天界解放大戦①
「エネルギーを調節しないと力が暴発しちまう。まぁ、それも練習あるのみだ」
エースの2人に稽古をつけてもらう生活が始まった。【無限覇道】の使い方や、基本的な剣術などの技術は徐々に身についていった。
エースは仲間との生活に楽しさを見出していった。しかし平穏は長くは続かなかった。それはガブリエルたちと出会ってから一か月が経ったある日のことだった。
「そういえば、今度解放戦線の定例集会がある。天界中のメンバーが集まる場だからエースについて改めて紹介をしよう」
「もちろん! 楽しみだなーどんな奴らがいるんだ?」
ガブリエルとエースは木陰に座って話している。
「いろんなやつがいるよ。天啓神継っていう力を持った奴だったり――」
「おーい!」
森の方から声がした。バスケットを持ったメアリーとミカエルがこちらにやってくる。
「サンドイッチ作ってきたよ! 二人とも頑張ってるからー」
メアリーがバスケットを胸まで持ち上げて微笑んだ。それを見たエースは思わず赤面する。
その時だった。胸を突かれるような衝撃がエースの体に走った。僅かな耳鳴りとともに異常な何かが近づいてくる様な気がする。
「あっ!」
メアリーが声を上げた。白い翼を生やした男たちが一瞬にしてメアリーをかっさらった。男がメアリーをつかんだ瞬間、殺気立った眼でミカエルが黄金に輝く剣を抜いて切りかかろうとしたが、目くらましのようなものを顔に投げつけられてしまう。
「くそっ!!」
ガブリエルが飛び立って追いかける。しかし、どこからか雷が放たれた。ガブリエルは瞬時にそれをかわした。
「久しぶりだな、裏切者」
男の声がした。
「ウリエル……!」
そこにいたのはウリエルだ。
「こいつは貰っていくぞ」
ウリエルは男たちにメアリーを連れ去るように合図を出した。
「させるか!」
エースは既に訓練を経て、翼を生やせるようになっていた。大きな翼を広げて高速でウリエルに切りかかる。
「お前は……今は必要ないんだ」
ウリエルがエースを切り伏せた。
「それじゃ、また会える日が来ると嬉しいよ」
ウリエルが腰に携えていた煙幕弾を起爆させた。
「まて……! くそ!」
白い煙をかき分けてウリエルを探すが、煙が晴れた時に既に姿を消していた。
「メアリーが……さらわれた……」
ガブリエルが膝から崩れ落ちた。
「あ……なんで……」
エースは言葉を失う。目の焦点が合わない。一体何が起きたのか理解ができない。
「みんな! 一体何が……」
仮眠を取っていたアレンが聖堂から出てきた。
「メアリーが……さらわれた……」
エースの言葉にアレンは言葉を詰まらせた。誰にさらわれたのかという質問にウリエルだと答えると、アレンの表情が豹変した。
「あいつか……! ガブリエル! すぐに緊急集会を開くぞ!」
「……あぁ、今すぐに招集をかける」
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