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276 得たものほど失うのが怖くなる

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。


 コーディは途中リタイアということになった。

 ケイオス、ミカ、私、トーマ、ウォロは実習を最後まで参加したと認められた。

 ルール違反はしたが人命救助のために動いた、ウォロと私は下山はせずに転移魔法で学校に戻ったけれど、それも他の生徒の安全のために動いたからと判断してもらえて、みんな+(プラス)の評価をもらえることになった。


 まあ、ルールとはいえ、必要なら自分で考えて行動せよ、ということらしい。

 ケイオスとミカのその行動のおかげでコーディは助かったのだから、良かったけれど。

 これが隣が同じ寮の仲間とかじゃなかったら、もっと気がつくのに時間がかかっていたかもしれないし……。


 ウォロはトーマに、私に毛布を貸してくれたことのお礼を言い、ケイオスとコーディから、ネモに助けてもらってありがとうとお礼を言われ、そしてミカには「ネモが休めるようにしてくれたんだってな。ありがとう」と言いながら、ちょっとトゲトゲしてたので、それを察知したミカが「ちょっと話そうか」と私から離れてふたりで何やら話していたけど……。

 ウォロがしゅんとして戻ってきた。


「どうしたの?」

「いや、ミカに正論言われて……。

 それもそうだなと…」


 ミカ、何言ったんだろう?


 寮でもエドワードに聞かれた。

「山で言ってた『小さなエドワード』ってなんだ?」

 ちょうど、ミカとサーシャとダリルが来ていたので、みんなにも説明した。


 エドワードはちょっとうれしそうだったけど、「なんで怒る前提なんだ?」と言った。


「だって、いつも私怒られてる……」

 ダリルが私の言葉を聞いて笑う。


「そんなことないだろ!!」

 ほらエドワード、怒ってんじゃん……。


「いや……、エドワード、ネモに怒っているというか、注意したり、大声で話すこと多いよ」

 ミカがティエルノと顔を見合わせながら言った。


「そうかなあ……」

 エドワードが言うと、隣に座っているサーシャが肩にポンと手を置いて微笑んだ。

「ネモのことを気にしてるから、一言多くなるのよね。

 私も同じ!」


「でも、小さなエドワードに怒られるように言われれると、そうだなと思ったり、頑張ろうと思えたから、嫌な感じじゃなかったよ。

 なんでエドワードなんだ? とは思ったけど……」

「ね、ウォロでもいいのにね」

 オードリーが言った。


「小さいウォロ……」

 想像してみたら、かわいい……。

 私は恥ずかしくなって両手で顔を隠した。

「……ダメだ! 

 かわいすぎて怒られてる気にならん!!」

「なんだよそれ!」

 エドワードからすかさずツッコミが入る。

 こういうとこかな?


「ほら、やっぱり怒ってる」とミカが言った。


「それはネモがイラつくようなことを言ったり、するからだろ!!」

「別にエドワードをイラつかせようとしているわけじゃないんだけど……」


 そんな私とエドワードを見てセレナが言った。

「そういう相性なのよね。

 エドワードとネモって。

 お互い信頼しているから、好き勝手言える仲ってことでしょ」


 私はびっくりしてセレナを見た。

 セレナが「えっ?」と戸惑ってライトの陰に隠れる。


「セレナ、よく言ってくれた!

 そうなんだよ!

 エドワードは私にとって、親友なの。

 気を遣わなくていい、それでいてとっても頼れる、ね」


 ティエルノが頷いた。

「それはわかるような気がするな」


「だから、親友が大好きな友達と結婚するのはうれしいよ!」

 私はサーシャの手を取って言った。


 秋の魔法対戦が終わったら、エドワードとサーシャは正式に婚約を発表することになったのだ!


 こんな感じで4年の野営実習は終わったのだけれど、5年はさらに山で長く、鬼ごっこの要素が加わるんだとか。

 先生が追いかける年もあれば、寮対抗でお互い見つからないように逃げ回る年もあったそう。

 どんなルールになるか、今から楽しみだ。


 コーディ、ケイオス、トーマとも剣術の授業の時に話すことが多くなった。

 今回のことでさらに友人関係が広がったような気がする。


 病院に薬を届ける時、レイモンドが忙しく、ウォロもギーマ先生と話をしなきゃいけなくて、ミカに頼んだ時があった。

 馬車の中で、あの時ウォロに何を話したのか聞いてみた。


「ウォロ、言わなかったんだろ?」

「うん、正論を言われたとしか言わなかった」

「ああ、正論ね。

 ならいいか。

 ……俺以外の奴とネモが毛布に一緒にくるまって寝たりする方がずーっと嫌だろって言ったんだよ。

 俺はネモともウォロとも友達で付き合い長いし、ウォロとのこともよく知ってるし認めてるからね」


 ああ、そういうことか。

「ウォロ、ミカにまで……やきもち焼いてたの?」

「まあ、それだけネモのこと大切に……。

 愛してるんだろうな」

「んー、でも前より……。

 いや、言わないでおこう」

「前より重いって?」

「そんなこと言ってないよ……」

「……自分のものにして、安心と思ったのに、ネモがあんまり変わらないからじゃない?

 自分のものにしたからこそ、取られるのが余計に怖くなるみたいな……」


「失うのが怖いってこと?

 確かに、私もウォロを失うことなんて怖くて考えられないよ。

 考えるだけでも怖いかも……」

「そのこと、言ってあげなよ。

 喜ぶよ」

「……うん、そうだね。

 ありがとう、ミカ」


 ミカは医師になることを決めたようで、行ける時は私と病院に一緒に行ってくれるようになり、マーリン先生にいろいろ質問している。


 将来、ミカが診察して私が魔法治療するなんてこともあるかもしれない!


 クルトもすっかりミカに慣れて、ミカが来ると喜んでいる。


「レイモンドは忙しそうだね」

 マーリン先生に言われて頷く。

 

 レイモンドはラボには来るが、自分の課題を持って来て取り組んでいることが多く、ウォロやマイベルと息抜きにおしゃべりする時間も確保したいという感じで、薬作りにはなかなか関われなくなっている。


 アルテイシアとメラニーも薬作りに参加してくれているが、それぞれの寮の活動などもあり、病院に来ることはほとんどない。

 薬作りで体力を上げたり、浄化したりの光魔法の訓練はしてるけど、実際の患者相手に治療というところまではまだ難しいと思う。

 寮の友達に体力を上げるとか疲れているのを癒す、治すとかできるだけやるように話しているけど、どこまでできているか……。


 薬作りが私を中心に毎日進むので、私自身の薬の効能や効果を魔法で簡易鑑定という研究がほとんど進んでいない……。

 ああ、長期休みに少し頑張らないと。


 魔法対戦学年選抜が始まった。

 まあ、いつもの1寮メンバーと思いきや!

 ウォロ、エドワード、ライト、そしてミカが勝ち残った。

 とうとう、ミカが選ばれた!

 自主練をコツコツ続けていたそう。

 私と同じくらいの早さで魔法を発動、展開できるようになっていた。


 こうなると冷静に状況を判断でき、センスもあるミカは……強い!!

 私は選抜の試合で当たり、負けてしまった……。

 ティエルノにも勝ったしね。

 これはもう、まぐれとか運とかじゃない。


「ネモに勝つのを目標のひとつにしてたからうれしいよ!

 まあ、聖魔法を使われたら、勝てないと思うけどね」

「いやいや、強いよミカは……。素直にうれしいけど、悔しい!」

 私は微笑んだ。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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