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273 ラーナとノアを探せ!(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



「ノアを捕まえて私をおびき出そうとしたのか。

 でも、私は今の王と友人だし、現在の神殿の在り方を支持します。

 聖石は浄化の力を取り戻し、世界は守られている。

 以前とは比べものにならないくらい良い状態です」


「あなたは聖女でしょう?!

 何故、神の御意志がわからないのです。

 私達は大神官様の御遺志を継ぎ、神殿が王の上に立ち国を治める、真の神聖な国の形を……」


「神殿がしたこと?

 聖魔法の力を持つ少女や女性を他国からも攫って来て、王の子どもを産ませるため、言うことを聞かせるために薬を飲ませて……、そんなの犯罪だよ、わかってんの?!」


「それが神に選ばれた者の定めです!」

「そんな目に合うなら選ばれたくないわ!!」


 ノアが私に落ち着けというように、足にすりすりと身体を擦り付けてくる。

 うん、何を言い合っても無駄だな。


「あなたを拘束します」


 私はそう言って光魔法で足をしびれさせようとしたが、光の防御壁を展開される。

 むー、やっぱり。


 ウォロとサーブさんが小屋に飛び込んできた。


「ネモ、大丈夫か!

 ラーナとサンは警備が保護した!」

 ウォロの言葉に私は現状を報告した。

「奥の店員は足をしびれさせたのでしばらく動けないはず」


 サーブさんが店員の所に行った。

 

 ウォロが元神官の防御壁を闇魔法で中和してしまう。

 私はその隙に光魔法のビリビリを彼の手足に打ち込んだ。

 倒れる元神官。


 サーブさんが店員を縛り終え、こちらに来てウォロと一緒に元神官を縛り上げた。


 ノアがウォロの肩まで駆け上がった。

「うわっ! いてーよ!」

 

 ウォロがびっくりしているが、ノアが落ちないように手を添えている。

 優しいな、ウォロは。

 やっぱり大好き。


 私は長剣を鞘に戻した。


 サーブさんがドアから「拘束できた! 来てくれ!」と叫ぶとスニフさんや護衛の人、他のパトロールチームの人達が来て、店員と元神官を連れ出そうとした。


「あ、歩かせるなら、足の方の魔法中和します!」

 慌てて声を掛けるが、このまま棒にぶら下げていくからいいと言われた。


 えー、棒に?!

 それは猪とか捕まえた時じゃないの?!


 サーブさんが護衛の人と話をしてからこちらに来た。

「ウォロとネモはこのまま家に帰って休め! いいな」


 私とウォロは頷いた。


 サンとラーナと合流して、私はラーナを抱きしめた。

「ラーナ、ノアを守ろうとしてくれてたんだね。

 どうもありがとう。怖かったでしょう」


 ウォロもサンも『えっ?』という顔をした。


 ラーナが涙ぐみながら答える。

「うん、あの人達、ノアを捕まえようとしてたんだよ!! 

 だから、ノアをいじめないでって大きな声で言ったら……」

「そうか、本当にありがとうね。

 だけど、今度もし、こういうことがあったら、その場を離れてもいいから他の信用できる大人の人に伝えに行くんだよ。

 ラーナが無事で本当に良かったよ……」


 家の前まで戻ると、ダイさんと奥さんとルイ、レーナが待っていて、ラーナとサンに駆け寄り家族で抱き合った。


 ラーナが「ごめんなさい」と言いながらわーっと泣き出す。

 やっぱり、怖さや不安を我慢していたんだな。


「ネモちゃん、ウォロさん、ラーナを助けてくれてありがとうございます」

 ダイさんに言われるが……。


「うちのノアが捕まえられそうになってたのをラーナが大声で叫んで助けようとしてくれて、一緒に捕まってしまったようなんです……。

 こちらこそ、すみませんでした……」

 私は頭を下げた。


 サンがダイさんと奥さんに言う。


「ラーナはノアを守ったんだよ。

 次こんなことがあったらどうすればいいか、ネモも話してくれたし、少し経ったら僕も忘れずにいて、またきちんと話をするから、ラーナのこと怒らないでやって!」


 ダイさんと奥さんは泣き笑いのような表情になった。


「ラーナ、お前、ノアを守ろうとしたのか?」

「うん、ノアをいじめないでって……」

「で、そういう時にはどうするってネモちゃんに教えてもらったんだ?」

「……その場から離れていいから、だれか信用できる大人に知らせるって……」


 ダイさんはラーナの頭をぐりぐり撫でて言った。

「そうだな。

 ラーナのやさしい気持ちはよくわかったよ。

 でも助けようとしてふたりで捕まったら、誰もわからないし、助けに行けないからな。

 今日は頑張ったな。

 でも、次は……、もうお父さんお母さんに心配させないでくれ……」


 そのまま、家族で抱き合って、涙、涙だった……。


 子ども達が家に向かって歩き出すと、ダイさんが奥さんとこちらを向き、私とウォロに言った。


「ネモちゃん、今回はラーナが自分で飛び込んで行ってしまったようだ。

 無事に助けてもらって、本当にありがとう」

「ネモさん、ウォロさん、ありがとうございます」

 奥さんにもそう言われたけど……。


 私とウォロはもう何も言えず……。

 礼をして家に戻った。


 ノアはウォロの肩から飛び降りると、水飲み場へ一直線。

 お腹が空いたらしく「ナーオ」と鳴いてこちらを見上げてくる。


「はい、ご飯ね」

 

 ウォロが私の腰に手を回し、長剣を外してくれた。

「しまってくるよ」

「ありがとう」


 今日買った、鳥のささみがあるから、それを煮て軽くほぐしてノアにあげた。


 さて人間のご飯は……、手早く作れるものがいいな。

 

 パンにチーズとトマトの輪切りをはさみ、サンドイッチにしよう。

 フライパンでベーコンとほうれん草を炒め始める。


 お茶を入れて、すももも洗って冷蔵庫に入れて冷やしておく。


 ウォロが居間に戻ってきた。


「ごめん、こんな朝ごはんみたいな簡単なご飯でいいかな?」

「いいって、早く休みたいしな」

「うん……」


 私達は簡単な夕食を食べ、果物を出した時、やっとほっとしてきて話を始めた。


「後、3日間だけど、このままここにいていいのかな?」

 私は呟いた。

「明日、警備の方とも話をしてくるよ。

 でも、まあ、身分がばれたわけでもないし。

 ラーナのことも巻き込んだという感じでもないしな」

「いや、巻き込んだことになると思うよ。

 どんなに心配かけたか……」


「そうか……」

「うん……」


 食べ終えて、ふたりで皿を片付け、洗って洗いかごに立てかけておく。


「今日も節約で一緒に風呂に入るか?」

 唐突にそう言われて笑ってしまった。


「いや……、そんな気分じゃないなら、いいけど……」

「うん、お願いしようかな」

「うん嫌なら……、えっ? それはいいってこと?!」

「うん」

 私はウォロにそっと抱きついた。


「ウォロと一緒にいたい」




   ◇ ◇ ◇




 次の日、いつものように私は治療院へ、ウォロは警備詰所へ出勤した。


 ノアは家の周りにいることにしたみたいだ。

 ラーナやレーナといった学校にまだ行っていない子ども達を見守ることにしたよう。

 

 昼にウォロと護衛の人が、昼食の差し入れを持って治療院に来てくれた。


 詰所の厨房で調理師が作ったパスタだそう。

 いや、ウォロ、いつもこんな素晴らしいお昼食べてたの?!

 

 私、ダイさん、ローラ先生、カオル先生の分もあり、みんなでその後わかったことを聞きながら頂くことに。


 ローラ先生とカオル先生は、昨日の事件の詳しいことを知らず、そこで聞いて驚いていた。


「ネモさんを誘き寄せるため、飼い猫のノアを捕まえようとして、ダイさんとこのラーナちゃんに見つかり騒がれ、一緒に攫ったとのこと。

 危害を加えるつもりはなく、両手を軽く縛っただけだと言っている」

 護衛の人の話にカオル先生が憤慨して言った。


「軽くとはいえ5歳の子を縛るだなんて!!」


 一通り説明を聞いてカオル先生が言った。

「で、どうしてネモちゃんをおびき寄せようとしていたの?」


 ウォロが答える。

「聖魔法持ちで強い力を持っていると思われたからじゃないですか?」

「そっか!」

 カオル先生が納得した表情で頷いた。 

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。


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