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138 義理の兄弟

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



「ちょっと驚いたけど……。ネモの意外なかわいいところが見られたから役得だな」

 エドワードの言葉に驚いた。

 なんだか人たらしな王子様キャラみたいなこと言ってる?!

 

 私の驚きの表情を見てエドワードが赤くなった。

「なんだよ!! 人が素直に言ってるのにそんな驚くなよ!!」


 あ、いつものエドワードだ。

 私は笑ったが、すぐに何か背中の方に冷たい視線を感じて、振り返る。

 アルテイシアがこちらを見ていた。


 エドワードもアルテイシアの視線に気がついて私をかばうかのように間に入ってきた。

「ウォロの方へ行ってた方がいい」

「ありがとう」


 私はウォロとミカの所へ行くと、一緒にそこの片づけを手伝った。


 キャサリン先生が来て、片付けと着替えが終ったら、荷物は会議室に置いておいてよくて、食堂へと言われる。

 病院がお昼をご馳走してくれるそう。


 食堂に向かう時もウォロから離れずにいたら「どうしたの?」と聞かれた。

 

 そこでさっきエドワードと話していた時、冷たい視線を感じて振り向いたらアルテイシアで、エドワードが心配してウォロのそばに行けと言ってくれたことを話した。


「そうなんだ」

 ウォロはエドワードの方をちらっと見た。

「アルテイシアの狙いがエドワードだとしても、仲良くしているネモのことはよく思ってないだろうしな……」

「もうウォロには声かけたりしてこないの?」

「ああ、最近学校にいなかったこともあるけど、聖魔法の授業の時もほとんど近付いてこないだろ?」

「んー、でも、まだ1回ぐらいしか授業ないもの」

「ネモは気をつけた方がいいな。エドワードのことで逆恨みされる可能性もある」

 ウォロのことで逆恨みされることもあるけど……。


 食堂で食事をしながら、同席していた病院長に「また劇をやって欲しい」と言われる。

 エドワードとオードリーがもう5年生が進路のことで対外的な活動を控える時期に入るので……と返事していた。


「じゃあ、君達がお手伝いしたらどう?」

 レイモンドとアルテイシアに声をかけていた。


「次は新年度にどうなるか……ですね」とエドワードがその話はおしまいにした。


 帰り、アリス、アンドレアス、エドワード、私、ウォロは陛下の馬車に乗るように言われる。

 陛下の王家の馬車に乗り込む。

 すっごいふかふかなシートで広いし、さすが!!


 陛下からアンドレアスとアリスの結婚式を卒業後の4月に行うことを年明けに発表すると話をされた。

 私は知っていたけど、エドワードとウォロは知らなかったらしく驚きつつお祝いの言葉を伝えた。

 結局、私もまだ内緒だし、エドワードと義理の兄弟になるとか、どうウォロに伝えるか迷ってて伝えてなかった。


 そこで王城の新年祝いのパーティーに、ウォロと私に王家の家族として出席して欲しいのだそう。


 私、大きなパーティーはミーアでしか出席したことないし、それに……母や私の噂をしていた人々も多いだろう。

 しかも2カ月近く学校を休学していたということもある。

 噂好きな人々にしてみれば、格好の餌食じゃない?!


 私の不安そうな表情を見て、ウォロが私の手を握ってくれる。


 エドワードが陛下に言った。

「ネモとウォロは、まだいいんじゃないか?

 特にネモは子どもの頃から王都の貴族社会の噂で嫌な思いもしているし」

「そうだな。しかし、いつまでも逃げているわけにもいかないだろう。

 エドワード、お前とも義理の兄弟になるわけだし」

「義理の兄弟?」

「当たり前だろう。アリスがお前の義理の姉になるんだ。ネモとも義理の兄弟だろう。そしてネモの将来の夫であるウォロも、結婚すれば義理の兄弟になるだろう?」


 それはそうなんだけど……。

 エドワードがすごい焦っている。

「義理の……兄弟?!」

「めでたい知らせの時に周囲にこのことをしっかり周知した方がいいだろう?」


 えーと……。


「いやだ……、ネモと、ウォロと、兄弟になんてなりたくない……」

 エドワードが低い声で呻くように言う。


「陛下、私達とエドワードは学友で同じ寮の仲間です。

 わざわざ義理の兄弟になると周知しなくていいと思います!!」

 私は慌てて言った。


「……まあ、後1カ月はあるから、考えておいてくれ」

 陛下の言葉にみんなで沈黙する。

 アンドレアス、アリス、めでたい話なのになんかごめんね……!


 学校に到着して、私達は馬車から降りたがエドワードはまだ強張った表情をしている。

「エドワード、大丈夫?」

 私が声をかけると、頷いた。

「大丈夫だ、すまない。変なところを見せて……」

 

 違う馬車から降りてきたティエルノ達と合流して寮に戻るが、エドワードはそのまま部屋に籠ってしまった。


 ティエルノに「何があったんだ?」と聞かれる。

 そりゃそうだよな。

 私とウォロは、私の部屋で話し合うことにして、ティエルノに来てもらった。

 3人だからドアも閉められるしね。


 1か月後に発表になるので秘密にしてほしいことを伝えてから馬車での出来事を話した。


「あーそれは……。ショックだよなぁ」

 ティエルノも呻いて考え込む。

 少しして話し出した。


「……でも、どうにもしてやれないし。変な自棄やけ起こさなきゃいいが……。

 とりあえずエドワードの様子には注意しよう。でも、ネモは関わるな。

 また、エドワードをたぶらかしてるとか変な噂になってるだろう?」

「うん、なんかそうみたいだね。

 他の寮の女子が私の文句を言っている……と言うのも聞いた。

 たぶんエドワードが他の女子とあまり関わらないからだよね……。

 私のせいだと思われてるんだよね、きっと」


「まあな、でも、それは本当のところもあるから仕方ないよ」

 ティエルノの言葉にギクッとする。


「えっ? 私、誑かしてなんか……」

「わかっているよ。エドワードの方の問題。

 あきらめるって思っても、心の中はそうすっぱり、すっきりとは行かないだろ……。

 一時期すっきりしてたみたいなんだけど。

 ネモが誘拐されたりがあったじゃん。

 ふたりと離れて心配していたことで、なんだかまたネモへの気持ちが変にこじれたというか……。

 指摘しても本人は認めないけどね」

「そうだったんだ……」

 ウォロが妙にエドワードのことをこだわっていたことを思い出した。

 何か感じていたんだな。


「エドワードとは俺が一緒に行動するから。

 ここんとこライトとセレナがふたりで別行動ばかりだし……。

 あのふたり、悪気はないんだけど、ふたりで行動することが当然と思ってるよな」

「そうだよ。私とウォロ、1年の野営の時とか当番ペアにしてもらえなかったりがあったもん」

「あー、悪かった……。あの時は婚約して寮内に相手がいるのネモとウォロだけだったし、な。

 でも、セレナとライトがあそこまでふたりの世界になるとは思わなかったよ。

 ネモとウォロは、オードリーに気をつかったり、けっこう周囲のことをよく見て行動してくれてたよな。

 ま、ネモとウォロはいつも通りでいてくれ。俺が気をつけるようにするよ」

 

 久しぶりのお父さんっぽいティエルノだ!


「もうあと1週間で期末試験だよね……」 

 私が苦笑いしながら言った。

読んで下さりありがとうございます。

今日は午後投稿する予定です。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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