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264 みんなは帰るけど(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。


 ミーアの魔道具屋は王国の小さな工房や店が集まって職人の街を作っているという感じとは全然違い……。


 すごく大きな店? 建物がどーんとあるんだけど、その中に各自職人さんがお店を持っいるような……感じだった。


 建物が魔道具職人協会本部みたいな感じで、警護局の魔道具の部署とも連携、交渉などしていて、その協会に属す職人というような形らしい。


 かなりごちゃごちゃしてる。

 ウォロがミーアで利用している素材のお店があるそうで、私の手を握って歩いて行く。

 私達はウォロに言われて、かなり軽装な感じで来ていた。

 私はブラウスにワイドズボンという感じだし、マイベルもハラル山に行った後に馬に乗れるような服を用意したとのことで、エルメス宮に寄って、着替えて来ていた。


「ちょっとウォロ、歩くの早いよ」

 ミカとレイモンドとマイベルが急ぎ足で追いかけて来るのを見て、私は言った。


 お目当てのお店にたどり着いたよう。

 私達より……、マイベルと同じくらいかな?

 少年が店番をしていた。


「あれ、ウォロ、久しぶり!

 ……その女の子は?」

「自分の妻のネモフィラだ。

 親父さんはいないのか?」

「ああ、って!

 妻?!

 結婚したの?

 本当に?」


 少年がびっくり顔で私を見る。

「ウォロが言ってた女の子、本当にいたんだ……」

 私は戸惑ってウォロと少年を交互に見た。


「ごめんごめん、びっくりするよね。

 僕はハキーム。

 父がここの職人店長だよ」

 手を差し出してくるので、握手した。


「ネモです。

 どうぞよろしくお願いします」

「わあ、ウォロが言ってた通りな感じ……、本当にいたんだ……」


 えっと、ウォロは私のことをどう言っていたのでしょうか?

 実在すら疑われてたみたいだし……。


「こっちは王国の友人のレイモンドとミカと、自分の妹のマイベル」


 ミカとレイモンドとマイベルも軽く会釈する。

 マイベルは帽子を被り、髪があまり見えないようにしていた。

 

 ハキームもぺこりとする。

 あれ、これウォロのことを皇子と気がついていないのか?


 銀色は皇室の色と言われるけど、最初のエヴァンスが特に珍しい銀髪銀目だっただけで、普通に貴族や市民に銀色を持つ人がいることはいるから……。

 最初に貴族だと言われちゃえば、わからないかもね。

 伯爵家の名前を使わせてもらっているのかも。


「で、今日は?」

「ああ、これぐらいのサイズの魔石があれば多めに欲しい。

 できれば5ダースほど」

「5ダースね。

 在庫まで出せばあると思う」

 

 ハキームは店の棚の鍵を開けて袋を取り出す。

 中身を見せてもらいながら頷くウォロ。

「うん、これでいい。

 ペン型の魔道具の軸あるか?

 これも同じくらい欲しい。

 後、魔導線細いの二束と軸に合ったボタン型のスイッチ」

「ペン型でこの魔石のサイズなら……。

 これかな。

 これはスイッチもセットになってる。

 5ダース?!

 それはさすがに在庫がないな。

 今、2ダースなら用意できる」

「急ぎなんだ、似たような感じで使える物があれば。

 前買った、もう少し太い奴、あれで試作したから、あれもある?」

「前の、これより太い奴、あれかな?」

 ハキームがまた棚から袋を探して出した。


「そうそれ!」

「2ダースしかないよ」

「うん、それでいい。

 この細い方、また買いに来るかも」

「親父にまた作るように言っとく」

「ありがとう、頼むよ。

 それから何か面白い魔道具ない?

 王国からの友人に見せたいんだけど」


 ハキームは私の左手を見て言った。

「結婚したのに結婚指輪はしていないの?」

「まだ届けを出しただけで、ネモは王国の出身なので18歳になったら式を挙げる予定なんだ。

 だから、その時かな」

「あ、右手には同じ指輪してるんだね」

 ハキームは頷いてカウンターにいくつか身につける系の魔道具を並べた。


「最近流行しているのは防御系な感じかな。

 聖魔法の魔道具の流通が増えてきている。

 今までほとんどなかったからね。

 かけられた魔法の攻撃を一度だけはね返すとか、結界、防御壁を張るとか。

 ……闇社会の方でも攻撃系の闇魔法を使った魔道具が流れてるから、それから身を守る感じのが人気がある」


 王国とはかなり違うんだな。

 王国では魔法研究所が人を操るとか寝かせちゃうとかの魔道具は許可しないし、闇魔法の魔道具というと警備とか防犯的なものが多い。

 だから、守る系はそんなに発展していない。


 ウォロが1年の時に作ってた倍返しの魔道具も、カトレア先生面白がってたもんな。


「ウォロも作ってたよな」

 レイモンドが言い、頷くウォロ。

 

 ダーゼンも作ってたね……。アルテイシアの黒歴史だけど。


「へー、自作できるなんてすごいね。職人登録は?」

「王国ではしてて、学校で作ってたから。

 ミーアでも昨日登録したよ」

「じゃあ、面白いのができたら見せてよ!

 うちで売ることもできるし」

「そうだな、頼むかも」


 魔道具協会の建物を出た後、レイモンドやマイベルの希望で文具店や本屋に行ったりした。


 私はミカといろいろな布製品を扱う店を見つけて入り、ミーアの特徴的な錦を使ったネクタイと、薄い綿布を使ったハンカチを見つけた。


 ミカのお父さんは布や服の仕立てに関わる職人さんだから、こういうお土産もいいかも!


 ハンカチはみんなの分も買い、ネクタイとハンカチを別に包んでもらった。


 ミカに「これ、私からミカのお父さんに!!」と渡す。


「えっ? ありがとう……。

 本当にとても喜ぶと思う!」


 すんなり受け取ってくれて良かった。


 皇宮に戻り、私はハンカチをみんなにお土産として渡した。


 エドワード達には浄化の魔道具を考案して申請中のために私とウォロはすぐに帰らないこと。

 そのため、オードリーも残ることを伝えた。

 マイベルにもさっき馬車の中で話したのだが、レイモンドと一緒に王国に戻ると言っていたし。


 みんな、帰る仕度をして広間に集合したのだが、みんな荷物が倍ぐらい増えてて、しかもライトは食材が多くて笑ってしまった。

 ノアが食材の匂いに興味津々になって近づいて行くので慌てて抱っこした。


 エドワード、サーシャ、ティエルノ、ライト、セレナにこちらの用事が済んだら王国に戻ると声をかけて見送った。

 

 ウォロはすぐに戻って来て、レイモンド、マイベル、ランス、ダリル、ミカ、メグを連れて転移して行った。


 私はカノンとダイゴとオードリーとダンテと見送っていたんだけど。

 ウォロがなかなか帰って来ない。

 きっと学校で何か用事があったんだろう。

 カトレア先生とギーマ先生に説明しているのかも……。


 カノンはエルメス宮に戻る時間になってしまい、帰っていった。

 ダイゴとダンテはまだ仕事があると戻り、私はオードリーに「ノアと待っているから大丈夫だよ」と伝えて部屋に戻ってもらった。


 私のネックレスを座標に戻ってくるから、あまり動き回ってるのも怖いし。


 そういえば、どこに旅行に行くんだろう?

 ああ、魔石持って来て、待ってる間、浄化魔法入れてても良かったな……。


 なんていろいろ考えてたら、やっとウォロが戻ってきた。

 私はほっとして「ウォロ、おかえり」と立ち上がって抱きついた。

「ただいま」

 抱きしめ返してくれる。


「静かだな……」

「うん」


 確かに急に静かになった。

 

 部屋に戻り、魔石に浄化魔法を入れる。

 私は浄化魔法は得意な方でもあり、1時間ほどで1ダース分入れることができた。

 薬作りよりかは時間がかかるけれど、くり返し使えるからね。


 ウォロもその間、魔道具の仕組みの方を作っていて、同じ時間に2本くらいのペースで作れそうだと言った。

 

 私があくびをすると「疲れた?」と心配してくれる。


「ううん、大丈夫。

 実は今日、生理が来てさ。

 それでいつもよりかは疲れやすかったり、眠いのかもだけど……」

「それなのに出掛けたり魔法使ったりしてたの?」

「そこまで無理じゃないから。

 それにそろそろだなってわかって準備もしてたし。

 明日はのんびりさせてもらうことが多いかもだけど、魔石に魔法を入れるとかは全然できるから!」

「あんまり無理しないでよ……」

読んで下さりありがとうございます。

午後投稿する予定です。

ブックマーク、いいね、いつもありがとうございます。

励まされています。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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