17 ウォルフライト王国への帰国
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。
今回は転生物に挑戦し、長く書き続けることをやってみようと思ってます。
そのため、ゆっくりと書き進めていますので、お付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
飾り紐が大流行しているミーア帝国皇宮。
私はもう2本、青と金と銀の明るい色で飾り紐を作り、黒い飾り留めのをウォロにあげ、青い飾り留めのはお揃いで私のにした。
私の髪入りのは失くしたら怖いから、大事な時だけ身につけるようにしているみたいだったので、普段も使えるものをと思ったから。
私の誕生日もウォロの誕生日も過ぎた。
もう私とジョシュア兄様の帰国の日だ。
結局、メイリン姉様からお誘いはなかったので、良かったような残念なような……。
帰国前日、マリヤム宮に皇帝陛下が来られ、私とジョシュア兄様に挨拶してくれた。
パーティーを開いてくださったこと、楽しく滞在させていただいたことのお礼を伝え、これからもよろしくお願いしますと伝えることができて良かった。
夜、部屋の片づけもすっかり済んで、後は寝るだけという時、ウォロが来た。
片付けられた部屋を見て寂しそうな顔をする。
「次会えるのは、魔法学校だといいね」
「テストは別々だけど、学校に行く時にはダナンを通るから一緒に行こう!」
「うん、ふたりともまずは合格しなきゃ! 頑張ろうね!」
ミーア帝国に試験官が来て入学テストが受けられるのだそう。
いいな。私は王都まで行かなきゃならない。
「夏、またダナンに行きたいけど……、ちょっと無理そう。
手紙書くから……」
「わかった。無理しないで。
私も手紙書くからね」
その時、ドアがノックされダイゴが入ってきた。
「帰国の準備はできた……っ、あ、ごめん」
「何が?」
私が聞き返すとウォロを見て「別れを惜しんでたんだろ」と言った。
「いや、そこまでは」と私が答える。
「えっ?」
ウォロがびっくり顔になる。
「だって合格すればその後5年も一緒だし、もし不合格でも13歳からミーアの学校で一緒だし。
もう楽しいことしかないでしょ?」
「……そうか。そうだな!」
ウォロも笑顔になった。
「そうか、僕は先のことを考えると寂しいよ」
ダイゴが帯につけたオードリーからの贈り物の飾り紐に触れた。
「魔法学校に会いにくればいいじゃない!
ウォロとオードリーと私に!
長い休みにはダナンかミーアで4人で過ごそう!!」
「うん、そうだな。楽しみだ」
ダイゴの顔にも笑みが浮かんだ。
「もう用意はできてるから、明日の朝、出発できるよ」
私は元気よく言った。
次の日の朝、ウォロとダイゴとミクラ、そしてオードリーが皇宮の門まで見送ってくれた。
ミクラの帯に飾り紐がある。
私はジュンを見た。
うれしそうな顔をしてミクラを見ている。
そうか、そういうことか!
私もうれしくなった。
◇ ◇ ◇
無事にダナンに着き、ジョシュア兄様は屋敷で荷物の整理をしたら、すぐに王都に報告に行かなくてはいけないそうだ。
大変ですが、よろしくお願いします。
私は家に着くと、自分の部屋の窓を開けた。
「ただいま!」
荷物を取り出して戻すものは戻し、新たに増えたものはどこにしまおうか考えた。
ダイゴがミーア帝国の貴族や職種などの資料をまとめたものをくれたので、それを机の上に置いた。
オードリーがミーア帝国の文化についての本をくれたのでそれも机の上に。
今度行く時はちゃんと勉強しておいて、もっとわかる様にしておかなきゃ!
ミーア帝国ではさぼってた剣の稽古もがんばるぞ!
◇ ◇ ◇
1月中旬、魔法学校から入学テストの招待状が届いた。
私はダナンにいてくれたお父様とすぐに王都に向かい、1月末に到着。
王都の屋敷ではなくホテルに宿を取ってもらった。
2月1日、お父様に付き添われて魔法学校に到着し、控室で別れて、ひとりでテスト会場に入る。
入学テストは魔力量の測定と面接だった。
測定では風と水の魔法属性で魔力量は多いほう。聖魔法も使えることが証明された。
面接ではこれまでどのような魔法の訓練をしていたか、発動できる魔法はあるかなど聞かれた。
風と水の基本的な魔法なら使えることを話すと、ではこのコップに水を入れられるか? と言われた。
それなのにコップをこちらに渡してくれない。
魔力がどれくらいコントロールできてるか見たいんだな。
私は指の先に水を集めて強めの風魔法でコップに飛ばそうとして、やめた。
そのまま空中でいくつかの小さい球にして、そっと弱い風でコップの上まで運び、入れることにした。
その方がコップが倒れる恐れもないし、水も跳ねて飛び散ることもない。
細かいコントロールができることが証明できるし、確実かなと思ったから。
入学してからの希望は? と聞かれたので、聖魔法の勉強をしたいこと、剣の授業を選択したいことを伝えた。
そして現在、ミーア帝国第3皇子と婚約中であることも付け加えた。
試験会場から出てくると、そこにアリスがいた。隣にいる黒髪の男性は第1王子、かな?
「エミリア、久しぶり。会えてうれしいわ」
「アリス姉様、ありがとう。
私も魔法の勉強ができるのを楽しみにしてた」
私はにっこりと微笑んだ。
「ミーア帝国の皇子と婚約しているんだって?」
第1王子(?)が急に聞いてきたので、ちょっと驚いた。
自己紹介とかしないのか?
「はい、去年の春に正式に婚約しました」
「何でミーア帝国の皇子と?」
「辺境伯爵領のダナンに皇子が観光に来ていて知り合いました。
最初はお互い身分を明かさずに知り合ったのですが、お互い好意を持ち、身分を打ち明け合って父に許しを得て、ミーア帝国の方から婚約を申し込んでいただきました」
「じゃあ、本当に自分達で決めた婚約なんだな?」
「はい、そうです」
「アリス、君の言ってたことと違うようだが?」
「第3皇子にも聞いてみないとわからないでしょ?!
この子は噓つきなんだから!!」
私はアリスの言うことがわからず首をかしげる。
「第3皇子もミーア帝国で魔法学校の入学テストを受けてくれています。
一緒に入学できたらいいねと話していましたから。
入学できましたら、その時に聞いてみて下さい」
丁寧にお辞儀すると立ち去った。
アリスはなんて第1王子に話してるんだろう?
私が無理やりとか騙したとかかなぁ?
まあ、もうどうでもいい。
あまり関わらないようにしたい。
控室でお父様と合流する。
「アリスに会ったよ。黒髪の男の人と一緒だった。
第1王子かな?
ウォロとの婚約のことを聞かれて、答えたら、アリスに嘘つきって言われた」
「大丈夫か?」
「うん、大丈夫。お父様には申し訳ないけど、アリスとはできるだけ関わらないようにしたい……」
次の日の朝、お父様がホテルに来て入学許可書類を渡してくれた。
準備する物や学校に前もって送るもの、その方法。
制服について、そして入学式の日時が書いてある。
入学式は4月1日午前9時だった。
「ダナンに戻り、ウォロと連絡を取って、3月下旬に王都に来ます」
「わかった。この書類の写しは取ったから。
ミーア帝国にも急ぎで合格したことの手紙を出しておいたよ。
とりあえず制服だけ、今日一緒に作りに行っておこう。
後の物はウォロの合格が確認出来たら揃えておく。
学校に送る物も期日までに送っておこう」
「どうもありがとう。よろしくお願いします」
お父様は私の頭を撫でて「エミリア、合格おめでとう」と言ってくれた。
「大きくなったな。
もう頭をこうやって撫でるのも最後だろうな……」
制服だけ作りに行くとデザインがいくつかから選べた。
アリスはスカートが短めのかわいい感じの着てたな。
あれは絶対やめておこう。
見ていくと女性もスラックスというダナンで私が着ていたみたいなズボンみたいな制服があった。
「これがいい!」
お父様が苦笑する。
「剣の授業も取るつもりだから。動きやすいほうがいい!」
お店の人に相談すると、上着を長めの物と短めの物の2種類用意しておくと気候や気分に合わせて楽しめるというのでそうした。
また選んだ上着に合わせられるスカートもあるから、1枚だけ用意しておくことも勧められ、長めのスカートを1着追加。
後のシャツ(長袖・半袖)とか靴下はお勧めの枚数だけ用意してもらうことにした。
靴は華美でなければ自由とあったので、サイズもあるし、直前にダナンで買うことにした。
「お嬢様は背も高いですし、スラックスの制服がとても映えますわ!
ブラウスではなくシャツを選んだところなんか、女性歌劇の男役みたいです!
素敵ですよ!」
店員さんが褒めてくれた、んだよね?
私はその日昼にダナンに向けて発った。
◇ ◇ ◇
私がダナンについて1週間後にミーア帝国からウォロもオードリーも合格したと手紙が届いた。
3月上旬にダナンに出てくるという。
楽しみだ!!
ジョシュア兄様に知らせてお父様にも知らせてもらうように頼んだ。
さあ、いよいよ!
アリスがどう出てくるかわからないけれど、私は自然体のままでいればいい。
ウォロがそばにいてくれれば、きっと楽しい。
読んで下さりありがとうございます。
やっと魔法学校に入学が決まりました!!
次も頑張ります!