271 子ども達との時間
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
サンドイッチを食べることを躊躇しているようなダイさんにローラ先生が言った。
「そのサンドイッチはダイが受け取ったものだから好きにしていいけれど……。
もし子ども達にやるのなら、子ども達には内緒にするように言うんだよ。
どこでどんな嫉妬や恨みをもらうかわからないからね」
「……そうですね。
幼い子どもにはそれは無理でしょう。
はい、私がいただきます」
ダイさんは食べ始めた。
私も頂いた、美味しかったよ。
そのまま、ハイレディンはローラ先生と話を始め、私とダイさんは受付に戻った。
「あー、おいしかったなあ。
王都に行けば、あれは売っているのかな?」
「うーん、お店の物なんですかね?」
「ネモちゃんも知らないか?」
「はい……、市場にはサンドイッチはなかったなあ。
どこか高級なパン屋さんとかあるんですかね?」
そんな話をしながらカルテ整理をしたりしていたら、ハイレディンと護衛達が出てきて「ネモ、後4日だな。頑張れよ!」と帰って行った。
午後も患者さんはいなくて。平和だ……。
今日の夕食は何にしよう。
シチューが残っているから、牛乳を足してスープみたいにしてもいいかも。
ぶどうは全部食べちゃったから、果物も欲しいな。
今日もお店に寄って帰ろう。
帰りの時間になったが、ノアは戻って来なかった。
ウォロの方に行ったのか、まだ探検してるのか?
ダイさんはローラ先生に頼まれて、お店にローラ先生の家に届けてもらう商品リストを渡し、自宅の買い物もすると言う。
私も買い物をしたいので! と一緒に帰ることにした。
ダイさんがお店の人にリストを渡して、明日の日中に届けて欲しいと伝えている。
私はその間にお店を回り、トウモロコシがあったので手に取る。
パンも。
これは桃に似てるけど小さいしつるつるしてるから李?
茶色のキノコ……これはなんだマイタケとかに近い?
おいしそうだから買ってみようかと見ていたらダイさんが「そのキノコは油で炒めるとうまいよ」と教えてくれ、買うことにした。
ダイさんは奥さんに頼まれたと、大きめのパンと牛乳の大瓶を買って、私と店を出た。
前に私に声を掛けてきた店員が、私と話したそうにしていたが、ダイさんもいるし、私も敢えて気がつかないふりをしていたのであきらめたようだ。
ダイさんが帰り道、そのことに気がついていたようで「あの店員と親しいのか?」と聞いてきた。
「いえ、昨日初めてあのお店に買いに行ったら、荷物を届けようかと急に言われて、私のこともネモちゃんって……、家も知っているのかと違和感があったので断ったけれど……」
「ああ、ローラ先生の話じゃないけど、気をつけた方がいい。
特にハイレディン様と親しいとみんな知ったから近づいて来ようとする者もいるだろうし。
ウォロさんにも注意するように言った方がいい」
「はい、ありがとうございます。
明日、明後日は助手さんが泊まり込みですよね」
「ああ、ネモちゃんが来てもう1週間になるんだな」
その時、レーナとラーナが「「お父さん! ネモちゃん!」」と走り寄って来て、一緒に帰る。
挨拶して別れ、家のドアを開けて、ため息をついた。
わぁー、なんか……、そのままごちゃっとしてるわ……。
慌てて出て行ったんだろう。
食器も床の毛布もそのまんまって感じ……。
私は苦笑して食材をしまってから、片づけを始めた。
毛布ははたいて少しの間だけでも干すことにする。
寝室からノアが使った毛布も持って来て、はたいて干した。
ハイレディンが使った部屋を覗くと、きちんとシーツや枕カバーが剥がされ、布団と枕もまとめられていた。
これは明日、布団干せばしまえそうだな。
食器を洗いながら、トウモロコシを茹でて、冷ましておく。
少し暗くなってきたので毛布を取り込み、畳んだ。
ウォロとノアが帰ってきた。
「おかえり!」
「ただいま……」
家に入るなり見回して「朝、そのまま行っちゃってごめん」と言われる。
「まあ、大変だったと思うけど……。
ウォロも、みんなも体調大丈夫だった?」
「うん、スニフが少しふらふらしてたけどね」
まあ、朝のあの様子じゃね……。
その時、ドアをトントンとノックされた。
ウォロが出るとダイさんとこの長男サンくんだった。
「こんにちは。
あの、ちょっと勉強でわからないところがあって……。
ウォロさんかネモちゃ……さん、わかったら教えてもらえませんか?」
ウォロがサンくんのノートを見て「ああ、わかる。中に入って」と言い、居間のテーブルで教え始めた。
私はお茶を入れ、ふたりに出した。
キッチンでトウモロコシの実を芯から外してつぶつぶにしていく。
時々つまみ食いすると甘くておいしい。
シチューを温め牛乳を多く加えて、スープっぽくしてトウモロコシの粒を投入!
うん、具だくさんのスープ増量が完成!
小さめの深皿に入れて、スプーンを添えてサンくんとウォロに「味見してみて」と持っていった。
「おいしいです!
トウモロコシが甘みがあって!」
サンくん、よくおわかりで!
「あの、ルイも連れて来ていい?
ここに来たら勉強すると思う」
私とウォロは顔を見合わせ、頷いた。
サンくんがルイくんと戻ってくると……、その後ろにレーナとラーナがいた。
サンくんが申し訳なさそうにしている。
「どうぞ入って」
4人を招き入れ、リビングのテーブル回りに座ってもらう。
私はスープを4人に出した。
「僕はさっき飲ませてもらったから……」とサンくんが言う。
「みんなで一緒に食べた方がうれしいよね」
私が言うと頷いて「ありがとうございます。いただきます」と言ってくれた。
「「「いただきます」」」
下の3人もそう言ってうれしそうに食べて「おいしい!」「甘いね」「お肉、入ってる!」と盛り上がってた。
かわいいな。
食べ終わって、サンくんとルイくんはウォロに勉強を見てもらい、レーナとルーナはお家から好きな絵本を持って来てもらった。
それを読んだり名前や好きなもの、レーナは花が好きで、ラーナは動物が好きとのことで、花の名前や動物の名前を書いてみたりした。
スープもまだたくさんあるし……。
「夕食も食べて行く?」
サンくんに言ってみる。
「いいんですか?」
「さっきのスープで良ければまだあるし、お父さんとお母さんが良ければ、うちは大丈夫だよ。
あ、食べちゃいけない食材があるか聞いてきて!」
さっき、確認せずスープ食べさせちゃったな。大丈夫だったかな?!
「聞いてきますっ!」
サンくんだけ慌てて家に帰り、まだ戻ってきた。
手に大きなパンを抱えている。
「いいって!!
何でも食べて大丈夫だって!
で、これどうぞって……」
「ありがとう。みんなで頂こう!
サンくんとルイくんはもう少し勉強してていいよ。
レーナとラーナは……」
「ネコちゃんといていい?」とラーナ。
大丈夫かな?
「ノア、ラーナとレーナが触ったり撫でたりしてもいい?」
「ニア」
うん、大丈夫そう。
「ラーナ、レーナ。
ノアは優しく抱っこして頭や顔を撫でてあげたり掻いてあげると喜ぶよ。
お願いね」
そう伝えると、私は食事の仕度を始めた。
パンは切って大皿に盛っておく。
スープを温めながら、何かもう少し……。
後、昨日の牛肉少し残ってるから、焼くか!
あ、小さめに切ってキノコ炒めにでもするか!
牛肉を一口サイズに切り、キノコと炒めて、バターと醤油で味付け。
ひとりずつの皿に盛りつけた。
「夕食できたから、テーブル片付けて!」
声を掛けて、台布巾を持って行く。
テーブルを拭きながら「ウォロ、みんなと手を洗ってきて」と言うと、洗面所へぞろぞろ大移動してた。
手を洗い終わったサンくんルイくんが「手伝います」と来てくれたので大皿のパンとパンの取り皿を持って行ってもらう。
ラーナとレーナにはフォークとスプーンを、戻ってきたサンくんとルイくんとウォロには牛肉のキノコ炒めの皿を運んでもらった。
スープ皿はトレイで私が一気に運び、ウォロがコップを運んでくれたので、冷蔵庫の中の水の瓶ごと持っていくことにした。
「うまそう~!!」とルイくんがうれしそうに叫んで、サンくんに「しずかに!」と言われてる。
読んで下さりありがとうございます。
午後投稿する予定です。
これからもどうぞよろしくお願いします。




