホウエンに行ってたんでしょ!」
「ああ、疲れたよ。
ネモに早く会いたい」
「私も……」
「あーもう何やってんだよ!!」
エドワードの声がした。
「そっちの光に視覚共有するね」
エドワードにウォロ、陛下にティエルノにマリアにランス、ミカとトーマとダリル、ダーゼンもいた!
ノア、エドワードに抱かれてるけど、みんなから触れられて、すごく窮屈そうだな……。
「では、確認できたのでこちらに視覚合わせます」
「メイリールと、ビル? だったよな」と陛下の声。
「はじめてお目にかかります。
ウィリアムと申します。
ビルは愛称で……」
「なるほど、で、君は何故……」
「私とフィオナは恋人同士でした」
「それで、ずっと探しているのか……?」
また、エドワードの声だ。
なんかしみじみとしている。
気持ちを想像したのかな。
「はい、3年間ずっと。
この屋敷に潜入したのは1年ちょっと前になりますが……。
そこでメイド長とクレール様と目的が同じだと気がついて、一緒に探していますが、未だに見つからず……。
一体、どこに!!」
陛下が話を続ける。
「クレールはそこにいないようだが、彼は公爵家の嫡男なんだろう?
公爵の罪が明らかになり断罪されると、公爵家がどうなるかだが……それはいいのか?」
「……クレール様はアイリーンを探しています。
養女としてこちらにいらした時、お互いに思い合うようになり結婚の約束をしたそうです。
でも、引裂かれて……。
公爵家をどうしたいかは私にはわかりませんが……。
ただ、私達だけではもう進展が見込めず……」
「そっち行っていいか?」
急にウォロが言った。
「やはり会って話をしないとわかりにくい」
私は席を立って少し広い場所に移動した。
「いいよ」と私が言うと、魔法陣が床に光り、揺らめく景色の中からウォロとトーマとダーゼンが現れた。
「トーマも?! なんで?」
私はびっくりした。
「やっぱり兄さんに会いたくて、連れてきてもらった」
「いっ? いいの?!
トーマ、家のことは内緒に……」
「いいんだ。
兄さんとネモが一緒に事に当たるなら、俺も協力したいし」
ウィリアムとトーマが抱き合う。
ダーゼンは手紙を取り出しウィリアムに渡す。
「これをクレールに渡してくれ。
一度ゆっくり話がしたいと、私と陛下からのメッセージが書いてある。
私はサボイ公爵に近づいてネリーをここに送り込んだ張本人だから、外で会っても警戒されないだろう」
「お預かりします」
ウィリアムが手紙を押し頂くように受け取った。
ウォロは私のメガネを外すと「ネモ……」と微笑んだ。
私はにっこり笑って抱きついた。
「さてウォロ、帰るぞ」
ダーゼンの言葉に「えっ、もう?!」と言い返すウォロ。
「ほらほら」
トーマまでウォロの服の裾を引っ張る。
私はメガネを返してもらってかけた。
「ではまた!」
ダーゼンが言うと魔法陣が光り……。
帰りはダーゼンの転移魔法で帰ったんだ。
「本当に転移できるのね」
メイド長が感心したように言った。
「なので、マイ様、メイ様、セリーナ様はすぐ転移して逃げられます」
私は微笑んで言った。
「あなたが抱きついていた、黒髪の長身の若い人が、ご主人?」
メイド長が言った。
「はい、私の大切な大事な夫です」
読んで下さりありがとうございます。
今日はこれからがん検診。
朝食抜きでお腹空きました……。
午後投稿、少し遅くなるかもしれませんがする予定です。
これからもどうぞよろしくお願いします。




