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162 アリスの結婚式

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 目が覚めるともう夕方になっていた。

「ごめん! 寝すぎた!!」

 私は慌てて、ウォロに謝った。


「大丈夫、まだ時間大丈夫だろ?」

 私はこくりと頷いて「はぁー」とため息をついた。


「ごめん、2時間くらい寝ちゃったか?

 外泊届を出してきて良かったね。じゃあ、行こう」


 病院のエントランスを出る時にマーリン先生に会った。

「まだいたのか?」

「はい、今まで寝ちゃってて………」

「そんなに疲れるのか? 聖魔法は?」

「あー、新年度を迎えたばかりということもあって、学校の方も忙しくて……」

「そうか、そんな時にすまなかった」

「いえ、原因がはっきりしていた症例だったのと、ウォロもいてくれたのでなんとか」

「ネモもウォロもありがとう。気をつけて帰れよ!」

「はい、クルトによろしく!」


 馬車に乗り込み、辺境伯爵家の屋敷に向かう。

 アリスは卒業後から王城で過ごしているのだが、今日は家族で集まり夕食を共にと予定していたのだ。

 ジョシュア兄様とマリアも来てくれることになっている。


 アリシア夫人は来ない。

 明日、アリスとお父様がお見舞いに行くそう。

 

 王都の辺境伯爵家の屋敷に着くとちょっと緊張した。

 あんまりいい思い出のない場所だからね。


 ハロルドが迎えてくれて、憂鬱な気分が一気に晴れた!

 私はハロルドに抱きついて喜んだ!

 ハロルドが抱き上げてくれてくるっと回してくれた。


「もう子どもの頃のようには行きませんな」

「あはは、次はエレインをたくさん抱っこしてあげて!

 もう会ったでしょ?」

「はい、最初は泣かれましたけどね」


 ウォロと一緒に中に進むとマリアとジョシュア兄様がいた。

「わ、マリア!!」

 私はマリアに抱きつく。


「ネモ、入学式ではほとんど話せなかったから。どう、学校は?」

「3年生になって忙しいけど、楽しいよ。アルテイシアは王城でどう?」

「教育係引き受けてくれてありがとう。

 とても楽しかったみたいよ。光魔法のことをたくさん学びたいと言い出して。

 ネモが大好きになったと言っていたわ。どんな手を使ったの?」

「えー、光魔法を掛け合って、どんな光なのか教えてあげただけだよ。

 アルテイシアはもともと素直だから……。

 私の方が、まだ、ウォロをアルテイシアに近付けたくなくて……、心にわだかまりがあるかも」

「そう、いいんじゃない。

 そう言われてウォロもうれしいでしょ」

 

 ウォロがにこりとする。


 ジョシュア兄様が「ウォロ、部屋に案内する」と言った。

「ネモは?」

 ウォロが少し慌てて言った。

「さすがに、同じ部屋には泊められないだろう!」

 兄様が憮然として言った。


「大丈夫よ、ネモは私とアリスと同室だから」

 マリアの言葉に残念そうなウォロ。


 部屋に通され、私用に用意されていたワンピースに着替えた。

 

 食事中、アリスから式の予定や準備の進展具合を聞いた。

 王城での生活も楽しくやっているみたいだ。


 食事後、それぞれの部屋に引き上げた。


 ネモとウォロは式だけの参加でいいのかとアリスに聞かれたが、月曜日は学校だし、次の週は花祭りだし……。

 そう言うとアリスも納得してくれた。


「そうね、花祭りはネモも忙しいものね」

「あ、今回は付き添いやらないよ」

「えっ? じゃあ女神?」

「女神もしない。スタッフとして参加することにした」


「じゃあ、来年、女神を?」

「いや、お父様に相談だけど……、考えてることがあって、女神もやらないつもり」

「何?」

「えっ、後でお父様に言うよ」

 

 話を聞いていたマリアが言った。

「もしかして、結婚するつもり?

 ミーア帝国だと16歳で結婚できるものね」

 マリア、鋭い。


「ああ、うん、まあ、そんなとこ。

 だけど、学校はやめたくないから、届けだけ出すのは可能か、学校にも相談するつもり」

「そう、学校はちゃんと卒業して欲しい」

「あ、まだ陛下には言わないでね! マリアも!!」


 マリアとアリスが顔を見合わせ笑った。

「わかったわ」とアリス。

「本当に用心深いわね、ネモは」とマリア。


 マリアも兄様と婚約という話になっているそう。

 今年中には婚約発表をし、文官の仕事も続けたいので、式はまだ未定だと言う。


「でも、ネモみたいに手続きだけしてしまうのもありよね……」

 あら、マリアもいろいろ考えてるね。


 3人で温室に行く。

 お父様が温室の整備にまた力を入れるようになり、花いっぱいの素敵な温室になっていた。

 

 お父様とウォロと兄様も来ていて、みんなでお茶を飲む。

「ネモ、ここは君の実家でもあるのだから、もっと遊びに来てくれよ」

 兄様に言われた。

「いつもはミーアの大使館に入り浸っているようだが……」

 兄様、一言多いです。


 次の日、兄様はマリアを王城に送っていき、アリスとお父様はアリシア夫人のお見舞いに出掛けた。


 私達はハロルドに話して、庭で花降らしの実験をすることにした。


 上空にウォロが『花びらの舞』と呼ばれる古代魔法を発動し、花びらが渦を巻いたところに逆方向の風になるように風魔法の竜巻をぶつける。


 桃色の花びらがひらひら降ってくる。

「きれい………」

 しかもふんわりといい香りがする。


「良さそうだな」

「うん、危ないこともなさそう!」


「……昨夜はお父さんに結婚のこと相談できて良かったな」

「うん、びっくりしてたけど、学校が許可を出してくれればいいって言ってくれて良かったね!」


 そこに兄様が帰って来て「学校に送るよ」と声を掛けられた。


 日曜日の夕方、ランスとアルテイシアが学校にやって来て、また3日間が始まる。


 火曜日の昼、昼食で食堂に行き、エリザベス、ネイサン、ルーシー、セレナ、ライトと合流すると、アルテイシアも2-1の3人も緊張した顔をしていた。


 エドワード達が隣のテーブルにいて、席を見てくれてるからとみんなで食事を取りに行く。

 全員同じくらいのタイミングで席に戻れ、食べ始めようとした時、アルテイシアが言った。

「ルーシー、エリザベス、ネイサン、今までごめんなさい。

 ひどいことをしたのに、こうやって一緒に食事してくれてありがとう」


 エリザベスが言った。

「うん、まだ許したわけじゃないけどね。

 セレナやネモから、今のアルテイシアのことを聞いて、会って話をしてみようと思ったの。

 これから、ね。

 お互いのことをよく知ってから、どうするか考えましょう」

「はい。私ももっとエリザベスやルーシーのことをちゃんと知りたい。

 よろしくお願いします」


「俺は?」とネイサン。

「あ、ネイサンも。よろしくお願いします」

「ま、俺はおまけだけどな」

 ネイサンが笑って場が和んだ。


「では頂きます!」

 私が言ってみんなで食べ始めた。

 ミカがネイサンと話をしている。

 ルーシーとセレナが一緒にアルテイシアに話しかけ、エリザベスがそれに参加している。


 うん、アルテイシアの方はだいぶいい感じなんだけど……。

 サーシャが何かまたしでかしそうで……。


 昼食を終え、私達はそのまま2年の教室まで4人を送った。

 ランスが次の見守り当番らしく引継ぎをすると「いい感じじゃん」とこそっと言ってきた。


 その週末の土曜日、私とウォロは王都教会に来ていた。

 エドワードも一緒。


 アンドレアスとアリスの結婚式に参列し、そこからアリスとアンドレアスはパレード用の馬車で王城の周囲を一周して国民から祝福を受ける。


 馬車が走り始めるとすごい歓声が外から聞こえる。

 見送ってから、教会の庭へ移動した。

 エドワードにもこれからすることを説明した。

 急に魔法を始めたらびっくりすると思ったから。

 

 最初にウォロが花びらの舞を上空に展開、私が逆方向竜巻をぶつける。

 

 パレードの馬車や集まった観衆に花びらが降り注ぐ。

 

 そこから城を通り抜け、反対側に出て、そちらでも、花びらの舞、そして今度はエドワードの風魔法で花降らしをした。


 庭に来ている子ども達が大喜びで降る花びらを追いかけ、キャッキャと飛び跳ねている。

 観衆も笑顔で喜んでくれている。


 アリスが花びらを手に受け止め、胸のあたりにぎゅっと握り込んだのがわかった。


「お幸せに~!!」

 私は大きな声で叫んだ。

 

「成功だね。これなら花祭りでもできるね」

 私の言葉に驚くエドワード。

「もしかして、これ、ぶっつけ本番?!」

「いや、練習はしたよ」

 私が言うと安心したように笑った。

「いや、王族の結婚式が実験とか、ないからな?!」


 式だけの参加にしていて本当に良かった。

 エドワードも私達と一緒に式だけで帰ったんだけど、パレード後の夜の披露パーティーではエドワード目当ての令嬢がたくさん出席していたんだって。

 サーシャもいたみたいで……。


 月曜日の朝、ランスにそう聞かされて胸をなでおろした。


 でも、サーシャは面白くないだろうな……。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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