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286 捜査の前に試験だよ!(前)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 ウォロが心配そうに私の手をぎゅっとつかんでいたが、私がやる気になっていることを知ると、渋々頷いた。


「でも、ひとつ条件がある。

 ネモ、転移魔法マスターしてくれ。

 自分でも逃げられるように」


 真剣な顔で言われて、私は頷いた。


 魔法陣の使い方はわかる。

 座標もウォロのやり方なら、安全なところを2,3カ所覚えておけば、何とかなるか……。


 エドワードが「俺にも教えてくれ、古代魔法でできるんだろ?」と言った。

「私もマスターしたい」とダーゼン。


「えっ……、何か変なことに使わないだろうな……」

 ウォロがふたりを試すような目で見る。


「お前みたいにネモがいる場所になんでもかんでも転移するわけじゃないからな!」

 エドワードがむっとしたように言った。


「そうか、ウォロはそういうことに転移魔法を使っているのか。

 それは変なことにならないのか?」

 ダーゼンが真面目な顔で言う。


「昨日だってネモがふ」

 言いかけたエドワードの胸倉を私が片手でつかみ、同時にティエルノが口を押える。


「昨日?」

 陛下が、ウォロと私を上からというか、こう見下すような視線で言葉を続けた。

「昨日、ウォロ、離宮に転移して来てたのか?」


 ウォロが観念したように「はい……」と言った。


「王城に不法侵入だな」

 陛下が面白そうに言った。


 ウォロが不服そうな表情をしてから言った。

「転移するための目標となるものが必要です。

 ネモと自分は光魔法を入れた魔石や聖石を使ってますが……。

 そういうものがなければ、転移はできません」


「つまり、そういうものが持ち込まれない限り、転移はされないと」

「自分の使っている術式なら。

 サンマチネスは違う術式の組み立て方で自由に転移できたみたいだけど……」

「なるほど……。

 カルタロフ伯爵、ネモを変装させたり、身分を新しく作るなどは任せる。

 ランス、マリアと今まで調べたことを精査して、ネモにどんなことを探索すればいいかと説明指示できるようにしておいてくれ。

 ウォロ、ネモとエドワードとダーゼンに転移魔法を……」

「それにはギーマ先生の助けが必要です」

「わかった、そう、手配しよう。

 ティエルノは……、ランスとマリアの補助につくことができるか?」

「はい、やらせていただきます」

 ティエルノが緊張しながら答えた。


 来週の土曜日、また、王城に集まることになる。

 それまでにできることをか……。

 って、試験の勉強は?


 マリアが私達を学校へ送って、そのまま、カトレア先生やギーマ先生に話をしてくれることにする。

 ランスも護衛でついて来てくれるとか。


 ダーゼンも来たがったんだけど、カルタロフ伯爵としてサボイ公爵に接触するわけで、マリアと一緒に王城以外で行動しない方がいいだろうということになり……。


「残念だが仕方がない。

 ネモを架空の男爵令嬢とするための工作を頑張るよ」

 ダーゼンが私の手を取って言った。


「……変装するの、ちょっと楽しみ」

 私が笑うとダーゼンが呟いた。

「どんな姿にさせようか……。

 考えるのが楽しみだ」


 学校に戻りカトレア先生の部屋を訪ね、マリアとランスがギーマ先生とカトレア先生に話をしてくれた。


「もう協力すること決めてきちゃったのね」

 ため息とともにカトレア先生が言ってギーマ先生と顔を見合わせた。

「まあ、協力するしかないわね」

「みんな、試験の方は大丈夫か?」


 ウォロとエドワードは「大丈夫です!」と言ったが、私とティエルノは苦笑いした。


「ネモとティエルノは今からしっかり準備するように」

 ギーマ先生に言い渡された。


「とりあえず1週間は自分達だけでは動けないから勉強だな……」

 ウォロの言葉にエドワードが頷く。

「早いけど、勉強会やろう」


 ……というわけで、そこから1週間の放課後は勉強強化週間となった。


 ウォロとミカとエドワードとライトが先生役でこれからやるところの予習までしっかり教えてくれた。


 ミカがトーマを連れて来ていて一緒に勉強したんだけど、トーマってけっこう物知りだった。


 エドワードやウォロと歴史のことを語っちゃうくらい歴史や地理が得意で、ミカ以外みんなびっくりした。

「科目の好き嫌いが激しいんだよ、トーマは。

 絶対ちゃんと勉強すれば全科目いいところ行くと思うんだけど」

 ミカが苦笑いする。


「すごいよ。トーマ!」

 私は感心して言った。

「いや……、歴史はそういう本が好きでよく読むから……」

 謙遜した感じで照れ笑いするトーマ。


「じゃあ、歴史と地理は大丈夫だから、これな!」

 ウォロに数学の教科書を見せられ、笑顔が凍りつく。

「ほら、ネモもやるぞ!」

「……あい」

 私はトーマと一緒にウォロの前でノートを開いた。


 そんな感じで月火水木金と放課後の勉強会を行い、これから学ぶ予定の単元までの試験勉強は一通りできた。

 後は隙間時間をうまく使っていくしかない。

 

 土曜日、午前の授業後にエドワードとティエルノは陛下から呼ばれていると王城に行く準備をしていると先週もそうだったから、サーシャが少しごねた。


「私も一緒に行ってはいけない?」

「いや、将来のために仕事をさせられているんだよ……」

 そうだよね。

 このままだと、サーシャも陛下の大切な人の仲間入りだもん。

 エドワードはすまなそうにサーシャとライトとセレナに頼んだ。

「すまない、生徒会の方頼む。孤児院も今日だよな」

 ライトが頷いた。

「大丈夫、生徒会の方は任せて。 

 孤児院の方はもう下の学年が中心に動いてるから!」


 私とウォロはカトレア先生、ギーマ先生と魔法研究所に行く予定になっていて、オードリーとミカとダリルにノアのことを頼んだ。


「わかったわ!

 ウォロ、発表頑張ってね!」

 ウォロの転移魔法陣についての発表と契約が研究所であるのだ。

 その後、王城に説明に行くことになっている。


 馬車の中でギーマ先生とウォロが発表や想定される質問にどう答えるかなど話あっていた。

 今回も魔法陣の箱と同じように魔法研究所に委託して権利を貸すみたいにするそうだ。 


 魔法研究所で偉い研究員と発表と会議に臨むウォロとギーマ先生を見送って、私とカトレア先生は研究所内の博物館みたいな所を見学することにした。


『魔道具の歴史』のコーナーに若き頃のサンマチネスの肖像画が掛けてあったんだけど。

 本物と全然似てない。

 まあサンマチネスが亡くなって何百年後とかに描かれてるんだろうからなー。

 ただ白い髪、赤い瞳っていうのは正しく伝わっているわけで、それはマッちゃんに救われた人が多かったということなんだろう。


 カトレア先生が「ウォロとはどう?」と聞いてきた。

「ケンカとかしてない?」

「ケンカというか、ちょっと言い合いぐらいはしますけど……。

 すぐ解決してるかな」

「仲良くしているなら良かったわ。

 結婚すると束縛が強くなる男性もいるけれど……。

 ウォロは最初からそうだったもんね」


 カトレア先生……。

 それは、褒めてんのか、けなしてんのか?!


 私は曖昧な感じに微笑んだ。


 しばらくするとウォロが出てきた!

「あー終わった!」と腕を上に伸ばして大きな声で叫んでる。


 ギーマ先生も魔法研究所の人達と談笑しながら出てきて、こちらに気が付くと周囲に挨拶してウォロと一緒にこちらに来た。


「お待たせ、無事に終わったよ」

 ウォロがにっこり笑って言った。


 馬車に乗るとギーマ先生が発表はうまくいったこと、こちらが出した条件で契約ができたことなど教えてくれた。

「まず物流倉庫などで試してみるそうだ」


「ウォロお疲れ様!

 うまくいって良かったね、おめでとう!」

「ありがとう。

 思ってたより早く終わって良かったよ」


「そういえば……、ミーアで最近使われている治療の魔道具。

 ネモのアイデアなのか?」

 ギーマ先生に聞かれて、私はウォロを見た。

 ウォロが代わりに答えてくれる。

「はい、ネモのアイデアでミーアにいる時に作りました。

 ミーアで治療が必要な人がたくさんいて、ネモがアイデアを出し、自分が試作し、ミーアで魔道具を管理管轄している警護職の部署に必要ならどんどん作成するように伝えて残してきました」


「何か新しい物を思いついたら、ぜひ王国の研究所にと言われたよ」

 ギーマ先生の言葉にウォロが反論する。


「ネモは以前にもリハビリの助けになる筋肉に刺激を与えるとか、心臓を正しく動かすための刺激を調整するとかクラウス先生と合同で治療のための魔道具を魔法研究所には出しているよ。

 それに、治療のための物だからとアイデア料とか使用料とか取っていない」

 うん、小さな病院でも使えたらと思ったんだけど、王都の国立の病院では使ってくれてるみたいだけど、他の病院には広まっていない……。

 やはり使いこなすのが難しいんだと思う。

 調整も必要だしね……。

 前世の世界のAEDみたいに普及するといいんだけど……。 

読んで下さりありがとうございます。

ブックマーク、いいね、いつもありがとうございます。

 

楽しんでもらえているのかな?

そうだとうれしいです。

大変長い話になってしまっていますが、ちゃんと終わりに向かって進んでいますので、これからもどうぞよろしくお願いします!

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