153 2年の終わり
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
冬休みもあと3日で終わる。
ウォロとオードリーにもう冬休みも終わっちゃうから、どこかお出かけしようと提案する。
オードリーが前にダイゴとデートした美術館に行きたいというので、買い物をしてから美術館に行って、昼にレストランで食事して、ミーア大使館に泊り、次の日にジュンとミクラの家に寄って学校に帰ることにした。なのでシーラも一緒に行くことにした。
文房具屋やお菓子屋、本屋と行きたかった店を回り、予約したレストランで昼食を食べた。
ウォロがいるから大丈夫だろうとは思ったけれど、個室を予約しましたよ。
美術館では、オードリーが気を使ったのか、シーラと回るからウォロとゆっくりね! とふたりきりにしてくれた。
ウォロとゆっくり絵画を観て回る。
ウォロと絵の感想を言いながら歩くのはとても楽しかった。
私がくすっと笑ったので「何?」と聞かれる。
「うん、なんかすごくデートっぽいなと思って。ウォロと恋人らしいことしてんなぁと思った」
「恋人でしょ?」
「あ、まあ、そうなんだけど。
あんまり、こういうデートらしいデートってしたことないかも」
「そうかな? 前は遺跡とか、遺跡とか……。馬に乗ったり……。買い物?
あ、そうだな。ふたりだと、あんまり……、かもな」
「うん、貴重なお時間だね」
売店でお互いに気に入った絵の絵葉書を買ってから、喫茶室に行くともうオードリー達がお茶をしていたので合流する。
オードリー達はまだ買い物をしたいということなので、ミーアの馬車はオードリー達に使ってもらうことにして、私とウォロは王都の街を歩きながら大使館に向かうことにする。
王都の大通りではまだ年明けのお祝いな感じが残っていて、出店が出ていたりと賑やかだった。
私はウォロにしっかりくっついて(はぐれないように腕にしがみついてた)出店を覗いたりして、楽しかった。
ウォロも楽しんでいたようで良かった。
ミーア大使館に到着して、魔道具やフープの話するかなと思い「ウォロの部屋で魔道具の話する?」と聞くと「ネモの部屋に行きたい」と言われた。
えっと、まあ、またしばらくは寮で過ごすから……。
「前は自分の部屋で、ネモが部屋に帰るの大変だったでしょ……」と言われる。
えっと、まあ、それはそうなんだけど……。
「じゃあ、そうしようか。荷物置いたら来なよ」
私は自分が使わせてもらっている部屋に向かった。
部屋はもう暖められていて、コートを脱いで買ってきたものを机の上に置く。
お茶の用意をしていたら、ウォロが来た。
「今、お茶入れるね!」
「後でいいよ」
抱きしめられてキスされる。
「大丈夫、嫌な事はしないし、ちゃんとわかってるから」
「うん、ありがとう。ウォロ、大好き」
私はウォロにソファに座ってもらい、膝に乗ると頬を両手で包んで自分からキスをした。
◇ ◇ ◇
次の日はジュンとミクラの家に行き、エレインと遊んだ。
ハイハイをしだしていて、ハイハイで近づいてくる可愛さの破壊力たるや!!
もう、かわいくてたまらんし!
最初、ウォロを見て泣いたけど、帰る頃にはすっかり慣れてウォロに抱っこされるのが気に入ったみたい。
「かわいいな~」
ウォロもデレデレしていた。
そうだろう。赤ちゃんは無敵だ!
2年生の3学期が始まった。
5年生は卒業後の進路のため、就職のための試験や資格試験に追われている。
私達は孤児院のボランティアの方を私達以外にも中心に動いてくれる人を育てないと! と話し合い、1年生のボランティア登録者に積極的に働きかけていくことにした。
エドワード目当ての登録者もいるが、エドワードが参加を控えたことでその目的の人も参加しなくなっているのでわかりやすい。
活動を続けてくれているリストの中にミーアのキョウとヘレン、それにエリザベスとネイサンもいてうれしくなる。
アルテイシアは登録しながら結局一度も参加していないが、レイモンドは私がいない時も参加してくれてたそう。
そろそろエドワードも行けそうと考えていたようなのだが、アンドレアスとアリスの結婚のニュースに刺激され、親から発破かけられた令嬢もいるみたいで、また、エドワードの周囲がなんとなく騒がしくなってきている。2年のサーシャの猛アタックが始まったのも、きっとそのせいだろう。
オードリーとアリスが流してくれた噂『エドワードのタイプはおしとやかな女性』というのがもう効力を失っちゃったらしい。
1月末にミーア帝国での入学試験が行われていて、無事にマイベルは合格!
大使館から入学が決まったことを教えてもらい、私達は喜んだ!
3月中旬にはダイゴとこちらに出て来るそう。
楽しみだな。
ウォロとはフープについて話ができ、座標のことをマッちゃんに聞いた。
マッちゃんが言うには自分でも座標は作れるのだそう。
0地点を決めて、そこから東西南北にどれくらい移動するかを決めればいいのだそう。
へー、でも、それだとピンポイント移動は難しいと思ったら、その場合は、自分で時間がある時に座標づくりをして簡略化しておくといいのだそう。
よく使う場所は細かい座標を記号に置き換えて覚えてしまっておけばいいというわけだ。
フープを使わないといけない時にすぐ使える(でも、このフープはマッちゃんが許可した時しか使わせないと言われてるから、事前に練習できない)ように、魔法陣を使った転移魔法の座標作りをしてみるか?!
でも、かなり時間と労力がかかりそうだぞ……。
まず、人が移動できるくらいの大きさの魔法陣での移動を考えてみようということになり、実験することにした。
魔法陣が何かに邪魔されない(上に物を置かれないとか)ことが必要なので、私かウォロの部屋からラボまでというのと考えてみる。
魔力を流すぐらいの設定とすると、間違えて私の部屋に転移して来ちゃう人が出てくるかもということでウォロの部屋にすることにした。
一応、カトレア先生、クラウス先生、レイモンドに話をして、ラボの方はその空間を囲って魔法陣の上に物を置いたりしないようにした。
マッちゃんがアドバイザーなので大丈夫と思うけれど、物がきちんと転移できたのを確認してから初めてウォロが使う時はドキドキしたよ。
私とオードリーがウォロの部屋から見送る。
魔法陣に入りウォロが魔力を流すと、魔法陣が光って、ウォロの姿が消えた。
ラボに無事に着いたんだよね?
少し待つとまた魔法陣が光って、ウォロが戻ってきた!
「成功!」
ウォロが笑っている。
次は私が入り魔力を流す。
魔法陣が光り、周りの景色が溶けていく不思議な感じがした。
そして溶けていた景色が元に戻るとそこはラボだった。
「わ、すごい!! 本当に転移できた!!」
『当り前じゃろ。転移魔法陣なんだから!』
マッちゃんの声が聞こえた。
魔法陣から出ると、また魔法陣が光り、オードリーが来た。
その次にウォロが。
全員、何の問題もない!
「景色が溶けるのきれいだね」
私の言葉にカトレア先生が「やりたい!」と言う。
「向こうに誰もいない状態になってるので、少し待って下さい」とクラウス先生に止められる。
「自分が戻ります」とウォロ。
「無事着いたってマッちゃんに伝えてもらえば、ネモわかるだろ」
「そうだね!」
ウォロが転移すると『無事着いたぞ』と連絡があった。
これから連続で3人行くから! と伝えて!
『これから3人行くから、よろしく』とマッちゃんが伝えてくれる。
カトレア先生、クラウス先生、レイモンドも転移してみた。
『無事着いたぞ』
すごい!
大成功じゃん!
『ネモとオードリーも戻って来いと』
ラボの戸締りを確認してから、オードリー、私の順番で魔法陣でウォロの部屋に戻る。
寮のウォロの部屋から、どやどやみんなが出てきたので、リビングにいたエドワードやティエルノにびっくりされた。
理由を説明すると「便利だな。今度、生徒会に行く時に使わせろ!」と言われた。
あ、エドワードが女子に追いかけられた時に移動に使ったら便利かも……。
でもラボの鍵、私とレイモンドとカトレア先生しか持ってないよ。
病院に薬を届ける時、オードリーとセレナも一緒に付いてきた。
キャサリン先生に紹介し、一緒に話をした。
クラウス先生がウォロと話しをしてくれて本当に良かったとお礼を言うと、セレナが「本当にクラウス先生にお願いしたんだ!!」とびっくりしていた。
ええ、本当にお願いしちゃいましたよ。
おかげでウォロがそこまで無理しなくなりましたし、私も安心していられるようになった。
「クラウス先生に、弟のランスとも話さないことで……とか言われちゃったけれど、ウォロにとっては良かったよ。
それに知識も合ってはいるけれどなんとなくわかる……という感じだったみたいで。
そういえばこの世界には避妊具ってないんですね」
ついポロッと言ってしまった。
「この世界?」
キャサリン先生に聞き返される。
「ネモは前世の記憶があるから……、でも詳しく聞いたことない! 違う世界なの?!」
オードリーにも突っ込まれた。
「えっと……。私がいたのは、魔法はないけど、科学とか産業が今のこの世界より少し進んでいて……」
「それで、ネモは医学的な知識をけっこう持っていたのね」
キャサリン先生が納得したような顔をする。
「医学的とかそこまでは……。
私は学生でしたし、ただ、子どもに関わる仕事の資格を取ろうとしていて、身体の仕組みとか代表的な病気とか、怪我についてなど、そういう勉強はしてました。だからかな?」
「その避妊具というのは?」
「あ……、私は聞いたことしかないんですけど……。
その、男性のアレに……」
なんて説明したらいいんだ?! セレナもいるし?!
私は慌ててキャサリン先生の耳元に続きの説明を囁いた。
びっくり顔のキャサリン先生だったが、笑い出した。
「なるほど、そういう……」
「はい、感染症の予防にも効果があるそうです……」
「何! 教えてよ!!」
オードリーが口を尖らして言った。
あなたは小さい子どもか?!
私は首を振って「これは医学的な極秘事項です」と言った。
「なるほど、そういうものを作れる科学や産業が発展していた世界にいたのね」
「はい、いただけで、まだ学生でしたし。作り方とか全くわからないんですが………」
「面白いわ、ちょっと他の先生にもそのアイデア話してみていい?」
「はい、私の名前を出さないで下されば……」
帰りの馬車の中で、オードリーは前世の話を聞きたがり、セレナはクラウス先生がライトとも話をしてくれないだろうかと言い出し、もう大変だったよ。
オードリーには悪いけど、またこんな記憶があると知れたら大変なので、もう話さない、アンドレアスにも前世の話の時、聞くなって言われたでしょうと説明して話を切り上げた。
セレナには、ライトがウォロに相談すれば一緒に話をなんてことになりそうだけど、特に問題がなさそうなら、こちらから言うのはできないよと返事した。
2月1日に入学試験が行われ、ミーアの合格者と合わせて30名の合格者が決まった。
私達は2月末から期末試験があり、3月中旬の終業式の前々日に5年生の卒業式がある。
終業式前の2週間で本当に様々なことが決まっていった。
アポロは無事に騎士団に入団が決まり、何と婚約した。
前から気になる同級生がいたけれど、就職もできたし、思い切って婚約を申し込んだらOKもらえたんだって!!
ランスも魔法局に入局が決まったけれど、陛下の希望で魔法局から派遣されて文官的な仕事もすることになったそう。
なので、王城と魔法局と両方、みたいな感じ。
まあ、陛下のお気に入りだったみたいだし……。
マリアと一緒に苦労するのかも、ね。
それから4年の生徒会長が引退し、3年から新生徒会長が選ばれた。
なんとレイモンドが選ばれた!!
まあ、今のレイモンドなら、大丈夫そう。
副会長は3年生の孤児院ボランティアに参加してくれてる女子だった。
うん、いいと思う!
エドワードとティエルノとライトとセレナと私とウォロとオードリー、つまり2-1寮の全員が生徒会に入ることになった。
オーサム先生に説得されたのだ……。
学校の研究室を使わせてもらっていることもあるし、もうしょうがないので……。
そうしたら、ミカとダリルも入るって、さっさと手続きしてた。
サーシャも入るって言い出したのだが、もう学年定員が9名でいっぱいだということ。
ダリルとミカが入ってくれて本当に良かった!!
生徒会の学年定員なんてあるんだね。知らなかったよ。
どうやら、ひとつの学年だけで固まらないようにという配慮らしい。
エリザベスとネイサン(エリザベスと同じ寮の伯爵令息)も生徒会に入ってくれることになった。
えへへ、これもうれしい。
ティエルノもうれしそうだった。
5年生の卒業式&卒業パーティー。
私達2-1寮+ミカとダリルで、アンドレアス、アリス、ランスとアポロに花束を贈った。
アンドレアスはアリスに花束をあげ、アポロは婚約者にあげてた。
ランスは花束から1輪大きな白い花を抜き取ると自分の胸に飾り、後は「ん! やる」と私に突き付けてきた。
「あげたい人いないの?」
オードリーにも言われ、頷くランス。
ウォロが横から手を出してきて花束を受け取った。
「ありがとう、ランス。寮に飾るよ」
「最後まで、お前は! はあ、ふたりとも幸せになれよ」
ちょっと気の抜けたような感じで言って、アンドレアス達の方へ行ってしまった。
読んで下さりありがとうございます。
明日の午前の投稿は休みします。
明日は久々の小学校高学年への読み聞かせです。ここんところ低学年が続いてたから~!!
暑そうだけど……楽しんできます!
午後投稿はします。
これからもどうぞよろしくお願いします。




