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22 ミクラとジュン(前)

投稿は1日1回と言ってたんですが、日曜日にけっこうストックができたので、今日は午後の投稿もします!


変則的ですみません。

呆れずに最後までお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 入学して一週間が経った。

 今日は授業はお休み。私服で過ごしてOK。

 出かけたい子は許可を申請して外出もできるし、学校で自習したりのんびりしたりできる。

 今日は寮の7人でいつもよりちょっと遅い時間に食堂に行き朝食を食べた。

 この1週間、全員で朝食を食べることはなかったので(授業の初日の次の日から、早めの食堂にライトとティエルノは一緒に来たり来なかったり、エドワードとセレナは来ていない)、初めて全員そろっての朝食になった。


 私達3人は学校でのんびりすることにしていて、セレナ達は王都まで買い物に出るという。

「何か買ってくるものがあれば!」とセレナが聞いてくれたので考えてみたが思いつかなかった。


 オードリーは何かお勧めのお菓子を、ウォロは愛用しているノートがなくなりそうなのであったら買ってきて欲しいとお願いした。

 私は何もないや。

「ありがとう! でも、今、思いつかないや!」と私が言うとセレナと一緒にいたティエルノが笑った。


「ネモらしい」

「どこが私らしい?」

「家を出て1週間もしたら何が足りないとかあれが欲しいとか普通あるだろ!」

「ということは、普通じゃないのが私らしいってことか!」

 私はにっこり笑う。


「褒めてねーぞ」

「いやいや、それ褒めてるでしょ!」

「褒めてないって!」

 

 1寮で剣の授業を選択したのはティエルノ、エドワード、ウォロ、私だった。

 最初の授業で女性は私だけだと知ってびっくりした。

 普通じゃない認定はそこから始まったんだろう。

 思ったより初心者向けのトレーニングや授業から始まったので、ハロルドの稽古よりは全然楽だった。

 それを見て、ティエルノはちょっと私のことを仲間として認めてくれたような感じがする。

 

 ライトとは魔法属性が同じなので、魔法のことで話したり、一緒に試したりするようになり、だいぶ親しくなれたと思う。


 セレナとは普通に話すけれど、そこまで親しくなった感じはまだない。

 オードリーも同じように感じているそう。

 慎重な感じなのか、それともエドワードを気にしているのか。


 エドワードはまだまだ私達ミーア帝国の3人(私はミーア帝国出身じゃないけど)とは壁を崩そうとしない感じで、それにセレナは遠慮してるのかな?


 まあ、アリスとも近い関係だろうから、私の噂というかアリスやアンドレアスから直接いろいろ聞いてるかもだしね。

 

「そっちの3人は学校で何するんだ?」

 エドワードが聞いてきた。

「のんびりするよ。図書館にも行ってみたいし」

 ウォロが答えた。


 食堂を出て私達は図書館に向かう。

 図書館はとても広くて、私達はまず歩き回ってみることにした。

 それぞれが気になる本の場所や自習ができるスペースの確認など。

 それだけであっという間に時間が過ぎてしまい、私達は寮に戻ることにした。

 昼は食堂でサンドイッチの持ち帰りをお願いして食べるつもり。


 途中で庭でピクニックのようなことをしている生徒を見かけた。

 楽しそうだねとなり、私達も大きな木のそばの気持ちよさそうな場所のベンチを見つけた。

 寮からも近いので、オードリーが寮から飲み物を持って来る! とひとりで戻って行った。

 私も行こうか? と言ったら、すごい勢いで「大丈夫!」と言われ、行ってしまった。


 あれ、ウォロとふたりになれるように気を使ってくれたのか?

 ウォロは全然気が付いてないみたいだけど……。

 ちょうどよい、ちょっと話したいことがあった。


「相談いい?」

「何?」

「あの……ジュンのことなんだけど、実はね、ジュンの仕事がほとんどなくて。

 ミクラも似たような感じじゃない?」

「ああ、学校内ではほとんどだよな。で?」

「なので……ミクラもジュンも必要な時だけ来てもらうという感じにできないかな?」

「隣の従者棟から出てどこに?」

「……王都に家を借りたらどうかと思うんだ。

 どうだろう?」

「うーん、ミクラの仕事は?」

「王都でミーア帝国の仕事があればそれでもいいし、私の父の仕事を手伝ってもらってもいいだろうし。

 それで……、その……ジュンと結婚しないかな? と」


 ウォロがびっくりした表情をする。

「ジュンとミクラ? そういう感じなの?」

「うん、ミクラ、飾り紐つけてるでしょ。

 あれ、ジュンが作ったものだんだよ」

「これ?」

 ウォロが自分の飾り紐を触りながら言った。

 ウォロも私も今のところ制服の時には付けてないけど、私服の時は身に付けている。

「うん、だから、じゃないかな? と思うんだけど……。

 仕事らしい仕事をしないでここにいるの、ジュンにとってもいやだと思うんだよね。

 かといって、ダナンに帰ったらミクラと離れちゃうし……」

「ダナンの家にはハロルドが残ってくれてるんだよな」

「うん、あの家に住んでジョシュア兄様の仕事を手伝ってくれてる。

 だからジュンがダナン帰っても、ここと同じ感じなんだよね……」


「ミクラに話してみる」

「どう話すの?」

「まあ、ネモがそう言ってるけど、どうなの? って」

「じゃあ、お願いしたい。

 私からはジュンに聞けないし……」


 オードリーが戻って来て、3人でピクニック気分を楽しんだ。


 寮に戻り、私はオードリーに声をかけて、ジュンとシーラを誘い散歩に行くことにする。

 ウォロ、ミクラと話すの頼んだぞ!


 散歩から帰って、寮の前でジュンとシーラと別れ、オードリーと寮に入る。

 ウォロがひとり、リビングで本を読んでいた。

「おかえり。

 ネモ、ちょっと話できる?」

「うん、そっちの部屋に行くよ!」


 オードリーは自分の部屋に戻ったので、私はウォロの部屋に行った。

 寮のルールで異性の部屋に入った時にはドアを開けておくというものがあるけど、リビングに誰もいないし、ジュンとミクラのプライベートな話なので、ドアを閉めて話すことにした。

 

「で、ネモの言う通りだった。ミクラはジュンと結婚の約束をしてたよ。

 自分達が卒業する5年後にしようかと話しているんだって。

 やっぱり仕事が無さ過ぎて、ちょっと困ってるみたい。

 それが楽だと喜ぶ人もいるみたいだけど、ミクラもジュンもそんな感じじゃないもんな」

「じゃあ……」

「うん、ネモの話をしてみたら、いい考えだと言ってくれたよ。

 ネモのお父さんに連絡して相談してみよう。

 この王都にいるミーアの大使館にも手紙で相談してみる」

「じゃあ、お父様に手紙書いて、家を探すのと来週の休みに迎えに来てもらうことをお願いする。

 ミクラとジュンを連れて行ってみよう!

 ありがとうウォロ!」

 良かった。ずっとジュンのこと気になっていたんだよね。

 私がうれしそうな顔をしてお礼を言うと、ウォロもうれしそうに笑って、私の頬に手を伸ばしてきた。

 その時、ドアが小さくノックされて「帰って来る!」とオードリーのあわてた声が聞こえた。

 

 私があわててドアを開けに行こうとするとウォロが抱きしめて引き留めようとするので「寮のルールだよ!」と言って「オードリー、ドア開けて!」と声をかける。


 オードリーがドアを開けて、こちらを見てびっくりしてまた閉めようとする。

「違う! 開けておいて!」と私が言うと、オードリーがドアを半分開けたままにして戸惑っている。

「何してるの?」とティエルノ達の声がした。


 私はウォロの腕から逃れようとしながら「ウォロ離して!」と小さな声で言った。

「やだ、やっとふたりになれたのに……」

 そんなこと言われても……。

 ティエルノの顔がひょいとドアの隙間からこちらを覗いたと思ったら、ドアを閉めやがった。

「誰もいない。ウォロはどこ行ったんだ?」

 ん? 隠してくれたのか?


「このままじゃルール違反になる。

 ウォロ、窓から出よう!」

 そう囁いて、振りほどこうとするが離してくれない。

「じゃあ、この後、ふたりで外に散歩に行こう! 

 窓から出て一度、各自の部屋に戻るよ! いい!」

 そう言うとやっと離してくれた。


 窓を開け、ふたりで外に出て、外から軽く閉めておく。

 しゃがんでティエルノとエドワードの部屋の窓の下をこそこそ通り、玄関までたどり着く。

「このまま散歩に行ってもいいんじゃ?」

 ウォロの言葉に言い返す。

「オードリーとティエルノが心配してるから、一度戻ってから出直そう!

 あ、私だけでもいいか!

 ウォロここで待っててよ。

 私、忘れ物取りに来たと言って、すぐにまた出てくるから!!」


 私が玄関から入るとオードリーとティエルノがリビングにいて、びくっとした。

 ドアからこっそり出てくるかと思っていたみたい。本当にごめん。

 他のみんなは部屋にいるみたい。

 私は両手を合わせて拝むようにして「ごめん、忘れ物取りに来た! ウォロも外で待ってるから!」と言って、自分の部屋に飛び込み、とりあえず上着を手に持ってすぐに出て「すぐ戻るね!」と寮を出た。


 あー、久しぶりに冷や汗かいたよ……。


 ウォロと手を繋いで歩きながら話をした。

 ほとんど一緒にいるけれど、ふたりきりでということがなかったから寂しかったそう。

 あー、オードリーをひとりにはできないし、確かにそうだったかも。 

  

 今週はふたりだけで受ける聖魔法の授業もあるし、次の休みは王都に出掛ける予定だから頑張ろう! と慰めて励ました。

 なんでこんなこと言ってんだ、私。


 寮に戻ると、ウォロはティエルノの部屋にお礼を、私はオードリーの部屋にお礼を言いに行った。


「もう、共犯になっちゃいました!

 気を付けて下さい!

 ティエルノのおかげで助かったんですからね!」

 オードリーにも怒られた。


 ウォロのせいなのに……。

 でも、まあ、あっちでもティエルノに絞られてるだろうから、まあ許そう。

 ティエルノの方がこわそうだもんな。


 夜、お父様にミクラとジュンを学校から王都に出したいので、ふたりの新居となる家を探してほしいこと、次の休みにみんなを迎えに来て欲しいことを手紙に書いた。

 明日の朝、出そう。

読んで下さりありがとうございます。

ずっと気になっていたミクラとジュンの話です。

同時進行している学校の行事の話などもあり、前・中・後と3話分にもなってしまいました。


明日から、また1日1回投稿にします!

どうぞよろしくお願いします。



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