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ANIMA  作者: けんはる
8/12

天界開放大戦③

「おはよう、エース」


 寝室の扉を開けるとガブリエルが出迎えた。

 

「あぁ……」


「どうかしたのか?」


 ガブリエルは虚ろな顔をするエースを心配した様子で見つめる。


「あぁ……変な夢を見たんだ……」


「魂の道を見たのか?」


 隣の部屋からアレンが出てきた。


「なんだそれ……?」


「魂の道っていうのはな、死んだ魂の記憶のことで、無限覇道の発動者にのみ見れるものだ」


「なるほどな……」


「まぁ、よくある症状だ」


 三人は話しながら聖堂の祈り像の方へと歩いて行く。


「昨日の決起集会から各地の開放戦線メンバーたちが動き出している。奇襲まではあと二日だ」


「あぁ、必ず……メアリーを救い出す!」


 エースの目は闘志に燃えていた。


「ガブリエル……ちょっといいか?」


 アレンはガブリエルを別室に呼び出した。


「今回の戦いはきっと天界中を巻き込んだものになる」


「あぁ……」


 アレンは真剣な眼差しでそう言う。


「そして……望まぬことであっても……多くの命が散っていくだろう」


 ガブリエルは言葉を詰まらせた。


「死ぬのは……ゼウスの野郎一人でいいんだ」


「エースは……いい奴だ。弱った敵兵を目の前にした時に、命乞いをする者を前にした時に……もしあいつの手が鈍って選択をためらったとき……」


 アレンはその想像できうる光景に、険しい表情を浮かべた。


「俺はもう、仲間の死ぬ姿を見たくない」


「俺ばかりがいつも生き残ってきた。ガブリエル、お前たちもだ」


「お前たちも……皆も守りたい……だから……」


「四段以上の天野流を使うことを許してくれ……!」


 その言葉にガブリエルは良い表情をしなかった。


「その危険性は……お前が一番わかっているだろ……」


 ガブリエルは訝しげに言った。


「十年前……魔界侵略作戦の時、お前の力が暴走して……あいつは命を落とした」


「約束したじゃないか! 周りへの危害が及ぶ可能性のある四段以上はもう使わないって!」


「分かってるさ!」


「それでも……もう誰も死なせないためにも……俺はもっと強くなきゃいけないんだ!」


 ガブリエルは立ち上がり、扉を開けた。


「もう……この話は終わりだ。政府のとこのヘラクレスだって、ゼウスから四段以上は禁止されてるって話だ」


「天野流は……危険なものなんだ。かつての始祖アマテラスの伝書を読み返せ……そこに記されているものははもはや武道の域を超えている……」


 ガブリエルはそう言い残して部屋を後にした。


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