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143 陛下の協力?!

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 次の日、私達とランス達は別行動で王城に向かった。

 いつも利用させてもらっている離宮に入ると、アンドレスとアリスとアポロがいた。

「なんだかおもしろそうなことを計画しているみたいだな」

 アポロに言われる。

 

「私達も協力できることはするから、何でも言ってくれ」

 アンドレアスが言ってくれ、アリスも頷く。


 エドワードが返事をしてくれた。

「ありがとう兄様。

 当日参加してもらおうかな。

 ネモとウォロとランスがいなかった時期のことを聞くかもしれないし」


「ネモが誘拐されていたことは言わないのか?」

 アンドレアスが言った。

「まず、その2カ月の休学のことで学生達が勝手にいろいろ噂をふくらませているところがある。

 ネモが嫌なら仕方がないが、みんなにきちんと話をしてもいいのではないか?」


 エドワードが少し動揺したように言った。

「それは……。ネモ、どうする?

 1カ月以上誘拐されたとなると……、いくらこちらが何もなかったと説明しても、身体に、その何かされたんじゃないかという邪推を受けることもあると思う……」


 私は少し考えてから話した。

「きちんと話をした方がいいと思う。

 隠していても、話しても噂されるか……。でもちゃんと話した方がいいかな。

 それに、こちらもきちんと正しいことを伝えないとアルテイシアとも話ができないよね。

 うん、みんなにちゃんと説明しよう。

 他の国に誘拐されて、ウォロとランスとマリアと私の兄様と従者のハロルド、クラウス先生とギーマ先生、それにカルタロフ伯爵も私を助けるために頑張ってくれていたこと。

 そして無事に帰って来られたこと。ちゃんと伝えたいな」


「うん、わかった。そうしたら、それを伝えてから、噂をひとつひとつひっくり返して行こう。

 そして、最後に残るのがアルテイシアが言ったことだと証明して……。

 それから、病院のクルトのことはどうする?」

「私が話すよ。マーリン先生とクルトにも当日来てもらえるか聞いてみる」

 クラウス先生が言ってくれた。


「ありがとうクラウス先生」

 私はお礼を伝えた。

「いやいや、キャサリンも気にしていて……。きちんと話をする場があるなら来たいと言うと思うよ」


「はい、よろしくお願いします。

 話の流れは、俺とティエルノとランスが中心になってこれから考えます」

 エドワードが言った。


 そこへ、マリアと陛下がカルタロフと一緒にやって来た。


「何で、ここに?!

 こっちから行くって言ったのに!!」

 エドワードが慌てた。


「私に話があるそうだね」

 カルタロフに言われて、みんな黙る。


 ウォロが進み出て言った。

「アルテイシアのことで話がある。

 彼女はネモが誘拐されている間も学校でネモやエドワードを貶めるような噂の元ネタを流し続け、さらに帰国してからも、それをやめなかった。

 さらに……」

 私はウォロの腕をつかんだ。

 ウォロは話をやめて私を見た。


「ありがとう。ここからは私が話すよ。

 カルタロフ伯爵、昨日、とても許せないことがありました。

 私が知り合った5歳の男の子の心をアルテイシアが傷つけました。

 私を困らせるためだけに何の関係もない小さな子どもの心を傷つけたんです。

 今までの花祭りの魔道具のこと、噂のこと、いろいろありましたけど、今回のことは本当に許せない。

 アルテイシアに悪いことだと思い知って欲しいと思っています……」


 私の言葉にカルタロフは頷いた。

「詳しいことを聞いていいかな?」

 

 私はカルタロフとレイモンドとウォロとランスだけで場所を変えて、昨日のことを話した。


 話を聞くとカルタロフは目を閉じて難しい顔をした。


「お父様、アルテイシアは自分を中心に世界が回っていると思っている。

 幼い時はそんなアルテイシアがかわいいと思ったが、さすがに学校に入ってからもあんな感じじゃ、いつかみんなから見捨てられて相手にされなくなると思う。

 今しかないと思うんだ。私やお父様ではどんなに伝えても、かばっても、彼女に非があることが伝わらなかった。ここで一度、人を傷つけること、ないがしろにすること、利用することがいけないことだとわからせないといけないと思う」

 レイモンドが言ってくれた。


「確かに、アルテイシアがしたことは……。

 私の真似だな。私が闇の、人の裏の部分を見せ過ぎて、どう立ち回るか教え過ぎたか。

 アルテイシアは立ち直れると思うか?」

「はい、私は立ち直れると思います。

 私の様に。私も最初は自分本位の、貴族や聖魔法持ちということを誇るような……。

 今、振り返るとかなり残念な生徒だったと思います。

 でも、今は違うと自分で感じています。

 アルテイシアも自分で気がつくことができれば……、変われると思います」

 

 カルタロフが目を開けた。

 

 レイモンドがカルタロフをじっと見て言葉を続ける。


「今、私達がアルテイシアにしてやれるのは、かばったり、隠してやることじゃない。

 彼女が自分のしたことに向き合えるようにすることだ。

 お父様にそれができますか?

 できないのなら、少しの間、アルテイシアから離れていて下さい。

 私が、それをやります」


 レイモンドの言葉に頷くカルタロフ。

「わかった、レイモンド。

 私は娘に甘いから……。少し離れていることにしよう。

 申し訳ない、このような役目をさせてしまい……」

「いえ、兄として、必要なことだと思っていますから」


 カルタロフは立ち上がりながら言った。

「ネモ、わかった。

 アルテイシアをどうぞ断罪してやってくれ。

 それを糧にしていい方へ変われるように、と願う。

 私はしばらくアルテイシアとは会わずに過ごすことにしよう」


「はい、ありがとうございます。

 それから、私が誘拐されていたことも公表します。

 カルタロフ伯爵が助けに来てくれたこともみんなに伝えます。

 本当にありがとうございました」


 私も立ち上がって頭を下げた。

 顔を上げると、カルタロフが手をポンと私の頭に乗せた。


 ウォロとランスがはっとするが、その手は私の頭を優しく撫でただけで離れた。


 カルタロフは近くで待機していたマリアと騎士達と一緒に王城の方へ戻って行った。

 

 私達は離宮のエドワード達の所へ戻った。

 ランスが「カルタロフの方はOKだ!」とエドワードに声をかけた。


 エドワードと陛下がニヤッと笑った。

 親子して悪い顔してんな……。


 エドワードとティエルノはその日のうちに王城の文官の力も借りて1、2年生全員に王城への招待状を作成して発送した。


 当日は私達がミーア帝国から帰国して王城で過ごしていた時に誘拐され約2カ月学校を休学したことを話すという。

 その時に変な邪推をされないように文言を工夫するそうだ。

 

 そして、その時に学校に流れていた噂をひとつひとつたどって確認するという。


 いくつかは必ずアルテイシアまでたどり着くだろう。

 

 そうしたら、花祭りの時の魔道具のトラブルの真相を全員に明らかにし、今回の噂と合わせて、学校外でも幼い少年であるクルトに暴言を吐いて傷つけたことを明らかにする。


 みんなにアルテイシアのしたことがばれるわけだが……。

 それで気がついて、自分のしたことがひどいことだったとわかってくれるといいんだけど……。


 なんか、これでもわかんなそうで、怖い。

 

 昼食会は4日後の木曜日か。

 明日、みんなに招待状が届いて、きっと大騒ぎになるだろう。


 会の内容や流れはエドワードやティエルノ、ランスや陛下(?)に任せて、いつも通りで過ごそう。


 午後には私とウォロとレイモンドは学校に戻り、ラボで薬作りをした。

 私はベース薬を多めに担当させてもらい、多めに作りミーア帝国へも送る量を確保させてもらった。


「ミーア帝国ではそんなに薬が必要なのか?」とレイモンド。

「うん、今年、魔獣の目撃情報が多いんだよね。

 夏には親子が襲われた事件もあったし、騎士団が警戒してて、戦うこともいつもより多いみたい」


「心配だな」

 レイモンドがウォロに話しかけた。

「あー、警戒態勢も強化しているし、学者も調査しているらしいんだけど。

 何故、魔獣の動きが活発化している原因がまだわからないんだ」

 ウォロが困った顔で答える。


「魔獣が人里に……。

 餌が減った、環境の変化?

 環境の変化は気候の変動? それとも何か人工的な?」

 レイモンドがぶつぶつ言い出し、顔を上げて言った。

「その学者って何系の?」


「え、魔獣の学者らしいけど」

「環境学や自然科学系の学者にも調べてもらうといいかも。

 何か他の原因があって魔獣に影響が起きているということもある」

「そうだな。ありがとう。兄にそう進言しておく」

 ウォロがレイモンドにお礼を言った。


 ウォロはラボで手紙を書き、その手紙と次の薬を一緒にミーア大使館に届けに行くことにした。

 

「連絡してないから、馬車は?」

 私が聞くと「流しのに乗ればいいんじゃない?」とウォロが言うので……。


「それは……、防犯的に、一国の皇子がすることじゃないんじゃ?」

「誰も自分達が皇子とか思わないよ」

「そうかなあ……」


 この前、帰りに利用したので味をしめたな。

 馬車乗り場まで行ったけれど、流しの馬車を捕まえるためには外の通りまで出ないといけない。

 連絡して明日出直した方がいいんじゃないかと軽く言い合いをしていると、エドワード達がちょうど帰ってきた。


「こんな所で何やってるの?」

 オードリーに呆れたように言われる。


 私は、ミーア帝国への薬が早く用意できたけれど、大使館に連絡していないので、ウォロが流しの馬車で届けようと言ってここまで来たこと。

 連絡して明日にしたほうがいいのではと言ってたことを話した。


 エドワードが「送るよ」と言って、馬車の御者に話をしている。

 ウォロが残念そうな顔をした。


 ん?

 もしかしてふたりっきりになりたかったのかな?

読んで下さりありがとうございます。

今日は午後投稿する予定です。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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