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144 カウントダウン

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 招待状が届くと大騒ぎになった。

 早めに帰省を計画していた人も予定を変更して、全員出席することにしたそう。


 おおー、王城なんてなかなか入れないところだもんね。

 王城効果絶大!

 

 私とオードリーは図書館に行ったら、2年の女子に囲まれてしまった。

 制服で、とあるのはなぜなのかと。


「それは学年全員を招待するために。

 それから日数もないことからみんなに余計な負担を掛けないようにっていうエドワードの配慮だよ」

 私は答えた。


「今回の昼食会がうまくいけば、今度はパーティーとか開いたりもして下さるかしら?!」

 2寮のサーシャが言って、他の女子達がキャッキャと喜んでいる。


「ありかもね。エドワードとしては学年の親睦をはかりたいみたいだし」

 オードリーが言うと、みんな笑顔になる。


「だから、学年の結束を崩さないように、みんな制服でと考えたんじゃない?

 そこのところをよく考えてみたら、エドワードの配慮もわかるんじゃないかな?」

 オードリーが続けて言った言葉にサーシャ以外の子がわかってたわという表情をする。


 サーシャがちょっと焦って「みんなが聞いてきたから、代表して質問したのよ。私はそうじゃないかとわかってたわ!」と私とオードリーに言った。


「うん、そうなんだ……」

 私がその圧に押されて返事をしているのを、みんな生温かい感じで見ていた。


 午後、用心のため寮でみんなで食事をしていた。

 エドワード達も行く先々で声を掛けられ、昼食会のことで質問されたそう。

 食堂で食事してたら、食事どころではなさそうという……。


 そこへランスが来た。

「やっぱり、ここか! 俺も一緒に混ぜて」


「なんだよ」

 ウォロがそう言いながらもランスのための場所を開けてやる。


「アルテイシア、面白いぞ」

 ランスがニヤッと笑いながら報告してくれる。


「昼食会が開かれるのは自分が進言したからだと言ってるぞ」

「えっ?」

 私はびっくりして声を上げてしまった。

「あはは、そういう反応するよな~。

 俺も驚いたよ。

 エドワードがアルテイシアの進言を聞いて1年生も招待するということにしたとかなんとか……。

 1年生の女子はアルテイシアに感謝しているらしいぜ」

「わー、すごい、神経だね」

 オードリーが冷たく言った。


「そんな状況で、全部嘘だとばれたら……?!」

 私があわてて口走ると、セレナが答えてくれる。

「周りの女子の反応が怖いことになりそうね」


 エドワードとティエルノが恐ろしそうな表情になって言った。

「俺、ますます女が苦手になりそう……」

「俺も怖くなってきた……。エドワード、早く性格が良くて好きになれそうな子見つけろよ!

 俺まで巻き込むな!」

「そんな簡単に言うなって!」


 そのまま、ランスはエドワード達と打ち合わせすることになり、ウォロもそちらに参加することになる。

 ラボにひとりで行くのは……と思っていたらウォロが言った。

「オードリー、ネモとラボに行ってやってくれる?」

「うん、了解!」


「ありがとうウォロ、オードリー!」


 オードリーと一緒に寮を出ると、ミカとダリルがちょうど寮の前にいた。

 昼食会のことで聞きたいことがあるという。

「中にエドワード達がいるよ」

 そう伝えてからドアを開け、声をかけると「中に入ってもらって!」と返事があった。

 ふたりに中に入ってもらい、ドアを閉める。


 ラボに着くまで、2回、2年女子に話しかけられた……。


 レイモンドはまだ来ていなくて、ベース薬の確認をして、次のベース薬の仕込みの準備を始める。

 ドアがノックされ、カトレア先生が顔を出した。

「もうエドワードの昼食会の話題で学校中がすごいわね。

 クラウスから聞いたけど、面白そうな趣旨じゃない。私も行くからね!」


 キャサリン先生とも連絡が取れ、マーリン先生とクルトも来てくれるので、当日、別の部屋でキャサリン先生、マーリン先生、クルト、カトレア先生が待機しているのだそう。


 そこへレイモンドがやって来たので、話はやめてベース薬の仕込みを行う。

 オードリーはラボの中で薬瓶のチェックや木箱の数などの在庫リストを作ったりしてくれた。


 そんな感じでほぼいつものような感じで過ごし……。

  

 とうとう昼食会の日になった。


 馬車は学校に頼んであって、野外実習の時の馬車を抑えることができているそう。

 寮ごとに1台。

 2年生から出発。


 私達は一足早く王城の離宮で準備を始め、到着した2年生を控室に案内した。

 荷物などを置いて準備ができた子から大広間へ移動してもらう。

 1年生も到着し、控室を経て、大広間へ入ってもらう。


 みんなキョロキョロしているのがなんだかかわいいな。

 アルテイシアもうれしそうに周りを見回しているが、他の子から、あれは? これは? と質問されるたびになんだかそれらしいことを答えていたのがちょっと笑えた。


 ちなみにその絵画の作者は違うから!

 言いたくてたまらなくなったけれど、我慢した。


 みんな寮ごとのテーブルに着席し、お茶が給仕される。


 テーブルに並べられたお菓子もお茶も、そしてカップや皿も王室御用達って感じで、特にどちらの学年も3、4寮の子達が緊張していた。


 そんな中、エドワードとティエルノが立ち上がり、前に出て話し始めた。


「今日は来てくれてありがとう。

 急な誘いだったにもかかわらず、1、2年生全員が参加してくれて、ありがとう。

 今回、このような会を開くことを思いついたのは……」

 エドワードが言葉を切って、みんなを見回した。

 アルテシアの隣の女子がアルテイシアの肩にそっと『あなたよね』という感じで触って微笑む。

 アルテシアもニコニコしている。


「1、2年の間に2-1寮を中心にしたひどい、事実ではない噂が流れているからだ。

 俺達はずっと我慢してきたけれど、きちんとみんなに説明して話し合う場をと思い、このような会を企画させてもらった」


 そこで一息つく。


「まず夏休み中に2-1寮と2-4のミカ、5-1のランスとクラウス先生と一緒にミーア帝国に旅行した。そして8月中旬にみんなで無事帰国した。

 そして……」


 エドワードが言葉を止めてドアの方を見ると国王陛下が入ってきた。

 

 みんなびっくりして「あ?! 陛下?」「本物?」「えっ?!」と大騒ぎになりかけるが、エドワードが手を挙げ静まるように促すと静かになる。さすが魔法学校生!


「ここからの話は国の機密に関わるんだが、みんなに真実を伝えたいと思い、陛下にお願いしたら、話して下さることになった」


 えっ? 陛下が話すの?


「魔法学校1、2先生の諸君。今日は王城に集まってもらいありがとう。

 8月中旬、ミーア帝国から帰国したエドワード達はここ王城で残りの夏休みを過ごしていた。

 その時、他国の親善使節団が来ていたんだが……。

 それが偽者だったのだ。偽者の使節団の目的はネモの誘拐だった」


 みんな私を見るので、私は目を伏せた。


 ティエルノが説明する。

「ネモはミーア帝国で聖魔法を使って子ども達の治療をしてたんだ。

 それが伝わったらしくて。その国は聖魔法の力の強い女性を聖女として迎えるために探していたんだ」

 

 陛下が話を引き継ぐ。

「そうだ。ネモ、王城内から誘拐されるなどという、有ってはならないことが起こり、本当に申し訳なかった。

 そして、私達はすぐにネモを追った。

 ウォロにランス、文官のマリア、2年生は知っているな。優秀な卒業生だ。それにネモの兄のジョシュア。この4人がすぐに追いかけ始め、さらに国としてクラウス先生、ギーマ先生、アリステラ辺境伯爵の従者のハロルド、そしてカルタロフ伯爵本人が、ネモを助けるために問題の国へと渡ってくれた。


 相手も大国だ。ネモを隠され、場所をつかんでもすぐ助け出せなかったりと、とても苦労したらしい。

 やっとネモを取り戻し、帰国できたのが10月下旬だった。

 王城からの誘拐、しかも他の国の使節団に偽装ということはなかなか公にできず、学校にも生徒のみんなにも心配をかけたことと思う。申し訳なかった」


 陛下が謝っている! これはすごいことだ!

 陛下は5-1寮のアンドレアス達のテーブルに行くと座った。


 エドワードが話を続ける。

「ネモはその国で聖女として丁重に扱われていて、ひどい目には合っていなかったことは不幸中の幸いだった。

 しかし……、ネモやウォロが夏休み直後から休学したことで、学校内でひどい噂が流れていた。

 どうしてこのような噂が流れてたのか。

 誰かからこの噂を聞いたでもいいし、何かしら知っていることがあったら教えて欲しい」


 2-3の男子が手を挙げた。

「噂は聞いたことがあります。

 そのエドワード王子が……、ネモのことを好きになり、ネモの婚約者のウォロが怒って、ネモをミーア帝国に連れ帰ったのだと聞きました」


「誰から?」とティエルノ。

「同じ寮の女子からです」

 

 2-3の女子は顔を見合わせ、ひとりが叫ぶ。

「私達は2-2寮の女子から聞きました!」


 エドワードが言った。

「2-2寮の女子は誰から?」

 

 サーシャが代表して答えた。

「1年の女子から聞きました」


「それは誰?」

 エドワードがさらに聞いた。

「1-1寮のアルテイシアからです。彼女はいろいろなことを知っていて……」

 サーシャが言いかけながらはっとする。

「もしかして……嘘だったの?」

 

 1年の女子達がこそこそ話し出している。

読んで下さりありがとうございます。

話がかなり進んだのであらすじを整理して情報を追加しています。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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