127 久しぶりの学校!
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
もう学校にそのまま帰りたかったんだけど、やっぱり王城に一度連れて行かれた。
帰りの行程の日数も入れれば、約2カ月休学してたことになるから!
1時間でも早く学校に帰って復学したいのよ!!
魔法対戦の予選がまだ始まってないかどうかもすごく気になるし!!
王城に到着し庭に通されたら、父様もいた。
私は父様に抱きついた。
「兄様とハロルドを助けに寄こしてくれてありがとう!
とても心強かったよ!
お父様はひとりでたいへんだったでしょう!」
父様は顔をよく見ようと私を少し離してから言った。
「本当なら、私も行きたかったくらいなんだが……。
王城のミスでエミリアを失ったら、陛下のことを一生恨むと、ずっと陛下に絶対助け出すように言い続けてたんだ。本当に良かったよ……」
確かに王城に偽者のミーシカ王子を招き入れたミスから始まってるんだもん!
陛下が変な事言って来たら、この点を指摘しよう。
父様の横に陛下がいて、次に私を抱きしめようとしたら、ウォロが私を後ろから抱き寄せて陛下の手は空を切った。
「「ウォロ!!」」
マリアとジョシュア兄様があわてた。でも、マリアの声は微妙に楽しそうに聞こえた。
「王城のミスをまだ謝ってもらってない」
ウォロが言った。
「……本当に申し訳ない。偽者が持参したプーラン王国の書類は偽造でなく本物で、完璧だったのだ。
見破れず、王城の中で自由に動きまわれるようにしてしまい、今回のことが……。
ネモ、本当に申し訳ない。それから、ウォロ、君の婚約者を危ない目に合わせてしまい、申し訳なかった」
陛下が私とウォロに謝ってくれた。
ちょっとびっくり。
「でも、なかなか楽しそうな大冒険だったらしいな!
ネモ、大きな魚の魔物と仲良くなったんだって!
私も港まで見に行きたかったんだが、周囲に止められてね……」
「陛下! 私が王都で愛娘の帰りを待っているのに、あなたが港のある街まで迎えに行くのは本当にどうかと思いますよ!」
父様が呆れたように言ってから、視線を回し、カルタロフの所で止めた。
「カルタロフ伯爵、今回の事では娘を助け出すことに協力してくれて感謝している。
しかし、まだ、これまでのことを、これまで娘にしたことを、謝罪していないだろう。
陛下は娘を助け出したら今までのことは……と言っていたようだが、私としては許される前にきちんと謝って欲しい」
カルタロフは私とウォロの前に来た。
「モーリオン皇子、ネモフィラ嬢、私の個人的な恨みと復讐に巻き込んでしまって申し訳ない。
ただミーアの皇室に関係があるというだけで、攻撃対象としたこと……。
今では、同じ年頃の息子と娘がいる身として……申し訳なく思っている」
頭を深く下げられた。
私はウォロを見た。
ウォロが複雑な表情をしている。
「……自分は、ネモや家族が攻撃されたことは今でも、すぐには許せるとは言えない。
ただ、今回のことで、あなたがネモを助けるために動いてくれ、危ないことも進んで引き受けてくれたことを知っている。
あなたが、今までのことを反省し、関わった人に謝罪し終え、その後の過ごし方を見させてもらい、どう付き合うかは決めさせてもらいたい。
王国とミーアと、もっと話し合いを続けて下さい。自分とネモはそれを見ていますから」
うん、それでいいと思う。
私も頷いてカルタロフを見た。
「ありがとう。期待を裏切らないよう、努めるつもりだ」
カルタロフは文官と騎士に付き添われ移動していった。
ランスが言った。
「俺も攻撃されたんだけど。今度謝ってもらおう」
ウォロが気がついたように言った。
「そうだよ! ランスとカトレア先生にも……って。
今度、大謝罪の会でも陛下に開いてもらうしかないな」
「アンやセレナ、ライトにもね。
でもさ、ランスのって精神的な攻撃になってるの?
私や家族が見せられたら嫌な気持ちになるだろうけど……。そんなに気持ち悪い映像だったの?」
私も言った。
ランスが真っ赤になり「そりゃ、もう、その、不快な思いを……」とごにょごにょ言った。
「そうか、じゃあ、もう忘れてね。私の代わりに攻撃受けてくれてありがとう」
マリアとジョシュア兄様、ハロルドは王城に残り、学生である私とウォロとランス、そして先生であるクラウス先生とギーマ先生は懐かしい学校に戻ってきた!!
学校長室に入り、学校長とカトレア先生が迎えてくれた。
私は休学解除の書類にサインし、ランスとウォロは課題のレポートを提出した。
カトレア先生に連れられ、学生3人は食堂に移動した。
あー、懐かしい!!
またここでご飯食べられるのうれしい!!
カトレア先生とご飯を食べながら、ハイレディンの治療や浄化の魔法についての話などした。
ウォロとランスも自分が詳しく知らない話だから興味深そうに聞いていた。
その時にこれで3つの国の魔法についての考え方を知ったことになるんだけど、それぞれ解釈や言葉が微妙に違うので混乱して本質がわかりにくいこと、また昔からの伝承を信じているところもあるけれど、それは実は真実ではなかったり、王家や宗教的に都合がいいように作り変えられたり、創作されているケースがあることなど話した。
「興味深いわね……。
ネモ、あなたが文章にまとめてみたら?
言葉もあなたがふさわしいわかりやすいと思うものを仮定として提唱してみればいい。
私もクラウスも協力できると思うわ」
食べ終えてから、ランスは自分の5-1寮に、私とウォロは2-1寮に戻る。
みんな、寮で待ってくれているという。
うん、その方がいい。
寮のドアを開けると、みんなリビングに勢揃いしていた。
ミカもいたよ!
「「おかえり! ネモ、ウォロ!」」
みんなが言ってくれて、オードリーが私に抱きついてきた。
「「ただいま!!」」
私とウォロは大きな声で返事した。
「さあ、休んでいたところの勉強教えるぞ!」
エドワードがノートを何冊も手に持ち言うので……、オードリーと抱き合って涙を浮かべていた私は大笑いした。
エドワード、全然変わんないわ! 今はそれがうれしい。
「えー、今から?!」とウォロがびっくりしたように言ってから、ティエルノを見て聞いた。
「それより、魔法対戦の予選いつから?」
「来週だよ。良かったな間に合って!」
ティエルノがウォロと手をぶつけるように握り合う。
ライトが「今日はご馳走作るから! 期待してて!」と言い、セレナがその隣でうれしそうに微笑む。
オードリーの後にミカが「ネモ、おかえり! 無事でよかった。ウォロなら絶対助けて帰ってくると思ってた!」と抱きついてきた。
あれ、ミカ背が伸びてる?
「ミカ、背が伸びたね?!」
ウォロがミカの頭に手を乗せて「どさくさに紛れて、ネモに抱きつくな!」と言ってから、私とミカを一緒に抱きしめた。
なんだかんだ言ってミカのこと気に入っているんだよね。ウォロも。
あー、学校に帰って来れて幸せだ!!
本当に良かった!
食事の後、明日の授業の科目の進んだ部分をエドワードに教えてもらい、教科書読んでおくように言われて、ウォロと一緒に勉強した。
特に歴史はずいぶん進んでいて、私には『?』なところがいっぱいで……。
ウォロは本で読んだことあるところ、とか言ってて、わかるそう。
私は教科書読んでエドワードのノートを写させてもらう。
「ああ、これ、全科目かぁ!!」
「頑張れネモ」
ウォロが涼しい顔で言う。
「何でそんなに余裕なの?!」
「マリアとランスが時間ある時、この時期の勉強と言って教えてくれたし……」
「えー、ずるい!!」
「ずるいも何も、ネモだってやろうと思えば……あ、24日間消えたんだっけ?」
「そうだよ! 教科書とかもなかったし!!
本だってホウエンの聖女とか精霊とかの……。
あー、あれだってほとんど嘘だったんじゃん!!
せっかく頑張って読んだのにー!!」
「24日間って何?」
オードリーが聞いてきた。
私は魔法陣の箱は空間と時間を遮断する効果がある物だったので中に入ると時間がほとんど進まないことを説明した。
「15分くらいかなと思ったら10日間経っていたり、30分くらいかなと思ったら2週間経っていてさ……」
「じゃあ、ネモは24日間、若いってこと?」
「そういうことになるのかな?
そうしたらウォロが誕生日ずらせって。
誕生日と魔道具の効果の話は全然違うじゃん……」
「ウォロ、誕生日はずらせないだろ」
話を聞いていたエドワードが言ってくれた。
「誕生日は生まれた時ということだ。
途中で時間をスキップしたりしたとしても、生まれた時が変わるわけではないから」
良いこと言うエドワード!
その通りだよ、うん!
エドワードの言葉の説得力に感心して頷いていたら「ネモ、ノート写す手が止まってるぞ!」とエドワードに注意された。
読んで下さりありがとうございます。
これからもどうぞよろしくお願いします。