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14 ミーア帝国

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

今回は転生物に挑戦しています。

前回までの話で完全に吹っ切れたネモです!

精神安定してるって素晴らしい!

あらすじも少し先の話まで加筆しました。

これから楽しんで頑張ります!

評価やブックマークしてくださっている方、ありがとうございます。

ゆっくり書き進めていますので、気長にお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。

 年明けに家を訪ねてきたジョシュア兄様から、私とウォロの正式な婚約が決まった連絡があったと教えてもらった。

 ウォロの来年の魔法学校への入学テストに参加したいという希望も叶えられたという。

 来年度から留学生のミーア帝国枠が設けられることになり、次の2月のテストからミーア帝国の魔力が多い子が数人受けられるようになったそうだ。


 ジョシュア兄様にウォロの正式な名前を知っているか? と聞かれたが、全くわからない。


「ウォロ・ミーア? 

 うん、名前がもうひとつ前につくとか?」

 デルフィニウムもつくのかもだけど、ついていたら、ユーチャリスにすぐばれちゃいそうだしな……。

 

「ミーア帝国では名前がたくさんあって、本当に正式だとめちゃくちゃ長いんだそうだ。

 だから、その場で必要な名前だけ名乗るんだと。

 ウォロはウォルフライト王国ではモーリオン・ウォロ・ミーアと名乗るそうだ」

「モーリオン?」

「ダイゴが石についていろいろ話していたことを思い出す話なんだが……。

 貴石にちなんだ名前が一番につけられるそうだ。

 モーリオンは黒水晶のことらしい」

「髪の毛が黒いからかな? 

 じゃあ、ダイゴは?」

「ルチル・ダイゴ・ミーア。

 ルチルは金属が含まれている水晶のことらしい」

「キラキラしてる感じかな?

 銀髪だしね」

「そんなこと言って…、第1皇子はジェイドだから、翡翠。

 緑の石だよな。髪の色じゃないだろう?」

「……瞳の色かも!」

「なるほど……」

 

 私とジョシュア兄様はだいぶ仲良くなった、と思う。

 私のことをネモと呼んでいいかと言われ、今ではそう呼んでもらっている。

 

「そういえば、ウォロからは手紙が頻繁に届いているみたいだな」

「そういうことも把握されてるんですね……」

「外国からの手紙だからな。目立つんだよ」

「はい、毎月届きますよ。

 私もすぐ返事を書いてます」

「本当に、全く手紙なんて書きそうにない奴なのにな」

「兄様はそんなにウォロのことを知らないでしょう!」

「いや、あいつはネモ以外には全く興味がないことはわかる」

「うーん、遺跡とか古代魔法とか興味があるものはあるんですけどね。

 確かに対人だと……はい、学校でやって行けるのかな。

 寮ですよね? ちょっと心配」

「まあ、大丈夫だろう。

 ふたりで入学できれば同じ寮にしてもらえると思う」

「!! そーなんだ、それはいいことを聞きました」

「ま、ちょっと調べたんだが、例えばアリスと第1王子は同じ寮だそうだ。

 一学年を4つのグループに分けて小さな寮で共同生活をさせるそうだ。

 なので、同学年に婚約者がいると同じ寮になることが多いそうだよ」


「……従者やメイドはどうなのでしょう?」

「ひとりは連れていけるはずだが。

 ジュンを連れて行くんだろ?」

「はい、ジュンの年齢を考えてこの先どうしたいか、この前話すことができたんですが、私と一緒に学校に来てくれると……」

「良かったな。となると、ウォロの方が心配だな。

 ミクラはダイゴの従者だろ?」

「はい、そうなんですけど、学校にはミクラがついていくことで話が進んでいるみたいです」

「まあ、あのダイゴなら他の従者でもやってけるだろうしな」


 兄様は面白そうに笑うとお茶を一口飲んだ。

「それから、4月にミーア帝国に招待されている。

 ウォロから聞いているか?」

「手紙に4月の誕生日を一緒に祝おうとミーア帝国に来て欲しいと書いてありました。

 そのことかな?」

「義父と話したんだが、僕が付き添いとして一緒に行くことになった」

「はい! よろしくお願いします」


 兄様が帰ると、私はハロルドとジュンに正式にウォロとの婚約が決まり、4月にミーア帝国を訪問する予定があることを伝えた。


「「おめでとうございます」」とハロルドとジュンが祝福してくれた。

「ミーア帝国に行くの楽しみですね!」

 ジュンが楽しそうに言った。


 なんかいろいろ面倒そうなことはジョシュア兄様が手配してくれることになり、私はいつものように過ごしていた。

 ダイゴとウォロに何かプレゼントを持って行きたいなと思った。


 石拾いで見つけた透明の聖石の中に金属の繊維のようなものが美しく煙のように入っている石があった。

 これがたぶん水晶でルチルという石かな?


 ハロルドに聞くとそうだと確認できたので、教えてもらいながら形を整え、宝飾職人に依頼して飾りピンにしてもらうことにした。

 これでダイゴへのプレゼントはできた。


 ウォロには何にしよう。

 遺跡……。

 遺跡の魔法陣を調べてまとめてみるとか?


 うーん、全く思いつかない。


 ジュンに相談してみる。

「手作りの身につけられるものなど喜ぶのでは?」


 もう少し詳しく聞いてみると、最近は恋人に自分の髪を編みこんだ飾り紐を作り贈ることが流行っているそうだ。

 髪って呪術かよ。

 なんか念がこめられすぎていそうで怖いんだけど。

 そんなの喜ぶのかなあ?


 ジュンに勧められて、教えてもらいながらまず普通の飾り紐を作ってみる。

 練習して1週間に3本ほど作ってみると、4本目からは満足できるものが作れるようになった。

 面白くなってきて続けて2本作った。

 ふむふむ、これはいいかも。

 編むのも早くなり、私飾り紐職人にもなれるかも。

 満足できた最初の1本はハロルドにプレゼントした。

 喜んでくれた。


 2月にお父様がダナンに来たので、お父様と兄様にもプレゼントしたらとても喜んでくれた。

 お、いい感触。

 

 これは自分の髪入りを作ってみちゃうか。


 ジュンに手伝ってもらって、髪を結い上げる時におかしくならない箇所の髪を一筋必要な分だけ切り取った。

 まずそれをきれいに細いみつあみにして、それを飾り紐の他のリボンなどの材料と組み合わせて編みこんでいく。

 私の髪の色は金色だから、ウォロをイメージして黒と銀色の素材と組み合わせてみた。

 なんか豪華な感じかも。

 飾りの留め具は私の瞳の色の濃い青にしてみた。


 かっこよくできた!と思っていたら、ハロルドがそれを見て「ウォロ様に似合いそうですね」と笑った。

 ん、なぜ笑う?

 ジュンを見ると笑いをこらえている。


 私の視線に気が付いて教えてくれた。

「実はウォロ様の噂があって……。

 その、お嬢様は悪役令嬢って噂されてますよね。

 だからお嬢様と婚約したウォロ様は魔王のような方じゃないかと……。

 その飾り紐、なんだか、魔王のイメージあるじゃないですかっ!」

 ジュンがこらえきれずに笑い出す。

 

 確かに、金と黒と銀と濃い青。

 魔王が身につけていそうな色味かも。

 私も笑ってしまった。

 まあ、魔除けにはなりそうだな!


 3月末、兄様と私とハロルドとジュンでミーア帝国に向けて出発した。

 馬……というわけにはいかず、2台の馬車で向かう。

 1台目は荷物。

 なんだかいろいろ王家から預かった贈り物などもあるらしい。

 2台目は私とジュン。

 ハロルドと兄様は馬で行くという。

 いいなあ、馬。

 今回はちゃんとした令嬢として行かないといけないからね……。


 まずダナンから辺境の一番端の街スクエまで1日。

 そこからすぐミーア帝国に入りシャナンザ、マホロと1日ずつかけて移動し、4日目に皇都ミーアに到着予定。


 実はウォルフライト王国の王都への方が7日間かかるから、本当にダナンからだとミーア帝国の方が近い。

 

 ダイゴからの手紙だとウォロがシャナンザまで迎えに行くと言ってきかなかったそうだが、皇帝に「おとなしく皇都で待って迎える準備をしろ!」と怒られたそうだ。

 

 確かに皇子に勝手に動かれると国としては警備とかもあるしね。大変かも。

 シャナンザ、マホロもとてもいい街だった。

 ウォルフライト王国とは建物や服装の雰囲気が違うけれど、ウォロやダイゴの服で見慣れているから、私には違和感はない。

 それに、前世の日本に近いのはミーア帝国の方だと思う。

 アジアな感じ入ってるよね?!

 麵料理や米が出てきて私はうれしかったけど、ジュンは最初、食材と味付けに戸惑っていた。

 

 皇都ミーアに到着したのは夕方だった。

 予定通り4月初めに到着できて良かった。


 私達はまずミルスマリア伯爵様(ウォロとダイゴのお母様達の実家)に迎えられた。

 伯爵様は義理のお母様のお父様だから、義理の祖父になるのかな。

 ウォロはぼーっとしている子でとても心配していたが、私と婚約したいと言い出してからはすごく活動的になったと感謝された。


 伯爵様の案内で皇宮に入り、ウォロの母の元に向かう。

 皇宮、広い!!

 私と兄様は伯爵が用意してくれた屋根のない馬車に乗りかえたが、贈り物などもあるので、ジュンとハロルドは旅の時の馬車に乗り、荷物の馬車も一緒に移動している。

 皇宮の敷地内で馬に乗るのは皇家の人以外には許可制で、異国の人にはまず許されてないそうで……。

 ハロルドと兄様は馬を伯爵家に預けた。


 小さい宮殿がいくつかあり、皇帝の貴妃がそれぞれに住んでいるという。

 今は4人いらっしゃるそう。

 そのうちのふたりがミルスマリア伯爵家の姉妹ということだ。

 なんか前世的にもウォルフライト王国的にも違和感があるが、それは今は受け入れよう。


 ウォロの母はマリヤムという名で、その宮殿もマリヤム宮と呼ばれているそう。

 到着するとウォロとダイゴがそこで待っていた。


 ウォロ、また背が高くなってる!! 

 ダイゴより高い!

 私が馬車から降りる時に手を差し出してくれたので手を貸してくれるのかと思ったら、降りる足が地面に着かないうちに横抱きに抱き上げられてびっくりした。

「のわっ!」

 変な声が出ちゃったよ。

 ウォロはニコニコしている。

 えっと、まず、私を地面に下ろそうか?


 ダイゴが降りたそうにしている私に言った。

「そういうしきたりなんだ。

 そのまま、マリヤム宮の中に」

 そういうことは事前に教えてくれっ!!


 マリヤム宮の中に入るとやっと解放された。

 中庭があり、お茶のテーブルが用意されてい、黒い髪をきれいに結い上げ煌びやかな髪飾りをつけた優しそうな女性と背が高くがっしりした体格の豪華な服を身につけた銀髪の男性がいた。


 ウォロが私の手を取りそちらに向かった。

「自分の婚約者、ウォルフライト王国のエミリア・ネモフィラ・アリステラ辺境伯爵令嬢です。 

 ネモ、自分の母のマリヤムと父である皇帝陛下、だよ」

 

 私と兄様があわてて礼をすると、ダイゴが補足してくれているのが聞こえた。

「こちらがアリステラ辺境伯爵家のジョシュア様。

 ネモフィラ姫の兄です。

 僕達が大変お世話になったんだ」

 

 ネモフィラ姫?


「ネモ、会えてとてもうれしいわ。ウォロとダイゴから話を聞いてとても楽しみにしていたの!   

 さ、こちらにいらして!」

 マリヤム様が声をかけてくれ、ウォロにも椅子に座るよう促される。

 兄様はちょっと戸惑っていたがダイゴに「これは公式じゃないから、気にしないで」と言われ、私と一緒に椅子に座った。


「遠いところから来てくれて本当にありがとう。

 ミーア帝国は君たちを歓迎するよ。

 正式な謁見式は明日にするが、まず感謝を伝えたかったのでこの席を設けてもらった」

 皇帝陛下は隣のマリアム様と微笑み合ってから私を見た。

 マリヤム様は緑の瞳、皇帝陛下はウォロと同じ銀色の瞳だった。


「ネモフィラと呼んでいいかな?」

「はい」

 皇帝陛下はじっと私を見つめた。

「確かに、ウォロと同じ不思議な気を持っているな。

 いい夫婦となるだろう。

 ウォロ、良かったな」

「はい、ダイゴ兄さんには感謝です。

 ネモと自分を結び付けてくれたから」

 ウォロがダイゴに感謝の眼差しを向けると、ダイゴが照れた。


 お茶を飲みながら少しおしゃべりすると皇帝が立ち上がり「長旅で疲れているところ、私の我儘で付き合わせてすまなかった。ゆっくりと休んでくれ」と去って行った。


 おお、なんかすごくかっこいい。

 うちのお父様とはぜんぜん違うタイプだけど。


 私が滞在する部屋に通されると、もうジュンがいて荷物を部屋に入れて使えるように整えていてくれた。

「ジュン、ありがとう」

「いえ、とてもみなさん親切にしてくれて、いろいろ手伝ってくれたんですよ。

 私の部屋はすぐ隣で、あの部屋内のドアで行き来できるそうです」

 ジュンがそう教えてくれ、ふたりで部屋の中のドアを開けてみる。

 隣の個室につながっていて、ベッドとクローゼットと簡単な身支度ができる洗面台などが備えられていた。

「へー、ミーア帝国のメイドの部屋は個室なんだね」

「全員がそういうわけではないみたいですよ。

 お姫様付きのメイドはできるだけそばから離れないようにこういう部屋を与えられるそうです」

「お姫様って?」

「お嬢様のことですよ!」

 え?


「ミーア帝国では皇子の婚約者はお姫様と呼ばれるそうです」

 ジュンが教えてくれた。

 

 なんでそういうことをみんな事前に教えてくれないのかな?! 

読んで下さってありがとうございます。

学校の入学テストまで後1年!

できることを頑張るネモを書いていきたいと思います!

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