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13 かわいい義妹(ジョシュア視点)

悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなり挑戦しています。

今回は転生物に挑戦中。

そしてこの13話は主人公以外の視点の話となります。

前に書いてた人質王女のルティの話は全部ルティ視点から書くことにこだわりましたが、今回は時々こうやって他視点を入れてみようかと思っています。


ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。





 僕の部屋に義妹のエミリア、エミリアの友達のウォロとその兄のダイゴが入ってきた。

 ダイゴはキョロキョロ部屋の中を見回している。

 ウォロはエミリアの右手を握って冷静な顔をしている。

 本当にこのミーア帝国伯爵家の兄弟はどんな神経をしてるんだ!


 エミリアの義兄となったのは2ヶ月ほど前。

 以前から辺境伯爵様と顔を合わせることや何度か会って話をしたことはあるが、正式に養子にならないかと話を頂いたのはその少し前。


 王都にいる長女は魔力の多さから第1王子の婚約者となり、辺境伯爵領にいる次女は将来家を出ることを希望してるので、僕にアリステラ家を継いで欲しいという話だった。

 ん? 

 次女の婿という話ではなくて、次女が家を出る?


 まだ次女が『他の仕事に興味がある長男』とかだったらすんなり話が飲み込めたのだが、不思議な感じがして詳しく話を聞いてしまった。


 長女は正妻の子。

 次女は辺境伯爵領にいた愛人の子。


 エレオノーラ様と聞いてわかった。

 王都の学校にいる時、僕がダナン出身だと聞くと、ほとんどの人がエレオノーラとその娘の噂を話して真偽を確認して来ようとする。

 あんな噂を立てられていたら、家を出たいと思うのもわかる。


 僕は養子になることを承諾し、義父と王都へ行った。

 

 義父はなかなか真意を明かさない人だったが、何度も話して打ち解けてくると隠している願いが見えてきた。

 義父は次女に婿を取り、家を継いでもらいたいと本当は思っているのだ。


 僕は王都で義父の正妻である義母と長女である義妹にも会ったが、どうも好感は持てなかった。

 屋敷の使用人からもこっそり話を聞いたが、次女が屋敷に滞在中(しかも母を亡くしたばかりの時)、ひどくいじめられていたこと教えてくれた者が数人いた。

 噂では全く逆になっている。


 そして僕に話すことが、もう亡くなっているエレオノーラ様とその娘のエミリアへの悪口ばかりだったのもうんざりだった。

 しかし、できるだけその話を聞き、何度も驚いたり、感心して見せたりして信じ込んでいるようなふりをした。

 ダナンで自由に動けるようにだ。

 エレオノーラ様とエミリアの評判はダナンでは悪くない。むしろいい方だ。


 ダナンの仕事を任されるようになると、僕はエミリアに会いに行った。

 金髪に青い瞳のきれいな賢そうな11歳の少女だった。

 まだ11歳なのに、自分の将来をしっかり考えている。

 しかし、その見通しは僕から見れば甘い。


 姉のアリスと同じように贈名を持っていることから、たぶん魔力持ちだろう。

 同い年に第2王子がいる。

 魔力が多ければ王家や他の高位貴族から婚約の話を持ちかけられることもあるだろう。

 そうなると断れないことも出てくる。

 それを指摘するとエミリアは考え込んでしまった。

 その姿を見て僕は言った。

『僕と婚約すればいい』と。

 

 エミリアの希望をかなえてやりたいという気持ちが大部分だったが、少しは裏があった。

 義父を喜ばせてやりたい気持ちと、もし将来、妻にするなら……、できるならエミリアがいいなと……ほんの少し、思ったことは確かだ。

 

 まだ魔法学校の入学テストまで1年以上あるので、少しずつ仲良くなれればと思っていたところ、エミリアにとって初めての友達がミーア帝国の年齢が近い貴族の兄弟と知って驚いた。

 まるで男同士のように付き合っているようだが、将来、家を出るつもりでも、今のエミリアは辺境伯爵令嬢だ。

 これからこの国の魔法学校に行くのならなおのこと。


 これは嫌な役回りを引き受けてしまったなと感じていた。

 友達付き合いに関して注意すると、案の定、エミリアは僕に敵意を見せてきた。

 別荘から家出騒ぎまで起こして……。


 やっとエミリアと腹を割って話せると思っていたが、この兄弟もついてきた。


 座る様に促すと、弟のウォロ、エミリアと同じ11歳が、僕の向かい側のソファにエミリアを座らせ隣に座った。

 それでも手は繋いだままというのが癪に障る。

 兄のダイゴは少し離れたひとり用の椅子に腰かけた。


 「ジョシュア兄さん、ネモフィラに婚約を申し込みます。

 明日、ネモのお父さんが来たらその話を詳しくしたいです」

 ウォロがゆっくりと自信に満ちた声でいきなりそう言った。

 ダイゴが口を挟む。

「ネモ……、エミリアが他家と婚約させられないように、養子であるジョシュア様と婚約の話があったことは聞いています。

 ウォロとエミリアはお互いに思い合っています。

 隣国と少し遠い縁ではありますが、婚約のことを正式に考えてみてはもらえないでしょうか?」

 ダイゴの方がまだ国を越えての婚約を進めるのが難しいことをよくわかっているようだ。


「エミリア、これは本当のことか? 

 僕に対する当てつけ、とかではなく?」

「そんなことありません。

 ジョシュア兄様、ここ数日の私の態度が悪かったことは謝ります。  

 私はウォロが好きです。

 ずっと一緒にいたいと思うようになっていましたが、それは家を出てからのことだと思っていました。

 でも、兄様に他家との婚約がありえることや、それを避けるために兄様との婚約を勧められたりして、気持ちが不安になり、それが態度に出ていました。ごめんなさい。

 さっき、そんな自分が許せなくてひとりになりたくて別荘を出たんだけど……。

 迎えに来てくれたウォロとゆっくり話しをすることができて、ウォロが婚約しようと言ってくれました。

 当てつけとか嫌がらせとかじゃないの。

 本当に今年の4月に出会った時から、ウォロが好きです」

「はい、自分もそうです」

「その時はまだ男だと思っていたんじゃ?」

「いえ、女の子じゃないかな? とは思っていたのですが、帰国前に教会を見学した時、ネモが辺境伯爵令嬢であることを知りました」

 エミリアがびっくりしてウォロを見た。

「えっ、あの日の午後、教会にいたの?!」

「うん、そこでネモの姿を遠くから見たし、本名を知って、確信したんだ」

「そうだったんだ……」


 その時ダイゴがまた口を挟んできた。

「ジョシュア様、辺境伯爵はエミリアを家から出すおつもりなんですよね。

 それなら、ミーア帝国との婚約も可能なはず。

 もしや、いつでも婚約破棄できるからと言って、エミリアを家に縛り付けるおつもりではないですよね?」

 

 嫌な聞き方をする。


「家に縛り付けるつもりはない。

 本当に……妹のように思えたんだ。

 王都の屋敷でエミリアがひどい扱いを受けていたことは知っているか? 王都での噂は?」

「少し調べましたので、詳しくとは言えませんが知っています」

 ダイゴが答える。

 ウォロは安心させるようにエミリアを見て頷いている。

「自分はネモを守ります」

「でも、ネモ……、エミリアはウォルフライト王国の魔法学校に行くんだぞ?」

「あ、それなら……」とエミリアが言いかけるがウォロが止めた。


「それなら自分も魔法学校に行きます。

 魔法学校にはユーチャリスもいるし、ひとりでは行かせられない」

「ユーチャリス? 

 ああ、アリスのことか。

 確かにアリスが待ち構えているだろうな……。

 でも、入学するならテストがあるぞ?」

「自分は魔力が多いし、聖魔法の適性もあります。

 申し込めばテストは受けられるはずです」

「……わかった。

 明日の夜、義父と一緒に話をしよう」

「「ありがとうございます」」

 ウォロとエミリアが口を揃えて言った。


「エミリア少しだけふたりで話せるか?」

 ウォロがエミリアを心配そうに見る。

 エミリアが頷くとダイゴとウォロは部屋から出た。


「兄様、本当にここ最近の……、特に今日の態度は申し訳ありませんでした」  

 エミリアがまた謝ってくれた。

「わかってくれたのならいいんだ。

 僕は本当に妹としてエミリアがかわいいと思っているし、味方になりたいと思っている。

 それは本当だ……。

 今日のことは許すよ。

 僕のことを本当の兄と思ってくれないか?

 僕は……、エミリアと家族になりたい」

「……はい、わかりました。

 本当の兄だと思い接してみます。

 ただ、私は先ほどお兄様に言われた様に、人を頼ることや甘えることが苦手です。

 また、私の態度がおかしくなったりしたら、言って下さい。

 その度に立ち止まって、考えます」

「ありがとう。

 少しずつでいい。兄として認めてくれたらうれしい。

 さあ、夕食だ。

 あのふたりもまだドアの前をウロウロしてそうだしな……」




   ◇ ◇ ◇




 次の日の午前、みんなで馬に乗り湖の周りを駆けた。

 エミリアは何回か、私と一緒に馬に乗ってくれた。

 ウォロが何とも言えない表情でこちらを見ていたのが笑えた。


 そして午後、義父が到着してから時間をもらい、4人で義父にウォロとエミリアの婚約の話をした。

 義父は驚いていたが、エミリアの決意とウォロがウォルフライト王国の魔法学校に一緒に行く意思があることを知ると、認めてくれた。

 もし、ふたりのうちどちらかでも学校に入学できなければ、ミーア帝国の学校に通うことまできちんと決めた。

 それぐらい、異国の貴族が魔法学校に入学するのは難しいと思われたからだ。

 

 そして、国を越えての婚約となると両王家(ミーアは皇帝家)の了承が必要になる。

 それはミーア帝国から申し込みしてくれることになった。

 魔法学校への問い合わせもしてくれるという。

 

 次の日、義父と僕はダナンの屋敷に戻った。

 婚約を認めたのなら、もうあまり口出ししない方がいいと思ったからだ。

 

 僕達が帰った次の日、みんなダナンの街に戻って来て、石拾いや遺跡巡りや教会の孤児院に行ったりと、それぞれ好きなように過ごしていたようだ。


 エミリアとウォロは一度だけ、屋敷に義父と僕を訪ねて来てくれた。

 4人でお茶をした。

 ウォロは少し変わっている奴だが、いい奴のようだ。


 義父が王都に戻る頃、ウォロ達もミーア帝国に帰国した。

 その後、義父から驚くような知らせがあった。

 

 伯爵家の弟だったはずなんだが……。

 王家の方に、正式にミーア帝国からエミリアと第3皇子との婚約が申し込まれたそうだ!

 ということはあのダイゴが第2皇子?!


 僕はその知らせの手紙を見て大笑いしてしまった。

 

 かわいい義妹ができたと思っていたら、とんでもなく面白い義弟までついてきた。


 おお、ウォルフライト王国の王子とミーア帝国の皇子が両方、義弟になるとか、すごいな。

読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

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