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弱き王の物語  作者: ふるたく
8/10

押さえ付けていたもの

次の日、僕は朝から仕事に追われていた。


前日、ジョウイとの楽しい時間を過ごす為に、昨日の仕事を今日に持ってきたからだ。


最近は近隣諸国との意見交換が続いていた。


最近大人しい王国軍の噂や、最近巷を騒がせている海賊、山賊の話、互いの村の交易品の商談だの色々だ。


そして今、この政務室では村の重役を集めて会議が行われていた。

この村の産業をどうするのか、防衛をどうするのか、教育はどうするのか、税金をどうするのか


昼から始まった会議に終わりは、見えなかった。



会議は、延々と続いている、、、

--------------------------------------------------------

村の入り口、、、から少し離れた広場で。


ジョウイがナナミ姉様と話している。


ジョウイ「リオウ、来れないって?」


ナナミ「うん、ごめんね。」


ジョウイ「まあ、しょうがないな。なんてったって、王様だからな、リオウは」


ナナミ「うん。、、頑張ってる。」


ジョウイ「、、、だな。」


ナナミ「ねえ、ジョウイ、もうちょっと居られないの?」


ジョウイは少し間を置いて


ジョウイ「、、、うん、ごめん。」


と、答えた。


その時大きな声が


ドゥル「おーーーーい、ジョウイーーー行くぞーーーー」


聞こえてきた。


村の入り口の馬車からドゥルが大声を張り上げている


ジョウイ「あーー、分かったーー」


ジョウイはそれに応え、


そして


ジョウイ「じゃあ、また、、、」


ナナミ「うん、またね。」



と、手を振って、この村との別れを告げる。


ジョウイは馬車に乗り込み、


馬車は動き出す。


がたがたがたがた


馬車は遠くの方へ。


ナナミはそれを、じっと、見つめていた、、、、。


馬車が見えなく、なるまで、、、。


--------------------------------------------------------

政務室の中。


村の重役が集まっての会議はまだ終わりを見えない。


会議は続く。


僕は会議をうん、うん、と聞きつつ、


(そろそろ、行っちゃったかな、、、)


と、別な事を思い浮かべる。


そして


ちらり、と窓から外を見て


(またね、ジョウイ)


僕は頭の片隅でジョウイにさよならを告げ、


意識を会議に戻すことにした。


--------------------------------------------------------

夜、、、


時計の針は22時を回っていた


カリカリカリカリ


紙にペンを走らせる音がする。


カリカリカリカリ


朝から始まった仕事はまだ終わっていなかった。


カリカリカリカリ



あと少しだ



そう思った、とき



ふと、ペンが止まる。



ペンが、動かない。



(あれ?なんだ?)



おかしいな。後少しなんだからサッサッサッっとやって終わりたいのに



でも、



なぜかペンは動かなかった。



代わりに



ぽたっ、ぽたっ



と、涙が、



溢れて、きた、、



ぽたっぽたっ



何故かは分からないけど、涙が止まらなかった。


ぽたっぽたっ


僕「、、、、、、、、」



ダメだダメだダメだダメだ


考えちゃダメだ


考えてはいけない。


それはもう僕には許されない。


僕は王様になってしまったんだから。


僕は父様の後を継いだのだから。


もう、僕にはわがままは許されない。


考えてはいけない。


それは、願ってはいけない考えだ。


ジョ、、イ、に、付いて、行きたいなどと、、、、、


もっと、、、一緒に、、いたい、、なんて、、、、


そんな、、、こと、、、、



そんな、、、、こと、、、、、



僕「うっ、、、、」



僕「うぁああああああああああ」



涙が、止まらない


溢れる気持ちが抑えきれない、、、、


僕「うぁああああああああああああ」


考えないようにしていたのに、、、、、



考えないようにしていたのに、、、、



考えないようにしていたのに、、、、




考えてしまった、、、、!




想像してしまった、、、、、!




想像、して、しまった、、、、、



僕「うぁああああああああああああああああああああああ」



楽しそうだなって、、、、、




想像して、しまった、、、、、




想像してしまったんだ、、、、、




------------------------------------------------------------


僕は、、、、その日、

ずっと、泣いていた。




ペンはもうその日、

動く事は無かった。



















--------------------------------------------------------


、、、、僕が泣いていた頃



僕は知らなかったが、



政務室の前で、バドが僕の様子を見ていたらしい。


じっと。



、、、何かを考えて、



そして



政務室を後にしたようだ、、、、。

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