リオウが楽しみにしていた事
夜、、、、、
ドゥル「がっはっは!それでな!リオウ!巨人の国ではな、、、」
僕「うん。うん。それで?それで?」
ドゥル「、、、で、ジョウイが食われそうになっちまったんだよ!」
僕「えーーーーーー!?大変だ!!」
ドゥル「ところがどっこい、流石は俺様よ!、、、あらよっ!てな感じでな、巨人をな、、、」
僕「へーーー、へーーーー、凄いんだね!ドゥル様!!!」
その日の夜、ドゥル様達、旅芸人一座の無事帰還を祝い、村の集会所で宴会が行われていた。
ワイワイ、ガヤガヤ
集会所は滅多にお目にかかれない陽気な雰囲気に包まれていた。
みんな、楽しそうだ。
僕はと言えば、ドゥル様の旅の話を夢中になって聞いていた。
その話はずっとこの村にいる僕には絶対に体験出来ないような事件ばかりだった。
と、その様子を見ていたジョウイが
ジョウイ「おーい、リオウ、信じるなー。それ、尾ひれ付きまくってるからなー」
遠くの方から僕に注意を促す。
ナナミ「そうなの?」
ジョウイの隣に座っていた姉様もドゥル様の話に聞き耳を立てていたのだが
ジョウイの注意に
"なんだ、作り話なのか、、、"と、残念がる。
ドゥル様はドン!っと膝を叩き、
ドゥル「ジョウイ!てめえ!話の腰を折るんじゃねー!尾ひれなんて付いていない、完全!ノンフィクション!だ!!」
と、ジョウイに言い返す。
そして
ドゥル「正真正銘、俺が体験してきたことなんだから間違いない!!」
ドン!と胸張るドゥル様。
僕「うんうん、僕は信じてますよ!ドゥル様の!それで、それで!?続きを聞かせて下さい!」
僕は目を輝かせる。
ドゥル「おー、リオウは流石だな!人を見る目がある。立派な王様になれるぞ!がっはっはーーー
、、おっと、
それでな!リオウ!お次は竜の国だ!、、、お次も大変だった、、、、」
僕「へーーー、ほーーーー、すごーーーーい」
僕のその時の興奮は最高潮に達していた。
その様子を、ジョウイは呆れ顔で見ていた事に
僕は気付いていなかった、、、。
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これは僕がドゥル様の話に夢中になっていた頃、
それを見ていたジョウイとナナミ姉様は苦笑いをしていた。
ジョウイ「たく、あんな酔っ払いの言う事信じるなんて、まだまだガキんちょだね、リオウは」
ナナミ「あらあら、良いじゃない、別に。リオウはその話を楽しみにしてたんだから」
ナナミ姉様はちびちびお酒を飲みながら答える。
ジョウイ「に、してもさ、、、あんな嘘話、何処が面白いのかね?、」
ナナミ「ん、、、リオウはいつも同じようか毎日だから、、、」
ナナミ姉様の顔は少し悲しい表情をしている。
ジョウイ「、、、、、。」
ナナミ「毎日仕事仕事仕事仕事、だから。、、、ああいうバカ話が好きなのよ」
ジョウイ「、、、、そっか、、」
少し、しんみりした雰囲気の二人。
ナナミ「、、、、、、、」
ジョウイ「、、、、、、、」
と、それに居たたまれなくなったのか、ジョウイが雰囲気を変えようとナナミ姉様に問いかける
ジョウイ「それよりも、ナナミ姉ちゃん、随分と女らしくなったんじゃない?」
ナナミ「ん?まーねー。素敵でしょ?」
ふふん、と
ナナミ姉様は褒められるのは満更でも無さそうだ。
と、畳み掛けるように
ジョウイ「そ!ここら辺なんか、出るとこ出ちゃって、、、」
ツンツン!と、胸を、、、
つつこうとした瞬間!
ガン!!!!
ジョウイ「痛って!!」
ジョウイの目から火花が飛んだ!(飛んだ気がした)
ナナミ姉様の膝打ちを脳天に落とされたのだ
ナナミ「あらあら、外は出ると男ってのは随分とお行儀が悪くなること」
ナナミ姉様はそんなの慣れっこで、気にした様子も無く、お茶を飲み始める。
ジョウイ「んー、、、外だと褒め言葉なんだけどな、、」
頭をぽりぽり掻くジョウイ
ナナミ「バーカ」
ジョウイ「はは、、、」
ナナミ「リオウも外行ったらそうなっちゃうのかしら?」
少し遠い目をして考えるナナミ姉様。
ジョウイ「、、なるんじゃねーかな?」
ナナミ「、、、それは、困るわね、、、」
そんな二人の会話。
そんな二人の会話も終盤に差し掛かった頃、
いつしか周囲の人間達は酔い潰れてその場で寝てしまっていた。
ナナミ「これ、誰が片付けるのかしら、、、、」
ナナミはその宴会の惨状を見て考えるのをやめた、、、、