夢の終わり
僕「はあ、、はあ、、、はあ、、、」
ジョウイ「俺の、勝ち、だな」
ジョウイの剣の切っ先は僕の喉元に添えられている。
僕「はあ、、、はあ、、、」
僕は尻餅をつき、ジョウイはそれを見下ろしていた。
そして
ジョウイはニヤッと笑って
剣を下げつつ、剣と反対の手を僕の方へ差し出す。
僕「ちぇっ、、」
結局、僕の完敗だった。だいぶ、食らいついたつもりだったが、地力が違っていた。
時間が経てば経つほどその力量差が浮き彫りになってしまった。
僕はその手を取り、立ち上がる。
と、
ジョウイ「いやいや、リオウも大したものだぜ。本当に王様やってたのかよ。机に座ってる奴の剣じゃないぜ」
ジョウイは本当に感心しているようだ。
僕「ん、、、まあ一応、鍛錬はしてたからね」
僕は尻についた砂を手で払いながら答える。まあ、ジョウイに見損なわれ無かっただけでも良かったのだろうか。
ジョウイ「いやいや、にしても、だぜ。だって俺は毎日力仕事してるんだ。その俺と互角かよ」
僕「互角じゃないよ。ボロ負けだったじゃないか」
口を尖らせて文句を言う。
ジョウイ「いやいや、これが才能かね。親父さんの。リオウの親父さん、凄かったからなー」
と、昔の父を思い出しながら感嘆の声を上げる。
(確かに、父さんは強かった。僕もその才能があるんだろうか、、、)
僕が少し考え事をしていると
ジョウイはニッと笑い、
ジョウイ「俺たちの旅に付いて来たら直ぐに強くなるぜ、リオウ」
なんて、出来もしない事を言ってきた。
僕「、、、、、、、、」
、、、それが出来たらどんなに良いか。
僕は「付いていったら直ぐにジョウイを追い抜いちゃうよ」
と、僕も、ニッと笑ってその可能性の無い冗談に乗っかる
ジョウイ「ははは、そうかもな!」
、、、、ジョウイは笑っていた。
出来ない事であるにも関わらず、その想像をするだけで楽しかった。
そして、2人の時間が終わる。
僕「明日、帰るんだよね。」
ジョウイ「ああ。」
僕「今回は短いんだね」
ジョウイ「ああ」
と、ジョウイは少し間を置いて。
ジョウイ「次の公演は外せなくてな」
と、しんみりと言った。
僕「そっか、、、」
僕は頷く事しか出来ない。
僕「次は、いつ帰って来れるんだい?」
ジョウイは少し考えて
ジョウイ「んーーー、そうだな、近いうち、な!」
と、やんわりと誤魔化した。
それは、次の旅は長くなることを意味していた。
僕「、、、、、、、、」
ふと東の空から太陽が覗いていた。
空は青色と紺色の中間くらいの色
もう、朝になってしまった。
ジョウイ「さ、今日は、こんなものかな?」
と、言ってジョウイは集会所の方へ戻って行く。
僕もそれに黙って付いて行く。
僕「、、、、、、、」
ジョウイ「、、、、、、、、」
2人は無言だった。
それは
夢の時間の終わりを
示していた、、、、