282 魔法対戦の決勝戦の続き(前)
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
魔法対戦大会の次の次の週末。
生徒会が学校と掛け合って、正規の成績には残さないことを条件に決勝の続きをすることになった。
最初、決勝に残ったのが4年と5年だけだったのでその2学年で授業時間を調整して続きをしようという話になったのだが、他の学年がそれを聞いて『観たい!』となった。
そのため生徒会が動き、土曜の午前を学校内のイベントとすることに先生方も協力してくれることになった。
魔法対戦大会の日、なぜ続行不可となったのか学校から生徒達に説明はなかったが、学校に観覧に来た陛下にトラブルが起きたことを同日の警備局の動きやニュースから耳聡い生徒は予想していて、何となく小さな噂になっている。
でも、相手が陛下だからね。
そこまでおおっぴらじゃなく、エドワードに何か言う人もいなかった。
いつものようにくじを引いて、Aウォロ、Bミカ、Cエドワード、Dレイモンド、Eハイディと決まった。
ウォロ VS ミカ かあ……。
私達は生徒会の役員&お手伝いということで、試合会場内で立ち見で応援。
ウォロを応援しながらもミカがピンチになると叫んでしまい……。
「ネモ! うるさいよ!」
オードリーに怒られた。
だってウォロの魔法陣の攻撃が恐ろし過ぎて……。
去年とは真逆な戦法。
小さめの魔法陣がウォロの背後に、なんていうか隙間なく並べられたように(蜂の巣を想像させる密集具合い)展開していき、さらにミカの動きに追随して動く魔法陣すら登場した……。
強力なファイアとストーンバレットが次々と繰り出される。
ミカも防御壁を工夫したり重ねたりして頑張っていたが防戦一方になり……。
試合時間内でミカが負けた。
「わー、ウォロ、すげーわ」
私の隣にいたトーマが呆れたように言った。
ライトもちょっと引いたような表情をしている。
ミカはさばさばした表情で戻ってきた。
「あー、ほとんど攻撃させてもらえなかったよ」
「お疲れ様……」
私は声を掛けたけど……。
私達の表情を見てミカが笑った。
「何? なんでこんな空気なの?」
「……よく耐えたよ。頑張った!!」とダリル。
「僕の時よりすごい攻撃だった。
ウォロはまだあんな攻撃を隠していたんだな。
ミカが羨ましい。
僕との試合の時は、決勝が控えていたこともあるだろうけど、ここまで本気を出してくれなかった、から……」
ライトの言葉にミカがふっと笑った。
満足気な笑顔だった。
次はエドワード VS レイモンド
オードリーとダリルが「係に行ってくる!」と試合場に出て行き、セレナとサーシャが戻ってきた。
サーシャが私に「ウォロ、勝ち抜きおめでとう!」と言ってくれ、ミカには「残念だったね」と言った。
「まあね。ここまで残れて、上出来!」
ミカが笑って答えた。
エドワード(火風)とレイモンド(火水)。
うーん、相性だけで言うなら水持ちのレイモンドがほんのちょっと有利かな?
でも、エドワードは古代魔法の水技を持っている。
あれから1年、違う技も取得しているかも。
レイモンドは探り探りになるか……。
いや、自分の力に自信があれば、一気に来るかもしれない。
レイモンドはエドワードの風の攻撃を封じたいだろうな。
あれはすごい力だから。
風というより、空気を圧縮して固めるみたいな……。
あれには水の防御壁でも防ぐのが大変だと思う。
試合が始まろうとする時、サーシャが「エドワード!!」と叫んだ。
2-1寮の方でもマイベルが「レイモンド!!」と叫んでいる。
マイベルが大声を上げるなんて珍しい。
エドワードもレイモンドも愛する人に笑顔を向けて頷いている。
なんか姫と騎士みたいだわ……。
なんかロマンチックさを感じる。
エドワードは竜巻防御壁、レイモンドは厚めの水の防御壁を張った。
そして、お互いに魔法陣の展開を始める。
レイモンドはあの時間差魔方陣を3つ重ねている。
増えてるじゃん!
そして周囲にウォロほどではないが大量の魔法陣を展開した。15個くらいかな?
前回は時間差を把握できていないという弱点があったが、1年でそれはきっとクリアしてきているだろう。
だから、またこの時間差魔方陣を展開したんだろうし。
エドワードも上下2段の魔法陣を展開。
そして上の段の魔法陣が大きい!
増やすだけでなく、威力増大も考えているんだろう。
たぶん、あれに風魔法の圧縮された空気のような硬い魔法が入れられて打ち出されたら……。
でも、難しいな。
強力で大きすぎる魔法は時としてその場で他の攻撃を発動する邪魔になることがある。
ほら、土の防御壁がかなり丈夫でも視界を確保しにくいとかね。
レイモンドがファイアを手前の魔法陣に入れると、進んで行き3つの魔法陣の中を進んで行く。
すぐに後ろの魔法陣全部からファイアが放たれた。
あ、全部の魔法陣から攻撃が出せるようになったんだ。
前の魔法陣と根本的に考え方が違うな……。
すぐ2番目のファイアが放出される。
エドワードは小さな竜巻をたくさん作り、魔法陣を通してたくさんに増やすと、ファイアを巻き取りつつ、レイモンドの防御壁にぶつけていく。
レイモンドの水の防御壁は厚めだが、半分ほど相殺され薄くなってきている。
対してエドワードは竜巻防御壁がそのまま残っている。
エドワードがすぐにファイアを魔法陣に入れ、さらに防御壁を相殺に掛かる。
レイモンドは水球を魔法陣に入れ2段階に分けて打ってくる。
あれ、最初のファイアの3回目が出てきていない。
うん?
私は3番目の魔法陣の横に書き足しのような棒があるのを見つけた。
小さな棘が突き出したみたいに見える。
そこにレイモンドが触り、何もなくなるとファイアと水球が立て続けに放出された!
なるほど、あの書込みを操作することで、時間差を調整してるのか……。
うーん、そこまで考えながら攻撃するのは私には無理だな。
できないわ……。
すごいなレイモンド。
エドワードは竜巻を展開し、飛んできたファイアと水球をそれぞれの竜巻で巻き取り、相殺または相手の魔法を入れ込んだ竜巻にすることに成功している。
「あれって、ネモが良くやる戦法だな」
ライトがぼそっと言った。
「うん、相手の魔法を利用するやり方だね」
私は頷いた。
巻き取りながらファイアを魔法陣に入れていたエドワード。
レイモンドがすぐに水球を魔法陣で増やし迎え打つ。
お互いに攻撃をしのぎ合っている状態だ。
どちらが先に均衡を崩すか……。
レイモンドがさらに魔法陣を展開した。
早い!!
展開しつつ第3の魔法陣の水球攻撃を角度をつけて放出した。
竜巻の下の方をかすめて水球がエドワードの方に向かう。
展開されてる魔方陣に注意を逸らされていたエドワードは慌てて下段の魔法陣にあの硬い風魔法を発動させ入れ込んだ。
魔法陣からこん棒のような(硬いのにしなるんだけどね)風魔法が飛び出て水球を薙ぎ払っていく。
そのまま、魔法陣から伸びている状態で防御壁として使うようだ……。
えっと、そうすると使用中の魔法陣は使えない!
ああ、大丈夫かな?!
レイモンドが魔法陣にファイアを入れて、魔法陣で増やして攻撃を緩めず続けている。
右手を上に突き出し何かぶつぶつ言っている。
古代魔法の発動?!
エドワードがはっとするが、竜巻の防御壁、と空気の棒? の防御壁があるので、守りを固めながら、水と火を巻き取った竜巻を攻撃としてこちらに放ってきた。
レイモンドの水の防御壁がかなり相殺されていく。
その時、レイモンドの前に地面の中から氷の防御壁が出現した。
これは古代魔法の防御壁か?!
「地下の水分を利用したのか?!」
ライトが叫んだ。
へー、古代魔法と属性魔法両方使ってるのか?!
この防御壁は考えたな!
レイモンドは今度は左手を掲げるとまた何か呟き始める。
エドワードが炎を弓矢のように変形させ、火矢をつがえて、魔法陣に打ち込んだ。
後ろの大きな魔法陣から大きな火矢が打ち出される。
あ、この攻撃はマッちゃんみたい。
火矢は氷の防御壁に刺さると他の竜巻の攻撃と相まって、氷の防御壁を相殺した。
このままエドワードが有利……と思ったとたん、エドワードの頭上に、あれはウォロの流星群!!
ノアが私の足元に走ってきて、肩まで駆け上がってきた。
「わっ!」
ノアを見ると緑の目をまん丸く見開いてエドワードのことを見つめている。
エドワードの前方には空気の塊と竜巻防御壁があるが、頭上はなにもない!!
慌てて竜巻を自分の頭上に動かそうとするが間に合わず、大きな魔法陣を動かし、身を守った。
魔法陣は消えた……。
空気を圧縮した風魔法に、残りの魔法陣は固定で使ってしまっている。
これを消すのは時間がかかるだろう。
しかも防御なのだから、消すのは……。
エドワードが大きな火球を作り放出した。
ああ、、魔法陣があれば、増やせるのに!
作り続けて攻撃するしかない!
レイモンドが冷静に魔法陣の棘を消して溜めていた魔法を自動的に打ち出していく。
その合間に、再度左手を上げ、もう一度流星群!
竜巻を移動させるが全部は弾くことができない。
勝負あった……。
ああ、エドワードの方が優勢に見えたのに……。
あー、うーん。
読んで下さりありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。




