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149 新年祝いパーティー(後)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 国王陛下と王妃様が登場し、新年の挨拶をされた。

 そこでアンドレアス第1王子が3月に学校を卒業すること。そして婚約者であるアリス・ユーチャリス・アリステラ辺境伯爵令嬢と4月中旬に結婚式を挙げることを報告した。

 

 若くしての結婚なので驚きとお祝いと入り混じったような歓声が上がる。


 アリスの妹のエミリア・ネモフィラ・アリステラ辺境伯爵令嬢が、エドワードと同級生で、モーリオン・ミーア帝国第3皇子と婚約中であること。

 

 アンドレアス、アリス、エドワード、ネモフィラ、ウォロと未来のウォルフライト王国とミーア帝国を担う若者が集まっている。これからもよろしく頼む。


 みたいな感じの挨拶だった。

 義理の兄弟という言葉はやめたんだな。

 エドワード良かったね。


「あら、懐かしいわぁ。あなたエミリアだったのね。今ではネモフィラの名前の方を名乗っているのね!」 

 急に知らない婦人に声を掛けられた。

 後ろに私と同じくらいの歳の少女を連れている。


「覚えてないかしら、よくアリシアに招かれてお宅に伺った時、よくあなたがお茶を入れてくれて……、よく失敗してたおチビちゃんが、こんなに立派なレディになるなんてねぇ!」


 誰だ、まったくわからん?!


「エドワード王子と同級生で親しいのでしょう。ぜひ、娘を紹介してやってくれないかしら」


 娘とやらを私の方に突き出してくるが、そのも私も戸惑うばかりだ。


「あの……ごめんなさい。何しろ、小さい時の話で半年ほどしか王都にいませんでした。

 私はその時のことよく覚えていないんです。失礼します」


 空いていそうな方へ急いで歩いて移動する。


 後ろで婦人が「エミリア、待ちなさい!」と大きな声を上げている。

 たぶん、アリスにはもう近づけなくて、こっちに来たんだろう。

 

 知らんもんは知らん!!


 ウォロは少し離れた場所でエドワードと一緒に話をしていたし、オードリーとセレナの近くから慌てて飛び出してきたみたいになっちゃったし……。


 私が困ってキョロキョロしていると急に左手をつかまれた。

「こっちへ」

 見るとカルタロフ伯爵だった。

 あ、身分を戻すって、陛下言ってたもんな。


 カルタロフ伯爵が私を背中で隠してくれ、レイモンドが婦人の様子を窺ってくれている。

 しばらくすると戻って来て、カルタロフ伯爵の背中にくっつくように隠れていた私に「違う知り合いに出会えたようで話し始めたから、もう大丈夫だよ」と教えてくれた。


「昔の知り合いか?」

 カルタロフ伯爵が聞いてきた。


「はい8歳で王都の屋敷に引き取られた時、お客様として屋敷にいらしてた方のようなんですが、私、その時……」

「義理の母、正妻にいじめられていた時か……」

「はい、いい思い出がほとんどなくて。屋敷で会った人とか良く覚えていないんです……」


 むしろ覚えていたくない記憶なのかも。

 その時のことを思い出したら、少し手が震えた。


 そういえば、なんで私の子どもの頃のことを知っているんだ?

「あの……、なんで知っているのですか?」


 カルタロフ伯爵は静かに微笑んだ。


「君の父親と友達になったんだ」

「えっ、お父様と?!」


「同じくらいの子どもを持つ父親同士。

 愛する妻も亡くしている……。

 何か私の助けになるのではと思って、話し相手になってくれたんだ。

 ローベルトもネモもいい人間だな。

 話をして、いろいろ聞いたよ。

 君がそんな苦労や苦しみをいだいているとは思わなかったから驚いたよ。

 ミーア帝国への復讐を考えている時は本当にすまないことをした。

 これから、ミーア帝国へも償いをしっかり考えていくつもりだ。

 アルテイシアのこともすまなかった」


 ウォロに似ている銀色の瞳で見つめられ、思わず頷いてしまい、はっとする。


「あ、あの私が襲われてる映像は……」


 カルタロフ伯爵が申し訳なさそうな顔をする。

「そのことは……、本当に申し訳ない」

「いえ、私は守護霊のおかげでほとんど見ていないんです。

 ただ孤児院でランスはしっかり見ちゃったみたいで……。

 ああいう攻撃はやめて下さい。御自分の娘のアルテイシアがされたら、嫌でしょう……」


「そうだな。すまなかった」

「そうです。あなたのことを『変態』って呼んでましたから……」

 言ってしまってから、慌てて口を抑えた。


 カルタロフ伯爵は笑った。


「本当に面白いお嬢さんだ。

 ただ教えておいてあげよう。男だったら好きな子や好みの子でああいうことを想像するのは普通のことだよ」


 でもマッちゃんがかなりひどいって。ランスもエロいとか言ってたし……。


「君のウォロもそういうことを頭の中では考えていると思うけどね」

「私はその映像の中身を知らないので何とも言えませんが……。

 そうですね考えてないとは、言いきれないですね」


 カルタロフ伯爵はまた笑った。本当に楽しそうに。


 レイモンドがウォロを連れてきてくれた。


「ネモ! なんでこんなところに!!」

 探してくれてたみたいだね。

 またわかんない動きをして申し訳ない。


「カルタロフ伯爵とレイモンドが助けてくれたの」

「何もされてないよな?」

 ウォロが慌てたように聞いた。


「大丈夫。助けてもらって、今までのことを謝ってもらって、少し話しただけ。

 ありがとうございました。レイモンドもありがとう」


 ウォロにエスコートされながら、オードリーやセレナの所に無事に戻れた。


「ネモ! 大丈夫だった?

 あの親子、変な人だったね。あっちに逃げて行っちゃったから助けられなくて、ごめん!」


「私こそ慌てて少しでも遠くへって、何も考えずに動いちゃって……、心配かけました」


 その時ダンスが始まり、ウォロが私の手を取った。


 結局、ウォロだけでなく、お父様と陛下とライトのお祖父ちゃんとも踊ったけどね。


 ライトのお祖父ちゃんには、また遊びに来いと言われ(誘拐される前にも言われてたしね)、ウォロが魔法陣の箱の話をしたらすごく興味を持たれたよう。

 明後日、お屋敷に伺う約束をした。明日はこのまま離宮で剣や魔法の練習をする予定だからだ。


 ミカとエドワードに助けを求められた。

 ダリルが間違えてお酒を飲んでしまったそう。

 裏の休憩所へ連れて行くというので私も一緒について行った。


 なぜかそれを見てサーシャもついてきて……。あ、ダリルと同じ寮だし、友達と言えばそうなのかな?


 休憩室のベッドにダリルを寝かせて、ミカと一緒にしばらく付き添うことにした。

 光魔法をかけてアルコールの分解を早めた。

 アルコールを浄化して消しちゃうか迷ったんだけど、そこまでたくさんの量じゃなかったそうなので、ね。


 ウォロとエドワードは会場に戻りたいというサーシャを送って行った。

 何しに来たん?


 しばらくして、エドワードとウォロがげんなりした顔で戻ってきた。

 エドワードは頭を手で押さえている。


「どうしたの?」

 驚いて聞くと、ウォロが答えてくれた。


「戻る途中でアルテイシアに会って……。

 お互い見ないふりするかと思ったんだけど、サーシャがいきなり……。

『お仕事頑張れ! メイドの服もお似合い』とかなんか話しかけだして。

 エドワードが一応エスコートしてたんだけど、そのエドワードにもなんか絡んできて、何だろうなあれは?

 何とか会場まで送ったんだけど、その後もエドワードから離れなくて……」


「鍵かけた方がいいか!」

 エドワードが思いついたように鍵を掛けた。


 しばらくするとドアノブがガチャガチャされ、トントンとノックされる。

 エドワードとウォロがベッドの裏に隠れた。


 私は「はい?」と言いながらドアを少し開けた。

 サーシャだった。


「ネモ、エドワード様は?」

「いないよ。ダリル寝てるから静かにね。鍵かけて休んでるの」


 部屋の中を覗きこんで、ダリルとミカの姿を確認したら、会場に戻って行った。


 エドワードとウォロが裏から出てきて、ほっとしていた。


 あれ、そういえばティエルノは?

 ジョシュア兄様とマリアは?


 少しするとダリルの体調も良くなり、会場に戻ったが、すぐに18歳未満の者は退出させられる時間になった。


 ティエルノとエリザべスはすっかり仲良くなっていた。


 ジョシュア兄様とマリアはラブラブな感じでダンスを楽しんでるし……。

 もう、お幸せに~!!

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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