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263 浄化の魔道具

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 今日の夕方にはみんな温泉から帰ってくる。

 朝から私は工房へ薬の在庫チェックに行き、ウォロは騎士団の練習に参加していた。


 ノアと工房に行き、浄化薬の数をホタカさんに確認する。

 余っている浄化薬があれば皇都病院へ回してもらうように話をする。


 ハラル山の村の方へも持って行くことになっているし、私も一昨日、6本もらっちゃったしな。

 現在、1ダースぐらいなら回せそうだとのことで、それでもいいので回してもらうようにする。


 ベース薬作るの日数かかるからなあ。……。

 効率がいい方法はないかな……、ベース薬じゃないのに魔法を入れる……。

 あれ、魔道具みたいに魔石や聖石を使うのは、どうだろう?


 この場合の魔石は魔力馴染みがいい魔道具に使われている魔石のこと。


 魔石に浄化の光魔法を入れたらいいんじゃない?

 地面とかには使いにくいけど、人の身体にだったら当てて流すとかできそうじゃない?


 私はノートにアイデアを書き留める。


 イメージとしては自己注射器みたいな感じ。

 円筒形の物の先端に魔石か聖石(どちらが適しているかわからないから両方作ってみないと)をセットして、肌に押し当て流すスイッチを押す、みたいな。


 ミーアで魔石や聖石を手に入れるにはどうしたらいいんだ?!

 ウォロ、手持ちに何か持っているかな?


 外の練習が観られる席に行くと、ウォロの練習が終わるのをじりじり待つ。

 ノアは待ってるのが退屈だったのかどこかへ行ってしまった。


 練習が終わるやいなや、ウォロにノートを見せて、こういうのは可能そうか相談する。


 ウォロは苦笑いしながらノートを見て私の説明を聞いてくれた。


「うーん、できなくはないけど……、薬と同等の効果が出るかは未知数だなあ……。

 試作品を作ってみるしかないな」


 私は頷いた。


「とりあえず、昼食食べたら作ってみよう。

 先に食堂行ってて」

 うん、シャワー浴びたり着替えたりしたいよね。

 焦ってごめん!


 食堂でお運びを手伝っているとウォロとダンテが来て、一緒に食事をした。


 それから部屋に戻り、私はウォロが持っていた小さめの魔石と聖石の両方に浄化魔法を入れてみる。

 聖石の方がやはり浄化魔法が馴染みやすい気がするが、魔石でもいけそう……。


「前にネモの光魔法で電撃とかビリビリとか言ってた魔道具を作ったことあるだろ。

 あれは出力を調整したけど。

 流れるだけにするなら、これぐらい小さくても……」


 ペンぐらいの大きさの魔道具ができた。


「で、これ、誰に試してもらうんだ……?」

「……そこまで考えてなかった!」

 薬なら調べる方法が王国ではあったけど、魔道具だとどうするんだろう?

 自分で自分に使うしかないか?


「……生物学博士なら、協力してくれそうじゃないか?」

「ウォロ!! ありがとう!」


 私が部屋を飛び出して行こうとすると、ウォロにつかまえられる。


「石の交換とか調整が必要だろ?! 

 一緒に行くから!」


 ノアはまだ部屋に戻って来てなくて、ウォロの指輪で確認して見ると、赤い光の筋が薄く見え、目で追って行くと工房のそばの薬草園辺りの木陰で昼寝していたのがわかった。

 そのまま、留守番していてもらおう。


 ウォロと馬車で研究所に向かった。

 生物学教室を訪ねると、博士、いた!!


 私の顔を見て「薬受け取ったよ、ありがとう」と言ってくれた。


 私は試作した浄化の魔道具を見せながら説明した。

 どれくらい効果があるか試して欲しいことを伝えた。


 浄化魔法がかかるだけの魔道具なので、量が少なくても多くても身体には害はない。

 ただ試作品は毎日使えるようにと考え、少し弱めに設定している。

 

 そう説明すると生物学博士は魔道具を受け取ってくれた。


 私はあわてて「状態を診たいので現在の状態を!」と左手を握らせてもらう。


 光魔法で身体の状態だけ診る。

 うん、肝臓に暗い影がある。

 そこからその影が他の臓器にも伸びてきている……。


 けっこう、疲労感があるのでは?


 私は博士の目を見て頷いた。


 博士が右手の魔道具聖石を左腕に押し当て、スイッチを入れた。


 博士の身体の中に浄化魔法が流れたのがわかった。

 少ないかな……。

 少しだけ、伸びている影が縮んだ。

 ほんの少しね。


「うん、痛みとかはないな。

 でも浄化の力は少しだけ感じた」

「ほんの少しだけ、影が小さくなりました……。

 もっと出力上げるか……」


 ウォロが博士から魔道具を受け取り言った。

「まず聖石と魔石の差を見た方がいい」

「うん、そうだね」


 ウォロがその場で聖石を外し、魔石と入れ替える。


 もう一度診ながら、博士に使ってもらう。

「おっ?」

 博士が声を上げた。

「あれ、魔石の方が強く反応した!」

 

 聖魔法だから聖石の方がということはないのか?


「聖石だと石の力が元からあったりするからな」

 ウォロの言葉にエディとエメリーの聖石のことを思い出した。

 あー、確かに!!

 

「じゃあ、聖石のアクセサリーとかも普通にいいのかも?!」

「ああ、普通に浄化の力のある聖石を身につけるのもいいかもな」


「こっちの方が効果がありそうだな」

 博士が魔石の方の魔道具を見て言った。


「えーと、ミーアでは魔道具の申請とか登録とかどうなってるんだろう?」

「流れは王国と変わらないけど……、クラウス先生に聞いてみよう」


 生物学博士に協力してもらったお礼を言って、これから国立学校の方へ行ってみることにした。


「早急に使えるようにしますね!」

「いやいや、君達はすごいな……。

 このミーアに君達のような若者がいるということが誇らしいよ……」

 博士が微笑みながら言ってくれた。


 国立学校へ行ってみると、クラウス先生は出勤していた!

 生徒はまばらで……、そうか、こっちは年度末のお休みか?


「ウォロ、ネモ、どうした急に?」

「先生! 魔道具をミーアで登録申請するにはどうしたらいい?!

 治療に使うものなので、すぐ使えるようにしたいんだ!」

 ウォロが私の代わりにいろいろ説明してくれた。


「医療用の魔道具ってことだな。

 ウォロ、ミーアでも魔道具職人として登録したらどうだ?」

「王国とミーア、ふたつでの国とか、いいの?」

「別に大丈夫だよ……。

 そうか、ウォロの場合、新しいアイデアのものが多いからアイデア料とか使用許可とかいろいろあるか……」

 

 クラウス先生の顔が真剣になる。


「私の立場としては王国の魔法研究所で扱いたい、と言いたいところだが、これは必要な人が急いでいてミーアに多いんだよな。

 画期的なアイデアだと思う。

 魔法治療を直接受けられないために薬が発達したことで、治療の方の魔道具の研究は進んでいなかったんだな。

 ウォロと治療のための魔道具を作り始めてそのことに気がついたよ。

 今回の物はミーアで使えるようにした方がいいから、ミーアで職人登録して申請すればいい」


 クラウス先生もミーアで魔道具を作るために登録しているそうで、やり方や書類の書き方を教えてくれ、登録申請と同時に今回の魔道具の申請書類も作ることができた。


 魔道具職人のふたりからの推薦も必要ということで(これは王国と同じだね)クラウス先生が署名してくれ、もうひとりは学校の同僚の先生に声をかけて紹介してくれる。

 クラウス先生が紹介している途中で「モーリオン皇子だよな!」と気がついたようでびっくりされた。

 すぐに署名してくれた。


 王国は魔法研究所だけど、ミーアは警護局の中にその部署があるそう。

 皇宮に急いで戻り、警護局の建物に向かう。

  

 ウォロの皇子様効果もあり、即登録してもらえて、魔道具の申請もできた。

 治療が必要な人がいるのでと申し入れると、早急に対応してくれるという。

 

 そこにマキシムさんが来た。

「モーリオン皇子が妃を連れてきてると騒がれてるぞ」


 対応してくれてた職員さんがさらに緊張した顔をした。

「迅速に対応してやってくれ」

「はい!」


 いや、ちゃんと急いでくれてるって!

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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