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264 みんなは帰るけど(中)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 そうか!

 旅行に行くって言ってたわ。


「ここから直接?」

「うん、みんなを王国へ送って戻ってくるから。

 それに魔道具のこともあるから、もう1日くらいはこっちにいなきゃだろ?」


 そうだ、許可が下りたら作らないと。

「許可が下りて、登録されればクラウス先生や先生とか知り合いの職人に作成も頼めるし。

 そこまでしていかないと、急いだ意味ないだろ?」

 

 私は頷いた。

「だから明日は魔石に浄化魔法入れておいて。

 魔道具用の小さめの魔石、ここに10個くらいあるから。

 明日、もっと買ってくる」

「はい。

 ありがとう、ウォロ」


 ウォロがほっとした顔をした。

「……良かった。ちゃんと微笑んでくれた」

 

 あ、やっぱりさっきの笑顔、失敗してた?!


 朝食後、陛下、ダンテ、ダイゴ、オードリー、ウォロ、私、マイベル、カノンで皇家の墓所に向かう。

 今回は墓所の奥の廟という建物の中に入って祈るそうだ。、


 今までのすべての……皇帝達と皇女と皇子として亡くなった人物が眠っているそう。

 ということは妃は違うとこに墓があるのか?


 マイベルは少し緊張していた。

 廟の中まで入るのは初めてだという。

 前まで皇帝と皇太子のみ祈りを捧げる場所だったが、メイリンのこともあり、陛下が兄弟姉妹が祈りを捧げられうようにしたそう。


 今回、私とオードリーは特例ということでお参りが認められた。

 私はメイリンを浄化したし、もう皇子と結婚している。

 でも、私だけとなると問題になるから、皇子の婚約者だけどオードリーも一緒ということに。

  

 祭壇前でメイリンに祈りを捧げる。


 メイリン、光の小鳥になって飛んで行ったけれど、自由になれたのかな?


 どうぞ、自由になっていますように。

 そして、次の生を受けた時は幸せになれますように。


 お参りが終わって外に出るとあまりの空気感と温度の違いに驚いた。

 あそこはなんであんなにひんやりしているんだろう。


「私、あそこに入るの怖いわ……」

 マイベルが呟いた。


「ご先祖様だから、マイベルのことは見守ってくれてると思うよ」

「ううん、あそこに葬られることが、怖い」


「……魂は自由だから大丈夫。

 ずっとあそこにいるわけではないし、ただ身体が葬られ、家族がその人を思ったり、祈ったりする場所だから」

「でも、あそこには私の母もネモも入れない。

 そんな寂しいところに……」


 私はお墓なんて、自分が死んだ後はどうでもいいと思うけれど、確かにそう思えない人もいるのかもね。


 そういえば、マイベルはレイモンドとの結婚も許してもらえるのかな?

 ダーゼンの母のサシャ皇女やメイリンの様に元皇女でも、皇太子が正式に決まるまでは結婚に制約があったり、国から出してもらえなかったりがあったようだし。


 レイモンドも外交官としてミーアと揉めるのは避けたいだろうし。

 早く皇太子が決まってしまえば他国に嫁に行ける可能性も高くなるんだろう。


 そんなことを考えていたら、ウォロに「どうしたの?」と囁かれた。


 ちょうど馬車に乗るところだったので、ダイゴとオードリーと一緒の馬車に乗り込んでから言った。


「マイベルがこのお墓に入るの怖いって……。

 ウォロも皇太子じゃなければ入らない?」


「そうだな。直系となってるから、もし自分が皇太子になるか、今の皇帝陛下の御世みよに皇子として亡くなることがあれば、この墓に入るけど。

 でも、どっちにしろネモは入れないから……」


「なるほど。

 マイベルも皇女のままだとここか。

 皇太子から外れて結婚すればここに入らないで済む」

「自分も皇太子にならなければ、ネモと同じ墓に入れるよ」


「何の話?」

 ダイゴが聞いてきた。


「やっぱりダイゴが皇太子になったらいいな。

 そうすればネモと同じ墓に入れるし」

 ウォロが言うとダイゴがため息をついた。


「ネモはそれでいいわけ?」

 ダイゴに聞かれるけど、いいわけも何も……。


「私は墓はどうでも。

 死んじゃえば魂は神の元へ行くし、身体はどうでも……。

 まあ死んでんのにさらに傷つけられたりしたくはないけど。

 だから、墓はこだわらない」


 ダイゴが呟く。

「ネモは変わってるな。

 僕も愛する人と墓に入りたいよ」


 ダイゴも墓のせいで皇太子になりたくないのか?!

 つうか、もうこのお墓をやめたらいいんじゃない?!


「ダイゴが皇太子になって墓のことを変えればいいんじゃない?

 皇帝になっても妻と同じ墓にするとかさ……」

 私の言葉にダイゴが苦笑いする。


「それを言うならウォロが皇帝になって墓のことを変えてもいいんじゃない?」


 確かに同じことですね。


「それは置いといて」

「置いとくのかよ?!」

 ダイゴが笑って突っ込んでくれる。


「マイベルが好きな人と婚約して結婚するにはどうすればいい?」

「レイモンドだろ?」

 ダイゴが声を小さくして言った。

 

 あ、温泉で仲が良かったのか?

 ダイゴは気を感じる力が鋭いから、それでわかったのかも。


 私も声を小さくして答える。

「うん、まだ皇太子が決まってないから、それまでは婚約すら難しいよね」

「そうだな。

 レイモンドがミーアの貴族だったら、まだそこまで問題にならないかもしれないが……。

 隣国である王国の貴族だもんな」


 そうか、やっぱり皇太子決めがウォロの卒業までとなってるから、それが決まらないと話が進められないか。


 私とダイゴが話しているのをオードリーも聞いていたけれど何も言わなかった。


 今日の夕方、みんなと一緒にオードリーは帰るんだし……。

 あれ、オードリーは残ってもいいんでは?


「ねえ、オードリーもこのままミーアにいたら?

 私とウォロもすぐ帰れないし……。

 オードリーは帰って何か予定あるの?」


「……エドワードとサーシャから王城に泊りに来ないかと言われているけど。

 ミカとティエルノとダリルもね。

 ライトとセレナは泊りまではしないって」


「あー、オードリーがいないと、サーシャ、女の子ひとりか……」


 私の言葉に頷く。


「そうなの。

 でも、ネモもいないしね……。

 まだ迷っている。

 でも、王国だと大使館か寮にいるしかないし、だったら王城の方がいいかな……」


 私が言う前にウォロが言ってくれた。


「じゃあ、オードリー残れば?

 ネモとの旅行の帰りにミーアに寄るから、一緒に王国に帰ろう」


「サーシャが大丈夫かな?」

 オードリーが私に言う。


「まあ、サーシャだけ王城に通うとか……、それなりに工夫はできるんじゃない?」

「急だけど……、いいかな?」

「うん、私達もまだミーアにもう少しいるし。

 どこか旅行に行くにしても転移魔法があれば、ミーアに戻って来られるよね」


 私はウォロの顔を確認するように見る。


「うん、大丈夫」

 ウォロがオードリーに向かって頷く。

「良かった……」

 オードリーがほっとした顔で呟く。


「あと……、まあエドワード達を王国に送ってから、また予定を話そう」

 ウォロがダイゴと目を合わせながらそう言った。

 

 皇宮に戻ると、みんなと昼食を食べ、夕方までそれぞれ過ごすことにする。


 ウォロは魔道具の素材を買いに行くと言い、私も一緒に行くことにした。

 レイモンドもミカも一緒に行ってみたいと言うので、マイベルも誘って行くことにする。


 ランスはクラウス先生とキャサリン先生のところへ。


 エドワード達も皇都で買い物をしてくると。

 カノンはエドワード達について行くという。

 ダンテも護衛として付いて行ってくれることになった。


 ダイゴとオードリーはシズカ宮に行くそう。

 ノアはクララとお留守番。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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