表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/384

10 久しぶりの再会

今、この2話先ぐらいの話を書いているのですが、方向は見えているのですが感情の表現に苦労しています。

でも、昨夜、無事に書きあげられそうな感覚がつかめました!

この北の山の湖の話が過ぎると魔法学校の話に入れそうです。

 

ゆっくり書き進めていくのでお付き合いいただけるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いします。



 ウォロとダイゴとミクラと待ち合わせをしている日になった。

 たぶん、昨日の午後に、ダナンの街に到着して宿を取ったんだろう。


 ジュンに家のことをお願いして、朝の8時過ぎにハロルドと馬で待ち合わせの川原に向かう。

 馬に乗りやすいから、やっぱり男の子のような服装になった。


 早すぎたかなと思ったけれど、もうダイゴ達は石拾いをしていた。

 こちらの馬に気が付いたのか、ウォロが走ってきた。


 私が馬を降りようとすると手を差し出してくる。

 あれ、ウォロ、背が伸びて大きくなってる。

 

 私は一瞬戸惑ったが、ウォロの手を借りて馬から降りた。

 手はつないだままだし、目の前にウォロがいて、照れる。


「ネモ、会いたかった!」

「私もウォロと会えるの楽しみにしてた」


 そのまま、ダイゴとミクラの所に向かうがウォロが手を離してくれない。

 まあ、いいか。

 手を握っていると会えなかった時間が溶けてなくなっていくような気がした。


「お久しぶりです!

 会えてうれしいです!」

 ダイゴとミクラに挨拶する。


「ネモ、久しぶり! 

 ダナンにまた来れてうれしいよ!」

 ダイゴが石を拾いながらにっこりした。

 ミクラも一礼してくれる。

 

「この後、日が昇ると暑くなるので、うちで涼んで下さい」

「ネモの家に招待してくれるの?」

 ダイゴがびっくりする。


「はい、ぜひ、いらして下さい!

 ゆっくり私の家のことと……、北の山の湖のことをお話しできたらと思います」

「わ、これは石拾ってる場合じゃないな!」

 ダイゴがあわてている。


 あ、でも、早いほうがジョシュア兄様が来る前に話を始められるかも!


 すぐに私の家に移動する話になった。

 ハロルドが馬車の御者に家の場所を説明するとわかったようだ。

 

 ハロルドと私とウォロは馬で先行することにした。

 ウォロが私の後ろに乗る。

 振り返るとやはり以前より大きくなっている。

「ウォロ、背が伸びたんだね」

「うん。伸びた」

 返事をしながら、右腕で私をぎゅっとした。

「ネモはあんまり変わってない」

「うー、体力作り頑張っているんだけどな……」


 ハロルドが馬を走らせ始めたので、あわててウォロも走らせた。


 家に着いて馬から降りると、ハロルドが馬をつなぎに行ってくれる。

 ちょうどダイゴ達の馬車も到着したので、家の庭に入ってもらう。


 そして、3人を家に招き入れた。

 ジュンとハロルドが3人を応接室に通してくれ、私は急いで着替えに行った。

 

 女の子の格好で応接室に入る。

 

 あれ? 

 3人ともあんまり驚いてない。


「ずっと男のふりをしていてごめんなさい。

 父と会う時やダナンの街を歩く時に、ちょっと事情があって、男の子の格好をすることが多くて……。

 ダイゴ達と出会った時もそうだったんだ。

 ずっと言い出せなくて、ごめんなさい。

 私の名前はエミリア・ネモフィラ・アリステラ。

 アリステラ辺境伯爵次女です。

 女だけど、友達として今までのように仲良くして欲しい!」


 そう言って頭を下げる。

 誰も何も言わないので恐る恐る頭を上げる。


 3人ともニコニコしている。

 なんだ?


「ごめん、ネモ。わかってた」とダイゴ。

「えっ?」

 あんなに悩んでたのに……。もうばれてた?


「途中で気が付いたけど、ネモが言いたくなるまで待とうと思ってた」

 ウォロがそう言って椅子から立ち上がるとこちらに来て、私の手を取ってソファまでエスコートしてくれた。

「僕達も自分達のことをちゃんと説明してなかったから、おあいこってことで!」 

 ダイゴがそう言って、私を見つめ、小声で話を続けた。

「僕達はミーア帝国のミルスマリア伯爵家の兄弟だということになっている。

 でも、ちゃんと自分のことを教えてくれたネモにだけは本当のことを教えるよ。

 僕は第2皇子で、ウォロは第3皇子だ。

 このことはネモだけに教えるから、他の人には伯爵家の兄弟と言うようにしてくれ」


「えっと……。わかりました」

 私はドキドキしながら答えた。

 確かに身分が高そうだとは思ったけれど、皇子だとは思わなかった……。


「で、北の山の湖の話を聞きたいな、どんなところだろう?」とダイゴがいつもの声の大きさに戻して話を促した時、ドアがノックされジョシュア兄様とハロルドが入ってきた。


「エミリア、遅くなってすまない。きちんと話はできたのかな?」

「はい、男のふりをしていたことは謝って、自己紹介し直しました。

 最近、私の義兄になったジョシュア兄様です」


「エミリアの義兄、ジョシュア・アリステラです。

 どうぞよろしく。

 エミリア、皆さんを紹介してくれるかな?」


「ミーア帝国ミルスマリア伯爵家のダイゴ、ウォロ兄弟と護衛従者のミクラです。

 この3人が私の大切な友達です」

 

 ダイゴとウォロとミクラが座ったまま軽く礼をした。


「北の湖の別荘だが、義父に確認してOKをもらったよ。

 今日から泊りに行くことができる。

 食材なども手配した。

 ただ、友人が男性ばかりということで僕も同行することが条件だ。

 それから、2日後に義父が皆さんにご挨拶がしたいので別荘へ来ると言っていました。

 今日はホテルで過ごしていただいて、明日、湖へ向かいましょう。

 お泊りはアリステラホテルですよね? 

 明日、お迎えに伺います。

 これでいいかな? エミリア」

「ありがとうございます。ジョシュア兄様。

 この後はこの家で過ごしていただいて、夕方になったらホテルに向かって頂くからもう大丈夫。

 お仕事にお戻りになって下さい!」

「……僕を早く帰したいみたいだな?」

「そんなことないです……。

 友達と久しぶりに会ったので話をゆっくりしたいだけ」

「……わかった。

 では明日、最初にエミリアを迎えに来るから」

「大丈夫です! ホテルまでハロルドと馬で行きますから!

 あ、ジュンは馬車か……」

「馬で?! 

 義父から聞いてはいたが、本当に面白いなエミリアは……。

 では、明日、9時にアリステラホテルで待ち合わせしよう!

 ごきげんよう!」


 ジョシュア兄様が部屋から出て行くと、私はため息をついた。


「最近義兄になったって?」

 ダイゴが聞いてくる。

「うん、2か月前くらいかな?

 実は初めて会ったのも7月に入ってからで、まだあんまり慣れてないし、よくわからない」

「悪い奴ではなさそうだけど、な?」   

 ダイゴが言うとウォロがちょっと心配そうな顔で私を見た。

「ネモに対して、何か、考えてる感じがした」


「辺境伯爵家には長女と次女しかいなくて、長女のアリスは第1王子と婚約してるの。

 だから、辺境伯爵を継ぐのなら、私が婿を取る話になるのだけど……。

 正室の夫人が良く思ってなくて。

 だから私は将来的に家を出ると父にはそう伝えてある。

 だから、父はジョシュア兄様を後継ぎとして養子にしたんだけど。

 先日、私のためになるから婚約しようと言われて……」

 そこまで話したら、3人の気配が変で口をつぐんだ。


「婚約?」とダイゴが言ってウォロを見る。

 ウォロが無表情になっている。


「あ、別に私を辺境伯爵家に縛り付けるためじゃなくて、私が王命で他家と婚約させられないようにということで、自分ならば必要な時に婚約破棄できるから! という婚約だよ! 

 でも、できれば、義兄とは婚約したくないので、1年間、他に方法がないか考えさせてもらうことにしてある。

 ほかに方法が見つからなければ、学校の入学テストの前にとりあえず婚約だけするかもしれない」


「おい、ウォロ、大丈夫か?」とダイゴが何故かウォロにそう声をかけた。

  

 私が昼食の用意をするために台所に行くと、3人もついてきた。

 一緒に用意してくれるという。

 手伝わせていいのか?

 ジュンがそれぞれに仕事を振り分けてくれ、サンドイッチを作った。

 

 ひとり分を紙でくるむと、私は冷たいお茶の水筒と一緒に御者の所へ届けることにした。

 ウォロが一緒に来てくれた。

 そういえば、ウォロ、さっきから元気ないな?


 御者にテラスの日よけの場所を教えて、昼食にどうぞ! とサンドイッチとお茶を渡す。

「お嬢さん、ありがとうございます。

 エレオノーラ様のお嬢さんですね。よく似ておられます。

 本当に……やさしい方でした」

「ありがとうございます。暑さで体調を崩さないように気を付けて下さいね」

 私は微笑んでそう答えると家に戻った。

 

 家に入るとウォロが「エレオノーラ様ってネモのお母様のこと?」と聞いてきた。

「うん、母だよ」 


 私は薄暗い玄関で立ち止まりウォロを見て言った。

「私が8歳の時、馬車の事故に遭って、母が大怪我をしてその後亡くなったの。

 私は母が守ってくれたから、ほとんど怪我もせずに済んだんだけど……」

「いいお母さんだったんだな」

「うん、本当に大好きで今でも私の中に母がいるよ。

 迷った時や悩んだ時、母だったらどうしたかな? といつも考えると、進むべき方向が見えてくるの。

 そういう大切なお母様」


 母のことをウォロに話していると泣いてしまいそうな気がして、話を変えるように言った。

「昼食を食べたら、私の部屋を見せてあげる!

 2階にあってダナンの街が良く見えるから!」


 みんなで作ったサンドイッチを昼食に食べてから、家の中を案内した。

 小さな家だから、すぐに回り終えてしまい、ダイゴとミクラはハロルドに石のコレクションを見せてもらいに物置に行ってしまった。


 ウォロと私の部屋に戻って、ダナンの街を窓から眺める。

「ね、きれいに見えるでしょ!

 生まれてからほとんど、この家で過ごしてるんだ。

 ここが私の大事な故郷だよ」

 ウォロが頷いた。

「自分もこの街が好きだよ」

「ありがとう」

「今度はミーアにも連れて行く。

 自分の故郷を見せたいから」

「うん。父に行けるか聞いてみる!」


 夕方までゆっくりとおしゃべりして過ごし、3人は馬車でホテルに戻って行った。

 明日の朝、また会えるのが楽しみ!

読んで下さりありがとうございます。

次も頑張ります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ