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278 光魔法と転移魔法

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 学校に向けて飛ばしていた光がやっと到着したようだ。

 食堂に入ったが、いつもとそこまで変わらない感じだ……。

 いつもなら、もうちょっとお祭りの後みたいな感じで来てくれた家族と生徒がお茶を飲んでいたりするんだけど。

 もしかして対戦大会自体が中止になっちゃったのか?


 私は胸が痛んだ。

 みんな、あんなに準備していたのに……。


 2階の客間に向かうと、マリア、カトレア先生、ギーマ先生、ダーゼン、ランス、レイモンドもいた。

 王国の警備局の人達が忙しく出入りし、何やら話している。

 陛下はさすがに王城に戻ったのだろう。


 あれ、ウォロは?

 ここにひとつ光を残し、寮の方へ飛んでいた光に意識を切り替えた。


 寮に到着するとウォロが自分の部屋で私の指輪とネックレスと、髪入りの飾り紐を見つめながらひとりで考え込んで座っているのが見えた。

 

 リビングには寮のみんなにいつものミカ、ダリル、サーシャ。

 ダイゴとダンテとカノンもいた。

 ノアは?!

 カノンが抱っこしてる!!


『ノア!! 視覚共有を!!』

 私は光を通してノアに呼びかけた。


 ノアを抱いていたカノンが弾かれたように「ネモ!!」と叫んだ。


 私は私の前に配置している光からの視覚に切り替えた。


『カノン、こんなでごめん。

 一応無事だから』


「ネモ、なんてこと!!」

 

 ウォロが部屋から飛び出してきてノアに触れた。

『ウォロ、ごめん』

「どこにいるんだ?! それにその姿は?!」


 ノアにたくさんの手が伸びて、オードリーやエドワードやミカが私を心配する声が次々に流れて来た。

 みんな心配してくれてる……。


『えっと、場所はここ』

 通りに配置した光に視覚を切り替え、お店の正面を見せる。

 上空の光に切り替え『王城はあっちだから……』方角を意識して見せると「王都の東の方だな!」とエドワードが言った。


「ネモ、部屋にひとりか?」

 ウォロが聞いてきた。

『うん。向かいの部屋に見張りがふたりいる。

 だから、声を出さないようにしている』


「わかった迎えに行く」

 えっ?


「ウォロ、待て!!」

 エドワードが必死に止めている声が聞こえた。

「警備局に知らせて一緒に動いた方がいい!」


「手足を拘束されて、目隠しまでされてるネモを放っておけと言うのか!!」

「落ち着けよ。

 店にたどり着けたとしても、ネモの所に行くまでにネモに危害を加えられる可能性が高い!」

『ウォロ!

 手枷の方が魔道具で属性魔法が使えない。

 それにこれ見て!

 闇社会の魔道具じゃないかと』

 私は光を3階の工房に切り替え、忙しそうに動き回る職人達を見せた。


「ウォロ、ギーマ先生の所に行こう!」

 ミカが言った。


「嫌だ!

 時間が惜しい!」

 ウォロが私の髪入りの飾り紐を握り締めている。


 私は髪がウォロに撫でられているような感覚がした。

『ウォロ、飾り紐と私、繋がってるみたい。

 ウォロの手の温もりが伝わってきたよ。

 安心した。

 私は大丈夫だから、ギーマ先生やマリアの所へノアと一緒に行って!』

「ネモ、ネモの姿だけずっと見せててくれ。

 移動中何か起きたら怖い」

『わかった』


 ウォロがノアを抱き、エドワードとミカと一緒にラボに転移し、そこから食堂に向かったのがわかった。


 エドワードが食堂の客間に入るなり大声で叫ぶ。

「ネモの居場所がわかった!

 王都の東の方。『ミレニアム』という名前の酒場の建物の中だ!」


 ギーマ先生と警備局の人が地図で確認する。

「闇社会の魔道具の拠点ではとネモが言っている」

「ノアか?」

 ウォロの腕の中のノアに気が付いたギーマ先生が近づいてきてノアに触れた。

 カトレア先生、マリアやランスやダーゼンも駆け寄ってくる。


『見て!!』

 通りに面した酒場の店構え、3階の魔道具の部屋、それから2階の私がいる部屋と私の姿と言葉を添えながら切り替えて見せた。


 私の姿に切り替えた時、カトレア先生とマリアが小さく悲鳴を上げたのがわかった。


「拘束されているのか?」

 ギーマ先生が唸るように言う。

『手の方が魔道具みたいで属性魔法が封じられてる。

 足は木製なんだけど、頭は黒い袋みたいなの被せられてて……。

 横になりたいけど横になるのが怖い……。

 それにのどが渇いた……』

 ウォロには言えなかった弱気な言葉がギーマ先生にはなぜか言えた。


「何もされていないんだな?」

「後ろから首元を叩かれて気絶したみたい。

 首の右側がまだ痛いけど……。

 それだけだと思う。

 全身魔法武器女って言われて、怖がられてるみたい……』

 

 私の言葉にエドワードとランスとミカとギーマ先生が吹き出した。


 私はうれしくなった。

 いいね。

 明るい方が、いい。


 ウォロがギーマ先生に言った。

「ネモのところへ転移していいか?」

「……ネックレスは学校内で見つかってるんだろ?」

「これがある」

 飾り紐を手に持っている。

 私の髪入りの方。


「考えてたんだ。

 このネモの髪と同じ髪を座標として念じれば、ネモのところに転移できると思う」

「待て待て、できると思うで失敗したら……?!」

「たぶん大丈夫。

 ネモの髪と繋がっているのがわかるから。 

 さっきネモもそれを感じたそうだし」

 ウォロが真剣にギーマ先生に訴える。


「……わかった。

 じゃあまず、この酒場へ向かい、踏み込む直前にウォロにネモのところへ転移してもらい、ネモが人質に取られたり、危害を加えられるのを防ぐことにしよう。

 転移するにしても近い方が安心だし、何かあってもフォローできるからな」


 その時、ティエルノとダリルがエドワードやウォロやミカの長剣や刀を持って来てくれた。

 自分達の長剣も持っている。


 エドワードが「俺達も連れてってくれ!」と言った。

 ギーマ先生が困ってマリアを見る。


 マリアは頷いて「この5人なら王城の騎士とほとんど遜色ないと思います」と言ってくれた。


 ダーゼンが「私と息子も行くよ。長剣を貸してくれるか?」と言った。


 ギーマ先生が頷いた。

「わかった、では一緒に行こう。

 学生は必ず複数で行動すること。ウォロ、お前もだぞ!」

 

 ギーマ先生の言葉を聞いてウォロがノアを見て、床に降ろそうとする。

「ナーオ!!」

 ノアは大声で不服気に鳴くと、ウォロの肩に駆け上がった。


「ノア、一緒に来てくれるのか?」

「ニア」


 5人はギーマ先生と一緒に馬車で東の方に進み、酒場の少し前の道で降りる。


 警備局の局員達が周辺に集まってきているのが見えた。

 これ、酒場の方で気が付かないといいんだけど……。


「あの酒場の建物の2階のどこかだな」

 ギーマ先生の言葉にウォロが頷く。

「俺も一緒に行くよ」とミカが言った。


 馬車の中で確認した計画は、ウォロが私のいる部屋に転移できたのを確認したら、ギーマ先生と警備局が酒場や魔道具の部屋めがけて突入することになっている。


 私はウォロが無事にこちらに転移できるように、飾り紐を思い浮かべ、髪を編みこんだ時の気持ちを思い出していた。


 ノアはウォロ達が無事に私と合流できた確認のためエドワードの腕の中に移った。

 エドワードが「ネモの姿が見えます」と頷く。


 ウォロとミカが道の奥の警備局員達の影で転移魔法を発動した。

 私がいる部屋の床に光る魔法陣が出現し、ふたりが無事現れた。


 エドワードがギーマ先生に「無事合流」と告げた。


 ウォロは大急ぎで私の頭から袋を外し、それから両手の魔道具に光魔法を流してショートさせて外してくれた。


 足の一枚板の木製の足枷の方が本当に厄介。

 焼き切るには分厚いし、叩き割るのは私の足にぶつかるからできないし……。

 私は水のカッターを思い出して、指の一点から水を圧縮して噴射するというのをやってみた。


 うまくいったけど、それでも時間が掛かる。

 とりあえず真ん中を切り離し、動きにくいけど何とか移動できるようにした。

 ウォロとミカが私を部屋の奥に連れて行ってくれ、そこでさらに足枷を外す作業をすることにする。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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