21 魔法の授業
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
今回は転生物に挑戦しています。
魔法の説明の所で好き勝手書いてますが、呆れずにお付き合いいただけるとうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
次の日の朝、学校の起床時間を知らせる鐘の音で目が覚める。
部屋の造りつけの洗面台で顔を洗い、制服に着替え、髪を結ぶ。
ドアがノックされ、ジュンが様子を見に来たが「もう用意できてますね」と笑う。
提出する書類や今日の時間割の教科書やノートの入ったカバンを背負い、ジュンと一緒に部屋を出る。
オードリーの部屋からシーラの声が聞こえた。
「今日はどのような髪型にしましょうか?」
なるほど、だから貴族令嬢にはメイドが必要なんだな。
リビングに出るが誰もいやしない。
「ウォロはちゃんと起きてるかな?」
「ミクラが起こしに行きましたが……」
私はちょっと待ったが、誰も来ない。
食堂に行くんだよ! 遅いじゃん、みんな!
あー、もう。
私は6号室をノックする。
ミクラがドアを開けてくれる。
ウォロがまだぼーとした顔をしてベッドに座っていた。
「おはようネモ……」
「おはようウォロ。はい起きて!
朝食食べに行くよ!」
私が顔を洗うのを手伝い、その間にミクラが制服を確認。
着替えようとしている時に「カバンの用意は?」と聞くと「これから」の返事。
私はあわててカバンに私と同じ時間割を揃え、書類を入れた。
「書類は書いてあるんだよね」
「うん、それは昨日書いた」
着替え終わったウォロとリビングに行くとオードリーがセレナと話をしていた。
「おはよう、オードリー、セレナ!
食堂行くけど、セレナはみんなを待つ?」
「おはよう、ネモ。エドワード様を待つわ」
「了解! じゃあ、先に行ってるね!」
ウォロとオードリーと食堂に向かう。
朝の空気が気持ちいい。
私は歩きながらうーんと伸びをした。
早めに入れたからか食堂も空いていて、すぐに朝食を受け取り、テラス席で食べることができた。
「この席、気持ちいいね!」
だんだん人が増えてきたが、混雑する前に食べ終え出ることができた。
教室に早めに入り、教科書を見て3人でおしゃべりしているとオーサム先生が来て書類を回収していった。
授業が始まる直前に4人が教室にあわてて駆け込んできた。
食堂混んでたからな。
「おはよう、ティエルノ」
前の席のティエルノに声をかける。
「おはよう、ネモ。混んでて遅れるかと思った……。
そっちはずいぶん早く出たんだってな」
「うん、食堂混むと思ったから。しばらくは新1年生全員食堂利用じゃん」
「そうか……。ウォロ、よく起きれたな?」
「あ、ネモに無理やり顔を洗われたから目が覚めた」
「無理やりじゃない。
ミクラ困ってたじゃん! 時間割も揃えてないし!
今夜から確認するからね!」
私達のやり取りを見ていて「まるで姉様みたいだな」とティエルノが笑った。
そうか! ダイゴの気持ちがわかった。
午前中は地理、歴史、魔法学の座学だった。
歴史が終った時にオーサム先生が4人の書類を集めに来た。
私達から集めないのを不審げにエドワードが見てくるので「私達は朝に提出しているから!」と伝える。
オーサム先生が「提出期限も評価に関わるから、気を付けるように!」と言って出て行った。
「なんだよ、点数稼ぎか?」とエドワードが言うので「そんなの知らないよ。朝、教室にいたら先生が集めに来たんだから」と答える。
悔しそうな顔をしている。
だったら、もっと早く寮を出ろ!
午後は魔法実技だったので1・2寮の15人が野外の実習場に集められた。
現在、どれくらいの魔法を使えるか確認するという。
面白いな。
同年代の子が魔法を使うのはほとんど見たことないし、ウォロやオードリーのMAX魔法ってどんなのか見たことない。
もちろん自分自身のも。
エドワードが呼ばれ、実習場の15メートル先くらいにある的を自分の属製の魔法で最大攻撃してみるように言われる。
ファイアを溜めてバレーボールくらいの大きさになったのを的に放った。
的が壊れ棒がしなり揺れる。
棒部分はかなり頑丈なんだな。
揺れが収まると的が元通りになった。
どういう仕組みだ?
その次にエドワードは自分の周りに竜巻を作ると一気に的へ放出する。
的の棒以外の部分が吹っ飛んだ。
火と風なのね。
的はまた少し待つと復活した。
物理的に復活してるのかな?
ここからじゃよくわからない。
次はセレナ。
セレナが腕を振る度に水の塊が的にぶち当たる。
すごい! 連続して15回ぐらい当て続け、的の部分が壊れた。
次はエドワードと同じようにファイアを溜める作戦のよう。
エドワードより少し大きいか?
バスケットボールくらいな感じ。
的にぶつけるとさらに爆発した。
爆発するのってかっこいいな。
水と火って珍しいんじゃない?
その次はティエルノ。
ストーンバレットでこぶしぐらいの石を5個出現させて放った。
おお、すごい!
的が壊れ、棒が折れた。
次にファイアを溜めずにいきなり放出。掌から火炎放射みたいな感じ。
おー、あんなふうにもできるんだ!
火と土か。
オードリーが呼ばれた。
オードリーは火と風だ。
ファイアはソフトボールぐらいだけど、すごく早く飛んで行って的に当たって爆発する。
エドワードとティエルノが「小さいな」とぼそっと言ったけど、どこを見ているんだ君達。
オードリーのファイアは君達のより高温でスピードと威力があったぞ。
風もウインドカッターだから見えにくいがちゃんと全部的に当たって壊している。
魔力操作が上手なんだな。うん。
ライトは水と風で私と同じだ!
バレーボールぐらいの水球をいくつか作りだすと打ち出す。
ウインドカッターはオードリーと同じ感じだった。
水より風の方が得意そう。
私が呼ばれた。
うーん、どうするかな?
水魔法の最大。
私は大きな水球を作ることにした。
どこまで大きなものを作ることができるかやったことがなかったから。
頭上にどんどん溜めていくとすっごく大きなものができた。
直径3メートルくらいかな?
もっと行けそうだけど、風魔法もしないとだから、これくらいにしておこう。
それを的にぶつけるけどすぐには壊さない。
試したいことがあった。
的を包んで水圧をかけた。
水の中で的がゆがんでめきめき折れたり縮んだりする。
ぎゅーとかけ続けて最後に両手を合わせて打ち鳴らすと的が消え水の球が壊れた。
ちょっと待つと的がまた出現した。
なるほど、実体がない的のようだ。
魔力や衝撃に反応して壊れていくように見えるんじゃないかな?
これは面白い。
風魔法は自分の周りに竜巻を作り出し、そこからウインドカッターを連続で放出させた。
竜巻の回転をかけているからさらにスピードと威力が上がるはず。
それを連続だから、途中で的がまた消滅したが最後まで的の辺りを攻撃してやった。
戻るとウォロが右手を挙げて迎えてくれたので、右手でタッチした。
ウォロも頑張れ!
ウォロは火と土なのは聞いているけど、攻撃魔法を見るのは初めて。
何やら聞き取れないほどの小さい声で詠唱していたかと思うと、的の周辺に突如巨大な炎が燃え上がり爆発した。
えっと、これはもしかして『マジカルフレイム』?
そんな技の名前が頭に浮かんだ。
もちろん的は瞬時に消滅。
的が復活(いつもよりは時間がかかった気がした)し、同じようにぶつぶつ詠唱すると、空から巨大な直径1メートルくらいの土塊が10個ぐらい現れ、的に直撃。周囲の地面もえぐれる。
『リュウセイグン』っぽいな。
ドラゴンタイプのポケモンか?
そうか、ポケモンの技って魔法名に応用できそうじゃん!
今更にして気が付いた。
「ウォロすごい!」「それって、古代魔法?」
私とオードリーだけがキャッキャとにぎやかにウォロを迎えた。
「うん、属性魔法に古代魔法をアレンジしてみた」
「すごい!! かっこよかった!」
「ネモのゆっくりじっくりと時間をかけて攻撃する魔法もかっこよかったよ」
ん?
言い換えると、とってもしつこいって意味にも取れるぞ。
その時、周囲が静かなことに気が付いた。
2寮の方から「やっぱり魔王……」というつぶやきが小さい声なのにやけに実習場に響いた。
そういや2寮のほうはどんな感じだったんだろう。
1寮より人数がひとり多いはずなのにもう終わっている……。
魔法実技のギーマ先生とユリアン先生があきれている。
やりすぎちゃったのか?
でも、最大でやれって言われたよね?
「はいはい、全員終わったね! 集合!」
ギーマ先生の声にみんなはっとして集まった。
「みんなのレベルがわかりました。初級から中級です」
「あれで中級ですか?」
ティエルノが思わずといった感じで聞いた。
「はい、中級です。
過去にはいきなり上級魔法をぶっ放して実習場を半分以上破壊した生徒もいましたから」
そんな生徒もいたんだ!!
じゃあ、やりすぎじゃなかったね。良かった。
「はい! では寮ごとに魔法の練習しよう!」
ユリアン先生がこちらに来た。
「火の属性の子が多いね。まず火からやりましょう」
あれ、私とライトだけ火ないけど。
しょうがないので見学参加だけしよう。
ライトと少し離れて先生の話を聞いていると炎をイメージして、言葉でさらにイメージを固めると言っている。
なるほど、炎か。
いろんな色の炎があってもいいよね。
手のひらの上にきれいな青い炎が乗ってるとかできたらきれいだろうな。
手のひらをじっと見てから、目をつぶりイメージしてみる。
名前はブルーファイアとか?
アイスファイアとかもいいかも!
あ、きれい! もっとキラキラさせちゃう?
頭の中だけで青い炎や火花を思い浮かべてたらライトの「ネモ!」とあわてた声に目を開ける。
自分の手のひらの上に青い炎が出現していてびっくりする。
「わあっと、あれ、なんで?!」
でも熱くない。
あれ?
どちらかというと冷たい。
ん?
「炎だけど、火魔法じゃないみたいだな?」
ライトが赤い瞳をびっくりしたように見開いて話しかけてくる。
「そうだね? なんか冷たい感じだよ?」
ちょうどユリアン先生が火魔法の説明を終えて各自の自主練に入ったところだった。
ライトとふたりで困惑しながら青い炎を見せに行く。
「炎を頭に思いうかべていたら、こんなん出て。
これなんですか?」
ユリアン先生が笑い出す。
「炎を思いうかべてこれを出したのか?!
これは氷魔法の一種だ。水魔法の発展形だよ。
これから座学で習うはず」
ライトと顔を見合わせ、ふたりでため息をついた。
「なんだよ、なんか危険なものかと焦ったじゃないか!!」
ライトがプンプンという感じで怒ったように言った。
「心配してくれたんだね、ありがとう、ライト」
「なっ……、そういうわけじゃ……」
「危ないと思ったらすぐ私から離れるでしょう。
そばにいてくれたのは心配してくれたんでしょ?
私もちょっと不安だったからうれしかった」
「ま、まあな。
でも水魔法なら僕にも出せるかもな」
「でも、これ、きれいだけど攻撃に使えるのかな?」
「確かに」
こうやって魔法について友達と話すのも楽しいな。
あ、まだライトは私のことを友達とは思ってないかもだけどね。
読んで下さりありがとうございます。
学校が始まってネモが感じていたことをこれから書き進めていく予定です。
その間にアリスとの関わりもだんだん出てきていろいろ忙しくなってきます。
どうぞよろしくお願いします。