83 選抜の結果
悪役令嬢や聖女が登場している話をたくさん読んで楽しくなり、自分でも書いてみたくなって挑戦しています。
ゆっくり書き進めていますのでお付き合いいただけたらうれしいです。
どうぞよろしくお願いします。
ウォロは頭突きを予想してなかったみたいで、見事に顔に入ってしまい、鼻血が出てしまった。
それを見て私は急に我に返り「わー、ごめん!!」と叫んだ。
先生が来て「これはウォロが悪い!!」と言った。
エドワードやティエルノが来てくれて、試合場から連れ出してくれたけど、私は泣きながらウォロに「ごめん! ごめん!」と謝り続けていた。
先生に確認を取り、鼻血だけは魔法で止めて良いと言われたので、震える手で光魔法で治療した。
「ごめん、ウォロ……」
「大丈夫。油断した……。こっちもごめん、あんまりにも弱っているネモがかわいくて……」
泣いてるのに、かあっと顔が赤くなった。
次の試合、ミカとダリルだったのにちゃんと見られなかった……。
予想していたようにミカが最初に猛攻を仕掛け、勝ったそう。
ミカはこちらに来ると私とウォロを見て言った。
「お母さんも……、お父さんもいろいろ油断しすぎ」
ウォロはお父さんなのか?
結局、勝ったのはウォロとミカとティエルノ。それにシードのエドワードだけど、先生の指名でエドワードとダリルがまた試合をし、エドワードが勝った。
悩んだ先生が、ティエルノとミカに試合をさせた。ティエルノが苦戦したけど優勢勝ち。
ミカ、すごく頑張った!!
2年の選抜チームはエドワード、ティエルノ、ミカ、それに補欠でウォロということになった。
まあ補欠と言っても選抜に変わりないけれど。
まあ、あんな騒ぎを起こしたこともあり、先生なりの罰的な意味もあったみたい……。
私はミカが選抜に入って大喜びなんだけど、ウォロの方も気になりあまり大っぴらには喜べなかった。
しばらく、2年生はネモの頭突きが最強じゃないか?! という噂が学校に流れることになった……。
そうそう、噂と言えば『エドワードの噂』はなかなかいい効果があって、だいぶ過ごしやすくなったみたい。
食堂で食事もできるようになったし、剣の練習もまあ、見られてる感はあるが、声をかけてきたりはなくなった。
アルテイシアもおとなしくしている。
レイモンドが時々一緒にいるようだが、同じ1年生で一緒に過ごす友人もできたようだ。
聖魔法の授業では、やっぱり私を無視して、ウォロと仲良くしようと声をかけてきたりすることがある。
もしかしたら、エドワードをあきらめてウォロに狙いを切り替えたのかも?!
一応、皇子だしね。
あれ、でもミーア帝国は嫌いなんじゃなかったっけ?
入学式の時にウォロを見て顔を赤らめたアルテイシアの態度にずっと引っかかっていることに改めて気が付く。
んー。ちょっとイライラするけど……。
お父様から手紙が来た。
アリシア夫人が王都の郊外の療養施設に入ることになったのだそう。
アリシア夫人とずっと向き合いこれまでのこと、これからお互いどうしたいか話し合いを続けていたそう。
夫人が望むならと離縁も考えたそうだが、最終的にお父様の正妻でいることを望んだそう。そしてその名で穏やかに最後を迎えたいので、屋敷から離れて病院か療養施設に入ることを希望したのだという。
お父様がちゃんと私達に話したいので、金曜日の放課後学校へ来てくれると書いてあった。
王都郊外ならアリスもお父様もお見舞いに行きやすいし、時々会う関係ぐらいの方がうまくいくのかもしれないな。
アリスとは本当の親子だし、良い方向での仲直りができるといいけど……。
でも、これでお父様はダナンに行くこともできるし、ジョシュア兄様は王都に来ることもできる。
金曜日の放課後、学校の客間を借りてお父様と話をすることができた。
アリスは明日の午後、屋敷に行き、療養所に移る前のアリシア夫人と話をしてくるという。
私は、申し訳ないけど……、行かないと言った。
お父様もアリスもそれでいいと言ってくれた。
『お元気でお過ごしください』とだけ伝えてもらうことにした。
寮に戻り、夕食の自炊料理作りを手伝っていたら気が紛れたが、夜になるといろいろ考えてしまう。
私は薄情なのだろうか。
許せないというのは心が狭いのだろうか。
お母様だったらどうしただろうか……。
ウォロと話しがしたくなって部屋を訪ねた。
ウォロもお父様の話を気にかけていてくれたので、座ってゆっくりと話を聞いてくれた。
アリシア夫人のこと、明日の午後、アリスは辺境伯爵家の屋敷に行くけれど、私は行かないと決めたこと。
自分ではもう許してもいいんじゃないかという気持ちとあの時の苦しみや痛み、悲しみを考えたら許すことはできないという気持ち……。
「いいんじゃないか? まだ答えを出さなくても。
アリスからアリシア夫人の話を聞いて、それから考えればいい。今、悩むことはないよ」
ウォロの言葉を聞いていると気持ちが落ち着いた。
「ありがとう、ウォロ」
私はウォロに抱きついて目を閉じた。自然に顔をウォロの胸にすり寄せていた。
「明後日の休みの日、また剣の練習で王城に行くけど、早く切り上げて大使館に行こうと思う。
カルタロフ伯爵がミーアでどんな風に過ごしていたのか調べてもらっていたんだ。その報告が上がってきたそう」
「うん、わかった。私も行く。オードリーは?」
「セレナ達と一緒にいてもらっていいんじゃないか?」
「うん、わかった」
「ネモ?」
「うん?」
「甘えてくれるのはとてもうれしいんだけど……、その、ここであんまりそういうことされると、その変な気分になっちゃうというか……」
私はあわてて顔をウォロの身体から離した。
「ごめん、長くくっつき過ぎた?!
でも、今まで一緒のベッドで寝てたりしてもそんなこと言ったことなかったよね……。
何か変わった?」
「うん、ネモ、少し変わった気がする」
「私が? あ、ウォロの方が頭突きのショックとか後遺症で変わったとか?」
「……違うと思うけど。じゃあ、明日も早いし、おやすみ」
頬にキスしてくれたので、私も「おやすみ」とウォロの頬にキスして自分の部屋に戻った。
日曜日の午前中、みんなで王城に剣の練習に行き、私とウォロだけ大使館の馬車に迎えに来てもらった。
大使館ではジュンが女の子を出産したことを教えてもらった。
母子ともに健康!! 良かった!!
カルタロフ伯爵のことをまとめてある資料をざっと読ませてもらう。
やっぱりミーアの皇室に関係ある人だった。
読んで下さりありがとうございます。
午後の投稿はお休みします。
今日はこれから今年度初の絵本の読み聞かせボランティアに参加してきます!
前回が去年度の3月だったので2ヶ月ぶりだ!