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123 聖女に求められること

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。

ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 王は「夜までには言うことをきかせておけ」と言って、連れていた男性と部屋を出て行った。

 

 私はハイルに言った。

「あれがハイルの兄さん?」

「ネモ……、ごめん。今日か明日にでも神殿や王のこと説明しようと思ってたんだけど……」


 ああ、あんな感じじゃ言いたくないよね。

 ぎりぎりまで説明、延ばそうって気になるのわかる。

 ハイレディンも気をつけろって感じのこと言ってたし。


 そういえばハイルはハイレディンの決意みたいなの聞いているんだろうか?


 知らない光達がたくさんわきゃわきゃ寄って来るので思わず自分の光を放出する。


 私の光達はぴょこぴょこ飛びまわり、集まってくる光に挨拶して交通整理するみたいにして、私を守ってくれた。


 いやじゃないんだけど、いっぺんに来られると埋もれそうになる。

 ちょっとずつ私の手に触れるとしばらくじっとしてから離れて行く光達。


 なんだか、だんだん光の点だった子達がちょっと生き物みたいに思えてきた。 

 エネルギー体じゃないのか?

 なんだかこんな風に見えると聖魔法で攻撃したり中和したりするのに抵抗感じるわ………。


 緑色の子がいた。

 この子、ハイルの子かな?


 私がちょっとその子の方に手を出すと、私の指につかまり、すりすりしてきた。

 かわいい!

 するとその子は満足気にスーッと飛んでハイルの中に戻っていった。

 うん、もしかしてこの子達って、何かしらの目的があって私の所に集まっている感じなのかな?


「聖女様、こちらに来て頂けますか?」

 お爺ちゃんが話しかけてきた。

 私はハイルを見る。

 ハイルは頷いた。

 

 部屋を出る。神殿の中らしいけど窓がない。

「地下だ」とハイルが教えてくれた。


『ネモ!』 

 マッちゃんの声が聞こえた。


 あ、光対応に忙しくてマッちゃんに呼びかけるの忘れてた!

 ごめん、すぐ連絡しなくて。 

 今、神殿。属性魔法を抑制する魔道具もつけていない。

『ネモが神殿の地下にいる。属性魔法抑制の魔道具などもつけていない』


 ハイレディンが私の味方をしてくれるみたいで、そのために商会として神殿と国との仕事の契約を終わらせると言って、予定より早く神殿に引き渡されたんだ。

 ハイレディン商会に連絡を取ってみてもいいかもしれない。仕事の依頼という感じで………。


 マッちゃんが私の伝えることを復唱するようにウォロに伝えてくれた。

 

『商会には領事館の方から正規のルートで接触してもらう。

 自分達も神殿の近くに行くから、クラウス先生、ギーマ先生にもこれから神殿に入ってもらう、ということだ』

 ウォロからの返事を聞きながら、さらに階段を下るお爺ちゃんと神官ふたりについて行く。


「あのお爺ちゃんって?」

 私の小声の問いかけにハイルが答える。

「大神官様だ」

 神官より上ってことね。


 壁がなんか自然な洞窟みたいな感じになり、水の匂いがした。

 

 洞窟のトンネルみたいなところを進んで行く、先がぼんやり光っているのが見える。


 トンネルを抜けると鍾乳洞のような空間が広がり、地底湖から大きな聖石の結晶が柱の様に突き出してぽわっと光っていた。

 その周りにも光の点々が飛び回っている。


「わー!! すごーい!! きれーい!!」

 私は思わず大きな声を出してしまった。

 声が反響して恥ずかしかった……。

 ダイゴが見たらすっごい喜びそうだな。


 光の点々は聖魔法=神聖力を持つ人達が放出するエネルギー体と仮定して……。

 ここに集まるのはどうしてなんだろう?


 聖石は光っているがその光はぼんやりしている。

 もしかして聖石の力が弱っているとか?

 神殿に来た人から出た光がここで浄化してもらってまた身体に戻る?

 その力が弱くなってるから、光達は神殿から戻れないのか?


 まず浄化が必要なのか?

 今まで浄化が必要なんて聞いたことないけど?!

 

 ウォルフライト王国やミーア帝国の聖魔法とは違うのか?


「あの……、聖石の力が落ちてますか?」

 私が聞くと大神官様が頷いた。

「おわかりになりますか?

 この聖石は浄化の光を放っています。

 治癒の強い力を持つ方は浄化の力も強いのです。

 今、あなたはこの場でこの聖石と同じような働きができる唯一の方です。

 ゆえに聖女様と呼ばせていただきます」


 ん?

 光魔法の治癒魔法=浄化の力なの?

 なら、私やウォロやマリア、カトレア先生、クラウス先生……は自分で自分の光達を浄化してたってことなのかな?

 なら別に私じゃなくてもいいんじゃない?


 ホウエン王国では光と闇だけじゃなく、草とか大地とかそういう種類の神聖力もあるからそういう人の光は浄化を求めるのかも。


 さっきのハイルの草魔法の緑の光の行動を思い出す。


 あ、そういえば前に聖石に祈りをこめて加工したものをピンにして、ダイゴにプレゼントした時にとてもいい気が入ってるとか言われたっけ?


 ミーア帝国の気の考え方とも通じているのか?


 聖石の指輪をショートさせて魔道具の効果を消してから、また透明な元の状態に戻したりもできたし。


 なら、私が触れたり祈れば聖石の浄化の力が少しは戻るかもしれない。


 でも、こんな大きな柱みたいな聖石……。何が起こるかわからないな……。

 どれくらい力が必要か、予想もつかないし。


 大神官様が話を続ける。


「150年ほど……わが国には聖女の不在が続いています。

 そのためか、聖石の力が近年、急激に弱まりまして……。

 過去の文献を調べたところ、精霊との契約を新たに結ぶことで聖石の浄化の力を取り戻すことができることがわかりました。

 そのため治癒力の非常に強い神聖力を持つ女性を探していたのです」


 その捜索網に引っかかったのがこの私というわけですね。


 ここで求められているのはこの聖石の力を取り戻すために精霊と契約すること。

 それには聖魔法=神聖力持ちで、治癒力、つまり光魔法が得意な人が必要ということね。

 しかし、女性でなくてもいいのでは?


「なぜ女性なのですか?

 ウォルフライト王国やミーアには男性で、その神聖力? を持っている人も多いですし。

 この国の中でも探せばいそうな気がしますけど……。

 大神官様も飛び回っている光見えてますよね?」


 きょとんとされてしまう。

 私、変な事言ってる?


「若い女性でないと、王の子を産めないではないですか!」


 へ?


 なんか、すごく非人道的なことを聞いた気がするんだけど?!


 えっ?

 なに?


 この国の聖女ってすごく非人道的な犠牲者なわけ?

 あ、非人道的って思ってないのか!

 それ、怖いわ!


 私はハイルを見た。

 ハイルは私の視線から目を逸らす。

 

「こんなに力の強い聖女様に来て頂けて、本当にうれしいことです。

 この国の精霊と神殿を守る大神官としてお礼を重ねて申し上げます。

 そして、このように若く強い神聖力の方なら、王との間にたくさんのお子を授かることもできるでしょう」


 うれしそうに話す大神官の言葉に鳥肌が立った。

 

 いやいや、私、誘拐されてきたんだよ。

 誘拐してきてだね、強制労働?! しかも好きでもない人の子どもを産めだと?!


 こんな大きな聖石を浄化しろとか、なんだかよくわからない精霊との契約とか……。

 誘拐してきて、終身契約……身売りっちゅうか生贄いけにえみたいなもんじゃない?!

 それが全然普通のこと、当たり前のこととして話されていることに驚く。

 誰も変だと思わないの?!


 いや、私じゃなくても、他の人でも……と思った時にマリアやアリスの顔が浮かんだ。


 そう、誰でもそんな目に合わさせるもんか!!

読んで下さりありがとうございます。

これからもどうぞよろしくお願いします。

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