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136 2年野営実習2~3日目

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 午前3時くらいかな。エドワードに起こされた。

 目が覚めたけど、前にオードリーがいるし、ウォロの腕が重い。

「エドワード、ごめん、ウォロの腕外してくれる」

 エドワードがウォロの腕をつかんだらウォロが手を払って目を開けた。


「ネモが重いってよ」

 エドワードがぼそっと言った。

 ウォロが慌てて腕をどかしてくれる。

「ごめん、目が覚めたら、前も後ろもで起き上がれなくて、エドワードにウォロの腕を動かしてもらうように頼んだの。

 エドワードありがとう」


 私が半身を起こしたのを見てエドワードが頷いて離れた。

 オードリーを起こすと、あくびをして半身を起こし、またあくびをした。

「オードリー、焚火のそばに行くよ。毛布持って!」


 私はまずオードリーを焚火のそばに座らせて、それからウォロの所に戻った。

「ウォロ、起きれる?」

「重くてごめん……」

 何いじけてんだ?!


「寝てる時は温かかったよ。守ってくれてありがとう」

「でも、重かったんだろ……」

「もう! 目が覚めて起きようとしたらね、動けなくて困っただけ!」

 私はウォロを引っ張り起こした。

 ウォロが抱きついてくるので、寒いのに変な汗が出そうになる。

「ちょっとしっかりしてよ……」


 何とかウォロを焚火のそばまで連れて行き座らせる。

 毛布を取りに戻りウォロの背中に掛けてやり、オードリーの隣に座ってほっとしたら、ティエルノに笑われた。

「大変そうだな、ネモ」

「寒いから? 寝起きがみんな悪いね」

「それもあるかもな」


「ネモ、やかんに水入れてくれるか?」

 エドワードに言われ、立ち上がってエドワードの隣に行く。

 熱くなっているやかんの中にお湯が少ししかなかった。


「了解!」

 私は水魔法でやかんの中に水を足した。


 エドワードが蓋をして、焚火の横の方に石を置いた簡単なやかん置きにかけた。下に火のついた焚き木を足している。


「私ここにいるから、寝て大丈夫だよ」

「お茶飲んでから寝るよ」


 私はあくびをしてから大きく伸びをした。

「ありがと。でもお茶飲んで寝られる?」

「温まりたいし。でも、お湯じゃあ味気ないし……」

「そうだね」


 お湯が沸いたようなので、お茶を起きている人数分、エドワードと一緒に入れた。

 

 エドワードとティエルノが飲んでから寝に行った。

 私はやかんにまた水を足した。

 オードリーとウォロもお茶を飲んで目が覚めたみたい。


 ウォロがやかんのそばにいる私の隣に来た。

「座っていい?」

「どうぞ」

 

 オードリーも私の隣に来た。

「座っていい?」

「どうぞ」


 なんだ、3人で並んで座ってるのに何の話も始まらないってのは……。


 私はとうとう沈黙に耐えられなくなり明日の課題について話し始めた。


「明日の課題、どう思う?

 私考えたんだけど、みんな真ん中目指したら絶対会えると思わない?」

「そうだな。でも、相手もそう考えているかわからない」とウォロ。

「そうなんだよ!

 だから、真ん中に向かうペアと南か北が平原だから野営場所も探しやすいだろうし、そのどっちかに行くペアの2組が探索に出られればいいんじゃない?」


 私の提案にオードリーが答えてくれた。

「うーん、そうだね。いいかも。

 上からみて、北と南、どっちの方が近そうだった?」


「南の方が近いと思った」

 ウォロが思い出すような感じで言った。

 私も頷く。

 

「じゃあ、朝食の時にみんなで相談だね。

 なかなか順調だよね。やっぱり、人数が多い方が楽だな。

 ネモとウォロとも一緒だし」

 オードリーの言葉にちょっとうれしくなる。


「そうだな。ホウエンのことで、2カ月近くオードリーをひとりにしちゃったしな」

 ウォロが言った。

 オードリーが頷く。

「うん、寂しかったよ」

 私はオードリーを抱きしめた。

 オードリーが笑って言った。

「でも、ちゃんと戻って来てくれたし、野営もみんなで来られて良かった」


 3人で学校の授業の事や冬休みのことなど話す。

 冬休みはどこに行こうか。

 ダイゴが来られないなら、どこか3人で出かけてもいいかもしれない。

 そんな話にオードリーがウキウキした感じで言った。

「私、港町に行ってみたい!

 そのカイオーとやらは次にいつ来るの?」

「あ、どうだろう?

 連絡ないけど、こっちから手紙出して聞いてみる?」

「それはやめとけ! ……まだ忙しいかもしれないし」

 ウォロが慌てて止めてきた。


 朝日が昇ってきた。

「あー、けっこういい時間かもね。かまどにも火を入れてくる。ウォロ手伝って!」


 焚き木をかまどにセットし、ウォロに火魔法で火をつけてもらう。

「やっぱり、火魔法ができるのいいな。

 ひとりで逃げてる時、すごく実感した、野営は火魔法持ちがいないと大変だって」

 私が言うとウォロが笑った。

「自分とネモはふたりで全属性持ちになるから。ふたりでいたら最強だよな」

「うん、そうだね」


 セレナとライトを起こす。

 ティエルノとエドワードは起こさなくても起きてきた。


 水魔法の持ち主が3人もいるから、朝の仕度は便利だな。

 交互に身支度をして、朝食にする。


 朝食はソーセージとジャガイモの炒め物とパンだった。


 さらに昼食に焼いたソーセージとチーズを挟んだパンを作ってくれていて、探索チームはお弁当として持っていけるようにしてくれてた。

 料理上手がいるといいね。本当に!!


 当番の時に考えてた、真ん中目指す探索もいいのでは? ということを話してみる。

 相談した結果。セレナとライトとオードリーが留守番。

 エドワードとティエルノが南を目指し、私とウォロが真ん中を目指すことになった。


 エドワード達は水筒とお弁当持ち。

 私達はお弁当とコップを持った。水を魔法で出せるからそれは楽だよね。


 エドワード達と一緒に赤いひもを目印に森を出る。

 そこから別れて、それぞれの目的地を目指す。


 真ん中へ進んで行くとふたりの人影が見えた。

 お互いに手を振り近づくとミカがいる! 2-4だ!!

 西から来たと言う。

 湿原の方からだ。

 2-4の言葉は『ほのお』

 お互いに教え合った。


 そこから、私達は北の方へ向かって歩いてみることにする。

 南の方はエドワード達が行ってるからね。

 2-4チームは相談してたけど、私達と一緒に北に行くことにしたそう。


 北へ進み少し苦労したけれど、野営場所を見つけることができた。

 サーシャがいた。2-2寮だ!


 言葉を交換し合う。2-2は『あめ』だった。

 魔法の属性かと思ったけど、微妙に捻ってあるんだな。


 そこから、また真ん中まで2-4のミカとルートと一緒に戻った。

 ふたりもお弁当を持って来ているという。


 お互いに弁当を出し合い、半分にすることにした。

 ミカ達の弁当はパンと果物だった。

 パンとソーセージチーズサンドに果物と、なんだかちょっと豪華な昼食になった。


 食べ終えてから、西と東に別れて東に戻る。

 森の前で赤いひもを探していたら、エドワード達と合流でき、一緒に戻れた。


 オードリーとライトで焚き木を拾っておいてくれたそう。

 もう一晩は大丈夫そうなくらい焚き木が集まっている。


 エドワード達も2-3の野営場所にたどり着け、言葉『ほし』をゲットしていた。


「全部揃ったね!」とオードリーが喜んだ。

「これで3つの課題全部クリアだね!」

 ライトが言うとティエルノが頷きながらも言った。

「まだ、明日の昼に南口に戻るまでは気が抜けないけどな」


 夕食はある食材を使いきれるようメニューを考えようとなり、ライトと確認してみた。

 ジャガイモ、ニンジン、卵、パンが2回分、チーズ、果物、ソーセージ。


 後2食だよね。


 ネモならどうする?と聞かれたので「野菜と卵とソーセージのスープ? とパン。明日の朝食はパンとチーズと果物かなぁ」と答える。


「そうそう、野草摘んできた! たくさん生えてて!」

 1日目の課題だった野草、また使えるかと摘んできたんだよね。


「またスープに入れたら良さそうだね。うーん、チーズを先に使っちゃいたいな」

「ライトに任せるよ」


 そばにいたみんなも頷く。

「うん、考えてみる!」と返事をしてセレナと相談してる。


 ライトが考えたメニューは……。

 夕食は野菜とソーセージのスープにパンを一口大に刻んで入れ、チーズをのせてとろけさせてある。

 

「うん、おいしい! 身体が温まるね! いいアイデア!」

 私はライトを褒めた。

 みんなも「食べやすいし、おいしい!」「温かく食べられる!」と好評だった。


 朝は目玉焼きとパンと果物だそう。

 それで使い切り! 


 夜の番はセレナとライトがそのまま朝食を作れるように最後をやるという。

 じゃあ、エドワードとティエルノを最初にして後半長く休んでもらえるようにしよう。

 昨夜はふたりが真ん中当番してくれたしね。

 

 私とウォロとオードリーは2番目当番なので少し寝ることにする。


 今度はウォロの方を向いて横になるとオードリーが私の背中に抱きついてきた。

 昨夜はオードリーと抱き合って寝てたからウォロ拗ねてたしね。

 

 ウォロが「オードリー、そんなに睨むなよ。こわいよ」と言っていた。

 

 エドワードに起こされた。

 何で真ん中の私から起こすかな……。

 

 今回はふたりの腕が私の上に乗ってて……。これは重いよ。


「ネモ苦しそうだったぞ」とエドワードに言われた。


 まずウォロを起こして腕をどけてもらってからオードリーの腕から転がって逃れた。

 そして、起こす。


「ネモやっぱり大変そうだな」とティエルノに笑われた。


「やかんの水足す?」

 やかんの所に行きエドワードに聞く。

「頼む」

 水魔法で水を足してから、オードリーの所に戻り焚火のそばに連れて行く。


 オードリー、こんなに寝起き悪かったっけ?

 私は手を握って光魔法を流してみた。

 あれ、かなりお疲れみたいだ……。

 

 そうか、私が誘拐されて、きっと心配していたんだろう。

 もしかしたら、自分の父が関わっているかもとかいろいろ考えてしまったのかも……。

 無事帰って来て、劇の事とか頑張りすぎちゃったのかもしれない……。


 ありがとうオードリー。

 今は安心して身体を休めて……。オードリーが私にもたれるようにしてスースー寝息を立て始める。

 エドワードが起こそうとしたので止めた。

「オードリー、私が誘拐されてた時も、学校に戻ってからも、なんだかずっと気を張ってたみたい。

 今は寝かせてあげて」


 私の言葉にエドワードとウォロが顔を見合わせた。

 ふたりも気にしてたみたい。


「俺達寝ちゃって大丈夫か?」

 ティエルノが言った。

「大丈夫! 休んで!」と私が言うが「でもその状態じゃ……」と気にしている。


「大丈夫、自分が動けるから」

 しっかりとした声でウォロが言ってくれた。


「ありがとう、ウォロ」

 私がそう言うと、頷いて「オードリーを寄りかからせてあげてていいから」と言ってくれた。


 エドワードとティエルノが寝に行き、ウォロがやかんのそばに移動して座ってくれた。


 静かに過ごした。

 

 交代の時間。ウォロがライトを起こしてきてくれ、オードリーを私達が寝ていたところまで運んでくれた。

「ありがとう」

 私はオードリーの隣に横になった。

 ウォロが私の横に寝たと思ったらこちら向きに身体を倒してきて、腕どこじゃなく身体半分乗せてきたみたいになった。

「重くない?」

 聞かれてちょっと笑って答えた。

「気を使って身体半分にしてくれてんじゃん」

「うん」

「大丈夫、おやすみ」


 少し寝たら「朝よ!」とセレナに起こされた。


 オードリーもウォロも元気に起きてきた。

 私だけちょっと寝不足かも……。


 朝食後、片付けをして、元の状態に戻す。

 火の始末は念入りに。

 

 赤い紐8本を回収しながら、森を抜け、南入り口まで行くと、決められた馬車に乗り込み、学校まで帰って来られた。

 雨が降らなくて本当に良かった。


 何気に身体が疲れてる。

 課題提出、野営の器具返却とすべてのチェックを終わらせた。

 相談して食堂で、昼食をテイクアウトしてから寮に帰ることにした。

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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