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165 野営実習での出会い(前)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 花祭りが無事終わり、アルテイシアの復学慣らしも順調(?)だけど、3年は野営実習が5月中旬のこの時期にある。

 あー、剣術大会に向けて体力作りも初めたいとこだけど。


 3年の野営実習は2年の時と同じ自然公園だけど、3日間移動して、毎日、野営の場所を変えることになる。


 なるほど、体力も時間も大変そう。

 それに食材も工夫しないとだね。

 食材の追加注文ができ(というか注文しないと足りない。基本的なものだけ決められてる状態)、何を作るか、どうやりくりするかも求められてる。


 ライトとセレナと私で、日持ちする食材と現地で調達できる食材を考える。

 前回の実習で食べられる野草や薬草はかなり見ていた。

 課題にあった野草のほかに、炒めて食べられる野草、お茶の様にして煮出して飲める薬草などなど。

 主食にはならないけど、少しは使えそう。


 卵は常温でいけるから多めに。

 ジャガイモや玉ねぎなどの根菜や果物も多めに。

 パンも柔らかいパンと日持ちする堅パンと2種にした。

 乾麺のパスタを多めに。

 チーズも種類によっては常温で持つものもあるので。

 

 後、これはうちの寮だからできるけど……、ライトも私も魔法で氷出せます。

 氷で冷やすこともできるから、牛乳やハム、ベーコン、バターはもちろん、普通のお肉なども2日目ぐらいまではいけるだろう。


 ウォロの魔法陣の箱も小さいけど、あまり日持ちしない果物を入れて実験してみることにした。

 3日目に開けて食べてみることに。

 

 食事は特に心配なさそう。

 調理器具も必要最低限に工夫した。

 食器や毛布は各自持ちにする。


 移動は地図に指示があり、それを全員で移動する。

 体力の個人差もあるから……、そこをカバーしつつ、柔軟に行動しなきゃだね。


 水木金土の4日間。土曜日の午後に帰ってくる。

 水曜日の1日だけ、エリザベス、ルーシー、ネイサンにアルテイシアの教育係をお願いする。

 慣らしにちょうどいいかもね。


 出発当日、早朝の食堂で朝食と食材と調理器具など受け取り、ティエルノが地図と課題の指示書をもらってくる。


 食材がやはり前回よりかなり多い。

 パンなど軽い物からセレナ、オードリー、私と振り分けてくれた。

 調理器具はライトが管理。残ってる重い物はエドワード、ティエルノ、ウォロが分けてくれた。


 前回より1日長いだけなんだけど、けっこう荷物が多いと感じる。

 前回は防寒のためのかさばる物が多かったけど、移動しないから置いておけたしね。

 これを毎日移動はけっこう過酷だな。食べれば減るけど。

 

 今回は南入り口に馬車で連れて行かれた。

 そこから西の湿原に入り1泊。

 そこから東の森に入り1泊。

 最後に北の平原で1泊。

 これが私達の課題。


 なるほど。ギザギザ南から北へ縦断するコースか。

 最初の1泊目が焚き木を集めるのに苦労しそう。

 今回は逆に他の寮に出会わないようにという課題がある。


 なんだそれ、逃げろってか?!


 公園内に入ってから焚き木を拾い、野草を摘みながら西へ進む。

 合間に受け取っていた朝食を食べた。


 湿原に入るとうーん、乾いているところを探さないとね。

 これは厳しいな。前回ミカ達の寮がここだったっけ。


 乾いている場所を見つけてそこに設営を始める。

 前回は焚火とかまどと別に作ったけど、今回は焚火だけにした。

 片づけを簡単にするためと焚き木の節約になるし。


 スープを多めに作り、パンと昼食。

 夜はこれに野草とパスタを入れてスープパスタにするそう。


 一度火を落とし、ウォロとオードリーと焚き木を探しに行く。


 エドワードとティエルノは明日のことを話し合い、セレナとライトは先に少し休むことにした。


 視界はそこまで悪くないからはぐれる心配はないんだけど、やはり焚き木になる木が少なく、落ちてる枝も湿っている。


 拾ってきた湿っている枝を風魔法で乾かしてみる。

 んー、効率悪い。焚火のそばに風通しが良いように組み上げて積んでおく。


 戻ってくるとティエルノ達に考えを聞かせてくれと言われる。


 明日はここから東に向かうが、真ん中の平原をずっと進むことになる。

 見つかりやすさで言えば、とても見つかりやすい状態。

 見つけても遠ざかればいいわけだが、闇雲に動くといる場所を見失うこともあるから慎重に。


「時間帯をずらすか………」

 ウォロが言った。

 

 エドワードが頷く。

「そうだよな、早朝に移動を開始するか………」

 

 ティエルノが決意したように言った。

「他もそう考えてるかもしれないが、森に入れば、焚き木も多いし、慣れてる場所だしな。

 明日、日の出とともに活動を開始しよう。

 今日は早めに寝て当番始めるぞ。

 最初は今休んでもらっているセレナとライト。次にウォロとネモ頼んでいいか?

 その次に俺とエドワードがやる」

「私は?」とオードリー。


「オードリーは予備。

 明日、疲れている人と代わる。だから、今日はしっかり休んで」

「わかった!」

「ネモとウォロも先に少し休んでおけ」


 私とウォロは敷物の上に横になり、毛布を足元にかけた。

 けっこう歩いたからか、すぐうとうとできた。

 目が覚めると、もう夕方で焚火に火が入り、セレナとライトが夕食作りをしていた。


 早めの夕食を食べ、公園の中を見回すと微かに光る場所がある。

「あそこにどっかの寮がいるな」

 ティエルノが地図で確認している。

 向こうもこちらが見えて確認しているだろう。



 食べ終えるとまた横になる。

 さっき少し寝たのに、またすぐ寝られる私ってすごい!


 セレナとライトと交代した。

 焚き木がちょっと心許ない……。

 積んでおいた物から乾いてるのを選び、それ以外の物は乾かしやすいように並べ直した。


「最近サーシャおとなしいよな」

 ウォロが言った。

 

「うん、私にもエドワードにも絡んでこなくなった。

 オードリーにもね。

 あきらめたのか?」

「そう簡単にあきらめるとは思えないけど」

「心変わりしたのかもよ」

「うーん。ダリルともあんまり話せてないからな。

 アルテイシアの方もだいぶ順調みたいだな」

「うん、2-1寮に何回か行くこともできてる。

 今日はどうだったかな。うまくやれてるといいけど」


 エドワード達と交代して、少し寝る。


 最後の3時間はしっかり寝られなかった。


 朝の身仕度をして、朝食を食べる。

 一緒にサンドイッチも作ってしまい。各自で持つことにする。


 焚き木はギリギリ足りて良かった。

 焚火の後をしっかり消して、炭になったものは土魔法で穴を掘り埋めてもらう。

 

 東へと移動を始める。ティエルノが他の寮が動き出す前に! とけっこう強行軍で歩き、2時間ほどで東の森に到達できた。

 様子を窺いながら焚き木拾いを始める。


 戻るとエドワードが「少し前にたぶん3寮かな? 森から西に向かう姿が見えた。うまくすれ違えたみたいだな」と教えてくれた。

 

 ティエルノとウォロが森の中を偵察してくれているそう。

 戻ってきて、いい場所を見つけたという。

 なんと前に野営した場所だった。

 もう焚き木もかなり集まっていた。

 偵察しながら集められたみたい。


 サンドイッチをかじりながら、設営する。

 今回も土魔法でかまどと焚火と両方作り、あの大きな木の横に土魔法で階段を作ってもらった。

 魔法は打ち上がらないけど、焚火の場所を確認することがができれば、どこら辺にいるかわかるかも。


 今日はかまどがあるから、お肉も焼いたりして豪華に行くという。

 それは楽しみ。


 薬草のお茶を入れてみるが、エドワードとライトは美味しくないと言った。

 紅茶もまだあるからそれを入れ直す。


 根菜と野草の牛乳たっぷりシチューと焼いたお肉!

 かなり豪華だな。


 食べ終えて、木の上に登る。

 西の湿原の焚火は微かだけど確認できた。

 北と南は……、何となく明かりが見える、気がするかな?


 毎晩、東西南北にひとつの寮を配置している感じかな……。

 すると次は私達が北に行くから、北にいる寮がもし東の森に動いてくると出会う可能性がある。


 森の中を北に進んでそれから西に移動することに決まった。

 道の方をずらしたから出発時間は普通と思われる時間とした。


 今回の夜の番はセレナとライトを最後にした。

 最後だと長い時間を休めるから大丈夫とセレナが言ったので、オードリーはティエルノと交代することになった。

 ティエルノはリーダーだし、しっかり休んでもらわないと。


 エドワードとオードリーが真ん中当番。


 私とウォロが最初の当番だ。


 かまどの方、火を消しているがシチューの残りが鍋にあるので気になる。

「かまどの方も見張る? 食べ物があるから、気になるよ」

「そうだな、ネモ、光魔法でこの周囲警戒できる?

 午前中、ティエルノと探索していて、何かしらの動物の気配を感じたんだよね。

 小さかったから、危険な獣ではないと思うんだけど」

「わかった。かまどや食材の辺りを中心に光飛ばしておく」

 

 光魔法なので、近づけば自分の光の視界で何があるか見ることができる。


 確かに何か気配がある。

 ん、この子は?


「猫がいる」

「は? 猫?」

 ウォロが聞き返してくる


「野良猫?

 野生とか山猫ほど逞しくはない感じだけど……。

 しかも1匹だけで……。黒猫だから、捨て猫で公園に迷いこんだのかも。

 しかも私の光魔法に反応しているから、聖魔法がわかるのか?」


 私は思わず立ち上がる。

 ウォロが「待って」と私の腕を掴んだ。


「保護する気?」

「うん……、そこまでやつれたりしてないけど。

 もしついてくれば……保護して大丈夫かな?」

「うーん、ふたりの食料を分けてやるなら、反対されないと思うけど……」

「ありがとうウォロ」


 私は光魔法でその黒猫に呼びかけてみる。

『怖くなければ、こっちに来る?』

 黒猫が反応して光について来ようとする。


「おお、こっちに来るって」

 黒猫が反応した光だけこちらに呼び戻す。

 

 カサカサッと草を踏み分ける微かな音がして、緑の綺麗な瞳をした黒猫が顔を覗かせた。

「山猫じゃないな」

 ウォロが笑った。


 毛並みも良さそうで健康そうだ。

 私と目が合うと「ニャオウ?」と鳴いた。


 手のひらを差し出すと目をまん丸くして見てから、そろりそろりと近付いてきた。

「誰かの飼い猫さんかな? 公園に迷いこんだの?」

 私の手のひらのにおいをクンクンと嗅ぐとペロリと舐めて、頭をぐいぐいと押し付けてきた。

 あれ、この感覚……。


「君、闇魔法持ってる?」

 私の言葉にウォロがちょっと緊張したのがわかった。


「あ、本当だ、こいつ、聖魔法持ちみたいだな。特に闇魔法の方が強い」

「へー、じゃあ魔獣なの?」

「うーん、魔法が使えれば魔獣ではあるけど……」

 光魔法をかけてあげると気持ち良さそうにしている。

「光魔法を喜んでるけど……」

「聖魔法を使ってるという感じじゃないな? ただ持っているだけ?」

 ふたりで戸惑っていると私の足元で丸くなり寝てしまった。


「んー、悪い感じはしないけど?」

 ウォロが言うと『そうじゃな』とマッちゃんの声がした。


「わ、マッちゃん、わかる?」

『カイオーと感じが似ているな』


「カイオーと? だとやっぱり魔獣だけど、人を襲わないどちらかというと浄化を好む感じの子かな?」

『みたいだな。ネモの浄化の光が気に入ったようだ』


「ホウエンでも言われたけど、私って浄化の光が漏れてるの?」

『漏れてるってなんか変な言い方だな。

 浄化の光が滲み出ているというか……。ウォロにはわかるだろ、なんとなく普通にしていてもネモが光を纏っている様に見えるのが』

「ああ、わかる」

『そういうことだ』

「じゃあ、カイオーと同じで私を気に入ってくれたということか。

 このまま付いてきたら、カトレア先生とクラウス先生に見てもらって保護できるか聞いてみよう」

読んで下さりありがとうございます。

学校の単位で自然教育キャンプ授業があり、食材を夜中に野良猫に荒らされました。

朝起きたらホットドッグ用のパンが一袋、食材の袋から引きずり出されていて、袋の上から噛まれてぽつぽつと穴が開き歯形が付いていて、食べられませんでした……。

最終日まで風呂に入れなかったのもびっくり。その風呂も15分でほぼシャワーのみ。

今ではいい思い出です……。


これからもどうぞよろしくお願いします。

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