ほくそ笑む
雨の日。宮殿であいつと出会ってしまったのだ。あいつは、私達を支配しようとしていた。そのために私達を人質にした。閉じ込められた場所は、幸運にも私達の昔住んでいた場所の地下。逃げ出せたが、その先にあいつはいた。私達親子は、そこで秘術を使い転生した。転移といったほうがいいかもしれない。
これが最後の記憶。そうして私は、エリーシャに、お母さんは、ソリーヌになった。転生してきたはいいけれど、問題があった。私達の家族だ。探してくれるまで、結構な時間がかかる。しかも転生先は、異界で言う乙女ゲームの世界だった。そして私は悪役令嬢。面倒なもの。モブで良かったものを。
それからは、ひたすら自分を鍛えた。もとの魂がこの体になれないからだ。おかげで、前の状態の3分の1程は戻った。そして、これから起こる嫌な出来事に対して対処するのみだ。そうして5年も経つかというとき。
そんなときにイベントは起きた。この地域一帯の飢饉だ。霧の発生によって、作物が枯れてしまった。ただ例外がある。この村は、少女の能力によって守られていた。おかげで、豊作だった。それに目をつけたのが、名ばかりの領主であり、少女の祖父に当たるパーキ・バービ・リンソン。彼は、母が使い物にならなくなったとき、すぐに捨てた人だ。つまり絶縁状態にある。お陰様で少女は名字を持っていない。そんな自己中心的彼が、あろうことか、母に作物を持ってこいと手紙を送ってきたのだ。恥を知れ。
エリーシャは即座に動いた。まず、自分の能力を使い魂の家族へ祈った。
「パーキ・バービ・リンソンが逆らえなくなりますように。」
そして母をこれ幸いと祖父のもとへ送った。
そして、あっという間に村を従えた。まず、村に謝罪をした。それから、個人で、宝石などを売り、村に莫大な寄付をしたのだ。そこで一芝居打つことも忘れない。母にこき使われていたことをそれとなく表すのだ。村の皆は同情し、尊敬する。そして実際エリーシャは村を支配したのだ。
その頃ようやく祖父から怒りの手紙が来た。けれど、それを使って、村を団結させた。そうして、頼りを待つこと2週間。謝罪の手紙が祖父から届いた。
エリーシャは、静かにほくそ笑んだ。小さくとも私は、負けない。家族のため私はある。
忙しくて結構間が空きます