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16 飾り紐作り

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

今回は転生物に挑戦しています。

ゆっくり書き進めているのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 次の日、私とジュンは皇都の買い物にウォロとダイゴとミクラに連れてってもらった。

 手芸店に行き、飾り紐の材料を買い込む。

 ミーア帝国でも流行り始めているそうで、たくさんの色の材料があり、ダナンの街より種類が豊富だった。


 エルメス様に都合を聞いて欲しいと言うとダイゴが詳しく聞きたがり、オードリーも飾り紐に興味を持っていたので一緒に行っていいかと聞かれた。

 マイベルが疲れなければ大丈夫だから、エルメス様に人数を聞いてみてと言っておいた。


 街のレストランで昼食を取ってからマリヤム宮に戻り、部屋で休んでいるとダイゴが来て明日の午前中にエルメス宮をダイゴ、ウォロ、オードリー、私の4人で訪問することになったと教えてくれた。


 話は終わったはずなのに、ダイゴが何か聞きたそうな感じで部屋を出ていかない。

「何? 何か聞きたいことでも?」

 私が促すと、ダイゴが近くに来てひそひそ声で聞いてきた。

「なあ、皇宮の庭でキスしてたってホント?」

「誰から聞いたの?」

「噂になってる」

「ウォロに聞いてみた?」

「……聞けないからネモに聞いてる」

「うーん。1回目は未遂だったんだけど、カノンに見られてて。

 カノンにチュウしてたって言われちゃって……。

 してないのにしてたって言われるのが嫌だってウォロが言って、ウォロの方から2回目のキスをしてきたんだけど、直後にすっごく恥ずかしがっちゃって……」

「ネモが?」

「違うウォロが。だから聞かないでやって……」

「わかった!」

 ダイゴが何故か元気になった。

 なんだ?


 その後、夕食まで、飾り紐の作り方をもう一度確認して、実際に編んでみてどう説明したらわかりやすいか確認した。

 ジュンも一緒に教え方やその流れを考えてくれた。

 1日じゃ完成できないと思うので、編み上がるころ、もう1回行って完成までしないとだな。


 次の日の朝、ダイゴがオードリー様を連れてマリヤム宮に来た。

 ウォロも少し遅れてきた。


 飾り紐の材料を持って、行こうとすると、ダイゴの馬車とウォロの馬車と2台いることに気が付いた。

 戸惑いながらウォロの馬車にふたりで乗る。

「ダイゴとけんかしたの?」

「ちょっと…からかわれて……」

「もしかして、キスの噂?

 ダイゴに何か言われた?」

「あ……、本当のこと話したのネモだよね?」

「うん、ウォロには聞けないというので、話して、ウォロには聞かないでと言ったんだけど」

「あー、大丈夫。ダイゴにしてみれば弟に先を越されてる感があったけど、実際にうまくいってない話を聞いて安心したみたい」

「うまくいってない?」

「だから、自分の方からキスしたくせに恥ずかしがるとか……、そういうこと!」

 また真っ赤になってる。

「ごめん、もうダイゴに聞かれても言わないから」

 私は謝った。

 ダイゴがそういう態度を取るとは思わなかった。

 兄弟は仲が良くてもいろいろあるのかもな。

「先を越されてるって?

 他の皇族の方はまだ婚約とかしていないの?」

 そういえばダンテ様とメイリン様も兄妹でいたな。

「うん、ダンテ兄さんには話があるけどまだ決まっていない。

 今のところ、婚約しているのは自分だけ」

 あー、かなり特殊なケースになっちゃったんだな。

 こちらの都合で急がせてしまったから……。


 エルメス宮に到着し、入る前にオードリー様に話しかける。

「私のことネモって呼んで下さい。

 カノンもマイベルもそう呼ぶから」

「はい! 私もオードリーと呼んで下さい!」

「じゃあ、オードリー、今日はよろしくお願いします」


 エルメス様に挨拶をしてマイベルの部屋に行くとうれしそうに待っていてくれた。

 挨拶してすぐ材料を並べて色を選んでもらう。


 マイベルは金色と青を選んだ。

 好きな小説の主人公が金髪で青い目なのだそうだ。

 2色では寂しいので自分の髪の色の銀を入れてみたらとアドバイスするとオードリーと「キャー!」と喜んでいる。

 

 オードリーは銀に緑、少し考えて黄緑を選んだ。

 うん、ダイゴと自分の瞳の色だね。


 ダイゴとウォロは庭でカノンと遊んでもらうことにしたので、挨拶してすぐに出て行ってもらった。

 カノンも興味を見せていたが、難しいから今回は私が作ってあげると言うと喜んで色を選び、庭に遊びに行った。


 だからオードリーも選びやすかったみたい。

 外に行ってもらってよかった。

 カノンがいることでケンカ気味のふたりも仲良く遊べてるみたいだし。

 私はカノンの選んだピンクと水色と銀色の素材を手に取ると、ふたりに説明しながら編み始める。


 初めて編むときは最初の編み出しが緩くなってしまうので、そこを何度か確認してきっちり編めるように時間をかけた。

 良い感じだ。

 ここが上手にできてしまえば後は同じバランスで編み続ければいいだけ。

 緩んだりきつくなってもそこまでほどいてやり直しやすいし。

 途中で休憩にして、庭でお茶をすることにする。

 ウォロに来てもらって、マイベルを庭の椅子に運んでもらう。

 マイベルがとてもうれしそうで良かった。

 ひざ掛けをかけてあげて寒くないか確認する。

 

 みんなお茶を楽しむ。

 カノンだけ走り回ってたけど。


 その後、部屋に戻り、続きを編んでみる。

 うんうん、ふたりともうまくできてるみたい。

 エルメス様に都合をきいたら明日でも大丈夫ということで、明日また来ることにする。

 それまで無理しないように編めるところまで編んでおくようにと。

 部屋の外でエルメス様にだけマイベルが隠れて無理しないように編みかけの飾り紐は夜は預かっておいてもらうようにお願いする。


 エルメス様が感心した表情で私を見て言った。

「ネモ様のような優しくてしっかりした方がウォロ様のお姫様で本当に良かったです。 

 マイベルもカノンもとても喜んでいて、私もうれしいです。ありがとうございます」

「いえ、マイベルもカノンもとてもかわいくて、私、大好きです!

 お邪魔じゃなければ、また来させて下さいね!」


 昼前にはエルメス宮を出て、マリヤム宮に戻り、みんなで昼食を食べた。

 

 ジョシュア兄様とハロルドは皇都の見学や施設訪問などに行っている。

 帰ってきたらお茶するかな?


「これから何をするの?」

 ダイゴが聞いてきたので「ダイゴ達は戻るんでしょ?」と逆に聞いた。


「うん、ウォロと皇宮に一度戻る。後でまた来るよ!」

「そうか……、剣の稽古をしたいとこだけど……」

 そう言うとダイゴがぎょっとする。

 そうだよね。そうなるよね。

「ミーアではやらないから安心して!

 じゃあ、クッキーでも作ろうか、な」

「美味しかったから、また食べたい」

 ウォロが微笑みながら言ってくれる。

「うん、じゃあ、厨房借りて作っておく。後で食べよ」

「ネモ、私にも教えて下さる?」

 オードリーがクッキーに興味を持ったよう。

「はい、一緒に作りましょう」


 ウォロとダイゴを見送ってから、一度私の部屋に戻る。

 ジュンが飾り紐の素材をテーブルから片付けようとしたので「そのままでいいよ!」と伝えて、これからクッキーを焼きたいと話す。

 3人で食堂に行き、メイド長に話をすると調理長が興味を持ち一緒に作ってくれることになった。

 メイド用の新しいエプロンを借りて、ジュンと材料を確認。全部揃ってる。


 バターを常温で放置し、その間に小麦粉と砂糖を計り、溶き卵を作る。

 柔らかくなったバターに砂糖と溶き卵を入れて混ぜクリーム状になったら小麦粉を振るいながら入れてやさしく混ぜていく。


 いつもなら棒状にして冷やし固めてから切るのだけれど(大量に作るから)、今日は量も少ないし小さなお団子にして上から手のひらで潰して平たく成型することにした。


「絞り袋などで絞り出すときれいな花のようなクッキーも作れますよ」

 ジュンが調理長に説明している。

 

 オーブンで15分ほど焼く。

 いい香りがしてきた。

 おいしそう!


 焼きたてを1枚ずつみんなで味見する。

「サクサクだけど、少ししっとりしていて……。美味しいです!」

 オードリーが興奮して言った。

「わが国ではもう少し硬めのサブレと呼ばれるタイプが主流ですが、バターを多めにするこの柔らかい感じも美味しいですね」

 調理長がクッキーを割って、柔らかさを確かめている。

 

 オードリーと一緒に紙を引いた皿にきれいに並べた。

「ダイゴ達が戻ってきたら、お茶に食べよ!」

 そう声をかけるとうれしそうに頷いてくれた。

 

 後でお茶の時に出してもらうことにして、私達は部屋に戻り飾り紐の続きをやることにした。

 ジュンも上手なので一緒にやることに。

 ジュンは黒と青を選んだ。魔王色じゃん。でも2色は寂しいかな?

「もう1色入れたら?」

「そうですね……、ではこれを」と銀色を選んだ。


 オードリーはとても手先が器用で最後まで編み上げ、最後の留め飾りを選んでもらう。

 銀色と緑ですごく悩んでいたが、緑色に決めた。

 手伝いながらきっちりと留めると完成!!


「できました!!」

 すごくうれしそう! 良かった!

「オードリー、すごく上手だね。

 私、ここまできれいに作れるようになるまで、実はたくさん練習したんだよ!」

「そうなんですか?」

「うん、まだ作るなら素材選んで持って行って!」

 オードリーが素材を選ぶ横で、ジュンが一生懸命編んでいた。

 早いし、うまい!

 

 私は飾り紐職人になれちゃうかも! なんて思ったことを思い出し、恥ずかしくなった。

 あー、勘違いしちゃうとこだったよ。


 私もカノンにあげるのを編み上げたけれど、留め飾りは選んでもらおうとそこでやめた。

 オードリーが最初の編み出しをするのを手伝っていると、ジュンが留め具を選んでいる。

 もうできたんだ! すごいな!

 

 声を掛けずにそっと見ていると悩んで悩んでグレイと銀色の間ぐらいに見える留め具を選んだ。

 それを真剣な表情で留め、出来上がりを確認して微笑んだ。

 

 誰にあげるんだろう?

 最後の留め飾り、ジュンの髪の色だ。


 ふふ、気が付かないふりしてよう。


 ウォロとダイゴがジョシュア兄様と一緒に戻ってきたので、テラスでお茶をした。

 クッキーは好評だった。

 また作ろう!



 次の日、私とウォロだけエルメス宮を訪れて、マイベルとカノンの飾り紐を完成させる。

 

 カノンがうれしそうに自分の帯につけている。

 カノンの留め具はきれいな淡い紫。

 きれいなかわいい色で作ると女性が身につけてもいいな。


 それを見てマイベルも淡い青色の留め具を選んだ。

 うん、かわいい感じになった!


 いいな、私もかわいい色で作ってみようかな。


 早めにエルメス宮を出るとウォロに皇都の観光に誘われた。

 遺跡を観に行こうと。

「前に話してくれてたとこだね! 行きたい!」


 話がもうついていたようでミクラが皇宮の出入り口で馬を用意して待っていてくれた。

 えっと、私、スカートなんだけど。

 

「横向きに座ればいい」

 ウォロが言うが、いつも跨いで乗ってるから、それはちょっと怖いかも……。

「大丈夫、絶対落とさない」

 いや、それはそうだけど……。


 ミクラも手伝ってくれ、なんとかウォロの馬の上に横向きに座り、後ろにウォロが乗り込む。

 わ、やっぱりちょっとどこにつかまったら……。

「もっとくっついて」

 ウォロに抱き寄せられバランスが崩れるんじゃないかとびっくりしてウォロの胸に顔を寄せ、腰に腕を回して抱きついてしまった。

「それでいい」

 ウォロが馬を駆けさせ始める。

 

 ちょっと! 

 これじゃあ、景色、何も見えないんだけど!! 

 ……ああ、まあ、でも、こんなのもたまにはいいか、な。

馬に横座りで乗るのは危ないので、帰って来てからハロルドとジョシュア兄様にめっちゃ怒られました。


読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

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