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129 闇落ち?!

 悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

 ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

 どうぞよろしくお願いします。

 アリスの前にものすごい量の闇の力が放出される。

 まるで湧き出てくる波のよう。

 点々でも球状でもなく、水の塊のようなすごい量!


 アリス、実は闇の方が得意なの?!


 私は光魔法の電撃を入れた水球をぶつけて中和させようとするが、量が圧倒的に足りない。


 水の防御壁が吞み込まれ、光の壁にも襲い掛かる。

 

 私は新しい光の壁を大きな球状に展開し、その中に入る。

 そして内側からどんどん光を足していく。


 球の周りが闇に覆われるが、こちらからの光を出し続けお互いに中和したみたいになった。

 

 強化したはずの最初の光の壁も消えていて、すごい闇の力の量だったことがわかる。


 後ろの竜巻を合わせて強大なひとつにするとアリスへ向かわせる。


 アリスは大きめの土の防御壁を再度張った。


 アリスは土、火、風魔法は使ったが、まだ水は使ってないな。

 光と闇は意外なことに闇の方が強かった。


 土の防御壁が完成したので、次の魔法を展開するだろう。


 私は巨大な竜巻で土の防御壁を削らせるがとても強固で時間がかかると判断。

 次の攻撃に備えることにして、試合場全体に散らばっていた光を、光のリボンでつないだ。


 アリスがまた闇魔法の波を作り出そうとしていたので、その光のネットで包んでしまうように攻撃し、妨害する。


 そして、再度、光を放出。視点を確保。


 その時、試合時間が終了。

 私が優勢勝ちとなった。


 アリスがとても悔しそうな表情で私を見た。


「なんで? なんで勝てない? 

 私だってあんなに努力したのに!!

 私はヒロインなのに!!」


 アリス? それともユーチャリス?

 心の声が出ちゃってるけど、大丈夫か?


 私の心配そうな顔を見て、アリスがはっとする。


「ごめん……、私……」

「ううん、アリスがヒロインだよ」

 私は言いながらアリスに近付いた。


 一緒に歩きながら魔道具を外して練習場のラインから出る。


「ネモ、さっきのヒロインって言葉……」

 アリスが立ち止まって声をかけてくる。

 私は振り返る。


「アリスがヒロイン枠でしょ?」

 私が言うと、アリスの顔が苦しそうに歪んだ。

「……何で知ってるの?」


 ん? 

 なんだ?


「何で、知っているの?」


 アリスが私の右腕をつかんでもう一度、言った。


 私はアリスの手が震えていることに気がついた。

「アリス?」

「ネモは……、エミリアは……、何者なの?!」


 私をつかんだアリスの手から闇が広がり始め、あわてて光を放出して飲み込まれないように抵抗した。


 アリスが自分の闇に包まれていく。


 何、これ?

 闇と一緒に瘴気が滲み出てくる。


 ウォロが慌てて私の所に来て、光魔法でアリスの闇を中和しようとする。

 アンドレアスもアリスの元に駆けてくるが近寄れない。


 アリスの闇の量はものすごく私は自分の光魔法ごと吞み込まれそうになる。

「ネモ!」

 ウォロが私の左手を握った。


 ふたりでアリスの闇と瘴気に吞み込まれた。




   ◇ ◇ ◇ 




 気がついたら、転生のにいた。


 アリスに右腕をつかまれ、左手はウォロが握っている状態で3人で立っている。


「アリス?」


 私の呼びかけに呆けていたように立ち尽くしていたアリスがはっとして私を見た。

「なんで? ここに?」


「たぶん、ユーチャリスとアリスの負の感情が暴発したんだろう。

 ずっと押し殺してたんじゃないか?」

 ウォロが言った。


 アリスは泣きそうな顔で頷く。

「だって、だって、私はヒロインなのに! 

 ネモの方が人に好かれるし、力は強いし……、国王陛下にもお父様にも好かれて……。

 ずるいわ! なんで!」


「アリス!」

 私はアリスを抱きしめようとする。

 アリスがいやいやする。


「アリスは、アリスで幸せじゃないの?

 子どもの頃のことはいいよ。嫌だったことはもう忘れて。

 アンドレアスと心が通じ合って大切にしてもらって、幸せだったでしょう?!

 それがヒロインってことでしょう?!」

「アンドレアスは好き。大好き。

 でも、今、ヒロインと呼ばれるのにふさわしいのはネモの方じゃない?!

 おかしくない?

 ネモは……、エミリアは悪役令嬢でとっくに破滅しているはずだったのに!」


「それは、エミリアの魂が恵実だからだよ」

 ウォロが言った。


 アリスがびっくりする。

「恵実って、あのヒロイン枠を引き当てた……、地球の?」

 

 私は頷く。

「アリス……、ユーチャリスの方がいいかな?

 私は恵実です。

 転生のに残されて……、その後、転生したの。エミリアに」


 アリスの顔が歪む。

「知ってて、私が横取りしたこと知っていて、ずっと見ていたってこと?!

 いや、何それ? じゃあ、ずっと私を哀れんでいたの?

 エミリアのあの何も感じていないような目は……、私を哀れんで見ていたの?」


「哀れんでなんかいない!

 ヒロインなのに、なんでこんなことするのかなとは思っていたけど。

 私は恵実としての記憶があったから、小さい頃も何とか生き抜いてこれたし、大きくなってからはエミリアの、ネモの人生が良くなるように動いてこれた。

 でも、アリスの、ユーチャリスのこともずっと気になってた。

 関わらないようにしよう、もう放っておこうと思いながらも、気になってた……」


「それは、ヒロインなのに心も行動も醜いから……」

「違う! ウォロのことでわかったの!

 アリスは、ユーチャリスは人として生まれたばかりで素直だから、一番そばにいた母親のアリシア夫人の影響を強く受けてしまったこと。

 そこが完璧なヒロインから人生がずれた最初なんだと思う。

 でも、戻ったじゃん!

 アンドレアスとの愛の力でアンドレアスのヒロインにちゃんと戻ったじゃん!

 それじゃだめなの?」

「なんで………、ウォロのことで?」

 

 アリスが怪訝そうにウォロを見る。

「自分も転生してる。

 ユーチャリス、私は………デルフィニウムだ」


 アリスがびっくりして私をつかんでいた手を離した。

「デルフィニウム兄様?!」


「ユーチャリス、君の転生当番の後、転生の間に恵実が残されていたのを見つけて……。

 私がエミリアに転生させた」


「なんで?

 兄様がエミリアにネモフィラって名前を与えて……。

 そうまでして、私の邪魔をしたかったの?!」

「違う! ネモフィラを守るために」

「いや、ひどいわ! 恵実も兄様もひどい!

 そうやって、ずっと私を哀れんで、笑って見てたのね!」


「ユーチャリス、違う! 

 ネモはそんなこと全然思っていなかった!

 私のことはそう思ってくれてもかまわない。

 ネモを守るために、ユーチャリスと対決することがあれば、しようと思って転生したのだから。

 でも、ネモは違う。

 転生の間にいたら、魂がどこへも行けないから、私が半ば強引に奪われたヒロイン枠の対になる枠に転生させた。

 彼女なら悪役令嬢にならないだろうと、人生を楽しめるだろうと思ったからだ。

 

 本来なら、ヒロインのアリスは悪役令嬢のエミリアにも優しく手を差し伸べるのが本当だったんだ。

 ヒロイン枠から逸脱した人生を進み始めたのは、ユーチャリス、自分のせいだよ。

 それに自らヒロインを手放したアリスに、ネモは、手を差し伸べた。

 でも、アリス、君の運命のヒーローはアンドレアスで、その手は放さないで済んだじゃないか。

 それだけでもすごいことだぞ?!」


「私、私……」

 アリスが泣き崩れた。

「泣かないでアリス」

 私はアリスを抱きしめた。

「アンドレアスはとてもいい人で、アリスを本当に愛していたから。

 手を離して欲しくなかったの。

 アリスはまたヒロインに戻れたと思ってた。

 私の中では尊敬できるアンドレアスとお互いに愛しあって結ばれているアリスは、努力するヒロインで自慢のお姉ちゃんだよ。大好きなの。それじゃ、ダメ?」


「ネモ!! 私、ネモに本当にひどいことを!!

 ……消えたい。私、消えてしまいたい!!」


 私達がいる場所が急に明るく変化した。

 読んで下さりありがとうございます。

 アリスにネモとウォロが恵実とデルフィニウムだと、いつかは知ってもらわないと、と思っていたら、ここでばれました。

 午後投稿する予定です。

 これからもお付き合いいただけたらうれしいです。

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