157 マイベルの入学式
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
「すごいな、転移魔法陣! ラボから来たんだろ!」
ティエルノに言われて頷く。
「ほら時間ないから!」
ミカに言われてリビングに集まる。
「誰が説明する? ネモ? ウォロ?」
「何のことだ?」とエドワード。
「ネモが泣いてたこと」とミカ。
ミカが見回して続けて言う。
「なら俺が言っちゃっていい? 訂正あればその時言って。
えーと、ネモがサーシャと言い合いして、嫌い! って叫ばれ泣いた。
そうしたら、サーシャが本当は好きだからって言ってきて、ウォロから強引にネモを奪って、キスした」
「えっ?」
エドワードが立ち上がりかけるがミカが手で制して続けた。
「ウォロは突然のことで棒立ち。
ダリルが駆けつけてネモとサーシャを引き離す。
サーシャがネモが好きだったとカミングアウト。
エドワードを追いかけていたのは親の命令。
でもエドワードと仲良くなればネモとも仲良くなれると。
簡単に言うとこんな感じ?」
「う、うん、そうだね」
私は笑ってしまった。
シンプルにすればこんな簡単な事なのか。
「ネモはサーシャを振って、断った。
そしてエドワードにそんな理由で近づかないでと話したそうだけど、ならネモが相手をしてと言われて悩んでる。
悩むなって、嫌なら嫌って言え!
躊躇するから付け込まれんだよ」
ミカ、お怒りですね……。
「この場合、サーシャが女だと思うから難しくなる。
実際、ウォロは殴りたかったけど殴れなかった。
性的志向を隠している人もいるけど、サーシャはダリル、ネモ、ウォロがいる所でばらしているから、そうでもない。
ネモを守るために2、いや、3-1で共有するけど他の人には言わない。これがルールでいいか」
みんな頷いた。
「エドワードはどうする?」
「えっ?」
「サーシャはネモが言えないと思ってるから、アピール続けてしてくるよ」
「えっ? どうするって……」
「今まで通りスルーでいいと思う」
「……おう」
「ウォロは知っているんだから、ネモを守る。
触らせんな」
「……わかった」
「ダリルは……。今日のことを聞かれるかもだけど、ウォロが怒ってたとだけ言っとけ。
次は容赦しないと」
「ああ」
「後のみんなは理由は知らないけどネモをなんとなく守るって感じで。
相手が女子だからって油断しない。それだけ。
ネモもね、油断しない。
ウォロがついて行けない所はオードリーとセレナといる」
みんなで頷く。
「そんなんでしばらくは何とかなるんじゃない?
また局面が変わったら、その時考えよう。
じゃ、ネモ、またラボまで送ってくれる?」
ウォロもついてきてくれたので、ダリルとミカとラボから出て、3-1寮の夕食を食堂でテイクアウトしてくることにした。
「ミカ、ダリル、ありがとう! じゃ、明日、生徒会で!」
食堂前でミカとダリルと別れ、夕食を受け取り、寮に向かって歩いていると、エドワードとティエルノが前から来た。
「おーい! 迎えに来たぞ!」
手を振ったと思ったら急にティエルノが走って来た。
ウォロが抱えている物を受け取ると「後ろ、サーシャが来てる」と囁いた。
「エドワード! ネモのを持ってやれよ!」
振り向いてエドワードに叫ぶ。
その間にウォロがさりげなく私の後ろに立ってガードしてくれた。
そうなるとサーシャの狙いはエドワードに切り替わるわけで。
「エドワード様! あの、寮の男子が手伝ってくれなくて、お手伝いしていただけないでしょうか?」
声をかけてきたサーシャともうひとりの女子が重そうに運んでいる。
ティエルノがため息をついて、抱えた物をエドワードに渡して「俺が手伝うよ」と2寮の方へ行ってくれた。
ウォロが私の持っていた容器を持ってくれた。
◇ ◇ ◇
とうとう入学式当日。
私達はミカの作戦(?)通り、何とか過ごしていた。
入学式も3年なので受付から昇格して、会場の確認や1年生の誘導などをしていた。
マイベルと今年のもうひとりの留学生メラニーが一緒に来た。
今年は女子ふたりで1寮なのは確認済み。
メラニーは4年生の留学生太守令息のギエンの妹だそう。
兄妹でなんて優秀な! あ、ウォロとマイベルもそうか!
入学式後にウォロとオードリーと一緒に食堂に向かう。
ギエンとマイネが席を取っていてくれた。
4年のマイネとギエン、3年のウォロとオードリー、おまけの私。2年のヘレンとキョウ。
そして1年生のマイベルとメラニー。
ミーアから毎年きちんと留学生が来てるのすごいよね。
私達は昼食を食べながら、学校の授業や魔法についての話をした。
メラニーは聖魔法持ちだそう。
聖魔法の授業では一緒だねと言うと、心強いです! と言われた。
解散してから、私とウォロはラボに向かった。
実は魔法陣の話を聞いた陛下がどうしても見たいそうで……。入学式に参加しがてら来たんだと。
陛下が入学式に来賓で来るの初めてですよね?!
寮の方はエドワード達が待機しているはず。
少しするとカトレア先生とクラウス先生、ギーマ先生、学校長、陛下とマリアとランスが来た!
マリアは久しぶり!! ランスは1カ月も経ってないか。
ウォロが説明して、私が本を数冊積み上げ魔力を流すと本が消える。
次に私が立って魔力を流す。
景色が溶けてウォロの部屋に転移した。
ウォロの部屋からはエドワードが入りラボに転移して行った。
『成功じゃ。当たり前だがな』
マッちゃんの声がした。
『ランスが来るぞ』
ランスが来た。
「おお~、この部屋懐かしい~」
違うことで感動してますけど?!
『陛下も来るぞ』
「陛下も?」
私が驚いていると陛下が現れる。
「おお~、すごいな!!」
「魔法陣からすぐ出て下さい!」
私に注意され、それもうれしそうにしている。
エドワードが転移してきて「ランスと陛下、戻るよ!」と言った。
最後に私がラボに戻り、実験はおしまい。
マリアもやりたそうだったけれど、また今度ということにした。
私達、午後授業だしね。
「王城にもあれ作ってくれ!!
それから、アンドレアスとアリスの結婚式も3週間後だ。
ネモとウォロは参加してくれるんだろ?」
「はい、家族として式だけ参加します」
私が答える。
陛下とマリアは馬車に乗ったんだけど、ランスは乗らない。
「ではランス頼んだぞ!」
陛下の言葉に「承りました!」とランスが言って馬車を見送る。
「なんでランス帰らないの?」
私の問いにニヤッと笑う。
「王城と魔法学校の連絡係に任命されてね。
週の半分はこっちにいるから。クラウスの隣に部屋貰えたし」
「卒業したのに……学校にいるって……」
ウォロが驚いている。
「というわけで、何かあったら相談したまえよ! 学生諸君!」
「3-1寮に入り浸るわけじゃないだろうな……」
ウォロの言葉に笑うランス。
「あ、転移魔法陣でいつでも教職員棟と行き来できるな! よろしく!」
読んで下さりありがとうございます。
次の話で、あ、このまま進んで大丈夫そうとなり書き直しはしないですみました。
良かったです。
これからもどうぞよろしくお願いします。
 




