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124 夜までに

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 私の表情が強張り、怒っていることにハイルは気がつくが、大神官達は気がつかない。(もう様はつけん!)

 そりゃそうか、悪いことだという認識がないんだから。


 その間にも私のところに浄化の力に触れたい光の点々達が来るけど……。

 浄化してあげたいけど……、私が怒っているから戸惑ってしまっている。


 マッちゃん、大神官の話、聞いてた?


『聞いていた。この国でも、結局は聖女はしいたげられる存在のようだな。

 しかし誰もそれを虐げているとは思っておらんところが恐ろしいな。

 むしろ、聖女はその待遇を喜んでいるように思いこんでいるのか?!

 さらに王との間に子どもを儲けよとは……』


 直後にあわてたような声が聞こえた。

『ウォロ、落ち着け、今すぐという話ではない!! 

 ネモ、ウォロが怒り狂ってるぞ!!』

 そりゃそうだ。

 私だって、マリアやアリスがそんな目に合わされたら怒るわ!!


 でも、今、大暴れしてもダメだよね。

 帰りの船やウォロ達と合流できることがきちんと決まらないと事が起こせない。

 もう少し様子を見るけど……。


 その手配ができたら教えて!


 大神官が私を見てちょっと顔を曇らせた。

「おや、浄化の力が弱まっているようですね」


 そりゃ、こんな怒っていたら、浄化どこじゃないわ!


「お疲れのようだ。少し休んでいただこう」

 

 来た道を戻り、さっきの部屋の階まで戻ってきた。

 ここもまだ地下だよね。


 その階のさっきと違う部屋に案内された。


「ここが聖女様にお過ごしいただく部屋です。

 どうぞ、ごゆっくりお休み下さい。

 王弟殿下、お付き合いいただきありがとうございます。

 ここからは我々にお任せを」

 

 大神官の言葉にハイルが食い下がる。

「ネモはまだこの国に慣れていないから、もう少し説明をしたいのだが……」

「それはこれからの我々の役目。どうぞお任せ下さい」


 言葉は丁寧だが、有無を言わせない力がある。

 神殿の力もこの国ではかなり強いのだろう。


「私は王弟殿下と話があります。一緒に部屋に入って休んで頂きます!」

 私は語気荒くそう言うと、ハイルの手をつかんで自分の部屋と言われた部屋に入った。


 普通の部屋だ。

 ハイレディンの別荘が豪華すぎただけで、普通にきれいな部屋。

 気配も普通だし、何も細工はなさそう。


 神官のひとりが一緒に付いて来ようとしたけど「ふたりで話したいことがあるので!」と言ってドアを閉めた。


 一応、聖女様の言うことは聞いてくれるみたいだな。


 私は部屋のソファに座るとハイルに座るように促した。


「えーと、こうなることがわかってて私を誘拐してきたわけだ。

 非人道的な扱いだとは思わないわけ?!」

「ごめん、誘拐した時には仕事だと、国のためだと思ってたし。

 ネモをホウエンに連れて行くのはうれしいという気持ちもあったし。

 でも、ネモを大切に思うようになると、王には渡したくないから……」

「それで、自分の婚約者とか言い出してたわけだ……」

「実際、王でなくてはいけないわけではなくて、王との子を産んでから、他の王族の子どもを産んだ聖女もいるし……」

「!! なんじゃそりゃ!

 自分の恋人や姉妹がそんな目に合うと思って見なよ、どんなにひどいかわかるから」

「まあ、うん……、俺もハイレディンも……」

 私は変な気配を感じて闇魔法の防御壁を展開した。


 私とハイルの周囲にぐるっと球状に巡らせた。


 闇の防御壁にいくつかの光の点々がぶつかったり弾かれたりしている。

「神官の光魔法か? 部屋の様子を窺っているみたいだね。これで探れないと思う」 

 私はハイルとの話を続けようと言葉を繰り返して促した。

「えっと、俺もハイレディンも?」


「あ、そう、ネモがそういう目に合うのはおかしいよなと……」

「……知らない子ならいいわけじゃないでしょ」

「ごめん。

 王家との婚姻や子孫との血縁関係もあるから、他の国の力が強い女性を聖女として迎えて子を儲ける、精霊と契約してもらうというのが当たり前な考えとしてあって……」

「ああ、やっぱりそうなんだ……。

 ハイレディンは私を神殿に引き渡せば仕事が終わるから、その後は自分の自由に動けると言っていたけど……。私を助ける仕事の依頼ができるということでいいのかな?」

「ああ、ハイレディンはそのつもりだと思う。ただ、依頼をどうするか……」

「それなら大丈夫。ウォルフライト王国が今、依頼しているはずだから」

「えっ? ネモにわかるの?」

 ……マッちゃんのことは内緒だな。あ、神聖力でということにしよう。

 そうだよ、私だって周囲を探れるんじゃん!

「神聖力? 放出すると、それが行くところのことが探れるので、今はそれでね」

 あわてて光を放出して周囲を探った。

 どんどん上の階へ上がっていき、窓のあるところまでたどり着いた。

 今いる場所は地下2階という感じかな?


 1階の広間でクラウス先生とギーマ先生を見つけた。

 他の光もいる所であまり働きかけない方がいいのかな?

 マッちゃん、クラウス先生とギーマ先生が神殿の広間にいるのを光が見つけたけど……。


 地下には神官しか降りれないらしい。ふたりはどうやって探ろうかと悩んでいるみたい。


『今、ウォロとランスも合流するからと言っておる』

 今、私、地下2階の部屋にハイルといるから。


『わかった。地下2階の部屋だな。

 ……それからネモ、精霊のことだが……』

 浄化の精霊だっけ?


『浄化ではないかもしれない。先ほど聖石の周囲にいた時、水の中に気配を感じたのだが……。

 浄化や光の感じではなかった。精霊との契約と言われたら、頷くな。受け入れるなよ』


 その時、ウォロとランスが神殿に入ってきたのが見えた!!

 私の光がウォロの所に急いで飛んでいく! 

 頬にくっつくとすりすりしてる。

 いいなあ。私も早くくっつきたいよ。ウォロが気がついてくれて微笑んでくれた。

 とてもうれしい。


 他の光達もなんとなくウォロの周りに集まってきた。そうだよウォロでも浄化できるんじゃね?!


 私の表情を見てハイルが言った。

「ウォロか?」

「うん、今、神殿に来てくれた!」

「そうか、気配だけで、そんなに幸せそうに笑うんだな……。

 わかった。

 まだ夜まで時間もあるし、一度ハイレディンの所に行ってきてもいいか?」

「夜になんかあるの?」

 さっき、王も夜までにはとか言ってたよな。


「夜に精霊と契約する儀式が行われるから……」

「夜に?」

 

『ウォロ、夜に精霊との契約の儀式が行われるそうだ。それまでに何とかしないと』

 マッちゃんがいつになく焦ったようなことを言う。

 そんなに精霊ってやばそうな感じなの?


 私はハイルに頷いた。

「ハイレディンの所に行ってきて! 私は大丈夫だから!

 あ、たぶんハイレディンの所にマリアと兄のジョシュアがいるんじゃないかと思う。

 ふたりに私が元気な事伝えてね」

 

 私は闇の防御壁を解いた。

 ハイルが部屋を出て行く。 


 ひとりになると、神官がお茶の用意を持って部屋に入ってきた。

 お茶を入れてくれるが……。飲むのを躊躇する。

 紅茶でもないし、緑茶でもないし、知らないお茶だ。

 薬草のお茶みたいな感じ……。

 何か入ってるかもしれないし……。

 そうだよ、『言うこときかせておけ』という王の言葉が不穏過ぎる。


 私は考えた挙句、お茶を浄化することにした。

 だって飲むまで見張られてんだもん!

  

 光魔法でお茶を浄化してみる。手応えがあった……。はいアウトですね。

 マッちゃん、わかる?


『最初はどんな香りがした?』

 花の香りかな。

 甘ったるいのに微かに苦みを感じるような香りがした。

 浄化というか解毒したら、普通の爽やかな花の香りのお茶になったけど。

『それなら眠り薬だろう。

 もしかしたら常習性の強いものかもしれないな。

 香りを少しでもごまかすために、花の香りのお茶に混ぜたんだろう』


 あ、確かに、解毒したらジャスミン茶に近い感じがする。


 無害になったお茶を飲んで、眠くなったふりをしたら、ベッドで休むように言われたので横になる。 

 そして寝たふり。


 しばらく、部屋で本当に寝たか確認してたみたいだけど、お茶を片付けて出て行った。


 一体何の薬だったんだ?

読んで下さりありがとうございます。

午後投稿、出かける用事があり、夕方になる予定です。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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